記帳代行とは?メリット・デメリット・料金相場や依頼までの3ステップを解説

経理業務の負担や人件費を減らすため、自社の記帳業務を外注するケースが増えています。また、これから記帳代行を活用したいと考えている経営者もいるでしょう。

「記帳代行とは何か?」
「記帳代行の費用はどれくらいか?」

このような疑問に答えるため、本記事では「記帳代行の概要、メリット・デメリット」や「記帳代行の料金相場」や「記帳代行の導入ステップ」を中心に紹介します。

記帳代行とは

記帳代行とは、帳簿作成に関する業務を代行してくれるサービスのことです。経理担当者がいない会社、経理業務まで手が回らない個人事業主などが、積極的に記帳代行を利用しています。

記帳代行を依頼できるのは、税理士事務所、会計事務所、記帳代行サービス会社などです。

記帳とは

企業の業務にて発生する「お金のやりとり」について、その内容を「帳簿に記載する」ことを記帳といいます。法人、個人事業主ともに、取引内容を正しく記載した帳簿の作成が、法律で義務付けられています

記帳をする目的は、主に以下の3つです。

  • 税務署への確定申告/税務申告
  • 自社の業績把握
  • 資金調達

税の申告以外にも、記帳によって「自社事業の状況を把握する」ことができます。過去のお金の流れを把握するだけでなく、今後の事業方針を決めるときの判断材料にもなります。

また、金融機関から融資を受ける際にも、お金の流れが把握できる帳簿が必要となります。

記帳代行に依頼できる業務

記帳作業は「外部業者にアウトソーシング」することもできます。記帳代行として依頼できる作業は、主に以下の2点です。

  • 会計ソフトへの入力
  • 帳簿の作成

まず、自社の領収書や請求書の控え、通帳のコピー、振込明細などの書類を、代行業者に渡します。代行業者は、渡した書類について仕訳をして会計ソフトに入力し、試算表や総勘定元帳などの帳簿を作成してくれます

記帳の代行業者によっては「損益計算書(PL)」と「貸借対照表(BS)」の作成までを、依頼することも可能です。

また、記帳代行と似たようなサービスに「経理代行」があります。経理代行とは、記帳業務のみならず、請求書の発行、売掛金・買掛金の管理、給与計算など、経理業務を幅広くアウトソーシングできるサービスです。

関連記事:経理代行とは?おすすめサービス10選徹底比較|依頼できる業務・外注先の選び方も解説

記帳代行を活用するメリット

記帳代行を活用することで、主に以下の3つメリットが得られます。

  • コア業務に集中できる
  • 経営判断がしやすくなる
  • 人件費を削減できる

まずは、これら「記帳代行の活用メリット」を理解しておきましょう。

コア業務に集中できる

記帳代行を活用すると、これまで記帳業務にかかっていた手間や時間を削減できるため、経理業務の効率化を図れます。記帳業務に使っていた時間を「コア業務に集中させる」ことが可能になり、社員や会社の生産性アップにも繋がります

企業規模によっては、経営者自身が記帳業務をすることも珍しくありませんが、記帳代行を活用することにより、営業や経営などに集中できるでしょう。

経営判断がしやすくなる

記帳代行を年間契約していると、1か月ごとに「月次決済書」を作成してくれます。月次決算は「経営状況の再確認」や「事業方針の修正」といった経営の判断材料にもなります。また、月単位で経営状態を把握できれば、スピーディに経営判断ができるようになるでしょう。

適切な財務管理ができることで、金融機関から融資が受けやすくなるメリットもあります。

人件費を削減できる

記帳代行を依頼すれば、記帳業務のために従業員を雇う必要がなくなります。あるいは、記帳業務を担当していた社員を、別の業務に配置転換することもできます。

このように、記帳代行を活用することで「余分な人件費をカット」することが可能です。自社の記帳業務にかかる人件費がどれくらいかも、しっかり把握しておきましょう。

記帳代行を活用するデメリット

記帳代行の活用には、いくつかデメリットもあります。デメリットが許容範囲となるかも含めて、チェックしておきましょう。

  • コミュニケーションが増える
  • 税務申告ができないケースがある

コミュニケーションが増える

記帳代行では、見たいときに「経理データが閲覧できない」可能性もあります。記帳内容を確認したいとき、わざわざ依頼業者に連絡を取らなければならず、かえってコミュニケーションに時間が取られてしまいます。

クラウド会計ソフトに対応している業者であれば、どこからでもデータの共有ができるため便利です。

税務申告ができないケースがある

法人が行うべき税金申告業務である「税務申告」は、税理士しか行えない業務です。

税務申告までを依頼したい場合、税理士と未提携の業者だと「税務申告ができない」ため、税理士との提携状況はあらかじめ確認しておきましょう

記帳代行の料金・費用相場

記帳代行には、主に「2種類の料金システム」があります。

  • 月額料金(仕訳数に応じて料金は変動)
  • 従量課金(1仕訳の料金×仕訳数)

月額料金制では、仕訳数に応じて段階的に料金が設定されています。一方、従量課金制では、1仕訳分の単価が設定されており、実際に仕分けした数に単価を掛けた料金が請求されます。

記帳代行の料金は、1仕訳あたりの単価が設定されている場合が多く、相場は1仕訳あたり「50〜100円」です。

仕訳数月額料金相場
〜100仕訳10,000円ほど
101〜200仕訳15,000円ほど
201〜300仕訳20,000円ほど
301〜400仕訳25,000円ほど
401仕訳〜30,000円ほど

