オウンドメディアとは?目的・メリットをわかりやすく解説|種類ごとの成功事例も紹介

オウンドメディアがビジネスやブランディングにどれほどのインパクトを持つのか、ご存知ですか?

この記事では、「オウンドメディアとは何か?」から、その目的・メリット、さらには種類ごとの成功事例まで、包括的に解説します。

マーケティングの手法が日々進化する中で、オウンドメディアは持続可能かつ効果的な手段として多くの企業や個人に採用されています。

本記事を読むことで、現代におけるオウンドメディアの重要性を理解・説明できるようになるはずです。

オウンドメディアとは?

オウンドメディアとは、企業や個人が自ら運営・管理するメディアのことを指します。具体的には、ブログウェブサイトなどがこれに当たります。

オウンドメディアを運営することによって、独自の情報発信やコミュニケーションが可能になります。特に、自社の製品やサービスに関する深い情報や、業界のトレンド、役立つノウハウなどを発信することで、認知度や顧客との信頼を築くことができます。

トリプルメディアについて

トリプルメディアとは、「ペイドメディア」「アーンドメディア」「オウンドメディア」の3種類のメディアのことを指します。それぞれのメディアの長所を活かして短所を補い合うマーケティング手法として多くの企業で活用されています。

それぞれのメディアについて解説します。

ペイドメディア

ペイドメディアとは、広告やプロモーションなど、費用を支払ってリーチを得るメディアのことを指します。具体的には、Google広告やSNS広告、テレビCMなどで、一番馴染みのあるメディアなのではないでしょうか。

ペイドメディアのメリットは、他社が運営するプラットフォームを利用させてもらう形になるため、運用工数を下げながら短期的な効果を得やすいという点です。

一方でデメリットは、コストがかかってしまう点です。テレビCMは多くのユーザーにリーチすることができますが、その分出稿費用は数百万円と高額のコストがかかってしまいます。

アーンドメディア

アーンドメディアは、顧客やファンが自らの意志で拡散してくれるメディアのことを指します。具体的には、SNSや口コミサイト、評価レビューサイトなどが該当します。

アーンドメディアのメリットは、顧客やファンが口コミや評価を拡散してくれるため、費用を工数をかけずに短期的な効果を生み出すことができる点です。

一方でデメリットは、拡散する内容やリーチ範囲をコントロールできない点です。自社にとって好ましくない内容がSNSなどで拡散される可能性もあります。

オウンドメディア

オウンドメディアは自社で所有し、運営するメディアのことを指します。ペイドメディアやアーンドメディアとは異なり、自社で運営を行い、自社が発信したい内容を発信するメディアです、

そのため、発信する内容を変えながら様々なニーズに応えるコンテンツを発信できる点が大きなメリットです。また、作ったコンテンツは蓄積されていくため、作れば作るほど効果が期待でき、広告費などのコスト削減にも繋がります。

一方でオウンドメディアのデメリットは、コンテンツを作成し発信する必要があるため、工数がかかる上に効果が出るまで時間がかかる点です。自社に十分なリソースがない場合は、効果が出るまで継続しにくい傾向にあります。

ホームページとオウンドメディアの違い

また、オウンドメディアと区別をつけるのが難しいものとしてホームページがあります。この二つは大きな違は、運営の目的です。

ホームページは、自社製品や企業情報を掲載している「カタログ」のようなものです。特徴としては「どこにどんな情報があるのか」がすぐにわかるように設計されています。すでに自社を「知っている」人が訪れ、より深く知りたいと考え製品や会社情報を閲覧するためのものです。

一方で、オウンドメディアは自社を知ってもらうための手段であり、「チラシ」のようなものです。自社を知らない人たちに対しての認知を目的とし、ノウハウなどの発信をするメディアになっています。

オウンドメディアの目的・役割

先述の通り、オウンドメディアの大きな目的は「自社の認知拡大」であり、以下の役割を担っています。

新規顧客獲得

オウンドメディアの大きな役割は、新規顧客獲得です。自社の展開する事業領域に関する質の高いコンテンツを発信し、潜在層の認知を獲得することが新規顧客の獲得に繋がります。

ただ発信するだけでは潜在層に対してリーチすることはできないため、SEO対策を行った上で、検索エンジンからの流入を促すことが、新規顧客獲得において非常に重要です。

採用(リクルーティング)

また、オウンドメディアは採用活動の役割も担っています。事業領域に関するコンテンツだけではなく、自社の思想や社風、仕事内容がわかるコンテンツを発信することで、求職者に魅力を訴求することができます。

特に中途採用では、大きな効果を発揮します。中途採用は期間が決まっていないため、転職希望者はある程度の時間をかけて転職希望先の情報収集を行います。その際にオウンドメディアに訪れることで、自社の企業文化や仕事内容を知ってもらうきっかけになります。

ブランディング(広報)

顧客獲得、採用に加えて、広報観点でのブランディングという役割も担っています。オウンドメディアを通してユーザーの役に立つ高品質なコンテンツを提供することで、会社への好意度や認知度を高めることができます。

