給与計算アウトソーシング12選比較｜サービスの選び方と費用相場まで解説

「給与計算代行には、どのような業務を依頼できるのか知りたい」
「自社の規模では、どのくらいの費用を目安にすればよいのかを知りたい」

といった悩みは、経営者や経理部門責任者の方に起きがちです。

給与計算代行には給与の計算だけでなく、給与の振込や納税、年末調整、住民税更新にかかわる業務を依頼できます。費用は「基本月額料金＋1人あたりの月額料金」といった計算で算出します。さらに初期費用や導入費、オプション料金といった費用がかかるケースもあります。

本記事では「給与計算代行に依頼できる業務範囲」と「種類別のサービス12選」を中心にご紹介します。

給与計算代行とは？

給与計算代行とは、従業員に支払う給与に関する事務作業を代行してくれるサービスです。具体的には「給与計算」や「年末調整」といった業務を代行します。

給与計算は、基本給や各種手当、残業代、住民税などの税金・保険料などを計算したうえで、従業員に支払う給与を算出します。また年末調整では「所得税の計算」や「法定調書合計表や支払調書の作成・提出」などもおこなうため、業務内容は多岐にわたります。

企業規模が大きくなるほど従業員も多くなるため、給与計算には多大な工数がかかります。そのため給与代行を活用することで、業務効率の向上が期待できます。

給与計算代行でアウトソーシングできる業務

給与計算代行に依頼できる業務は次のとおりです。

種類	業務の具体例
給与計算代行	従業員の手取り額の計算、勤怠管理、給与明細関連業務
振込・納税代行	従業員の給与の振込、税金の納付
年末調整代行	年末調整の関係書類の確認・作成、必要書類の提出など
住民税更新代行	特別徴収額通知書の確認・封入、内容のデータ入力など

それぞれ解説します。

給与計算代行

給与計算代行では、従業員に支払う給与の手取り額を算出します。基本給や通勤手当などの各種手当、残業代などを計算します。加えて、給与から控除する社会保険料や雇用保険料、所得税、住民税なども計算します。

また、給与計算に必要となる「タイムカードの集計」や「入退社」「人事異動」といった情報変更にも対応します。従業員に交付する給与明細の作成や印刷、封入、郵送といった業務も代行します。

振込・納税代行

給与計算の結果をもとに、振込データの作成や振込、税金の納付を代行します。

年末調整代行

年に1度、年末から年始にかけて発生する年末調整にかかわる業務を代行します。

具体的には「控除申告書類の封入・送付」や「申告書の内容確認」「従業員からの問い合わせへの対応」「源泉徴収票や支払報告書などの各種必要書類の作成・提出」といった一連の業務を代行します。

住民税更新代行

毎年5月から6月にかけて発生する住民税更新にかかわる業務を代行します。

具体的には「特別徴収額通知書の内容確認」「特別徴収額通知書を個人別に封入する」「特別徴収額通知書データの作成」といった作業を代行します。

給与計算代行サービスの料金体系・費用相場

給与計算代行サービスの料金は、基本的に月額で設定されており、従業員数に応じて費用が変動します。そのため「基本月額料金＋1人あたりの月額料金」といった計算で費用が決まるのが一般的です。

たとえば基本月額料金が5,000円、1人あたりの月額料金が400円のサービスがあるとします。
このサービスに30名分の給与計算を依頼する場合
「5,000円＋（400円×30人）=17,000円」となるため、月々17,000円となります。

給与計算代行サービスの費用相場は以下のとおりです。

従業員数	基本月額料金	1名あたりの月額料金
40名未満	5,000～25,000円程度	380円～800円程度
40～100名	10,000～40,000円程度	400円程度
100名以上	要相談	要相談

なお、上記の料金以外にも「初期費用」や「導入費」といった費用がかかるサービスもあります。この場合、基本料金の2か月程度の費用が徴収されるケースが多いです。

また追加オプションをつけることで、給与明細の作成や封入、給与の振り込み、年末調整、住民税更新といった業務を代行するサービスもあります。

なかでも「年末調整」と「住民税更新」はオプションとしているサービスが多いため「基本月額で対応可能な業務」と「オプション料金の支払いが必要な業務」がある点に注意が必要です。

給与計算代行サービスの種類

給与計算代行サービスは次の3種類があります。

それぞれの特徴を解説します。

税理士・社労士系の給与計算代行

税理士・社労士系の給与計算代行は、税理士・社労士が在籍する士業事務所が運営しています。

税理士事務所の場合、税務相談にも対応可能です。たとえば顧問税理士を依頼している方に「給与計算まで依頼したい」といったケースでは、このサービスを利用することになります。

