採用動画のメリットとは?事例9選と制作のポイント/外注時の相場まで解説

近年では、採用活動に「採用動画」を用いる企業が増えています。特にコロナ以降、対面での採用活動に制限が生まれ、汎用性高く活用できる採用動画のニーズが高まっています。

採用動画は、企業文化を視覚的に伝えることができる、強力な武器となり得るプロモーションツールです。この採用動画をうまく活用することで、志望者に対して企業の魅力を的確に伝え、興味関心度や入社意欲を高めることができます。

本記事では、採用動画のメリットを解説し、成功事例ををご紹介します。また、制作のポイントや外注時の相場についても解説していますので、採用動画の検討にお役立てください。

採用動画を作るメリット・効果

採用動画は、効果的・効率的に採用活動を行うツールとして急速に普及しています。そんな採用動画には、以下の4つのメリットがあります。

  • 情報伝達の効率が良い
  • ミスマッチ防止
  • 業務効率化
  • 認知向上/ブランディング

それぞれ解説します。

情報伝達の効率が良い

アメリカの調査会社Forrester Researchの研究結果によると、「1分間の動画から伝わる情報量は、文字に換算すると180万語、Webページに換算すると約3,600ページ分になる」と報告されています。

動画は動きをつけながら、視覚と聴覚の両方で情報を訴求することができるため、記事や資料などの「読み物」に比べて、圧倒的に効率的に情報を伝達することができます。

ミスマッチ防止

動画では、テキストや口頭では伝えることのできない、社内の空気感やブランドイメージを表現することができます。そのため、採用活動の場で活用することで、求職者に対して社風や想いを直感的に訴えかけることが可能です。

動画を活用することで、社風に合わない求職者の募集を減らし、マッチする求職者を増やす可能性が高まります。企業と求職者双方にとって有利な状況を作り出すことができるのです。

業務効率化

会社説明会などで複数の社員が都度話すスタイルは、人によるブレや時間によるブレが生じがちです。

しかし、採用動画は一度作成すれば、常に同じクオリティで企業のメッセージを伝え続けることができます。また、動画が代わりに求職者にメッセージを訴求してくれることで、従来話をしていた社員の時間が空き、他のコア業務に使えるようになります。

認知向上/ブランディング

動画の内容やクオリティにもよりますが、話題になるような動画を制作することで、企業の知名度やブランド力を向上させることが期待できます。

視覚的に魅力的な動画は、視聴者の心をつかむ力があり、企業のイメージを高めることができます。動画を通じて企業のストーリーを効果的に伝えることで、企業価値を向上させることができます。

採用動画の活用場面

採用動画の活用メリットを理解しても、「具体的にどんな場面で活用すればいいの?」とイメージできていない方も多いと思います。ここでは、採用動画の活用場面について解説します。

「認知→興味→応募」のフローに分けて解説していきます。

【認知】TVCM/YouTube広告の活用

「認知」のフェーズでは、求職者に自社を知ってもらうことが重要です。

そのための一つの方法が、TVCMやYouTube広告を活用することです。ご存知の通り、TVCMもYouTube広告も、動画広告になっています。効果的に動画広告を活用することで、印象に残すことができ、認知拡大に繋がります。

また、YouTube広告では細かなターゲティングを行うことができるため、採用ターゲットに対して効率的にアプローチすることもできます。

【認知・興味】合同説明会で上映

「認知・興味」フェーズでは、求職者に自社を知ってもらい、理解してもらうことが重要です。

そのため、企業が直接候補者とやり取りすることのできる合同説明会の場で活用することで、効果的・効率的に自社の社風や文化、想いを理解してもらうことができます。

また、合同説明会では多くの企業が出展しているため、通りすがる求職者の興味を惹かない限りはブースに来てもらうことはできません。クオリティにもよりますが、動画は直感的に訴えかけることができるため、流しておくことでブースに立ち寄ってもらう機会にもなります。