ブランディングを通して直接的な利益を得ることは難しいですが、好意度や認知度が高まることによって、新規顧客獲得においても、採用においてもプラスの影響を与えることができます。

オウンドメディアを運営するメリット

オウンドメディアの運営は費用と時間、労力が必要ですが、多くのメリットがあります。その中でも、顧客獲得コストの低減と採用のミスマッチ防止が特に注目されるポイントです。

顧客獲得コストの低減

オウンドメディアを継続的に運営することで、以下の3つの効果を実現することができます。この3つの効果を得ることで、結果として顧客獲得コストを低減することが可能です。

  • 広告コストの削減
  • 製品・サービスの理解促進
  • 広告効果の最大化

先述の通り、オウンドメディアは、生成したコンテンツを長期に渡って活用することができます。コンテンツ生成時にコストが発生したとしても、中長期で活用し続けることで成果は上がり続けるため、初期のコストをペイすることができます。

また、オウンドメディアで発信したコンテンツを顧客が事前に確認し、製品やサービスについての理解を深めた状態で企業にアプローチすることで、購買までスムーズに進めることができます。そのため、購買までの時間、労力、コストを削減することができます。

加えて、オウンドメディアでの情報発信により、ブランドやサービスの知名度が上がると、同じ広告費でもクリック率やコンバージョン率が向上します。

これらの要素が組み合わさることで、中長期的な顧客獲得のコスト低減に繋がります。

採用のミスマッチ防止

オウンドメディアは、企業文化や働き方、仕事内容などを詳細に発信するプラットフォームとなります。この情報が求職者にとっては非常に役立ち、採用時のミスマッチを防止することができます。

求職者は事前に企業の文化や働き方を理解できるため、自分がその環境に適合するかどうかの判断が可能になり、企業側もオウンドメディアを通じて自社の魅力を伝えることで、自社にマッチする人材を惹きつけることができます。

オウンドメディアの種類とその成功事例

オウンドメディアには、以下の3つの種類があります。それぞれの特徴と成功事例について紹介します。

  • サービスオウンドメディア
  • 採用オウンドメディア
  • 企業オウンドメディア

サービスオウンドメディア

サービスオウンドメディアは、主に製品やサービスの認知度を高め、顧客獲得やリピート購入を促すためのオウンドメディアです。一般に、専門的な知識や豊富な情報を提供するブログや、製品の使い方、活用事例を紹介する形が多いです。

代表的な成功事例としては、jinjer株式会社が運営する「HR NOTE」です。

引用:HR NOTE

jinjer株式会社は、バックオフィス向けクラウドサービス「jinjer」を運営しています。そのため、「HR NOTE」では、人事業務に役立つ情報を発信しており、サービスの認知度向上や顧客獲得に活用しています。

メディアサイト人事業務に役立つ情報メディア「HR NOTE
運営目的・自社サービスの認知拡大
・新規顧客獲得
コンテンツ例・人事/HRに関する各社のニュース&トピックスまとめ
・Web給与明細システムに関する記事
・人事評価システムに関する記事

採用オウンドメディア

採用オウンドメディアは、企業が求職者に対して自社の文化や働き方を伝えるためのメディアです。内部のイベントレポートや社員インタビューを掲載することで、企業文化を具体的に示すことができます。

代表的な成功事例としては、株式会社メルカリが運営する「メルカン」です。

引用:mercan

メルカンでは、実際に働く人やチームのインタビュー記事などを公開し、”生の声”に近いコンテンツを、求職者に届けています。社内のメンバーの声を届けることで、求職者が入社後にギャップを感じないように設計されています。

メディアサイトメルカリの「人」を伝える「mercan
運営目的・求職者への認知拡大
・入社後のミスマッチ防止
コンテンツ例・新規事業責任者へのインタビュー記事
・展開サービスの魅力の解説記事
・主催イベントのレポート記事

企業オウンドメディア

企業オウンドメディアは、企業のブランドイメージの構築と広報活動を目的としたメディアです。製品やサービスだけでなく、企業のビジョンや社会貢献活動についてのコンテンツも発信します。

代表的な成功事例としては、トヨタ自動車株式会社が運営する「トヨタイムズ」です。

引用:トヨタイムズ

「トヨタイムズ」では自社の取り組みだけでなく、燃料、スポーツ、アウトドアなど幅広いトピックでコンテンツを発信しています。広報を通してブランディングを行うことで、副次的に顧客獲得や採用に影響を与えています。

メディアサイトトヨタイムズ
運営目的・企業ブランドイメージの構築
コンテンツ例・社長のイベントレポート記事
・所属アスリートへのインタビュー記事
・研究開発中技術の解説記事

