営業アウトソーシングとは?活用するための全知識とおすすめ10社
ビジネスの成長と効率化を実現するための強力な手段として、「営業アウトソーシング」の活用がますます注目されています。ただ、「営業アウトソーシングって具体的に何?」「どんな業務を外部に任せられるの?」と疑問を抱いている方も多いでしょう。
この記事では、営業アウトソーシング活用のメリット・デメリット、料金体系、そして依頼するまでの重要なステップを解説します。さらに、おすすめのアウトソーシング会社も紹介します。この記事が、貴社の営業の最適化につながれば幸いです。
目次
営業アウトソーシングとは
営業アウトソーシングとは、企業の営業活動を外部の専門業者に委託することを指します。この委託活動はターゲットの選定、リスト作成、見込み顧客へのアプローチ、商談代行・クロージング、セールスドキュメントの整理など、営業の様々な領域に及びます。
営業アウトソーシングが注目されている理由
営業アウトソーシングが注目されている理由は多岐にわたります。
経済環境の急速な変化
経済環境の急速な変化と市場の競争激化により、企業は経営資源を効率的に活用し、競争力を保つ必要があります。営業アウトソーシングは、営業活動を専門の外部業者に委託することで、企業は自社のコアビジネスに集中でき、生産性を向上させることが可能です。
営業人口の減少
多くの先進国、特に日本では、全体的な労働力人口の減少が問題となっています。これは全ての職種に影響を与え、営業職も例外ではありません。
出所:アイドマホールディングス 2022年8月期 通期決算説明資料
また、若い世代の中には営業職への関心が低いという傾向も一部で見受けられます。以下は日本の人事部が調査した結果の一部ですが、営業職の敬遠度は47.9%と最も高くなっています。
出所:日本の人事部-職種別志望度調査
労働人口の減少に加え、営業職の不人気により、営業人口はどんどん減少してくため、自社以外のリソースを活用して営業効率を向上させていく必要があります。
アウトソース文化自体の拡大
多くの企業が経費削減や業務の効率化を目指して、営業を含む様々な業務をアウトソースする傾向にあります。これは企業が自社のコアコンピテンシーに集中することを可能にし、専門的なスキルやリソースを必要とする領域については外部の専門業者に任せるという戦略です。
実際、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の市場規模は年々増加傾向にあります。
出所:BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査(2022年)
営業アウトソーシングは、新たな市場や顧客層へのアプローチにも有用です。営業のプロフェッショナルによる洞察とノウハウは、企業が未開拓の市場を効率的に探索し、新しいビジネスチャンスを捉えるのに役立ちます。
- 経済環境の急速な変化
- 営業人口の減少
- アウトソース文化自体の拡大
上記の背景から、営業活動のアウトソーシングが注目され、加速しているのです。
営業アウトソーシング活用のメリット・デメリット
では実際営業活動をアウトソーシングすることで得られるメリットはなんなのか、一方デメリットはなんなのかを知っておきましょう。
メリット
営業アウトソーシングには多くのメリットがあります。
一つ目は、専門的なスキルと知識を持つプロフェッショナルによる質の高い営業活動が期待できる点です。このような専門家による営業活動は、リードの質を向上させ、商談成功率を高める可能性があります。
二つ目のメリットは、コスト効率です。営業の人員を内部で確保することは、採用コストや教育コスト、さらには固定費用としての給与など、大きな経済的負担を伴います。しかし、営業アウトソーシングならば、これらのコストを大幅に削減することが可能です。
デメリット
一方で、営業アウトソーシングにはデメリットも存在します。
一つ目は、品質管理の難しさです。営業活動を外部に委託すると、その業者の仕事の質が企業のブランドに影響を及ぼします。そのため、適切な品質管理とフィードバックの仕組みを設ける必要があります。
二つ目のデメリットは、コミュニケーションの課題です。営業は情報が命です。企業内の営業チームと外部の営業パートナー間で情報共有がうまくいかないと、ビジネスの機会を逃すことになります。そのため、効率的なコミュニケーションの仕組みを構築することが重要です。
■ 整理
メリット | デメリット |
---|---|
プロによる質の高い営業活動→リードの質向上 | 品質管理の難しさ |
リスクヘッジが可能(採用不要) | コミュニケーションや認識のズレ |
営業アウトソーシングと派遣とSPO
営業アウトソーシング、派遣、SPO。これら3つはすべて営業業務のサポートを意味しますが、違いがありますので営業アウトソーシングを中心に言葉と中身の意味をしっかりと理解していきましょう。
営業アウトソーシングと派遣
営業アウトソーシングと派遣には、業務の責任範囲と結果に対する責任所在において重要な違いがあります。
派遣は、あくまで人材の提供に主眼が置かれています。派遣社員は、依頼企業の指導の下で業務を遂行し、業務遂行の結果は基本的に依頼企業が責任を負う形となります。つまり、派遣会社は人材を供給し、その人材の管理と業務の結果については依頼企業が対応します。
