採用広報とは?戦略の立て方と6つの手法を解説【成功事例付】

「採用広報にはどんな手法があるの?」
「そもそも採用広報とは?」

といった疑問は、経営者・人事担当者の方に起きがちです。

採用広報は「自社が求める人材を採用すること」を目的として、情報を発信する活動を指します。ターゲット・採用課題を整理したうえで「発信内容」と活用する「媒体や方法」を決めることで、採用広報に取り組めます。

本記事では「採用広報の戦略の立て方」「採用広報の6つの手法」を中心に解説しています。

採用広報とは?

採用広報とは「求める人材を採用すること」を目的として、企業が情報を発信する活動のことです。具体的には「自社情報」や「業界情報」「採用に関する情報」といった情報を発信します。

採用広報が注目されている理由

採用広報が注目されているのは「採用競争で他社より優位に立つことができる」といった理由があります。

現在、日本は少子高齢化の影響によって労働力が不足しています。加えて「働き方の多様化」や「社会のデジタル化」といった背景から、転職顕在層・潜在層にかかわらず、自社をアピールする姿勢が求められています。

また、企業の採用活動において「求職者から待遇で比較される」「採用活動の成果が採用予算に左右される」「オリジナルの採用経路がない」といった課題もあります。

そこで、自社の強みを活かして欲しい人材とマッチできる「採用広報」が注目されています。

採用広報に取り組むメリット

採用広報に取り組むメリットは次の3つです。

  • 企業の認知度が拡大できる
  • 自社に適した人材が獲得できる
  • 入社後の退職者が減らせる

採用広報に取り組むことで、自社に適した人材が獲得できます。採用広報は、自社に関する情報を積極的に発信します。企業の認知度・エントリー数が拡大するため、人材獲得できるチャンスが多くなります。

また、求職活動では「給与」や「福利厚生」といった条件で比較されがちです。採用広報で待遇以外の「自社の魅力」を発信することで、経営理念に共感した求職者から応募してもらえる可能性が高まります。

ほかにも入職前に自社を知ってもらうことで、入社後の退職者を減らすことができます。求職者からの応募が多かったとしても、入社後に離職者が多ければ採用活動は成功したとはいえません。入社前に自社の「企業文化」や「社風」を理解してもらうことで、採用のミスマッチを防止できます。

採用広報に取り組む手順・戦略の立て方

採用広報に取り組む手順・戦略の立て方は、次のとおりです。

  1. ターゲットの整理
  2. 採用課題を整理
  3. 発信内容の決定
  4. 採用広報の方法・媒体の決定

それぞれ解説します。

①ターゲットの整理

まずは「自社がほしい人材はどんな人か?」を整理し、ターゲットを決めましょう。

具体的には、以下の項目を整理しましょう。

項目具体例
職種営業職
年齢25歳~30歳
経験経験は問わない
考え方営業のプロとして現場で働き続けたい
性格明るく、誰とでも積極的に会話できる。

ターゲットを明確にすることで、採用広報の戦略を具体的に立案できます。

たとえば採用サイトやパンフレットにおいて、上記のターゲット像をイメージしてメッセージを発信することで、自社が望む人材からの応募が期待できます。

②採用課題を整理

ターゲットが明確になったら、採用課題を整理しましょう。

たとえば「〇〇部の離職率が高い」といった課題がある場合「入社前の人材の認識」と「会社の認識」にズレがある可能性があります。

上記の課題が発生する原因として、採用プロセスの「どこに問題があるか」を整理しましょう。

「離職率が高く、人材と会社の認識にずれがある」といった課題の場合「認知」や「興味」のプロセスに問題がある可能性があります。

「情報発信内容」や「コーポレートサイトでの見せ方」がズレており、求職者側は「思っていた仕事と違う」「想像していた社風と違う」と感じ、離職してしまうといった問題につながります。

上記のような問題発生を防ぐためには「採用課題の整理」が非常に重要となります。

③発信内容の決定

採用課題を整理したら、採用広報における発信内容を決めます。ステップ2で整理した課題から「どんなコンテンツがあれば、その課題が解決できるか」を考えましょう。

たとえば「離職率が高い」といった課題であれば「入社した人が想定していた会社」と「自社」に認識にズレがあります。このズレを解決するために「どんなコンテンツが必要か?」といった視点で考えましょう。