月間の取引数がの少ない小規模事業者であれば、月数千円ほどの料金で済むことが多いです。取引数が多い大企業になると、月に数万円単位の費用がかかります。

仕分数が多くなるほど、月額料金のほうが割安になります。

記帳代行を依頼する前に、自社が「1か月当たりに仕分けする数」を確認し、おおよその費用を把握しておくと良いでしょう。

記帳代行の依頼先

一般的に、記帳代行の依頼先として、以下の3つの業者が挙げられます。

  • 記帳代行サービス
  • 税理士事務所
  • オンラインアシスタント

記帳代行をどこに依頼するかは、自社の目的や予算によっても異なるため、あらかじめ検討しておきましょう。

記帳代行サービス

記帳代行サービスは、記帳業務を代行してくれる専門会社です。記帳業務のスピードや質は、代行業者によって差があります。

税理士のような専門家ではないため、税理士事務所に依頼するよりも料金は安く済みます。また、月単位で契約できる点もメリットです。

記帳業務だけでなく、給与計算や売掛金・買掛金管理も含めて依頼したい場合は、経理全般をアウトソーシングできる「経理代行サービス」を活用しましょう。

税理士事務所

税理士事務所でも、記帳業務の代行が可能です。さらに、節税や経費などの税務相談にも乗ってもらえます。一般的に、記帳代行サービスよりも費用は高額になり、税理士と顧問契約を結ぶことになります。

年末調整、決算書作成、税務申告といった業務の代行は「税理士しかできない」ため、記帳業務から税務申告までを依頼したい場合は、税理士事務所を選びましょう。

また、記帳の依頼数が多くなると税理士事務所では対応できなくなるため、記帳代行だけをアウトソーシングし、税務相談や税務申告などは税理士に依頼するケースもあります。

また、税理士事務所が株式会社を運営して、記帳代行サービスを提供している場合もあります。税理士指導もとで代行業務をしているため、安心して任せられるのもメリットです。

オンラインアシスタント

自社の業務を「オンライン上」で外部に依頼するサービスです。記帳業務の代行もできるオンラインアシスタントがあります。

専門的な知識を持っている元経理部の人などがアシスタントとして登録しているため、細かい業務内容、業務の流れを教える必要はありません。

記帳代行に依頼するまでの3ステップ

記帳代行を依頼するまでの流れを、3ステップで紹介します。記帳業務のアウトソーシングを検討する際、依頼の流れもぜひ参考にしてください。

  1. 自社で記帳代行が必要かどうかを判断
  2. 記帳代行業者を探す
  3. 記帳代行に依頼する際に必要な資料を用意

1

自社で記帳代行が必要かどうかを判断

まず最初に、自社が「記帳代行を活用すべきか」の判断をします。以下のことを、判断の材料にすると良いです。

  • 記帳業務にかけている時間
  • 外部発注により確保できる時間
  • 確保した時間の用途

これらについて自社内で調査・検討をして、本当に「記帳代行が必要か」を明確にしましょう。

また、業務効率化や生産性アップという目的ではなく、月次単位でしっかりと「お金の流れを管理したい」ということが目的であっても構いません。

2

記帳代行業者を探す

記帳代行の活用を決定したら、記帳業務を代行してくれる業者を探しましょう。以下の点について、比較検討すると良いです。

  • 対応してもらえる業務範囲はどのくらいか?
  • スムーズにコミュニケーションができそうか?
  • 料金は予算内か?

記帳業務だけでなく、決算書や税務申告も依頼したい場合、税理士と提携している会社か、税理士事務所へ依頼する必要があるため注意してください。

レスポンスが早い、修正依頼などのコミュニケーションが取りやすい、という点も業社選びでは大切なポイントです。

予算内に収まるかどうかは、1か月に仕分けする件数がどれくらいあるかを調査し、相場費用を参考に概算をしておきましょう。

以下の記事では、記帳代行が依頼できる業者を詳しく紹介しています。よければ、こちらも参考にしてください。

参考:記帳代行サービスおすすめ12選!料金相場と比較ポイントも解説

3

記帳代行に依頼する際に必要な資料を用意

記帳代行を利用する際は、いくつかの書類を自社で準備する必要があります。

現金の入出金に関する書類領収書、現金出納帳など
預金収支に関する書類通帳コピー、振込明細など
売り上げに関する書類請求書控え、売上管理表など
給与に関する書類賃金台帳、給料明細など
立替金に関する書類クレジットカード明細など
買掛金に関する書類支払管理表、請求書など

通帳コピーは、記帳を依頼する月の1日〜月末までの取引が、すべて分かるようコピーしてから渡します。請求書については、代行会社によって原本の提出を求められることがあります。

また、提出する書類については「データのフォーマット」を統一しておきましょう

各書類のフォーマットがバラバラだと、代行業者の手間が増えて追加費用となるケースもあります。また、情報の齟齬が生じてしまうと「税務申告の誤り」に繋がる可能性もあるため、フォーマットの統一は必要不可欠です。

まとめ

記帳代行は、経理業務の負担軽減、生産性アップ、経営の判断材料、といったメリットがあり、活用している企業も増えています。

費用面でも中小企業が使いやすい業者もあり、記帳だけでなく税務申告までを依頼できる業者もあります。

記帳代行を扱っている業者にもいくつかの形態があるため、自社内で「記帳代行を使う目的」や「記帳代行に割ける予算」などを検討してから、業者選定をすると良いでしょう。

b-pos編集部

代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)