【例文付】コールセンターのトークスクリプトの作り方|インバウンド・アウトバウンド別

コールセンターの運営において、トークスクリプトはお客様との円滑なコミュニケーションを確保する不可欠なツールです。

しかし、コールセンターを運営している企業、またこれからコールセンターを立ち上げる企業の中でも、「正解が分からないままスクリプトを作ってしまった」「そもそも作り方がわからない」という企業も多いのではないでしょうか。

本記事ではトークスクリプトの改善や、新規作成をする際に役立つ、構成や作り方、入れたほうが良い情報などをまとめて、トークスクリプトを作成する際の方法について解説をしていきます。

コールセンターのトークスクリプトとは?

コールセンターにおけるトークスクリプトは、タモリにおけるサングラス、トムにおけるジェリー、浜田における松本、勇者における剣、勝俣における半ズボンとほぼ同義です。

コールセンターにおけるトークスクリプトの有無は非常に重要で、顧客との会話で想定される受け答えを具体的に明記したトークスクリプトがあるかないかで、業務の効率や成果に大きく影響します。

コールセンターのトークスクリプトの目的

コールセンターでトークスクリプトを作成する目的は以下です。

  • オペレーターの業務負担を軽減
  • オペレーターごとの応対品質の均一化
  • 顧客対応の品質を向上

コールセンターは、お客様からの製品・サービスに関するお問い合わせやクレームなどの対応を行います。直接お客様と話をし、その場での柔軟な対応が求められるため、質の高い顧客体験を提供するには「スキルの均一化」が必要なります。

トークスクリプトを作成することで、その場での受け答えの内容の均一化できるため、個人のスキルに頼らず品質を高めることができます。

コールセンターのトークスクリプトの形式

これまでは、トークスクリプトの管理方法として紙が主流でしたが、昨今はすぐにアクセスできるようにPCでドキュメントやパワーポイントで用意している企業も増えてきています。

また、コンタクトセンター向けのITツールやシステムに「トークスクリプト作成機能」が搭載されていて、ツールやシステムの中で管理できるものもあります。

コールセンターのトークスクリプトの作り方

本パートでは、コールセンターのトークスクリプト作成方法をご紹介します。

作成手順は下記の通りです。

  1. 自社の会社・製品情報を整理する
  2. 質問を整理する
  3. 質問の回答を用意する
  4. 最頻出のトークフローに沿ったスクリプトを作る

自社の会社・製品情報を整理する

お客様のお問い合わせは、自社製品について質問されることはもちろんですが、会社のことを聞かれる場合もあります。そのため、まずは会社の情報、製品の情報について整理しておきましょう

具体例は以下です。

自社製品の特徴耐久年数10年 / 処理速度が業界No.1 / 〇〇業界でトップシェア
他社製品との違い価格が安い / アフターケアが手厚い / オプション機能が多い
料金プランA、B、Cの3つのプランと5つのオプション
キャンペーン10月31日まで〇〇キャンペーンが適用できる
本社 / 支店の場所本社→東京 / 支店→大阪
会社沿革2000年に会社設立 / 2015年に〇〇サービスリリース

質問を整理する

次に、過去に受けた質問・想定される質問の洗い出しを行います。パターンごとにまとめておくと、慌てずにその場で回答することができるようになります。

想定パターンの具体例は以下です。

製品のこと・御社製品の特徴、強みはなんですか?
・他社製品との違いは何ですか?
料金のこと・Aプランにオプションを追加すると合計の費用はいくらになりますか?
キャンペーンのこと・キャンペーンの申し込みはいつまでですか?
会社のこと・本社はどこにありますか?
・会社の設立はいつされたんですか?

質問の回答を用意する

質問の整理ができれば、洗い出した質問、想定される質問に対する対応の回答例を用意しておきます。質問をまとめる際に質問と回答を紐付けて整理することで、より使いやすいスクリプトになります。

質問に対する回答の具体例は以下です。

想定質問回答
御社製品の特徴、強みはなんですか?・100社以上の支援実績
・処理速度が業界No.1
・誰でも簡単に使いこなせる
他社製品との違いは何ですか?・価格が安価で機能が充実
・アフターケアが手厚い
・オプション機能が多い
キャンペーンの申し込みはいつまでですか?10月31日までのお申し込みとなります。
他にはどんな事業を展開していますか?〇〇サービスに加えて、
〇〇サービス、〇〇サービスを展開しています。

最頻出のトークフローに沿ったスクリプトを作る

さいごに、上記で洗い出した質問と回答を踏まえて、顧客に架電もしくは受電してから、会話が終了するまでの一連の流れのスクリプトを作成しましょう。

スクリプトの具体例は以下です。

自:お電話ありがとうございます。株式会社〇〇、カスタマーセンターの△△と申します。
  ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか。

顧:御社製品の購入を検討しているのですが、製品の強みはなんですか?

