経理業務の非効率の原因とその効率化の方法6つ!手順と効果まで解説
「経理業務の量が多く、担当者に負担がかかってしまっているため改善したい」
「経理業務が非効率になっている原因を知りたい」
といった悩みは、経営者や経理部門責任者の方に起きがちです。
経理には多くの業務があるため、非効率になっている原因を明確にしたうえで効率化を目指す必要があります。業務を効率化することで、作業時間や人為的ミス、人件費などの削減につながります。
本記事では「経理業務が非効率になる2つの原因」と「効率化する6つの方法」を中心に解説します。
経理業務の非効率の主な2つの原因
経理業務が非効率になってしまっている主な原因は以下の2つです。
- 入力作業に時間がかかる
- 売掛金・買掛金管理の確認に時間がかかる
記帳業務や請求書作成などの「入力作業」に時間がかかります。入力は手作業でおこなううえに経理業務で扱うのは重要な情報が多いことから、二重チェックなどの対策も実施します。人為的ミスを起こさないための対策が必須なことから、業務を圧迫する傾向があります。
また売掛金・買掛金の確認をしたのちに「買掛金を振り込む」「未入金の顧客の追いかけを営業担当に依頼する」といった管理にも時間がかかります。この管理には各部署との連携が必要なため、情報共有が遅いとその分作業時間も圧迫されます。
このように「作業」にかかる時間と「確認」にかかる時間が膨大なのが経理業務です。これらの時間を減らすことで、経理業務が効率化できます。
経理業務を効率化する6つの方法
経理業務を効率化する6つの方法を原因別にご紹介します。
「入力作業に時間がかかる」の改善策
入力作業に時間がかかって業務が非効率になっている場合、有効な改善策は次の3つです。
それぞれ解説します。
エクセル・スプレッドシートを使いこなす
昨今、経理業務といえば「会計ソフト」や「自動化」といったIT関連の言葉が行き交っています。しかし、経理業務を担当する方のなかには「エクセル」や「GoogleSpreadsheet」といったツールを活用して管理する方も多いのではないでしょうか。
ここで意外な盲点なのが「エクセルへの入力に時間がかかっている」といった点です。入力時間が短縮できる「ショートカットキー」や「関数」は、使い方を知らなければ活用できません。これらの使い方を知らずに入力業務をおこなっている場合、膨大な時間がかかっています。
そのため経理業務を効率化するには「ショートカットキー」と「関数」を駆使して、入力時間を削減しましょう。
エクセルについて理解を深めるには「YouTube」と「ChatGpt」の活用がおすすめです。YouTubeは、動画でエクセルの画面を見ながら解説してもらえるため、視覚的に理解できます。
YouTubeのエクセル「ショートカットキー」解説のおすすめ動画はこちらです。
YouTubeのエクセル「関数」解説のおすすめ動画はこちらです。
YouTubeだけでなく、ChatGptを活用してエクセルの使い方を聞く方法もあります。
たとえばエクセルシート上で「合計値」を求めたい場合、ChatGptに以下のように質問します。
このように「入力すべき関数」と「セル範囲」の具体例を出しながら解説してもらえるため、エクセル上で関数を簡単に使いこなせます。
YouTubeやChatGptを活用し、ショートカットキー・関数で経理業務を効率化しましょう。
会計ソフトを導入する
会計ソフトを導入して会計・経理業務をIT化することで「手入力の手間削減」や「人為的ミスの回避」につながります
会計ソフトは、会計処理を効率化するためのソフトウェアです。なかには「取引データをもとに自動で仕訳する」「領収書を自動で読み取ってデータ化する」といった機能を備えているソフトもあるため、入力作業にかかる時間を大幅に短縮できます。
また入力データをもとに、勘定科目の残高を記載する「残高試算表」が自動で作成できるソフトもあります。これらの書類作成にかかる時間・手間も削減できます。
記帳代行サービスを活用する
入力作業をアウトソーシングすることで、入力にかかる時間が必要なくなります。記帳業務をアウトソーシングできる「記帳代行サービス」を活用しましょう。
代行会社に領収書と通帳を共有することで、日々の取引を仕訳して「試算表(PL / BS)」の作成までおこなってもらえます。
記帳業務に特化しているサービスに依頼することで「入力作業」だけでなく「書類の作成」まで対応してもらえるのは大きなメリットです。
関連記事:記帳代行サービスおすすめ12選!料金相場と比較ポイントも解説
「売掛金・買掛金管理の確認に時間がかかる」の改善策
売掛金・買掛金管理の確認に時間がかかって業務が非効率になっている場合、有効な改善策は次の3つです。
それぞれ解説します。
デジタルデータ化・ファイリング整理を徹底する
領収書や請求書を紙で管理している場合、デジタルデータ化してファイルに分けて管理することで、売掛金・買掛金管理の確認にかかる時間が短縮できます。データで管理することで検索性が向上し、確認したい情報にすぐにアクセスできるようになります。
また電子帳簿保存法の改正により、電子的にやり取りした領収書や請求書はデータのまま保存することが義務づけられました。このような背景からも、売掛金・買掛金管理の効率化にはデジタルデータ化がおすすめです。
経理アウトソーシングを活用する
経理業務を代行してくれる「経理アウトソーシング」を活用することで、売掛金・買掛金の管理の確認が効率化できます。
経理アウトソーシングでは「すべての経理業務が代行可能」といったサービスから「記帳業務」や「給与計算」といった特定の業務のみを代行するサービスがあります。
「売掛金・買掛金の管理」では入出金の現状把握や報告だけでなく、その支払いや振込、請求書発行といった業務まで代行するサービスもあります。
幅広い業務が依頼できるため、自社の状況や希望に応じて利用できます。