一方、営業アウトソーシングでは、アウトソーシング先が営業プロセスの全体または一部を担当し、その結果に対しても責任を負います。ここでは業務遂行のプロセスや手法についても、アウトソーシング先が独自の知識や経験を活かして最適化することが期待されます。これにより、企業は営業にかかる手間を大幅に軽減し、自社のコアビジネスに集中することが可能となります。
営業アウトソーシングとSPO(セールス・プロセス・アウトソーシング)
営業アウトソーシングとSPO(Sales Process Outsourcing)との違いは、そのサービスの深さと範囲に大きく左右されます。これらはどちらも外部の専門機関に営業業務を委託する形態ですが、その中身は大きく異なります。
営業アウトソーシングは、一般的には業務の一部または全体を委託することを指します。これは主に、営業にかかる作業負担を軽減し、企業が本来の事業に注力できるようにするためのものです。
一方、SPOは、その名の通り「セールスプロセス」を外部に委託するもので、これにはコンサルティング的な要素が含まれます。SPOの専門家は、企業の営業プロセス全体を見つめ直し、改善点を見つけ出します。その上で、企業の全体戦略を鑑みつつ、具体的な業務改善策を提案し、それを実行に移すのです。
具体的には、SPOは見込み客のリスト作成、営業アプローチの最適化、商談プロセスの洗練など、営業の各ステージに対する最適化を図ります。ここでは、営業を行うだけでなく、営業のプロセスそのものを改善し、結果として営業効率と成果を高めることを目指します。
つまり、SPOは単なる業務代行以上の価値を提供します。それは戦略的な視点からのアドバイスとそれを実行に移す力を併せ持つ、コンサルティング+代行のようなイメージです。
■ 整理
営業アウトソーシングと派遣では何が違うのか:「責任の所在」
営業アウトソーシング | まるっとお願いできるイメージ |
派遣 | 採用が簡単にできるイメージ |
営業アウトソーシングとSPOではなにが違うのか:「代行業務の深さと範囲」
営業アウトソーシング | 単純に全体 or 一部業務の代行→ノンコア業務の切り出し |
CPO | 戦略を考慮しプロセスを改善しながら代行→コア業務の伴走 |
営業アウトソーシングに依頼できる業務範囲
営業アウトソーシングは企業の営業活動を効率的に推進するための強力なパートナーとなることができます。しかし、その範囲は広範で、ターゲット選定から商談のクロージングまで多岐にわたります。以下では、具体的にどのような業務をアウトソーシング会社に依頼できるのかについて一部、解説します。
ターゲット選定
企業の製品やサービスに適した顧客のターゲットを選定します。このターゲット選定は、企業のビジネスモデルや市場の理解に基づき、最適なターゲットを定義します。
リスト作成
ターゲットが決定したら、次はその顧客のリストを作成します。リスト作成は正確な情報の収集と管理を必要とし、アウトソーシング会社がこの作業を引き受けます。
テレアポなどのアプローチ
顧客へのアプローチを実施します。これには電話(テレアポ)、Eメール、SNS、直接訪問などが含まれます。いわゆる「営業代行」のイメージがこれに当たります。
見込み顧客への追客やフォロー
見込み顧客へのアプローチが成功した後、アウトソーシング会社は見込み顧客のフォローアップを担当します。これは受注率向上や長期的な関係の確立を目指します。
商談代行・クロージング
アウトソーシング会社が商談からクロージングまでを代行する場合もあります。高額にはなりますが、企業は商品やサービスの改善に集中することができます。
セールスドキュメントの整理
SPOのみになりますが、営業資料などのセールスドキュメントを整理し、顧客ターゲットごとの営業資料の作成と使い分けをアドバイスしてくれるアウトソーシング会社もあります。これにより、契約が終わった後もセールスフローを引き継ぎ、受注率なども急激に低下することなく、自走できる体制が整います。
営業アウトソーシングの料金体系・費用相場
では、実際営業アウトソーシング会社に依頼するとき、料金体系や費用相場が気になるかと思います。料金体系は、一般的には「成果報酬」と「月額固定」の2パターンになります。それぞれの料金体系の解説と一般的な相場を紹介します。
成果報酬
成果報酬型の営業アウトソーシングでは、具体的な成果に対して報酬が支払われます。成果の定義としては、アポイントメント獲得や受注獲得になります。
この料金体系の最大の利点は、事業者が成果を上げなければ支払いが発生しない点にあります。しかし、一方で、成功報酬型の契約では、成功した場合の費用が高額になることもあります。
一般的な相場としては、アポイントメント獲得で1万円〜3万円程度。新規契約1件あたり5万円~10万円程度が目安となりますが、業界や契約規模により大きく変わる可能性があります。例えば、ITソリューションの提案など、高価格な商品やサービスの場合、報酬額はもっと高くなることがあります。
月額固定
月額固定型の営業アウトソーシングでは、業務を提供するアウトソーシング会社に対して一定の費用が支払われます。この料金体系の利点は、固定的なコストでサービスを受けられることです。これにより、予算計画が容易になり、財務の管理がスムーズになります。
一般的な相場としては、月額数十万円から数百万円程度が目安となりますが、これも依頼する業務内容や規模により異なります。例えば、テレアポやリスト作成など特定の業務を依頼する場合は、それほど高額にはならないかもしれません。しかし、ターゲットの選定から商談のクロージングまで一連の業務を委託する場合、費用は高額になる可能性があります。
