リスティング広告とは?基礎知識と始め方を知って導入するか判断しよう
「リスティング広告を導入した場合の費用対効果が気になる」
「そもそもリスティング広告とは?」
といった疑問は、リスティング広告の導入を検討されている方に起きがちです。
リスティング広告とは、検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに連動して表示されるテキスト型の広告です。メリットとしては「購買意欲が高いユーザーに配信できる」「少額から出稿できる」「配信の開始・停止がすぐできる」といったものが挙げられます。
本記事では「リスティング広告の基礎知識」と「やり方の方法2つ」を中心に解説します。
目次
リスティング広告とは
リスティング広告とは、検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに連動して表示される広告です。「検索連動型広告」や「サーチワード広告」「キーワード広告」などと呼ばれることもあります
ユーザーがリスティング広告をクリックすると、指定したWebサイト(ランディングページ)に誘導できます。広告がクリックされない限り費用が発生しないため、顕在層へのアプローチに効果的な施策です。
場所:検索結果の上部に表示
リスティング広告は、検索結果画面の上部に表示されます。
以下の画像の「スポンサー」と記載されているサイトは、企業が費用をかけて出稿しているリスティング広告です。
なお、スポンサーと記載されていないサイトは「オーガニック検索(自然検索)」で表示されるサイトです。オーガニック検索とは、広告ではない通常の検索結果を指します。
形式:テキスト
リスティング広告は、おもにテキスト形式で表示されます。
このように、リスティング広告は「広告見出し」「説明文」「表示URL」の3つの要素で構成されています。
テキスト以外の「電話番号」や「画像」といった情報が表示できるオプションもあります。しかし、基本的にはオーガニック検索と同じようなテキスト形式で表示されます。
検索エンジン側の意図としては「ユーザー体験の損失を防ぐこと」を目的に、オーガニック検索と同じ形で広告を表示しています。
媒体:Google・Yahoo!
リスティング広告は検索広告のため「検索エンジン」の検索結果に表示されます。表示される媒体は「Google」と「Yahoo!」です。
Webトラフィック解析をおこなうStatCounterによると、日本の検索エンジン市場シェアは2023年9月時点で「Googleが77.74%」「Yahoo!が13.29%」となっています。
そのためリスティング広告の掲載先は、ほぼGoogleと考えてよいでしょう。
リスティング広告のメリット
リスティング広告のメリットは次の3つです。
- 購買意欲の高いユーザーに配信できる
- 少額からでも出稿可能
- 配信開始/停止がすぐにできる
それぞれ解説します。
購買意欲の高いユーザーに配信できる
リスティング広告は、購買意欲の高いユーザーに絞って配信できます。
リスティング広告は、ユーザーが検索したキーワードに連動して表示される広告です。広告が表示されるキーワードに購買意欲が高いキーワードを設定することで、購買意欲の高い顧客を呼び込めます。
購買意欲が高いキーワードには「Doクエリ」や「Buyクエリ」といった種類があります。それぞれの検索意図と具体例は以下のとおりです。
種類 | 検索意図 | 検索キーワードの具体例 |
Doクエリ | アクションを起こしたい | ・リスティング広告 やり方 ・Google広告 問い合わせ |
Buyクエリ | ・特定の商品 / サービスを購入したい ・商品に購入する価値があるか調べたい | ・WordPress 有料テーマ おすすめ ・iPhone15 口コミ |
上記のように明確な目的を持ったユーザーに広告を配信できるため、購入などの成果につながりやすいのが特徴です。
少額からでも出稿可能
リスティング広告は最低金額がないため、少額から出稿できます。
リスティング広告にかかる総額は、設定するキーワードのクリック単価によって変動します。金額によって広告効果の差はありますが「最低〇〇円から」といった最低金額の規定はありません。そのため多くの費用を割けない事業者であっても、広告を出しやすいのが特徴です。
購入や契約、資料請求といった成果につなげるには、適切なターゲット・キーワードを選定する必要があります。しかし、比較的少額な5~10万円程度でも成果が出やすいのはリスティング広告の大きなメリットです。
配信開始/停止がすぐにできる
リスティング広告はほかの広告やマーケティング施策と比べると、すぐに配信開始・停止ができます。
リスティング広告を配信するのに設定が必要なのは「広告アカウントの情報」「キーワード」「広告文」「ランディングページ」「入札単価」の5項目です。広告の「配信開始日・終了日の設定」や「特定の曜日のみ配信する」といった細かい設定も可能です。