【興味・応募】媒体や採用サイトに埋め込み

「興味・応募」フェーズでは、求職者の自社に対する熱量を上げ、応募してもらうことが重要です。

自社に興味を持った求職者は、リクナビやマイナビを始めとした掲載媒体、もしくは採用サイトに訪れます。そのタイミングで採用動画を通して、自社の社風や社員の様子を理解してもらうことで、入社意欲を向上させることができます。

掲載媒体では、動画の掲載場所が決まっているケースがほとんどですが、採用サイトの場合、掲載場所は自由です。求職者が簡単にたどり着き、見たいと思えるタイミングで表示されるように工夫しましょう。

採用動画の種類

採用動画はさまざまな形式がありますが、ここでは代表的な3種類の動画を取り上げ、それぞれのメリットと事例をご紹介します。

  • 会社紹介動画
  • PR動画
  • 社員インタビュー動画

会社紹介動画

AOI Pro.【POSITION ~映像制作会社の立ち位置~】

会社紹介動画は、会社の概要や取り組み、企業文化などを説明する基本的な採用動画です。

会社紹介資料を活用している企業は多くあると思いますが、その内容を動画化し、より動的かつ視覚的に企業の魅力を伝えているというイメージです。

映像制作プロダクションのAOI Pro.は、会社紹介動画内で「映像制作会社とは何か」から「それぞれの募集ポジションについて」など求職者が疑問に思うことに関して説明しています。この動画を見るだけで「AOI Pro.とは何か」を知り、仕事のイメージまで抱くことのできる効果的な構成になっています。

PR動画

AOI Pro.新卒採用コンセプトムービー【青い炎を、燃やせ】

PR動画は、企業のブランドイメージ醸成のためにビジョンや今後の目指す姿を訴求する、メッセージ性の強い動画です。

自社のビジョンや目標を明確に訴求することで、求職者の入社に対するワクワク感や意欲を向上させることできます。

上記動画では、AOI Pro.が掲げている「青い炎を、燃やせ」というメッセージのもと実際に働く社員がどのような信念を持って働いているのかを訴求する構成になっています。

社員インタビュー動画

AOI Pro.【VOICE OF AOI】

社員インタビュー動画は、社長や社員がインタビュー形式で企業の魅力や日常を語る動画です。

実際に働くメンバーにインタビューをすることで、企業の内部の雰囲気や、働く環境をリアルに伝えることができます。そのため、求職者は入社前のタイミングで企業の雰囲気を把握しやすくなり、ミスマッチの防止に繋がります。

上記動画では、ポジションごとに社員がどのような仕事を、どのような気持ちを持って取り組んでいるのかや、実際の1日の仕事スケジュールなど、実際に働いてみないとわからないことをインタビュー形式で紹介しています。

参考にしたい採用動画の事例9選

採用動画を制作する上で、すでに成功している動画の事例を参考にすることは非常に有効です。以下では、各カテゴリーごとに3つの事例をピックアップし、その特徴やポイントを解説します。

ジャンル会社名訴求内容
会社紹介動画ベルフェイス株式会社・サービスをローンチした際の思いや目的
・事業の裏にある想い
株式会社Hacobu・どのようなビジョンを掲げているのか
・どのような人に入社してもらいたいかな
NTTコムチュオ・自社の事業に関する情報の説明
・働く上でのやりがい
PR動画電通デジタル株式会社・各ポジションで働く社員の想い
・どのような考えや思いを持って働いているのか
トヨタ自動車九州・企業からの求職者へのメッセージ
・社員からの求職者へのメッセージ
ファーストリテイリング・ファーストリテイリングの果たすべき責任
・社会に対する会社の意味・ビジョン
社員インタビュー楽天・実際に楽天で働く社員の仕事内容や日常
・社内での実際のコミュニケーション
株式会社日立製作所・実際に働いてみて感じる会社の文化
・普段どのように働いているか
テルウェル東日本・別々のポジションで働く数名の社員が自身の業務
・各メンバーからの就活生へのメッセージ