その他のオウンドメディアの成功事例は、以下の記事で解説しているので、気になる方は参考にしてください。

オウンドメディアの始め方

オウンドメディアを始める際には、以下のステップで計画的に進めることが成功へのカギとなります。

  1. 目的の明確化
  2. 運営体制の構築
  3. 目標の設定
  4. キーワード設計
  5. サイトの構築
  6. 記事作成開始

それぞれのステップについて解説します。

目的の明確化

オウンドメディアを開始する前に、コンテンツ発信の目的を明確にしましょう。目的が不明瞭だと、戦略がブレやすく、効果的な運用が困難になります。

「新規顧客の獲得」「ブランドイメージの向上」「採用活動の支援」など、ビジネスゴールに直結する形で目的を設定しましょう。

運営体制の構築

運用体制は、オウンドメディアの品質と持続性に直接的な影響を与えます。記事の作成や更新、SNSでの発信など、誰が何を担当するのかを明確にしておくことが重要です。

また、必要に応じて外部のライターやデザイナー、SEO専門家といったスキルを持つ人材の採用も効果的です。

目標の設定

目的を明確にした後、その目的を達成するための具体的な目標を設定します。

例えば、月に何件の記事を投稿するのか、一定期間でどれくらいのアクセス数やフォロワーを増やすのかといったKPI(Key Performance Indicator)を設定することで、運用の進行と成果を見える化します。

キーワード設計

先述の通り、オウンドメディアを通して多くの人にリーチするために必要なのが、SEO(検索エンジン最適化)対策です。そして、このSEO対策において最重要なステップが、キーワード設計です。

獲得したいターゲットが何の情報をどんなキーワードで検索するかを考え、それに紐づいたキーワード設計を行います。目標となるキーワードが決まれば、これを基にコンテンツプランを作成します。

サイトの構築

基本的な運用計画ができたら、オウンドメディアサイトを構築します。ここでは、ユーザビリティやデザイン、SEO対策などを考慮しながら、CMS(Content Management System)を選んでサイトを作ります。

記事作成開始

サイトの構築が完了すれば、記事作成を開始します。記事作成は、設定した検索キーワードに基づいて、検索した人がどんな情報を求めているのかを考え、確実に情報を提供できるようにすることが大切です。

最初は試行錯誤が必要かもしれませんが、目標に対して着実にアプローチをしていくことで、時間とともに成果が出てくるでしょう。

効果的な記事の作成方法は以下の記事で解説しています。

また、オウンドメディア立ち上げに必要なステップについて、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。

オウンドメディアを運営する上での注意点

オウンドメディア運営は、計画的に進めても、何らかの理由でうまくいかないケースがあります。このような事態を避けるために気をつけるべき注意点は以下です。

  • 運用目的が明確かどうか
  • KPIを設定するならしっかり
  • 失敗する一番の原因は「更新が止まること」

それぞれについて解説します。

運用目的が明確かどうか

先述の通り、オウンドメディアを運営する際に、最も重要なのは「目的が明確であるかどうか」です。運用目的が曖昧な場合、運営していく内に発信内容がブレてしまい、コンテンツの質が低下し、読者への提供価値も減少してしまいます。

目的を見失わず、継続的に成果を上げ続けるには長期的な運用計画が必要です。具体的かつ測定可能な形で目的・計画を設定しましょう。

KPIを設定するならしっかり

「KPI(Key Performance Indicator)」は運営の成果を測定するための指標です。適当に設定したKPIは、逆に運営を迷走させる可能性があるため、KPIを設定する場合は適切なKPIかどうかが非常に重要です。

例えば、「公開記事本数」をKPIとした場合、記事の品質に関わらず公開することが目標となってしまうため、読者に有効な情報提供ができていない質の悪いコンテンツを生む可能性があります。

KPIは運用目的に紐づく形で設定し、その達成度を定期的にチェックするようにしましょう。

失敗する一番の原因は「更新が止まること」

オウンドメディアにおける最大の失敗要因は「更新が止まること」です。一度公開を始めたら、一定のペースで質の高いコンテンツを提供し続けることが、成功の鍵となります。

更新が停滞すると、サイトへの流入数が減少し、SEOにも悪影響を与える可能性が高くなります。そのため、オウンドメディアを始める前にしっかりと運営体制を決定し、スケジュールに落とし込んだ上で開始するようにしましょう。

自社内のリソースだけでどうしても対応できない場合は、外部の記事作成代行会社を活用することも効果的です。おすすめの記事作成代行会社については以下の記事で解説しているので、リソースにお困りの方は参考にしてください。

まとめ

この記事では、オウンドメディアの目的やメリット、取り組み方法について詳しく解説しました。

オウンドメディアは、企業や個人が持続的な価値を生み出すために非常に効果的な手段です。一方で、成功するためには計画的かつ継続的な運用が必要であり、目的やKPIの設定、コンテンツの更新といった具体的なステップを踏む必要があります。

オウンドメディアは一筋縄ではいかない場面も多く、失敗する原因は多々ありますが、そのような障壁も含めて、しっかりと計画を練り、運用していくことで多くのメリットを享受することが可能です。

この記事が、オウンドメディアの有効性と運用のポイントについて、あなたの理解を深める手助けになれば幸いです。

b-pos編集部

代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)