ボタン1つで配信を停止できるため「ほかの施策との兼ね合いで一時的に広告を止めたい」「閑散期は広告を停止したい」といった場面でも、手軽に停止できます。
配信開始・停止がすぐにできるため、状況に応じて柔軟に広告を運用できます。
リスティング広告のデメリット
リスティング広告のデメリットは次の2つです。
- 認知拡大には向いていない
- 運用コストがかかり続ける
それぞれ解説します。
認知拡大には向いていない
リスティング広告は、潜在層を対象とした認知拡大には向いていません。
リスティング広告が表示されるのは「出稿側が設定したキーワード」を検索したユーザーです。このユーザーは、自分が抱えている悩み・問題が解決できるものを求めて検索しています。
一方、潜在層は「出稿側が設定したキーワード」で検索する可能性がそもそも低いため、リスティング広告を目にする機会が少ないです。そのため認知拡大を目的とする場合、ほかの広告を利用する必要があります。
認知拡大には「広告を見たユーザー数」の最大化が効果的です。そのため、ディスプレイ広告やSNS広告、YouTube広告といった、潜在層にアプローチできる広告が適しています。
目的に応じて広告の種類を使い分けることで、広告の効果が最大限発揮されます。
運用コストがかかり続ける
リスティング広告には、人的リソースや費用といった運用コストが継続的にかかります。
リスティング広告を効果的に運用するには、工数がかかります。たとえば「計測タグの設置や調整」「配信結果の分析・改善」「運用型広告に関する知識のアップデート」などが必要なため、担当者が必要です。
またリスティング広告の費用は出稿時だけでなく、配信する限り継続的にかかります。そのため安定的に運用を続けるには、予算を長期的に組む必要があります。
リスティング広告の運用に必要な知識を増やすことで、作業効率が上がる可能性があります。たとえば「各媒体のリリース情報を確認する」「運用型広告に関するオウンドメディアをチェックする」「SNSで情報収集する」といった方法で知識を得ることができます。
また費用面に関しては「リスティング広告にかかる費用」と「その分利益が出ているか」といった点を確認しましょう。具体的にはクリック単価やコンバージョン率、顧客獲得単価といった結果を確認し、広告費用分の利益が出ているかを確認しましょう。
リスティング広告の料金体系・費用相場
ここでは、リスティング広告の料金体系と費用相場について解説します。
リスティング広告の料金体系:クリック課金制
リスティング広告が表示されて料金が発生するまでの流れは、以下のとおりです。
まず、広告主がリスティング広告を配信します。そして「広告主が設定したキーワード」をユーザーが検索すると、オークションが発生します。オークションがおこなわれたのちに、リスティング広告が表示されます。この広告をユーザーがクリックした場合のみ「1クリックにつき〇〇円」といった計算で費用が発生します。
このように、クリックされた場合のみ料金が発生する料金体系を「クリック課金制」といいます。クリック単価は「競合の出稿状況」や「広告の品質」などによってその都度変動します。
またオークションでは、検索されたキーワードに対して「どの広告をどの掲載順位で表示するか」を検索エンジン側が決定します。ユーザーが検索される度におこなわれ、広告主の設定や広告の質によって表示される順位が決まります。
相場から費用対効果を測る
先述したとおりリスティング広告はクリック課金制のため、さまざまな要因で料金が変動します。そのため「自社が狙いたいキーワード」や「自社サイトのCVR(コンバージョン率)」をもとに、リスティング広告の費用対効果が高いかを確認したうえで、利用すべきかを検討しましょう。
リスティング広告の費用対効果は、以下の流れで測ります。
No | ステップ | 詳細 |
---|---|---|
1 | 自社が狙いたいキーワードの 平均クリック単価を調べる | 平均クリック単価=500円 |
2 | 自社サイトの現在の CVR(コンバージョン率)を確認 | CVR=2.5% |
3 | 1CVに必要なクリック数と、 それに必要な金額を算出 | ・1CVに必要なのは40Click(1CV÷2.5%(CVR)=40) ・40Clickには20,000円かかる(500円×40) |
4 | 自社商材の単価を考慮し、 費用対効果がよいのかどうかを判断 | 40万円 / 受注率25%として ・1受注に必要なのは4CV, 160Click(1受注÷25%=4CV, ×40Click) ・160Clickには80,000円かかる ・8万円で40万円の売上、32万円の利益(ROI:400%…32÷8×100) |
【1】自社が狙いたいキーワードの平均クリック単価を調べる
まず、SEO分析ツールであるエイチレフスで自社が狙いたいキーワードを検索して「平均クリック単価を確認します。今回は平均クリック単価=500円とします。
【2】自社サイトの現在のCVR(コンバージョン率)を確認
次に自社サイトの現在のCVR(コンバージョン率)を確認します。今回はCVR=2.5%とします。
