インサイドセールスのKPI設定方法と達成のコツ!SDR/BDR別に解説

「インサイドセールスを立ちあげたけど、適正なKPIがわからない」
「当初に決めたKPIが正しいか分からない」
という悩みは、インサイドセールス・マーケティング部責任者の方に起きがちです。
インサイドセールスの役割は「フィールドセールス商談をつなげること」です。そのため、KPIとして「商談化数」を設定するのが一般的です。
KPIによって具体的な数値を示すことで「部署ごとの目標明確化」や「課題改善の促進」が実現できます。
この記事では、インサイドセールスで設定すべきKPIと、その数値の計算方法、KPIを追う方法を解説します。
インサイドセールスの役割
KPIはその部署が持つ役割を、目標数値に落とし込んだものです。そのため、KPIを設定する前にインサイドセールスの役割を明確にしておきましょう。
インサイドセールスの役割は「マーケティング部が獲得したリードを商談につなげること」です。インサイドセールスは一般的に「THE MODEL型」といわれる営業手法の1つであり、以下の全体フローの一部を担っています。

部署 | 役割 |
---|---|
マーケティング | リード数を最大化する |
インサイドセールス | マーケティング部が獲得したリードを商談につなげる |
フィールドセールス | インサイドセールスがつないだ商談をクロージングまで持ってく |
カスタマーサクセス | 購買(契約)した顧客との関係を継続できるよう構築する |
とはいえ、インサイドセールスは大きく分けて2種類あります。2種類のどちらを用いるかは、企業ごとのビジネスモデル、リソースの状況によって変わりますので、適したほうを選びましょう。
2種類の違いについてご紹介します。
SDR
「SDR」は「Sales Development Representative」の略であり、インバウンドインサイドセールスのことです。上記のTHE MODELの表に記載したとおり、マーケティング部のリードに電話・メールなどで顧客との接点を持ちます。購買意欲を高めたり、顧客との関係を途切れないようにアプローチしたりします。
マーケティング部のリードにアプローチするため、購買意欲がある顧客に絞ってコンタクトを取れます。
BDR
「BDR」は「Business Development Representative」の略であり、アウトバウンドインサイドセールスのことです。マーケティング部が獲得したリードではなく、ダイレクトにインサイドセールスが顧客に電話・メール等でコンタクトを取ります。
新規顧客へのアプローチとなるので、商談につながりにくいですが、マーケティング部のリード以外の広い市場にアプローチできます。
SDRとBDRの違いを簡単にまとめた表が以下になります。

インサイドセールスのKPIと平均値
インサイドセールスの役割と種類が分かったところで、具体的にどの数値をKPIにすべきなのかを解説します。また目標を定めるうえでの観点として「KPIの平均値」も合わせてご紹介します。
前提として、インサイドセールスのKPIは基本的にすべて「商談化数」です。なぜならインサイドセールスの役割は先述した通り「フィールドセールスに商談をつなげること」だからです。
「受注数」や「コール数」などを指標にしている企業もあるかもしれません。
「受注数」をKPIにすると、フィールドセールスの能力によって目標達成の可否が変わります。また「コール数」をKPIにすると「電話すること」が目的になってしまいます。
そのため、インサイドセールスの役割を数値化する場合「商談化数」が適しています。
また、インサイドセールスの商談化数の平均値は30〜40%といわれます。ただし商材・リードの質によって変動するため、あくまで参考値として捉えてください。
商談化数/率
KPIとしてもっとも一般的なのが「商談化数」です。インサイドセールスとして「どれだけの商談をフィールドセールスにつなげられたか」を数値化します。
商談化率の割り出し方法は、営業手法によって異なります。
新規獲得(BDR)の場合 | 商談化数/新規アプローチ数 |
新規獲得(SDR)の場合 | 商談化数/新規リード数 |
掘り起こしの場合 | 商談化数/ハウスリストの顧客へのアプローチ数 |
BDRの場合「アプローチ数に対し、いくつ商談化したか」をもとに割り出します。商談化率を数値化することで「アプローチ内容・手段」や「顧客リストの質」の改善に役立てることができます。
SDRの場合「リード数に対し、いくつ商談化したか」をもとに割り出します。数値化することで「リソースの活用方法」や「リードへのアプローチ内容・手段」の改善に役立ちます。
休眠顧客の掘り起こしの場合「ハウスリストの見込み顧客へのアプローチ数に対し、いくつ商談化したか」をもとに割り出します。数値化することで「ターゲットの選定方法」「アプローチの内容・手段」の改善に役立ちます。
有効商談数/率
有効商談数をKPIとして設定する方法があります。フィールドセールスが商談をした結果、受注につながる見込みがあると判断できたものを「有効商談」といいます。
なお、有効商談は企業によって定義が異なります。
受注につながらない商談が増えると、営業の生産性を下げる原因となります。このような事態を防ぐためには「有効商談」の定義をフィールドセールスとそろえる必要があります。
たとえば
「顧客の課題」「現状利用しているツール」「予算」といった内容をコール時にヒアリングできている商談を「有効商談」とする
などの方法があります。
会社全体のKGIを「受注金額」とする場合、インサイドセールスは「受注につながる商談を増やすこと」がミッションです。
そのため「有効商談」をKPIとすることで、目的意識をもった営業活動の実施につながります。
KPIの設定方法
KPIは、売り上げ目標(KGI)から逆算して設定しましょう。インサイドセールスのKPIは他の部署と連動して決定されます。

