【見本付】コールセンターの電話対応マニュアルの作成・改善手順と運用のコツまで解説!

「コールセンターの電話対応マニュアルを作成したいけれど、具体的な手順がわからない」
「マニュアルを運用するコツが知りたい」

このような疑問は、コールセンターの責任者や担当者の方に起きがちです。

コールセンターにおける電話対応マニュアルでは、まず「顧客が解決したい内容」と「電話対応におけるゴール」を設定します。その後、対応パターンを洗い出してゴールにつなげることで、現場で使いやすいフローチャートが完成します。

本記事では「コールセンターの電話対応マニュアルの作成・改善手順」「運用する3つのコツ」を中心に解説します。

コールセンターで電話対応マニュアルを作成する目的

コールセンターにおいて、電話対応マニュアルを作成する目的は「オペレーターのスキルを均一化し、顧客満足度を高めること」です。

コールセンターでは、複数のオペレーターが電話対応します。マニュアルがない場合「対応品質に差が出る」「顧客満足度が低下する」といったリスクがあります。

電話対応のマニュアルを作成することで、個人のスキルや経験に関係なく、一定以上の対応品質を維持できます

なお、コールセンターには「インバウンド型」「アウトバウンド型」の2種類あります。

インバウンド型は、顧客からの電話を受けて対応します。具体的には「製品やサービスに関するお問い合わせの受付」「商品受注」といった業務を担当します。

アウトバウンド型は、企業側から顧客に電話をかけます。「既存顧客への新商品の案内」や「市場調査」といった業務を担当します。

本記事では、インバウンド型の電話対応マニュアルについて解説していきます。

コールセンターの電話対応マニュアルの項目

コールセンターのオペレーターは、電話をかけてきた顧客が最初に接する相手です。そのため電話対応マニュアルには、次のような項目を記載しましょう。

  • 基礎情報
  • 商品・サービス情報
  • ツールの使い方・操作方法
  • ビジネスマナー・敬語表現
  • トークスクリプト

項目ごとに解説します。

基礎情報

コールセンターが対応するのは、商品やサービスに関する問い合わせが大半です。しかし運営会社に関する情報を尋ねられるケースもあるため、以下の項目を記載しましょう。

  • 代表者名
  • 設立年月日
  • 資本金
  • 所在地
  • ホームページURL
  • 各部署電話番号

上記の項目をマニュアルに記載することで、いつでも見返して顧客に情報提供できます

商品・サービス情報

商品・サービスに関する情報は、各種記載しておきましょう。問い合わせが頻繁にある商品を上段に記載し、そのほかの商品もすべて記載します。情報を網羅することで「追加提案する」といった場面で役立ちます。

また、商品やサービスに関する情報だけでなく「解決できる課題」「効果」といった情報も記載しましょう。単に情報を伝えるだけではなく、顧客の要望を聞いたうえで適切な案内ができる助けになります。そうすることで顧客に具体的な情報を伝えられるため「受注率」や「継続率」の向上につながります。

ツールの使い方・操作方法

コールセンターでは「CTI」や「CRM」といったツール・システムを使用します。そのため、これらの使い方や操作方法を記載しておきましょう。

マニュアルに記載する際は、機能説明などの細かい部分の説明ではなく「業務フローに沿った使い方・手順」をツールの画面と併せて記載しましょう。そうすることで、オペレーターがマネージャーに質問する必要がなくなるため、業務効率が向上します。

ビジネスマナー・敬語表現

コールセンター業務では顧客と直接対面せずに、電話やメールといった手段で対応します。そのため「ビジネスマナー」や「敬語」を適切に活用する必要があります。

わずかな言葉遣いや表現の誤りが「企業全体に対する信頼感」に影響を及ぼす可能性があります。ビジネスマナーや敬語に関するマニュアルを用意し、信頼感低下を防止しましょう。