【3】1CVに必要なクリック数と、それに必要な金額を算出
1CVに必要なクリック数と、それに必要な金額を算出します。1CV÷2.5%(CVR)=40となるため、1CVに必要なのは40Clickとなります。今回は平均クリック単価=500円のため、40Clickには20,000円かかる計算となります。
【4】自社商材の単価を考慮し、費用対効果がよいのかどうかを判断
自社商材の単価を考慮し、費用対効果がよいのかどうかを判断しましょう。BtoBの場合は受注率も考慮します。1受注で40万円の商材かつ受注率が25%の場合、1受注するには4CV→160Clickが必要のため、1受注に必要な費用は80,000円となります。広告費用を8万円かけることで、40万円売上が出ます。 32万円の利益→ROIは「32÷8×100=400%」となります。
上記のステップをもとに、自社がリスティング広告を利用した場合の費用対効果を測ってみましょう。
リスティング広告を活用する際の注意点
2014年にSearch Engine Watchが公表したデータによると、検索順位1位の場合はクリック率が12.2%、2位では1.5%と、検索順位の表示結果によってクリック率に大きく差が出ることがわかりました。
この結果からもわかるように、広告が上位に表示されるほどクリックされる確率が高いです。かつ「そもそも表示されるかどうか」といった点も重要となります。
リスティング広告の検索順位は「入札単価」×「広告品質」で決まります。
入札価格
入札価格に投資していて表示する広告の品質も高い場合、検索順位が上位になる可能性があります。ただし入札単価に対する投資額を増やすと、コンバージョン単価の費用対効果が悪くなる恐れがあります。
リスティング広告が表示されるきっかけとなるのは「ユーザーの検索行為」です。つまり「人」が検索するため、コンバージョンにつながるキーワード数には限りがあります。
するとコンバージョンにつながりにくいキーワードで広告配信をする必要が出てくるため、コンバージョン単価の費用対効果が悪化する可能性が出てきます。
リスティング広告の成果には天井がある点に注意しましょう。
広告の品質
リスティング広告をクリックした際に、最初に表示されるランディングページの品質も大切です。ランディングページの品質を高めるには「ページの読み込み速度の改善」「ユーザーが求める情報をわかりやすく明示する」といった方法があります。
また、リスティング広告の広告文とランディングページの内容に違いがないかといった点も注意が必要です。たとえば広告文で「セール実施中につき30%オフ」といった文面があるとします。しかし、ランディングページに遷移して最初に目にするページにこの情報がなく「読み進めないと30%オフの情報が出てこない」といった場合、ユーザーが離脱しやすくなります。
広告の品質の高さは、リスティング広告の検索順位だけでなく成果につなげるためにも大切な要素です。リスティング広告の遷移先であるランディングページの品質に注意しましょう。
リスティング広告はいつ始めるのがベストか
続いて、リスティング広告を始めるタイミングについて解説します。
簡単に説明すると、施策の棲み分けは以下のようになります。
顧客 | 施策名 | かかる費用 | 購買確率 | リーチ数 |
---|---|---|---|---|
潜在層 | PR・マス広告・SNS広告 | 中~大 | 小 | 大 |
準顕在層 | SEO | 中 | 中 | 中 |
顕在層 | リスティング広告 | 小 | 大 | 小 |
取り組む順番としては「顕在層向け施策→準顕在層向け施策→潜在層向け施策」がよいでしょう。
まだ商品・サービスの購入を検討していない潜在層には、マス広告などで「知ってもらうこと」が有効です。自社商品カテゴリに興味がある準顧客層には「興味から検討のフェーズに移行させること」を目的とし、SEO施策でアプローチするのが効果的です。
そして自社商品カテゴリをすでに探している・検討している顕在層には、リスティング広告が適しています。
つまりリスティング広告は、自社製品を届けるリーチ数は小さいですが「すぐに買ってもらう施策」としては効果的な施策となります。
そのため、これからWeb施策を始める企業は以下の順序で取り組んでいきましょう。
- リスティング広告
- SEO
- SNS広告
のちの施策につなげるためにも、まずはリスティング広告を始めてみることが最も効果的です。
リスティング広告のやり方
リスティング広告を始める場合、やり方には次の2つの方法があります。
- 内製
- 外注
それぞれ解説します。
内製
リスティング広告は内製でも運用することができます。ここでは、リスティング広告の始め方を解説していきます。以下のステップでキャンペーンを作成することができます。
- キャンペーンの作成
- 単価設定
- キャンペーンの詳細設定
- キーワードと広告の設定
- 予算の設定
Google広告のアカウントを持っていない方は、以下の記事でアカウント作成方法を解説しているので、参考にしてください。