解決策として考えられるのは、以下のような方法があります。

  • 「入社インタビュー」を通じて、入社前と入社後の印象の違いを発信する
  • 採用プロセスにおける「認知」で発信している情報の内容を見直す

また「応募数が少ない」といった課題であれば「企業の認知度が低い」「求職者が求める情報が発信できていない」といった原因が考えられます。

この場合、以下のような解決策が考えられます。

  • 「自社や業界に関する情報」を発信し、自社の認知度を高める
  • 採用プロセスにおける「検討」で他社と比較される求人情報を見直す

このように課題に応じて発信内容を決めることで「採用課題の解決」につなげられます。

④採用広報の方法・媒体の決定

ステップ3で決めた発信内容を、どのような「方法」「媒体」で発信していくのかを決めましょう。

採用広報で活用できるメディアの種類とそれぞれの媒体、方法は次のとおりです。

メディアの種類媒体・方法
オウンドメディア・自社ブログ
・コーポレートサイト
・自社採用サイト
アーンドメディア・SNS(Twitter / Instagram / Facebook / YouTube)
・ブログプラットフォーム(note / はてなブログ)
・外部メディア(寄稿 / 取材記事 / 取材動画)
ペイドメディア・マス広告(TV / 駅)
・Web広告

オウンドメディアは、自社で運営しているブログをはじめとしたメディア全般のことです。掲載内容の自由度が高いため「自社の経営理念」や「社員へのインタビュー記事」といった幅広いコンテンツを掲載できます。

アーンドメディアは、求職者などの「信頼を獲得すること」を目的として運営するメディアのことです。採用担当者と求職者が「コメント」や「ダイレクトメッセージ」を通じてコミュニケーションできるため、信頼関係の構築につながります。

ペイドメディアは、企業が費用を支払うことで掲載できるメディアのことです。発信する媒体によってはターゲットの属性を絞ってアプローチできるため、狙った求職者に届けることができます。一方でオウンドメディアやアーンドメディアと比べると「費用が高額になりやすい」といった特徴があります。

「発信したい内容」に応じて媒体・方法を選ぶことで、効果的に採用課題を解決できます。

採用広報の主な手法・媒体

採用広報で活用されるおもな手法と媒体は、以下のとおりです。

  • コーポレートサイト
  • 自社ブログ(採用オウンドメディア)
  • 採用サイト
  • SNS
  • 採用ピッチ資料
  • 外部メディア

それぞれ解説します。

コーポレートサイト

コーポレートサイトには、所在地や代表者名といった企業に関する情報が掲載されています。採用広報で活用されるのは、採用に関する情報が掲載されているコーポレートサイト内の採用ページです。

「企業に関する基本的な情報」や「募集要項」といった内容を記載するため、求職者と企業の認識のズレを防ぐことができます。一方で、サイト制作にかかる「費用」や「時間」といったコストが必要です。

また採用要件などの変更に応じて、最新情報を更新して運用します。

解決できる課題の例求職者と企業の認識を事前にそろえられる
運用方法採用要件の変更に応じて情報を更新する
注意点制作にかかる費用・時間といったコストが必要
具体例Baseconnect株式会社:https://company.baseconnect.in/recruit/

自社ブログ(採用オウンドメディア)

自社ブログは、自社で記事や動画といったコンテンツを制作して公開するメディアです。

自社に関する情報をもとに記事を制作するため、入社後のミスマッチを減らすことができます。一方で、コンテンツを作り続ける人や時間といったリソースが必要です。

記事や動画といったコンテンツを制作し、公開して運用します。

解決できる課題の例入社後のミスマッチが減らせる
運用方法記事コンテンツを制作して公開する
注意点コンテンツを作り続けるリソースが必要
具体例mercan (メルカン):https://mercan.mercari.com/