また社会保険労務士事務所の場合、労務管理に関する相談にも対応可能です。人事労務に関する手続きや、就業規則の整備・作成といった内容にも対応しています。

税理士・社労士系の給与計算代行の場合、労働基準法や税制といった法律面に強いため、適切なアドバイスが受けられます。法改正にも対応しているため、給与計算を安心して任せることができます。

事務所の規模によっては「大量のデータ処理に対応できない」といったケースもあるため、従業員数が少ない中小企業向きのサービスです。

給与計算代行サービス・会社

給与計算代行サービス・会社は、給与計算を専門に代行するサービスや会社です。企業の規模によって提供するサービス内容が異なり、中小企業から大企業まで幅広く対応できます。

たとえば大企業の場合、職種や雇用形態が多様なため給与計算が複雑です。オペレーションが煩雑になりやすく「業務が引き継ぎにくい」といった課題が起きる傾向があります。中小企業の場合は、管理部門の人員に余裕がないケースが多いです。担当者の業務負担が多く、カバーできない業務が発生しがちです。

給与計算代行サービス・会社を利用することで、給与業務をすべて依頼できます。特定の業務をスポットで対応することもできるため「年末調整などの繁忙期だけ依頼したい」といったニーズにも応えられます。

システムパッケージ型の給与アウトソーシング

システムパッケージ型の給与アウトソーシングは、SaaSなどのシステムも併せて提供している給与計算代行サービスです。具体的には「ジョブカンBPO」や「freee人事労務アウトソース」といったサービスが該当します。

給与計算代行サービスを提供する企業が提供するシステムを利用するため「情報にアクセスしやすい」といった特徴があります。

業務自体を外注しながら「システムでデータを一元管理できる」「給与明細をデジタル化して従業員に配布できる」といった、業務効率化につながる仕組み化までできるのがメリットです。

給与計算代行サービスの比較ポイント

給与計算代行サービスを比較する際は、次の3つのポイントをチェックしましょう。

• 対応業務範囲
• 実績・評判
• 料金

それぞれ解説します。

対応業務範囲

給与計算代行サービスを比較する際は、給与計算以外の業務をどこまで対応してもらえるかを確認しましょう。

先述したとおり、給与計算代行サービスのなかには「振込・納税」や「年末調整」「住民税更新」といった業務を代行するサービスもあります。たとえば自社の業務フローにおいて「社内窓口の対応」や「勤怠管理」までアウトソーシングしたい場合、これらに対応できるサービスを選ぶ必要があります。

給与計算代行サービスの利用により、自社の業務が「どれだけ楽になるか」といった点を対応業務範囲を確認して判断しましょう。

実績・評判

給与計算代行サービスのサイトに掲載されている「支援実績」や「事例紹介」をチェックしましょう。

事例紹介において「どのようにクライアントを支援してどのような成果を上げたか」といった内容が具体的に記載されている場合、自社に導入したら「どんな支援が受けられるか」「どんな効果があるか」といった点がイメージしやすくなります。

また自社と同じ業界の企業の支援実績がある場合、そのサービスの利用により成功する可能性が高まります。たとえば自社がコンサルティングをおこなっている場合、コンサルティング業界の企業の支援実績がある代行会社に依頼することで、望む効果が出やすいです。

複数の給与計算代行サービスの事例を確認し「詳細まで紹介している」「自社と同じ業界の企業の支援実績がある」といった代行会社を選びましょう。

料金

給与計算代行サービスの利用に必要となる「月々かかる料金」や「オプション料金」を確認しましょう。

先述したとおり、給与計算代行サービスの料金は「基本月額料金＋1人あたりの月額料金」で決まります。さらに給与明細の作成や封入、給与の振り込み、年末調整、住民税更新といった業務にはオプション料金がかかるケースがあります。

オプションの追加によって追加費用が増えた場合、予算をオーバーする可能性があります。そのため「給与計算代行サービスに自社が依頼したい内容」と「追加料金が必要な業務」を明確にしたうえで、月々かかる料金をサービスごとに比較しましょう。

給与計算代行サービスの種類別比較表

ここからは、給与計算代行サービスを「士業型」「会社型」「システム型」の種類ごとにご紹介します。

【士業型】給与計算代行サービスおすすめ3選比較

サービス名	特徴	料金
イイズカ事務所	・社会保険労務士法人・行政書士法人が運営 ・法改正・社内ルールの変更に関する相談にも対応可能	要問い合わせ
イージーネット	・創業19年の社会保険労務士法人イージーネットが運営 ・最大4,000名超の上場企業グループまで受託可能	要問い合わせ
つばさ会計事務所	・税理士法人が運営 ・社会保険・労働保険関連業務の支援も可能	要問い合わせ