マニュアルに正解を記載するだけでは、電話対応の品質向上につながりにくいです。そのため「OK例」「NG例」に分けて、具体例を記載しましょう。

頻出ケースのOK例とNG例の具体例は、以下の表のとおりです。

NG例OK例
もしもし「○○様?」「お客様?」と問いかける
なるほど「左様でございますか」
できません理由を述べたうえで
「大変申し訳ございませんが、弊社ではそのようなことはいたしかねます」
一応「念のため」「確認のため」
絶対「おそらく」「〇〇ということが確認でき次第」

また敬称や敬語に関しても、誤った使い方をしないように注意が必要です。敬称敬語のOK例とNG例の具体例は、以下の表のとおりです。

NG例OK例
自分「わたくし」
相手「○○様」「お客様」
自分の会社「当社」「弊社」
言う「おっしゃる」
来る「お越しになる」「いらっしゃる」
見る「ご覧になる」
知っている「存じ上げております」
すみません「申し訳ございません」
どうしますか「いかがなされますか」
わかりました「承知しました」
わかりません「わかりかねます」

頻出ケースや敬語の正しい表現方法を記載し、顧客満足度を高めましょう。

トークスクリプト

トークスクリプトとは、電話対応で活用できる「台本」のことです。コールセンターでは、トークスクリプトの流れに沿って対応します。

トークスクリプトには「Q&A形式」「フローチャート形式」の2種類あります。

Q&A形式のトークスクリプトは、コールセンターに実際に寄せられた問い合わせをまとめたものです。一方、フローチャート形式のトークスクリプトは、オペレーターと顧客の会話の流れを整理したものです。

たとえば「商品はどこで販売されているのか」といった、1度の回答で済む問い合わせに対しては「Q&A形式」を利用します。問い合わせのパターンを蓄積し、さまざまな問い合わせに迅速に対応できるように更新します。

一方「商品の使い方がわからない」といった、顧客の状況によって対応が変わる問い合わせには「フローチャート形式」を利用します。

コールセンター業務の場合、1度の回答で済むケースは少なく、顧客の状況に応じて対応が変わるものがほとんどです。そのためQ&A形式だけでなく、フローチャート形式のトークスクリプトも用意する必要があります。

コールセンターの電話対応マニュアルの作成・改善手順

コールセンターのフローチャート形式の電話対応マニュアルは、以下の手順で作成・改善します。

  1. 起点とゴールを整理する
  2. MECEにパターンを洗い出す
  3. 見直す

各手順を解説します。

①起点とゴールを整理する

まずは、コールセンターで受け付ける問い合わせにおいて「顧客が解決したい内容」を設定します。たとえば「パソコンが動作しません」と問い合わせがあった場合、これを起点として設定します。

次に「電話対応におけるゴール」を設定します。上記の問い合わせがあった場合、ゴールは「パソコンが動作して、お客様がスムーズにパソコンを使える状態」です。

コールセンターにおいて、顧客が解決したい内容そのゴールの具体例には、以下のようなものがあります。

顧客が解決したい内容の例電話対応におけるゴールの例
商品に不具合があったため、
交換して欲しい
必要な手続きを案内し、お客様が手続きできる状態
支払い方法を変更したいお客様から変更に必要な情報を収集し、支払い方法が変更できた状態
商品を購入したいお客様から購入に必要な情報を収集し、受注できた状態

自社の「よくある問い合わせ内容」や「コールセンタ業務の対応範囲」といった内容に応じて設定しましょう。

②MECEにパターンを洗い出す

続いて、その問い合わせ内容からゴールまでの流れをMECEに洗い出します

「コールセンターで対応できる範囲」と「お客様で対応してもらう範囲」「ほかの部署に連携が必要な範囲」を意識し、もれなくダブりなくパターンを洗い出します

また、顧客の回答は「Yes」「No」で分岐させます。そうすることで、一目でわかりやすい電話対応マニュアルが完成します。

③見直す

電話対応マニュアルは、作成して終わりではありません。顧客満足度の向上を目指し、改善を重ねることが重要です。

以下のようなケースでは、作成したフローチャートを見直す必要があります。

  • 起点を複数発見した場合
  • フローチャートに不足を発見した場合
  • 顧客満足度が低いゴール地点を発見した場合

それぞれのケースごとに、改善方法を解説します。

起点を複数発見した場合

「〇〇が動作しない」といった起点が「新たに出てきた」「発見した」といった場合、同じ手順で別のフローチャートを作成しましょう

たとえば、もともと「パソコンの画面が動かない」といった起点でフローチャートを作成していたとします。そこに「パソコンが充電できない」という起点を発見した場合「ゴールの設定」や「パターンの洗い出し」を新たにおこない、フローチャートを作成します。