KPIを求めるには「顧客単価」「実績にもとづいた実現可能な受注率」を用いて計算します。
たとえば売上目標を2,000万円、顧客単価を200万円とした場合、目標を達成するには10件受注する必要があります。

たとえばKPIを商談化数、受注率を25%とした場合、以下の式でKPIを求めます。
必要な受注件数10件 ÷ 受注率25% = 商談化数40件
この場合のKPIは「商談化数40件」となります。
このKPIは、スプレッドシートで管理することで可視化できます。SFAやCRMを使用している場合、これらのツールを活用することで作業が簡略化します。

いずれにしても、数値を分析できる状態にすることが重要です。
KPIを達成/改善するための「変数」
KPIである「商談化数」を増加させるためには、「変数」を改善する必要があります。
SDRの場合の変数
SDRの場合、次のような変数があります。
- コール数/コール時間
- メール送信数/メール開封率
- 有効アプローチ数/率
コール数/コール時間
コール時間の目安は、1架電あたり4~5分です。1時間あたりのコール数が10コール以下の場合、業務効率を改善する必要があります。
課題を解決するには、会話の内容や原稿、ターゲットを変更する必要があります。電話の解析ツールを導入して「架電数・時間を計測する」「通話内容をAI解析して教育に役立てる」といった方法で改善を目指す企業もあります。
変数 | ・コール時間 ・コール数 |
参考数値 | ・時間:4〜5分 ・数:10コール程度 / 時間 |
改善方法 | 会話の内容や原稿、ターゲットを変更 |
メール送信数/メール開封率
メールの開封率の目安は、企業に関心がある顧客に送る場合は15~20%程度、関心がない顧客の場合は5~10%程度です。
目安の数字を下回る場合、メール文章や送信タイミング、ターゲットを変更する必要があります。メールの開封率は「件名」「送付曜日・時間」といった内容に左右されるため、ABテストを繰り返して開封率が高い条件を探る方法が有効です。
変数 | ・メール送信数 ・メール開封率 |
参考数値 | ・開封率:15〜20% |
改善方法 | メール文章や送信タイミング、ターゲットを変更 |
有効アプローチ数/率
有効アプローチとは、有効だった(手応えがあった)アプローチの数になります。この割合が小さければ商談数は増えません。
SDRは購買意欲が高い顧客が多いため、的確なアプローチをすることで商談につなげられます。手応えがあったアプローチ方法・内容を確認し、今後の営業活動に活かしましょう。
変数 | ・有効アプローチ数/率 |
参考数値 | ・有効アプローチ率:50%以上 |
改善方法 | 架電タイミング、メール内容、送付資料、ヒアリング方法などの改善 過去の有効アプローチの分析から特定の条件を探す |
BDRの場合の変数
BDRの場合、次のような変数があります。
- アプローチ数(メール/フォーム/コール)
- キーマンアプローチ数/率
- ターゲット企業数
アプローチ数(メール/フォーム/コール)
「アプローチ数×商談化率」で商談数となるのがBDR。そのためKPIである目標商談数を達成させるにはアプローチ数を適切に増加させる必要があります。
しかし、BDRはSDRと比べると、アプローチから商談獲得まで長期間かかる傾向があります。そのためアプローチ数を増やすことだけに着目すると、企業からの印象が悪くなる恐れがあります。
アプローチの適切なタイミングは、企業によって異なります。ターゲットのニーズを理解したうえでアプローチし、信頼関係の構築を目指しましょう。
変数 | アプローチ数(メール/フォーム/コール) |
改善方法 | アプローチ数を増やす |
キーマンアプローチ数/率
商談を成功させるには、企業におけるキーマン(決裁者)へのアプローチが有効です。「キーマンとつながることができたか」を判断し、経過指標として活かしましょう。
大企業の社長や役員にアプローチする場合、いきなり本人につなげてもらえるケースはまれです。その場合「個別勉強会」や「〇〇コンペ」といったイベント開催を通じて接点を作る方法があります。
マーケティング部と協力しながら、大企業の役職者が関心を持ちそうなイベント施策などを検討しましょう。
変数 | ・キーマンアプローチ数 ・キーマン率 |
改善方法 | アプローチ方法の変更 |
ターゲット企業数
BDRは新規開拓型のため、アプローチ先のリストが必要です。リスト数だけでなく、受注確度が高いターゲット企業をもとに作成することで、KPI達成につながります。
リストの質は、情報の鮮度・精度を意識することで作成できます。またチェック体制を構築することで、信頼できるリストを準備することができます。
アプローチ拒否や受注によってアプローチできる企業数が減ると、営業効率が悪くなります。リスト数を把握し、枯渇しないように管理しましょう。
変数 | ・ターゲット企業数 |
改善方法 | リスト数を増やす、ターゲットを変更する |
まとめ
インサイドセールスの役割は「マーケティング部が獲得したリードを商談につなげること」です。そのためKPIは「商談化数」や「有効商談数」といった項目が適しています。
インサイドセールスにおける「コール数」や「アプローチ数」といった変数を改善することで、KPIの達成に近づきます。
KPIの設定方法を理解し、それぞれの部署の目標達成に役立てましょう。

b-pos編集部
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