イイズカ事務所

イイズカ事務所は、給与計算代行をおこなう社会保険労務士法人・行政書士法人です。社労士系の給与計算代行のため、給与計算だけでなく法改正・社内ルールの変更に関する相談も受け付けています。

また行政書士業務にも対応しているため「補助金の申請サポート」や「外国人社員雇用の就労ビザ申請サポート」といったサービスも提供しています。

対応業務	・給与計算 ・住民税の特別徴収・普通徴収の切替 ・年末調整資料作成
実績	美容業界・福祉業界・医療業界などの支援実績あり
料金	要問い合わせ

イージーネット

イージーネットは、創業19年の社会保険労務士法人イージーネットが提供する社労士系の給与計算代行です。給与計算・社会保険手続きを主業務としており、最大4,000名超の上場企業グループまで受託しています。

給与計算は、勤怠から社会保険まで精通している担当者がおこない「煩雑なルールがある」「手集計の作業が難しくて困っている」といった相談に対応可能です。給与計算の結果はクラウド上に保存するため、管理者はいつでも閲覧できます。

対応業務	・給与計算 ・振込、納税データ作成 ・年末調整
実績	小売業界・医療業界・エンタメ業界などの支援実績あり
料金	要問い合わせ

つばさ会計事務所

つばさ会計事務所は、税理士法人が運営している税理士系の給与計算代行です。実務経験豊富なスタッフを中心としたチームが、迅速かつ正確に給与計算します。社会保険労務士とも連携し、社会保険・労働保険の関連業務の支援も可能です。

クライアントの実情に合わせてサービスメニューを設計するため「経理担当者がいない」といった企業にも対応可能です。

対応業務	・給与計算 ・振込、納税データ作成 ・年末調整 ・住民税更新
実績	販売業界・卸売業界・小売業界などの支援実績あり
料金	導入例 ・業種：卸売業（200名） ・利用サービス：年末調整代行 ・費用：220,000円

【会社型】給与計算代行サービスおすすめ6選

サービス名	特徴	料金
トライアンフ	・3年連続で顧客継続率100% ・運用プロセスを企業ごとにカスタマイズして設計・運用	要問い合わせ
NMPスペシャリスト	・制度改定時にはフローの変更などのプロセスも含めてサポート ・社会保険・労働保険の業務にも対応可能	要問い合わせ
ペイロール	・業界最多の107万人が利用 ・各企業に運用担当者を配置してイレギュラー対応などを実施	要問い合わせ
MHCトリプルウィン	・就業管理や通勤費、福利厚生といった人事管理も提供可能 ・担当者に依存しない持続可能な標準業務を提供	要問い合わせ
NOC人事アウトソーシング	・給与計算業務をまるごとアウトソーシングできる ・業務全体を見直して効率化を実現	要問い合わせ
株式会社BOD	・高いスキルと経験値を持った社員が担当 ・人事労務システムを多く取り扱っている	要問い合わせ

トライアンフ

トライアンフは給与計算だけでなく、社員窓口・勤怠管理・マイナンバー管理などの業務もアウトソーシング可能なサービスです。顧客継続率は3年連続で100%であり、高い顧客満足度を誇っています。

さまざまな業界・規模の労務業務を経験したスタッフが担当します。給与計算業務を運用するプロセスは、企業ごとにカスタマイズして設計・運用します。また給与システムの指定がないため、臨機応変な対応が可能です。

対応業務	・給与計算 ・年末調整 ※ほかは要問い合わせ
実績	航空業界・物流業界などの支援実績あり
料金	要問い合わせ

NMPスペシャリスト

NMPスペシャリストは、各企業で異なる給与計算の方法や課題に応じて最適なサービスを提案します。労務関連法規や社会保険制度の改定時には、フローの変更・コンピュータプログラム修正などのプロセスも含めてサポートします。要望に応じて、社会保険・労働保険の業務にも対応可能です。

対応業務	・給与計算 ・年末調整 ・社会保険関係
実績	不動産業界・福祉業界・飲食業界などの支援実績あり
料金	要問い合わせ

ペイロール

ペイロールは、業界最多の107万人に利用された給与計算代行サービスです。「人」が担う業務まで代行でき、外資・内資を問わずさまざまな業種・業態・規模の企業に利用されています。

