債権回収会社(サービサー)とは?主な会社一覧と未回収を防ぐサービスも
「取引先企業から売掛金を回収できない」 このような問題を1度は経験したことがある方もいるのではないでしょうか?
債権を回収できないと判断した場合、第三者に介入してもらうことで手間や時間をかけずに問題を解決することができます。
そこでおすすめするのが「債権回収会社(サービサー)」です。本記事では、債権回収会社(サービサー)の仕組みや主な債権回収会社を紹介します。
債権回収会社(サービサー)とは
債権回収会社(サービサー)とは、法務大臣の許可を得て債務者が支払いに応じない際に債権者に変わり、お金の回収を行う民間企業を指します。
債権者から債権を買い取り、自ら債権者となって取立を行うため債務者から回収できるかどうか関係なくお金を回収できます。
では、債権回収会社(サービサー)の以下2つのポイントを見ていきましょう。
- 債権回収会社の基本的な取立の流れ
- サービサーには条件がある
債権回収会社の基本的な取立の流れ
債権回収会社の基本的な取立の流れは以下の表を参照ください。
1. 電話や書面による請求 | 債務者に対して、電話や書面を通して催促を行います。 |
2. 内容証明の送付 | 電話や書面に対して、債務者が支払いに応じない場合は 支払いの催促が記載された内容証明郵便を送ります |
3. 支払督促の申立 | 催促書送付後、それでも支払いに応じなければ支払督促を申立します。 |
4. 訴訟 | 全く回収の見込みがない場合は、強制執行を行うために訴訟を提起します。 |
「電話や書面による請求」はコストをかけることなく、最も手軽な回収方法です。また、相手にプレッシャーをかけるとしても有効です。
「内容証明の送付」は債務の消滅時効を中断し、相手へのプレッシャーにもなります。ただし、法的な拘束力はなく電話や書面による請求に応じない時点であまり効果があるとは言えません。
支払督促は債権者からの申立てに基づいて簡易裁判所の書記官が行い、債務者の言い分を聞くことなく支払督促を発する事ができます。ただし、債務者から異議の申立があれば「訴訟」へと移行します。
最後は強制執行を見据えた訴訟の提起を行います。法律のもと決着をつけ、勝訴すれば強制執行の手段を取ることができます。
以上が取立の一連の流れになります。ただし、依頼先や状況によって流れは異なります。
サービサーには条件がある
「債権回収」や「取立」など聞き慣れない言葉に少し不信感を抱く方もいるかと思いますが、債権回収会社自体は法務大臣の許可のもと債権を回収しています。
法律の範囲内で取立を行なっているため、法外な取立や請求をしてくることはありません。
また、債権回収会社(サービサー)は最低限下記の条件を満たした会社でなければ、債権の回収を行うことができません。
- 資本金が5億円以上であること
- 常務に従事する取締役に1名以上の弁護士がいること
- 暴力団等反社会的組織と関わりがないこと
資本金の条件や取締役に弁護士がいることが条件となっているため、ある程度大きな会社であり違法な会社ではないことは理解いただけるかと思います。
主な債権回収会社一覧
主な債権回収会社一覧の比較表です。自社の条件に合わせた会社を探してみてください。
企業名 | 電話番号 | 特徴 |
---|---|---|
日本債権回収株式会社 | 03-3222-0328 | 債権の買取をメイン業務にし、債権回収に特化したバックアップサービサー |
アビリオ債権回収株式会社 | 03-6854-4645 | 累計で9兆円にものぼる豊富な実績と経験がある会社 |
ニッテレ債権回収株式会社 | 03-3769-4611 | サービサー初の「プライバシーマーク(個人情報保護の体制や運用の状況が適切である証明)」を取得 |
オリックス債権回収株式会社 | 03-5776-3330 | これまでに積んできたノウハウと専門性を活かした多方面からの債権回収を行う |
中央債権回収株式会社 | 03-5547-2100 | 「長期延滞債権の管理回収」「弁護士介入」「法的手続」まで債権回収に関わる業務を一貫して遂行 |
オリンポス債権回収株式会社 | 011-856-9933 | 債権買取と債権管理回収の2本柱であり、多種多様な債権を扱うため柔軟な対応が可能 |
エム・ユー・フロンティア 債権回収株式会社 | 03-3373-5111 | 取扱債権数(2021年度)は123万件、業界内取扱シェア11%と高い実績 |
日本債権回収株式会社
株式会社オリエントコーポレーションの100%子会社として設立され、20年の業界歴がある会社。債権の買取をメイン業務にし、債権回収に特化したバックアップサービサーです。
法人番号 | 2010001070337 |
電話番号 | 03-3222-0328 |
本店所在地 | 〒102-8503 東京都千代田区麹町五丁目2番地1 |
アビリオ債権回収株式会社
2022年3月末時点の取扱実績は、累計で9兆円にものぼる豊富な実績と経験がある会社です。日本で5番目に法務大臣の営業許可を取得したサービサーであり、個人向け債権から法人向け債権まで幅広い債権の取扱いを行なっています。
法人番号 | 5010001132002 |
電話番号 | 03-6854-4645 |
本店所在地 | 〒135-0061 東京都江東区豊洲二丁目2番31号 |
ニッテレ債権回収株式会社
ニッテレ債権回収株式会社は、30年の豊富な債権管理ノウハウを活かして債権回収を実現しています。サービサーで初の「プライバシーマーク(個人情報保護の体制や運用の状況が適切である証明)」を取得しています。
法人番号 | 5010401023016 |
電話番号 | 03-3769-4611 |
本店所在地 | 〒108-0023 東京都港区芝浦三丁目16番20号 |
オリックス債権回収株式会社
オリックス株式会社100%出資の債権回収会社であり、これまでに積んできたノウハウと専門性を活かした多方面からの債権回収を行います。債権回収業務だけではなく、経営難に陥っている企業へのサポートにも定評があります。