自:〇〇業界でトップシェアを誇ります。

顧:それはすごいですね。
  ちなみにAプランに〇〇オプションを追加すると、合計金額はいくらになりますか?

自:〇〇円です。

顧:ちょっと高いですね。
  ちなみにキャンペーンで申し込むと安くなるとお伺いしたのですが、
  キャンペーンのお申し込みはいつまでですか?

自:10月31日までです。

顧:分かりました。では改めて検討します。

自:お電話ありがとうございました。カスタマーセンターの〇〇がお受けしました。

※自分=自 / 顧客=顧

コールセンターのトークスクリプトの基本構成

コールセンターのトークスクリプトの基本構成は下記3つになります。アウトバウンドかインバウンドかでスクリプトの内容は違いますが、構成は変わりません。

  1. オープニングトーク
  2. メイントーク
  3. クロージングトーク

オープニングトーク

まずはオープニングトークから顧客とのやりとりを始めます。

アウトバウンドであれば、架電の第一声である挨拶と自己紹介、インバウンドであれば、受電の第一声になる挨拶、自己紹介と用件の確認が必要となります。

オープニングトークの印象が以降のトークの成否を分けますので、ただの挨拶と思わず、好印象を与えれるような応対を意識しましょう。

メイントーク

オープニングトークで好印象を与えることができれば、メイントークに入ります。メイントークでは、顧客のことを知り、説明する必要があります。

アウトバウンドであれば、アポイントを獲るなどの最終目的から逆算した準備が必要となります。必要な質問や、その質問に対して想定される回答を用意し、目的から逆算した話の道筋を立てましょう。

その上で、顧客と会話ベースで話を進め、準備した質問やヒアリングを行い、顧客の課題や要望を拾いましょう。拾った課題や要望に対し、自社製品であれば課題解決にお役立てできる旨や、特徴の紹介を行いアポイント獲得などネクストアクションに繋げます。

インバウンドであれば、顧客からの質問に回答する必要がありますので、あらかじめ想定される質問と回答を用意しておきましょう。

トークスクリプトにない質問が来た場合は、どのように対応するかを決めておくこともおすすめします。

クロージングトーク

クロージングトークでは、対応を終える際の締めの挨拶を行います。

アウトバウンドであれば、日程調整や資料送付の可否などを確認する必要もありますが、アウトバウンドの場合も、インバウンドの場合も最後は電話に対応してくれた感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。

コールセンターのトークスクリプトの例文

本パートでは、具体的なスクリプト内容について、アウトバウンドインバウンドに分けてご紹介します。

アウトバウンド

アウトバウンド業務では、オペレーターから顧客に架電をします。伝える内容は決まっていますが、顧客と会話ベースで話を進めていく必要があるため、顧客の返答によって柔軟に対応できるようなスクリプトにしましょう。

オープニングトーク

オープニングトークでは、明るく元気に挨拶をすることが必要です。顔も見えていない初めましての方と話をするわけですから、声質やトーンで第一印象が決まってしまいます。

各場面におけるスクリプト例は以下です。

場面スクリプト例
挨拶&自己紹介お世話になっております。株式会社〇〇の△△と申します。
担当者が分かっている場合〇〇部署の△△様はいらっしゃいますでしょうか。
担当者が分からない場合マーケティングのご担当者様はいらっしゃいますでしょうか。
受付や担当者に電話を
切られそうになった場合
御社と同じ業界の〇〇様にもご導入いただいております。
〇〇という課題も解決できるサービスになっています。

メイントーク

アウトバウンドのメイントークでは、主に顧客と会話をしながら進めていく必要があります。

会話の内容としては、顧客に質問を投げかけ、回答してもらうということを続け、顧客の抱える課題や要望を汲み取る必要があります。汲み取った課題や要望をもとに、自社製品を利用するメリットを伝え、具体的な話を聞いてみたいと思わせることができればベストです。

以下のように、質問と回答を繰り返して作成していきます。

自:現在ご利用しているサービスはありますか?

顧:〇〇というサービスを利用しています。

自:同様のサービスを利用している他社様では、〇〇ような課題があるとおっしゃっていたのですが、御社はいかがでしょうか?

顧:同じような課題があります。

自:その課題がもし解決されたら嬉しいですよね?