各企業に運用担当者が配置され、イレギュラー対応やスケジュール管理を実施します。コールセンター機能があるため、従業員からの問い合わせに対応可能です。

対応業務	・給与計算 ・振込、納税データ入力 ・年末調整 ・住民税更新
実績	建設業界・食品業界・IT業界など、導入社数255社
料金	要問い合わせ

MHCトリプルウィン

MHCトリプルウィンは給与計算だけでなく、就業管理や通勤費、福利厚生といった人事管理も一括で提供できる給与計算代行サービスです。1人から1001人以上まで、幅広い規模の企業に利用されています。担当者に依存しない「持続可能な標準業務」を提供しています。

対応業務	・給与計算 ・労働保険概算・確定 ・各種給付 ・金融機関連携 ・年末調整 ・住民税更新
実績	製造業界・サービス業界・システム業界などの支援実績あり
料金	要問い合わせ

NOC人事アウトソーシング

NOC人事アウトソーシングは、給与計算業務をまるごとアウトソーシングできるサービスです。業務をスポットではなくすべてを引き受けることで、業務全体を見直して効率化を実現します。人事業務系ASPサービスと給与アウトソーシングを連携させることで、従業員情報の集約・処理が一元化できます。

対応業務	・給与計算 ・社会保険算定 ・年末調整 ・住民税更新
実績	航空業界・投資信託業界などの支援実績あり
料金	要問い合わせ

株式会社BOD

株式会社BODが提供する給与計算代行サービスは、高いスキルと経験値を持った社員が給与計算業務を担当します。法改正にも対応しているため、最新の情報をもとに給与計算を実施します。

BODは人事労務システムを多く取り扱っており、それぞれのシステムの特徴を熟知したコンサルタントからクライアントに最適な給与計算のアウトソーシングプランを提案します。

対応業務	・給与計算 ・給与計算用仕訳データ、給与計算用振込データ作成 ・年末調整 ・住民税更新
実績	IT業界・出版業界などの支援実績あり
料金	要問い合わせ

【システム型】給与計算代行サービスおすすめ3選

サービス名	特徴	料金
RoboRoboペイロール	・給与計算代行と便利なツールがワンセットになったサービス ・毎月の給与計算結果を社会保険労務士がチェック	スタンダード：1人あたり1,000円 / 月 エンタープライズ：要問い合わせ
ジョブカンBPO	・バックオフィス業務全体の対応が可能 ・法律の改定に合わせたシステムの設定変更を社労士が監修	要問い合わせ
freee人事労務アウトソース	・給与計算や入退社手続きなどをプロに任せられる ・従業員情報などのデータをクラウド上に蓄積	アウトソース委託費用：2,500円 / 月 初期費用：50,000円 / 初月のみ システム費用：600円～ / 月

RoboRoboペイロール

RoboRoboペイロールは、給与計算代行と便利なツールがワンセットになった給与アウトソーシングサービスです。共有された勤怠情報をもとに給与計算をおこない、計算結果を納品してもらえます。CSVデータ、もしくは給与明細管理システムで明細情報を共有します。

毎月の給与計算結果を、社会保険労務士が1次チェックします。また、労働基準法改正にともなう給与計算変更にも対応しています。

対応業務	・給与計算 ・人事情報管理
実績	導入企業5,000社以上
料金	スタンダード（～200名）：1人あたり1,000円 / 月 エンタープライズ（201名～）：要問い合わせ

ジョブカンBPO

ジョブカンBPOでは、給与計算や採用、入社手続き、勤怠管理などのバックオフィス業務全体の対応が可能です。法律・規定の改定に応じたシステムの設定変更・検証を、社労士が監修しています。クラウドサービス「ジョブカン」でデータを共有するため、社内で確認・利用が可能です。

対応業務	・給与計算 ・給与データ入力 ・年末調整 ・住民税 ・社会保険
実績	金融業界・医療業界・テレビ業界など、導入実績20万社以上
料金	要問い合わせ

feee人事労務アウトソース

freee人事労務アウトソースは、給与計算や入退社手続きなどをプロに任せられる外部委託サービスです。管理画面がアウトソースに最適化されているため、作業の進捗確認が簡単です。

外注しながら従業員情報などのデータをクラウド上に蓄積できます。そのため、内製化する際は引き継ぎがスムーズにおこなえます。

対応業務	・給与計算 ・年末調整
実績	飲食業界などの支援実績あり
料金	アウトソース委託費用：2,500円 / 月 初期費用：50,000円 / 初月のみ システム費用：600円～ / 月

まとめ

給与計算代行サービスは「士業型」「会社型」「システム型」の3種類があります。それぞれ解決できる課題や適している企業規模が異なるため、自社の状況に応じて選ぶ必要があります。

本記事でご紹介した給与計算代行サービス12選を参考にし、自社の課題が解決できるサービスを選びましょう。