法人番号 | 2010401037563 |
電話番号 | 03-5776-3330 |
本店所在地 | 〒105-0013 東京都港区浜松町二丁目3番1号 |
中央債権回収株式会社
中央債権回収株式会社は「長期延滞債権の管理回収」「弁護士介入」「法的手続」まで債権回収に関わる業務を一貫して遂行します。そのため、債権回収にかかる時間や手間、コストの削減を実現できます。
法人番号 | 3010001068735 |
電話番号 | 03-5547-2100 |
本店所在地 | 〒104-0053 東京都中央区晴海三丁目12番1号 |
オリンポス債権回収株式会社
オリンポス債権回収株式会社は、債権買取と債権管理回収の2本柱であり、多種多様な債権を扱うため柔軟な対応が可能です。豊富なノウハウと実績で高い回収率を誇っています。
法人番号 | 2430001036353 |
電話番号 | 011-856-9933 |
本店所在地 | 〒062-0020 札幌市豊平区月寒中央通七丁目6番20号 |
エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社
エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社は、2000年設立の業界内では比較的浅い会社ですが、取扱債権数(2021年度)は123万件、業界内取扱シェア11%と高い実績を誇ります。三菱UFJフィナンシャル・グループのサービサーであり、安定した会社経営基盤を持っていることも強みです。
法人番号 | 2011201006320 |
電話番号 | 03-3373-5111 |
本店所在地 | 〒164-0012 東京都中野区本町二丁目46番1号 |
未回収にならないための対策
債権回収でトラブルにならないためにも様々な対策をしておきましょう。 対策のポイントとしては下記3つです。
- 請求管理・請求業務を徹底する
- 未払いの債権を放置しない
- 顧客の与信管理を実施する
請求管理・請求業務を徹底する
請求書は発行して終わりではなく、回収できるまで請求管理・業務を徹底しましょう。
例えば、
- 請求日の3日前に確認の電話を行う
- 支払いが遅れている場合、1日以内に督促の電話を行う
などを社内でルール化して共有しておきましょう。
また、「こちら側の請求書送付ミス」や「銀行のシステムエラー」によって期日内の振込が確認できないケースもあります。あらゆるケースを想定して「社内体制の構築」「請求業務のマニュアル化」をしておくことが重要です。
未払いの債権を放置しない
未払いの債権を放置しないことも対策の1つです。回収に費やす時間や手間に対して、未払い金額が少ないとついつい放置してしまいます。
しかし、未払い金が少額であっても積もれば大きな額となり「黒字倒産」のリスクもあります。
また、未払い債権の放置は会社の信用度にも関わります。**未払い債権を放置していると「管理が不十分な会社」と悪い印象を与えてしまう恐れもあるでしょう。**未払いが発生した場合は、すぐに対処するよう心がけましょう。
顧客の与信管理を実施する
与信管理とは、取引先が期日内に代金の支払いを滞りなく行えるかを管理することを指します。
取引を始める前に、ホームページの確認や調査会社に依頼を行うなど多方面から情報を取得し判断しましょう。「過去の取引で未払いの履歴がある」「取引先とのトラブルが多い」といった場合は、十分に注意しなければいけません。
また、社内で与信管理のチェックリストなどを作成し、新規取引を行うたびに「チェックリストに基づいて判断する」「役員の承認を得るなど」の対策を怠らないようにしましょう。
未回収を未然に防ぐ類似サービス
未回収を防ぐ対策を徹底しても、債権の未回収によるトラブルが起こることはあります。そこで活用したいのが「未回収を未然に防ぐ代行サービス」です。
ここからは、未回収を未然に防ぐ代行サービスを2つ紹介します。
- ファクタリングサービス
- 請求代行サービス
ファクタリングサービス
ファクタリングサービス(債権買取型)とは、支払いの期日となっていない請求書を未然にファクタリング会社に買い取ってもらうサービスです。
ファクタリングサービスを利用する目的としては、
- 手元にキャッシュがなく、すぐに現金化したい
- 取引先から売掛金が振り込まれるか不安
などの状況下でファクタリング会社を利用します。
仮に未払いが発生したとしても、請求書を買い取ってもらっているためファクタリング会社が取引先に直接債権を回収します。
また、期日内に取引先から振込があった場合は、自社からファクタリング会社に請求書分の金額を振り込みます。
「ファクタリングについてもっと知りたい」「おすすめのファクタリング会社が知りたい」という方は下記記事も併せてご覧ください。
請求代行サービス
請求代行サービスは、自社に代わって取引先に「請求書の作成・送付・管理」などを行なってくれるサービスです。
また、プランやサービス内容によっては「売掛金の督促」「与信管理」なども任せられます。
基本的には自社が取引先ごとに請求業務を行いますが、手間や時間がかかるうえに売掛金の未回収が発生すれば、担当者の負担になります。
しかし、請求代行サービスを利用すれば自社の対応は代行サービス会社のみになりますので、精神的負担や工数の削減へとつながります。
請求代行サービスの仕組み・おすすめ代行サービスを知りたいという方は下記記事を併せてご覧ください。
まとめ
本記事では、債権回収会社(サービサー)の概要やおすすめ代行サービスなど紹介しました。
未回収の債権が発生した際に自社だけで解決できない場合は、債権回収会社(サービサー)を利用のも1つの手です。
債権回収の一連のプロセスを代行してくれるため、回収率が上がり当事者間とのトラブルの心配もありません。ただし、前提として未回収を未然に防ぐ対策を怠らないようにしましょう。
b-pos編集部
代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)