顧客が解決したい課題のケースが別のため、既に作成してあるフローチャートに挿入しないように注意しましょう。

フローチャートに不足を発見した場合

フローチャート内の「お客様への質問」に不足を発見した場合は、不足している段階に付け足しましょう

先述した「起点を複数発見した場合」では「顧客が解決したい課題」が別のため、新たにフローチャートを作成する必要がありました。

しかし、この場合「顧客が解決したい課題」は同じです。そのため、既に作成しているフローチャートに補足することで、課題を解決するパターンを充実させることができます。

顧客満足度が低いゴール地点を発見した場合

フローチャート内に「顧客満足度が低いゴール地点」を発見した場合、ゴール地点を見直すとともにフローを追加しましょう

たとえば「パソコンが動作しない」といった問い合わせに対して「再起動をお試しいただけますか?おそらく動くようになるはずです。」といった分岐の着地を設定しているとします。この着地ではゴールを達成できない場合「再起動のやり方がわからなかった」といったクレームになる可能性があります。

この場合「電話をつなぎながら、オペレーターが説明する」といったフローに変更することで、顧客の課題を解決して満足度を高めることができます。

コールセンターの電話対応マニュアル運用のコツ

コールセンターの電話対応マニュアルを運用するコツは、次の3つです。

  • ログを残して社内活用
  • 1ヶ月に1回は情報を更新する
  • 現場が使いやすい構成・レイアウトにする

それぞれ解説します。

ログを残して社内活用

「電話内容」や「顧客との会話」を温度感を含めて分析するために、電話の音声録音を残しておきましょう

音声録音を利用して「マニュアル通り対応できているか」を確認することで、新人教育に活用できます。指導すべきポイントが把握できるため、新人のスキル向上に役立ちます。

また、満足度の高いオペレーターの特徴を捉えることもできます。トーンやテンション、会話のスピード、イントネーションといった細かい部分が把握できるため、社内全体のスキル向上に活用できます。

ほかにも「マニュアルから逸れた場合、どのように対応したのか」といった内容も確認できます。録音内容をもとに、マニュアルの起点やパターン、ゴールを新たに発見できるため、マニュアルの改善につなげられます。

1ヶ月に1回は情報を更新する

マニュアルには「作成したものの使われていない」「最新の情報に更新していない」といった課題が生まれがちです。「情報が更新されたときに誰かが更新してくれる」といったケースもありますが、基本的には活用される頻度が少なくなります。

「マニュアルの更新担当」「1ヶ月に1回更新する」といったルールを決めることで、マニュアルの情報を最新のものに保つことができます。また、マニュアルを活用した業務進行を継続できます。

情報を更新してコールセンター業務に活用し、マニュアルの形骸化を防ぎましょう

現場が使いやすい構成・レイアウトにする

現場が使いやすい構成・レイアウトを心掛け、現場における使用感を確認しましょう。

現場がマニュアルに対して「見づらい」「アクセスしづらい」と感じている場合、作成したものの使われなくなる恐れがあります。

「すぐにアクセスできる」「すぐに必要な情報にたどり着ける」といったポイントを意識し、オペレーターがわかりやすく実務で活用しやすいデザインにしましょう。

まとめ

コールセンターの電話対応マニュアルは、作成するだけでなく改善を重ねることで「オペレーターのスキルを一定以上の品質にそろえられる」「顧客の満足度を高める」といった目的が達成できます。

本記事で解説した電話対応マニュアルの作成・改善方法を参考にし、コールセンター業務の質向上に役立てましょう

b-pos編集部

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