経理と財務の違いを理解しよう!業務・役割の違いを解説

経理と財務、この2つの言葉はビジネスの世界で頻繁に耳にしますが、その違いや具体的な役割についてしっかりと理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。 会社の経済活動を支える経理業務と会計業務ですが、これらは互いに関連しながらも、実は大きく異なるポイントが存在します。

今回の記事では、経理と財務の違いを明確にし、それぞれの業務・役割を詳しく解説していきます。これらを理解することで、あなたのビジネススキルが更に向上すること間違いなしです。 経理業務と会計業務、それぞれの独自性と、その間の繋がりや違いをしっかりと把握することで、ビジネスの理解が一層深まります。本記事を通じて、その全貌を明らかにしていきましょう。

経理と財務の違いを感覚的に理解しよう

経理と財務は、一見似ているようで、その役割や対象となる資金の時系列には大きな違いがあります。

経理とは、要するに「過去のお金」をきちんと記録し、管理する役割を担っています。 具体的には、日々の取引や業務活動に関連する金銭の流れを、帳簿に記載し、正確な報告を行うことが求められます。

一方で、財務とは「未来のお金」を的確に計画し、適切に管理する役割を持つ部門です。 これは企業の将来的な成長や戦略に必要な資金をどのように確保・運用するか、という大きな視点での資金管理を指します。

経理「過去」のお金の「記録」
財務「未来」のお金の「計画」

それぞれの内容をより具体的に理解できるよう、実際の決算資料を用いて見ていきましょう。

【経理】過去・記録

引用元:ソフトバンク株式会社「2024年3月期 第1四半期決算説明会」2023年8月4日

上記に示したのが、経理の領域の決算資料です。 資料からもわかるように、「過去の実績の報告」が主となっています。

このように、経理は過去の実績を基にした金銭の管理が中心であり、過去の事実を正確に捉える役割を担っていると言えます。

【財務】未来・記録

引用元:ソフトバンク株式会社「2024年3月期 第1四半期決算説明会」2023年8月4日

次に財務の領域の決算資料です。 資金調達など、過去の実績ではないのか?と勘違いする方も多いかもしれませんが、資料を読み進めるとわかる通り、「実際に調達した資金を今後どのように活用していくのか」が示されています。

このように財務は未来のビジョンや計画に基づく資金の流れを検討し、戦略的な視点からの管理が重要となります。

経理の業務・役割

経理という言葉は、「経営管理」から派生しています。 この部門の存在は、企業の健全な経営に不可欠であり、企業活動における金銭の流れを的確に捉え、管理し、さらには報告する役割を担っています。 つまり、「過去のお金」をきちんと記録し、管理することがミッションになります。

経理部門の役割は単に数字を記録するだけではありません。それぞれの数字が示す背後のストーリーや意味を正確に理解し、経営陣や他部門と連携し、会社の方向性や戦略を支える役割も果たしています。簡単に言えば、経理は企業の経済活動の「記憶」と「言語」を担っているとも言えるでしょう。

以下にて、経理の具体的な業務について紹介します。

業務詳細
預金管理 / 現金管理預金口座の動きを確認し記録 / 金庫内の現金の確認と記録
帳票の作成会社経営に必要な取引や会計に関する記録書類全般の作成
経費精算従業員が業務内で立て替えた経費の精算
買掛金・売掛金管理未回収の売上や未払いの購入金を管理
決算書作成企業の1年間の経営成績を示す書類の作成

財務の業務・役割

財務という言葉を聞いたとき、多くの方がお金に関する何らかの活動をイメージすることでしょう。その直感は正確で、財務は企業の金融面における方針や戦略を担当しています。 具体的には、企業の金融健全性を保ちながら、最適な経営資源の活用を追求する役割を持っています。つまり、「未来のお金」を的確に計画し、適切に管理することがミッションになります。

財務は、企業の成長や持続的な経営を支えるための鍵を握っています。 企業の安定した経営を実現するためには、経営資源である資金や資産を適切に管理・運用することが欠かせません。これらを通じて、財務部門は企業の命綱とも言える業務を担っているのです。

以下にて、財務の具体的な業務について紹介します。

業務詳細
資金調達銀行や投資家などと交渉し、借入の契約を結ぶことで資金を調達
予算編成 / 予算管理各部署に分配されている資金が適切に使われているかを管理
資産運用投資やM&Aなどを通して余剰資金を増やす

経理・財務・会計を理解する上での注意事項

経理、財務、そして会計。これらの用語は企業の金融や管理に関連して頻繁に使用されるものであり、時には互換性があるかのように扱われることがあります。 しかし、これらの領域はそれぞれ異なる特性と役割を持っています。その違いを理解することは、ビジネスの健全な運営や適切な意思決定を行うために非常に重要です。

以下にて経理・財務・会計の役割を改めてまとめました。 似たようでそれぞれ違った役割を持っていると言えます。

経理過去の取引や事象を記録し、それらの正確さを確保する役割
財務未来を見据えて、企業の資金繰りや投資計画を策定し、その適切な実行を監督する役割
会計企業の財務状態や業績を正確に反映するためのシステムや原則に基づいて、
経済的な情報を整理・提示する役割

実際の業界では、これらの部門が独立している場合と、統合されている場合があります。

特に小規模な企業やスタートアップの初期段階では、一人のスタッフが複数の役割を兼任することが一般的です。 しかし、企業が大きくなると、専門知識や業務の複雑さから、それぞれの部署が独立して機能することが一般的になります。

また、企業によって経理・財務・会計の切り分け方は様々です。そのため、一概に定義することが難しいのですが、何よりも大切なのは、これらの違いを認識し、それぞれの役割を正確に理解することです。この理解が、効率的で適切な経営判断を下す土台になると言えます。

まとめ

企業の金融と経営において、経理、財務は不可欠な役割を果たしています。 これらの領域は、互いに密接に関連しているものの、それぞれ異なる特性と目的を持ち、それを理解することが重要です。

経理企業の日々の取引を記録し、金融情報の正確性を確保することで、
過去の活動を明確にし、今後の計画のための情報の基盤を築く役割
財務企業の資金繰りや資本構造の策定、資金調達と運用の方針など
主に未来のお金についての方針を定める役割

これらの領域が連携し合い、適切に機能することで、企業は健全な経営を維持し、成長の機会を追求することができます。 各ビジネスパーソンや経営者にとって、これらの基本的な知識を持つことは、日常の業務や戦略的な意思決定を行う上での指針となることでしょう。

b-pos編集部

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