つまり、月額固定制はSPO(セールスプロセスアウトソーシング)に多い料金体系になります。
営業アウトソーシングを依頼するまでの重要な3ステップ
営業活動をアウトソースする際は、いきなり問い合わせしてはいけません。自社自身のことを理解してから適切なアウトソース会社の選定を始めましょう。適切なステップを踏まなければ、営業アウトソーシングが失敗してしまう可能性がありますので、以下に紹介する重要な3ステップを参考にしてみてください。
1
自社の営業課題を特定する
営業アウトソーシングを上手に活用するための第一歩は、自社の営業課題を特定することです。具体的に何が問題なのかを理解することで、それを解決するための具体的な行動を計画することが可能になります。
営業成績が伸び悩んでいるのか、新規顧客獲得が困難なのか、既存顧客のフォローアップが十分でないのか、それとも営業の効率性が低いのか等、問題点を明確にすることが重要です。
2
その課題のなかで何が最大変数かを明確にする
営業課題が特定できたら、次にその中で何が最大の変数、つまり最も影響力のある要素なのかを明確にすることです。これは、改善すべき最優先の点を明らかにすることで、最も影響の大きい問題に対処するための戦略を立てることができます。
例えば、新規のリード獲得が課題であって、その中で「ターゲットの定義が曖昧」「課題のないリストにアプローチをしている」などのターゲットの質を改善することが最大変数だと特定できれば、ターゲット選定やテストマーケティングが得意なSPO型の営業アウトソーシング会社を探すなどの具体的なアクションをとることができます。
3
どのプロセスをアウトソースすれば最も効果が高いかを考える
最後に、どのプロセスをアウトソースすれば最も効果が高いかを考える必要があります。自社の営業チームが抱えている問題を理解し、それに対する解決策を見つけるために、具体的なプロセスや業務をアウトソースすることを検討します。
例えば、営業人材が不足しているだけであれば一部業務をアウトソースし、人材を補うというアプローチだけで効果が期待できます。
しかし、ターゲットの質の改善などが課題であれば、PDCAを繰り返し営業効率を改善するために、プロセス全体をアウトソーシングする必要があります。
営業アウトソーシングを依頼する際に確認すべき4ポイント
本格的に営業アウトソーシング会社の選定・検討段階で確認すべき4ポイントがあります。以下4ポイントに注意しながら比較検討をしましょう。
実績を確認
営業アウトソーシングを依頼する際の最初のポイントは、その会社の実績を確認することです。営業アウトソーシング会社が過去にどのような結果を出してきたのか、具体的にどのような業種や業界で成功しているのかなど、詳細を把握することは重要です。同様に、具体的なケーススタディや成果物を提供できるかどうかも問い合わせてみてください。
料金体系を確認
次に、料金体系をしっかりと確認することが大切です。アウトソーシング会社は一般的に成果報酬型と月額固定型の2つの料金体系を採用しています。自社の予算とビジネスモデルに最適な方を選択することが重要です。また、追加の費用や予期せぬコストが発生する可能性もあるため、その点も確認しておきましょう。
実際に稼働してくれる人の実績、持ち案件数を確認
アウトソーシング会社に依頼する前に、実際に稼働してくれる営業マンの実績と、その人が現在持っている案件数を確認することも重要です。これは、その営業マンが自社のビジネスに十分な時間とリソースを割けるかどうかを確認するためです。また、彼または彼女の経験とスキルセットが自社のニーズに適合しているかどうかも見極める必要があります。
レポート頻度の確認
最後に、レポートの頻度とその内容を確認することです。営業アウトソーシング会社とのコミュニケーションは非常に重要で、アウトソースされた業務の進捗状況を把握するためには定期的なレポートが必要です。レポートの頻度、そしてその内容(新規リードの数、会議の数、成約数等)を確認し、自社のニーズに合致しているかを見極めましょう。
おすすめの営業アウトソーシング会社10選
営業アウトソーシング会社を10社紹介します。特徴別にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。(以下記事からご覧いただけます)
まとめ
本記事では、営業アウトソーシング会社について紹介しました。最後に要点を以下にまとめておきます。
営業アウトソーシングが注目されている理由
- 経済環境の急速な変化
- 営業人口の減少
- アウトソース文化自体の拡大
営業アウトソーシングのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
プロによる質の高い営業活動→リードの質向上 | 品質管理の難しさ |
リスクヘッジが可能(採用不要) | コミュニケーションや認識のズレ |
営業アウトソーシングを依頼するまでの重要な3ステップ
- 自社の営業課題を特定する
- その課題のなかで何が最大変数かを明確にする
- どのプロセスをアウトソースすれば最も効果が高いかを考える
営業アウトソーシングを依頼する際に確認すべき4ポイント
- 実績を確認
- 料金体系を確認
- 実際に稼働してくれる人の実績、持ち案件数を確認
- レポート頻度の確認
おすすめの営業アウトソーシング会社
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