会社紹介動画

ベルフェイス株式会社

ベルフェイス株式会社|会社紹介ムービー

web会議システム「bellface」を商材として扱うベルフェイス株式会社の会社紹介動画です。

本動画では、サービスをローンチした際の思いや目的、実際のサービスの内容などを紹介しており、事業の裏にある想いを伝え、求職者からの共感を仰ぐ内容となっています。

株式会社Hacobu

Hacobuについて

物流課題を解決するアプリケーションやコンサルティングを提供する、株式会社Hacobuの会社紹介動画です。

本動画では、株式会社Hacobuがどのようなビジョンを掲げているのか、どのような人に入社してもらいたいかなどを訴求し、自社が求める人材を獲得するための動画構成・訴求軸となっています。

NTTコムチュオ株式会社

NTTコムチェオ_事業紹介映像

「企業の”働く”を変える」を理念に掲げ、ヘルプデスクやIT機器の運用管理支援を行う、NTTコムチュオ株式会社の会社紹介動画です。

本動画では、自社の事業に関する情報を詳しく説明しており、求職者が実際に働くとなった際のやりがいや挑戦したいことを見つけるヒントになるような動画構成となっています。

PR動画

電通デジタル株式会社

Recruiting Movie 2022

国内最大規模の総合デジタルファームとして、企業のデジタルマーケティングを支援する、電通デジタル株式会社のPR動画です。

本動画では、各ポジションで働く社員が各々の想いを伝えることで一人一人がどのような考えや思いを持って働いているのかというのを紹介しており、求職者が一緒に働きたいと思える動画構成になっています。

トヨタ自動車九州株式会社

トヨタ自動車九州 新卒採用ムービー 「最高のチームは人づくりから」

九州を拠点に、トヨタ自動車の車体製造会社である、トヨタ自動車九州株式会社のPR動画です。

本動画では、企業からの求職者へのメッセージと、社員からの求職者へのメッセージが動画内で紹介されており、求職者の共感を生み出し、入社意欲を高めるための動画構成になっています。

株式会社ファーストリテイリング

ファーストリテイリング採用情報

ユニクロ、ジーユー、セオリーなど複数のブランドを世界中で展開する、株式会社ファーストリテイリングのPR動画です。

本動画では、マーケティング責任者の方がどのような思いでサービスを運営しているのか、ファーストリテイリングの果たすべき責任など、社会に対する会社の意味・ビジョンを訴求し、求職者のワクワク感の醸成を狙った動画構成になっています。

社員インタビュー動画

楽天グループ株式会社

Ellie [楽天 広告事業部 営業職]

楽天市場を始めとした様々な事業、サービスを展開する、楽天グループ株式会社の社員インタビュー動画です。

本動画では、実際に楽天で働く社員の仕事内容や日常を、インタビューを通して訴求しており、実際に働く際のイメージ醸成や、社内のコミュニケーションの雰囲気などを伝える動画構成になっています。

株式会社日立製作所

【経験者採用】社員インタビュー「日立でもっとユニークな自分に」

データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進する、株式会社日立製作所のPR動画です。

本動画では、なぜ日立製作所に入社したのか、実際に働いてみて感じる会社の文化、普段どのように働いているか、など求職者の知りたい情報を訴求しており、企業選択をする際に役立つ動画となっています。

テルウェル東日本株式会社

2024社員インタビュー動画

オフィスソリューションや不動産の利活用や管理、ビル清掃を展開する、テルウェル東日本株式会社のPR動画です。

本動画では、別々のポジションで働く数名の社員が自身の業務、就活生へのメッセージをインタビュー内で発信しており、企業で働く人の人柄などを求職者が知ることができる動画構成となっています。