1. キャンペーンの作成
Google広告にログインし、管理画面からキャンペーンの作成を行います。
最初に「キャンペーン目標」の設定を行います。リード獲得を目的としている場合は「見込み顧客の獲得」を選択しましょう。
次に「キャンペーンタイプ」を選択します。リスティング広告での出稿の場合は「Search」を選択します。
最後に「コンバージョン地点」を選択します。リード獲得が目的の場合は「リードフォームの送信」を選択します。キャンペーン数が増えた際に、「どのサービスの何の目的の施策か」を判断できるように、キャンペーン名も忘れずに設定しましょう。
2. 単価設定
単価設定では、目標コンバージョン単価を設定しましょう。任意での設定ではありますが、CPAを安定させるためにも事前に設定しておくことをおすすめします。
3. キャンペーンの詳細設定
次にキャンペーンの詳細設定を行います。
ネットワークの設定ではデフォルトで「ディスプレイネットワーク」にチェックがついていますが、リスティング広告のみの出稿の場合はディスプレイネットワークのチェックボックスを外し、「検索ネットワーク」のみの配信設定にしましょう。
また、表示される地域も「日本」を選択します。
「部分一致キーワード」は、キーワード設定の際に自由度を狭めてしまうため「オフ」に設定します。自動作成アセットも「無効」のままで問題ありません。
4. キーワードと広告の設定
次に、キーワードと広告の設定を行っていきます。
キーワードの入力は「完全一致」「部分一致」「フレーズ一致」の3種類の方法で登録を行います。それぞれの違いと登録方法は以下です。
タイプ | 詳細 | 登録方法 | 一致率 |
---|---|---|---|
完全一致 | キーワードと同じ意味を持つ語句の 検索に対して広告を表示 | 記号なしで記載 | 高 |
部分一致 | キーワードの意味を含む語句の 検索に対して広告を表示 | ダブルクォーテーションで囲む | 中 |
フレーズ一致 | キーワードに関連する 検索に対して広告を表示 | 角括弧で囲む | 低 |
キーワードの入力が完了すれば、広告の設定を行います。まずは「広告クリック後の遷移先URL」を最終ページURL欄に記載します。
次に、広告表示URLの隣に表示されるパスを登録します。「どんなサービスか」がユーザーに伝わるように15文字以内で記載しましょう。
「広告見出し」の設定も行います。パスと同様に「どんなサービスか」がわかるような見出しを心がけ、30文字以内で最低3つ以上の見出しを登録しましょう。見出しは後からでも設定可能なので、クリック率等の数値を見ながら改善することで効果を高めることができます。
見出しの下に表示される「説明文」の登録を行います。見出しよりも詳細の情報を90文字以内で最低2つ登録します。こちらも見出しと同様に、後から編集可能なため、数値を見ながら改善を行いましょう。
ロゴの設定やサイトリンク、コールアウト文の設定は登録なしでも出稿することができます。まずは登録せずに運用を行い、より最適化を図る際に登録することをおすすめします。
5. 予算の設定
最後に、予算の設定を行います。「1日の平均の予算を設定してください」と記載がありますが、設定した予算に合わせて毎日広告が配信されるわけではありません。設定した日予算よりも消費金額が低い場合もあれば、高い場合もありますが、月間では大幅に設定した予算を越えることはありません。
あくまでも平均の予算になりますので、月間予算を日割りで日予算を算出し、平均予算を設定するようにしましょう。
例)月間予算:30万円の場合 → 30万円 ÷ 30日 = 1万円 / 日
予算の設定が完了すれば、キャンペーンの作成は終了です。以下の画面で、設定した内容に問題がないかを確認し、問題なければ「キャンペーンを作成」をクリックしましょう。
外注
リスティング広告は、広告代理店に外注することもできます。
リスティング広告の内製には、人的リソースや費用といった運用コストがかかります。代理店に外注することで、広告の運用を専門知識を持ったプロに任せられます。広告運用にかかるリソースがかからなくなるうえに、成果が出やすいのがメリットです。
依頼するデメリットとしては、運用手数料を代理店に支払う必要があります。手数料の相場は、広告出稿金額の20%です。
たとえば広告費が50万円だった場合、手数料の相場は20%のため、代理店に支払う費用は60万円となります。
そのため、自社がリスティング広告にかけられる費用に応じて、リスティング広告を「内製するか」「外注するか」を選びましょう。
まとめ
リスティング広告は、キーワードのクリック単価によって費用が変動します。そのため自社が狙いたいキーワードや自社サイトのCVRをもとに「自社が出稿した場合の費用対効果」を確認したうえで検討する必要があります。
リスティング広告に関して理解を深め、自社における成果につながる方法で活用しましょう。
b-pos編集部
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