経理代行に依頼できる業務範囲を中心に、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:経理代行とは?おすすめサービス10選徹底比較|依頼できる業務・外注先の選び方も解説
請求代行・受領サービスを活用する
売掛金の管理には、請求書の作成から発行・確認が必要です。買掛金の管理では、請求書の受領から格納・支払いといった業務があります。それぞれ「請求代行サービス」や「請求書受領クラウド」を活用することで、一連の業務が効率化できます。
請求代行サービスは、企業間取引における与信や請求書発行、集金業務の代行が可能です。なかには未払い時の保障がセットになったサービスもあります。
「請求代行の仕組み」や「請求代行サービスのおすすめ10選」を中心に、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:請求代行サービス10選徹底比較!メリットや5つの比較ポイントを解説
請求書受領クラウドは、請求書の受領やデータ化、電子保存、原本保管まで対応可能です。支払いに必要な情報の確認や出力をシステム上でおこなうこともできます。
請求書受領クラウドには「TOKIUMインボイス」や「invox受取請求書」といったクラウドがあります。
株式会社TOKIUMが提供している「TOKIUMインボイス」は、請求書の受領からデータ化、保管まで対応しています。各企業のルールに沿った運用の提案を、専任コンサルタントから受けられます。
株式会社Deepworkが提供している「invox受取請求書」は、請求書の入力業務がすべて自動化できます。「紙の請求書はスキャンしてデータ化する」「データで届いた請求書はそのままアップロードする」といった作業をするだけで、AI-OCRによるデータ化が可能です。
経理業務を効率化する手順
経理業務の効率化は以下の手順でおこないます。
- 何に時間がかかっているのかを見極める
- コスト面を考えながら改善策を選ぶ
手順ごとに解説します。
1:何に時間がかかっているのかを見極める
まず「経理業務の非効率の主な2つの原因」で先述した「入力作業」と「確認作業」のどちらに時間がかかっているのかを確認しましょう。
たとえば入力作業の場合「仕訳・記帳に時間がかかっている」といったケースがあります。確認作業の場合「取引先からの請求書が多く、支払い漏れが発生している」「営業担当との連携不足で業務が滞っている」といったケースもあります。
自社において「どの業務に時間がかかっているのか」を見極めて、次のステップに活かしましょう。
2:コスト面を考えながら改善策を選ぶ
ステップ1で「入力作業」と「確認作業」のどちらに時間がかかっているのかを確認したら、コスト面を考慮しながら改善策を選びましょう。そうすることで、おのずと改善策が絞られます。
たとえば入力作業に時間がかかっている場合、改善策は次のとおりです。
エクセル・スプレッドシートで管理しており入力に時間がかかっている場合「ショートカットキー」や「関数」を学んで活用しましょう。入力の手間がありながらも会計ソフトを導入していない場合は、取り入れるのも1つの方法です。
エクセル・スプレッドシートを使いこなしつつ会計ソフトも導入している場合、業務量に対してリソースが足りていない可能性があります。この場合は記帳代行サービスの利用も視野に入れましょう。
このように、自社の課題感とフェーズに合せて解決策を使い分けます。コスト面も加味しながら1番クリティカルなものを選んで実践しましょう。
解決しない場合、ほかの課題・原因が大きい要因である可能性が高いため、再度見直してみましょう。
経理業務を効率化すると得られる効果
経理業務を効率化することで、次のような効果が得られます。
- 作業時間の削減
- 人為的ミスの軽減
- 従業員負担の軽減
- 人件費の削減
それぞれ解説します。
作業時間の削減
経理業務を効率化することで、作業時間が削減してコア業務に集中できます。
たとえば記帳業務を効率化することで、企業の成長につながる「経営判断の材料になるデータの分析」などの業務に集中できます。具体的には「業績管理」「予算管理」「決算業務」といった業務です。
作業時間を削減してコア業務に集中することで、利益拡大につながる経営判断に貢献できます。
人為的ミスの軽減
効率的に業務が進められる体制が整うことで、人為的ミスが減少します。
経理業務の効率化にあたって、ITツールやシステムを導入します。これには「手作業でおこなう業務が減らせる」「システムを活用するため人の負担が少なくなる」といったメリットがあります。
業務をおこなう人の負担が軽減することで注意力が持続するため、人為的ミスが減少します。
従業員負担の軽減
無駄な作業を減らすことで、従業員の肉体的・精神的な負担が軽減できます。環境を整えることで、従業員の満足度やモチベーションのアップも期待できます。
さらに労働環境の改善は企業の評価にもつながるため、人材採用の場面でもよい影響を与えます。
従業員の負担が軽減することで「従業員の満足度向上」や「優秀な人材の獲得」といったよい効果があります。
人件費の削減
経理業務を効率化することで、人件費の削減につながります。
業務量が多くて時間内に業務が終わらなければ、残業代が発生します。人員そのものが足りなければ、新たに経理担当者を採用する必要があります。
業務を効率化することで残業が必要なくなれば、残業代が削減できます。担当者1人分の業務が効率化できれば、ほかの部署に人員を充てることも可能です。
業務の効率化は、残業代をはじめとした人件費の削減につながります。
まとめ
経理業務が非効率になる原因は「入力作業」と「確認作業」に時間がかかっていることが考えられます。自社がどちらの経理業務に時間をかけているかを明確にすることで、業務が効率化できます。
本記事でご紹介した経理業務を効率化する方法を参考にして、自社に適した方法を試しましょう。
b-pos編集部
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