採用動画制作の3つのポイント

採用動画制作にあたっては、いくつかの基本的なポイントを押さえることが重要です。ここでは、3つの主要なポイントを挙げ、それぞれについて解説します。

①ターゲットを明確にする

採用動画制作の初めのステップは、ターゲットとなる視聴者層を明確に特定することです。

どのような人材に対して訴求するかを明確にします。企業の価値観や採用するポジションの特性に基づいてターゲットを決定すると効果的です。

ターゲットを明確にすることで、その後の動画制作がスムーズに進行し、より効果的なコンテンツが完成します。また、視聴者が感じる共感や関心も高まります。

採用におけるターゲットの設定方法については以下の記事で詳しく解説しています。

中心となる活用場面を明確にする

次に、どのような場面で動画を主に活用するのかを決めましょう。

先述の通り、採用動画は様々な場面で活用できますが、最も効果的な活用場面を一つ選び、それを中心に動画制作を進めることが重要です。

例えば、会社のホームページや採用サイトで動画を活用する場合、そのサイトの訪問者層やサイトの目的に沿った動画内容を考えることになります。

このように、中心となる活用場面を明確にしておくことで、動画の効果を最大限に引き出すことができる動画構成に仕上げることができます。

ワンメッセージを明確にする

採用動画制作のもう一つの重要なポイントは、動画内で訴求するワンメッセージを明確にすることです。このワンメッセージは動画の中核をなすものであり、視聴者に強く印象付ける要素となります。

以下のように、動画を活用して達成したい目的から逆算すると、ワンメッセージを明確にしやすくなります。

動画ジャンル目的ワンメッセージ例
会社紹介動画安心感を醸成企業の長い歴史とその安定性
PR動画入社意欲向上企業のこれから目指していく姿
社員インタビュー動画働くイメージの明確化フラットなコミュニケーション文化

採用動画を外注する際の費用相場

動画制作は、構成の作成やロケーション手配などの下準備、カメラマン、ディレクターのアサインなど、様々な工程が生じる上に、経験や専門的な知識が必要になります。

そのため、自社で行うのではなく、動画制作会社に依頼するのが効果的です。

採用動画の外注相場は以下です。

会社紹介動画80~150万円
PR動画100~300万円
社員インタビュー動画50~100万円

動画ジャンルやテイスト、クオリティや動画尺に応じて相場は変動しますが、数十万から数百万ほどの費用がかかります。社員インタビュー動画などは、撮影カット数が少なくなるため、他動画に比べて安価になっています。

また、自社オフィスですべての撮影が可能な場合は、ロケーション費用がかからないため予算を抑えることもできます。ある程度は予算のコントロールをすることはできるため、まずは自社で予算と動画イメージを固めてから、制作会社を選定するようにしましょう。

採用動画を作れる制作会社

採用動画の制作は、専門性が求められる作業であり、プロの制作会社に依頼することで、高品質な動画を制作できます。ここでは、おすすめの制作会社を3つ紹介します。

CINEMATO

引用:CINEMATO

CINEMATOは、BtoB企業の動画制作に特化しており、採用動画のみならずWebCMや機能説明動画など、様々な動画制作が可能です。

BtoBクリエイティブに精通したコンサルタントが、活用場面や目的をヒアリングし、最適な動画構成を提案してくれます。また、広告配信などもワンストップで対応可能なため、総合的に相談することが可能です。

プルークス

引用:プルークス

ブルークスは、累計2,000社、5,000本以上の動画制作実績を誇り、実写だけでなくアニメーション、CGやVRなどにも対応しています。

動画制作のプロであるプロデューサーが、要望を聞いた上で、効果的な動画ジャンルや動画構成を提案してくれます。費用も高すぎないため、予算を抑えつつクオリティを担保したい企業におすすめです。

funnypro

引用:funnypro

funnyproは、採用動画以外にも、VOD型会社説明会動画、ライブ配信、メッセージ動画、インフォグラフィックス動画、360°動画など多種多様な動画サービスを展開しています。

他制作会社にはない、ユニークな動画手法を提案してくれるため、他社との差別化を図りながら、求職者の興味喚起、入社意欲向上を目指したい企業におすすめです。

まとめ

様々な企業で活用されている採用動画ですが、以下の3つの種類が存在します。

  • 会社紹介動画
  • PR動画
  • 社員インタビュー動画

それぞれ、訴求内容が異なり、求職者に与えるイメージも違います。また、活用場面に応じて効果的な動画ジャンルも異なります。

本記事で紹介した動画事例や、制作における3つのステップを参考に、より効果的・効率的な採用活動を実現するための採用動画に取り組んでみてください。

b-pos編集部

代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)