採用サイト

採用サイトは、コーポレートサイトとは別の「採用を目的とした専用のホームページ」です。

自社の採用に関する情報を詳しく掲載できるため、自社が望む人材とマッチできる可能性が高まります。一方で企業の知名度がないと、集客しづらい面もあります。

採用要件の変更に応じた情報更新や、社内インタビュー・代表メッセージといったコンテンツを制作・公開して運用します。

解決できる課題の例自社が望む人材とのマッチ度が上がる
運用方法・採用要件の変更に応じた情報更新
・採用にかかわるコンテンツの制作・公開
注意点知名度がないと集客しづらい
具体例株式会社ベイジ:https://baigie.me/job/

SNS

SNSは、TwitterやInstagramといった媒体を通じて情報を発信します。

SNSは拡散性があるため、それぞれのプラットフォームの利用者層にアピールできます。一方、それぞれのSNSのユーザーに情報見てもらうためには「運用ノウハウ」が必要です。

「自社情報」や「採用に関する情報」をSNSに投稿して運用します。

解決できる課題の例企業の認知度向上
運用方法自社情報や採用に関する情報を投稿する
注意点運用ノウハウがなければユーザーに見てもらえない
具体例日本オラクル採用:https://twitter.com/Oracle_JP_Saiyo

採用ピッチ資料

採用ピッチ資料は、30~50ページ程度で企業情報を説明する資料です。

取り入れられる情報が多いため「入社後のミスマッチ低減」や「企業の認知度向上」に役立ちます。一方で必要な情報が多く、デザイン性も求められるため「作成するのに時間や手間がかかる」といった特徴があります。

採用ピッチ資料には「最新の業績」といった情報を盛り込むことで、信頼度の高い資料が作成できます。そのため、企業や業界に関する最新データを取り入れながら運用します。

解決できる課題の例・入社後のミスマッチが減らせる
・企業の認知向上
運用方法最新データを取り入れて資料内容を更新する
注意点資料作成に時間・手間がかかる
具体例SmartHR会社紹介資料「We are hiring」:https://smarthr.co.jp/recruit/

外部メディア

外部メディアは、寄稿や取材記事、取材動画といった方法が該当します。

外部メディアで紹介されるため、外部メディアのユーザーに認知が広がるチャンスとなります。一方で、外部メディアの特徴に応じた内容にしなければ、外部メディアのユーザーの興味をひけない可能性があります。

外部メディアからの取材や寄稿依頼を引き受けて運用します。

解決できる課題の例企業の認知向上
運用方法外部メディアからの取材を受ける・寄稿依頼を引き受ける
注意点外部メディアの特徴に応じた内容にする必要がある
具体例株式会社ベルク:https://www.youtube.com/channel/UC7JW0GGJe12s0YubsKHhGGg

採用広報の成功事例

採用広報の成功事例をご紹介します。

メルカン(自社ブログ)

引用:株式会社メルカリ|メルカン

メルカンは、株式会社メルカリが運営している自社ブログです。2016年にリリースされており、採用に特化したブログの先駆者です。

メルカリの採用試験の受験者の100%が「メルカンを知っている」と答えたほど、認知されています。メルカンからの応募も多く、ミスマッチも少ないのが特徴です。

UUUM(採用サイト・採用ピッチ資料)

引用:UUUM採用サイト

UUUM社は採用サイトにおいて、採用に関する情報・コンテンツを更新し続けています。

採用ピッチ資料も併せて更新しており、資料の「更新性が高い」といった特徴を活用して運用の工夫がされています。

LayerX(SNS)

引用:LayerX 採用情報

LayerXは「note」や「Twitter」といったSNSを活用し、採用募集をかけています。「よい人材が来てくれた」といった趣旨のツイートもあり、効果が出ています。

また「Meety」といったカジュアル面談サービスをリリース後にいち早く利用しています。「ウラ凸」などの企画にも参加し、SNSでの採用に積極的に取り組んでいます。

SNSは情報感度が高い人材が多く利用しているため、ベンチャーやスタートアップに適した採用手法だといえるでしょう。

まとめ

採用広報は、ターゲットや採用課題に応じて「発信内容」と「利用する方法や媒体」を決めることで、採用にかかわる問題を解決できます。加えて、採用広報の目的である「求める人材を採用する」という目的の達成に近づきます。

採用広報の戦略の立て方や活用できる方法・媒体を理解し、自社に適した採用広報を実施しましょう。

b-pos編集部

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