顧:はい、解決したいと思っています。

自:実は、弊社の〇〇というサービスであれば、御社の課題を解決できるんですよ。

顧:そうなのですね。興味あるので、ぜひ話を聞かせてください。

※自分=自 / 顧客=顧

クロージングトーク

クロージングトークでは、架電をした目的に向かってクロージングを行います。

内容としては、アポイントの日程調整や、資料送付にあたっての情報収集など、こちらから条件をある程度提示してあげて、相手に負荷がかからないように依頼をすることが重要です。

架電目的別のスクリプト例は以下です。

目的スクリプト例
アポイントの日程調整◯月◯日の◯時はご都合いかがでしょうか。
資料送付(郵送の場合)HPに記載のあるご住所にお送りしてもよろしいでしょうか。
資料送付(メールの場合)お問合せに記載のあるメールアドレスにお送りしてもよろしいでしょうか。
最後の挨拶お忙しいなか、お電話にてご対応いただき誠にありがとうございました。

インバウンド

インバウンド業務では、顧客からの電話にオペレーターが対応をします。顧客からくる質問に対し、回答を準備しておいて、滞りなく質問に回答できるスクリプトを用意しておきましょう。

オープニングトーク

アウトバウンドと同様に、会社のイメージを左右するのがオープニングトークです。お問合せいただいたことへの感謝の気持ちを伝えるのはもちろん、明るく元気な対応を心がけましょう。

場面別のスクリプト例は以下です。

場面スクリプト例
挨拶&自己紹介お電話ありがとうございます。
株式会社〇〇カスタマーサポートの△△と申します。
用件の確認どういったご用件でしょうか。
お待たせしてしまった場合大変お待たせいたしました。

メイントーク

オープニングトークで挨拶が終われば、メイントークでは、顧客からの質問に対して、回答をする必要があります。どのような質問をされるか分からないので、どのような質問がきたとしても回答できるようなスクリプトを用意しておきましょう。

質問に対するスクリプト例は以下です。

質問スクリプト例
ボタンを押しても反応がないのですが。一度電源を落としてみてください。
キャンペーンの期限はいつまででしょうか。今年の10月までです。
製品の購入を検討しているのですが。では、弊社営業がお伺いさせていただきますので、
日程をご調整させていただいてもよろしいでしょうか。
この機能が使いにくいんですが。誠に申し訳ございません。ご意見ありがとうございます。
担当者に連携をし、すぐに改善させていただきます。

クロージングトーク

クロージングトークでは、お問合せいただいたことに対する感謝の気持ちと、その他お困りごとが発生した際に、また電話しても良いんだと思ってもらえるような会話を心がけましょう。

クレームや苦情であった場合も、貴重な意見を伝えてくれたことに対する感謝の気持ちを伝えることが重要です。

場面別のスクリプト例は以下です。

最後の挨拶本日はお忙しいなか、お問合せいただきましてありがとうございました。
カスタマーサポートの△△が承りました。
クレームや苦情の場合貴重なご意見をありがとうございました。
いただいたご意見をもとに改善させていただきます。

トークスクリプト作成のポイント

トークスクリプト作成の際のポイントは下記の3点です。

  • ベテラン / 経験豊富な人が作成する
  • トークスクリプトを使ってロールプレイングをする
  • 作ったスクリプトは改善する

ベテラン / 経験豊富な人が作成する

コールセンターのトークは、いわゆる営業トークとは違い受注率などの数値での成果が図りにくいものです。そのため、経験からくる知識の差や、これまでの対応事例などはベテランの方の意見やアドバイスは非常に参考になります。

トークスクリプトを使ってロールプレイングをする

トークスクリプトを使ってロールプレイングをすると得られる効果としては2つあります。

  • 顧客対応の品質向上
  • 机上で作成したトークスクリプトの「違和感」に気づくことができる

ロールプレイングで練習を重ね、先輩や相手からフィードバックをもらうことで、自分では気付けない改善点が見つかるため、質の高い対応を実現することができます。

また、言い回しや敬語、トークの流れなど実際に話をしてみないと分からない違和感に気付くことができ、事前に改善をすることもできます。

作ったスクリプトは改善する

作成したスクリプトは月に1回程度見直しを行いましょう。ロールプレイングでの違和感、現場での顧客との会話で出てきた新しいパターンや、質問、回答例などをピックアップして、スクリプトに反映して改善をしていきます。

まとめ

コールセンターにおけるトークスクリプト重要性や、作成方法について解説をしてきました。

今後、トークスクリプトの見直しや、新規作成を検討している方は、「オープニングトーク」「メイントーク」「クロージングトーク」の流れを意識しながら、事前に用意できる内容の精査を行いましょう。それぞれに応じた質問や回答を準備し、スクリプトを作成してみてください。

また、作成したスクリプトはぶっつけ本番で使用するのではなく、ベテランの力やロールプレイングを行って内容の改善を行い、月に1回程度見直しをしましょう。

本記事が、コールセンターにおけるトークスクリプト作成の一助になれば幸いです。

b-pos編集部

代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)