ウェビナーよりも垂れ流しfacebook広告。c-slideの「成果が出た施策の裏側」
b-posではBPO事業者を対象に、サービスの立ち上げから現在に至るまでで一番効果があった施策や取り組みについて紹介していきます。
今回取材したのは株式会社Coneの代表取締役で、c-slideのマーケティング領域を担当する佐藤立樹(さとう りき)さんに、これまでの苦悩から現在行っているマーケティング手法などについて伺いました。
目次
資料作成代行サービス「c-slide」とは
熊本
初めにc-slideの事業内容についてお伺いしてもいいでしょうか。
佐藤
c-slideは会社紹介資料や採用ピッチ資料、営業資料などのBtoB事業におけるあらゆる場面で使用される資料を制作代行するサービスです。
【c-slideの特徴】
- 最短納品2日のスピードを保つ制作体制
- 受注率や商談設定率を向上させるための構成から作成
- 資料を綺麗にするだけではなく、マーケティングの成果に近い部分まで支援
最近では、セールスやマーケティング部分での実績が多くなってきており、ノウハウが蓄積されてきてるので、そこを強みとしています。
具体的には、資料をただ綺麗にするだけではなく、営業資料やホワイトペーパーの改善を通して、受注率や商談設定率を向上させるための構成だったり、セールス・マーケティングのマーケティングの成果に近い部分まで支援しています。
全てインバウンド施策のみで顧客を獲得
熊本
現状はどのような施策で顧客を獲得してますか。
佐藤
基本的にc-slideは100%インバウンドでリードを獲得しています。
なので、アウトバウンドは一切しておらず、リスティング広告やオウンドメディア、Facebook広告をメインに行なっています。
熊本
具体的に月にどのくらいリードが発生しているかを教えていただけますか。
佐藤
お問い合わせと資料請求を合わせて、月間50〜100件くらいですかね。資料作成代行というキーワードボリュームが800とかなので、「代行」という少ないキーワードの中では割と取れてる方ではないかなと思います。
サービス開始時はリスティング広告のみ
熊本
サービス開始直後はどのように顧客を獲得してましたか。
佐藤
最初は全て「資料作成代行」のキーワードでのリスティング広告だけでした。
熊本
その当時は月間でどのくらいの流入数がありましたか。
佐藤
月間10件くらいからお問い合わせいただけていました。費用も10〜20万円と低予算だったにもかかわらず、続けることで20件くらいまで増えていったので、正直びっくりしました。
資料作成業界にウェビナーは不向き
熊本
これまで数々の顧客獲得施策を行なってきたと思いますが、その中で成果が出なかった施策についてお伺いしてもいいですか。
佐藤
ウェビナーですね笑 その要因は、ウェビナー実施後のフォロー体制が整っていなかったことですかね。ウェビナーで溜まったリストに対して、どんなアクションを起こして商談化していくのかなどを勉強し、実践してみましたが全く効果なかったんですよ。資料作成代行という商材がウェビナーにマッチしてなかったんだと思います。資料を発注する人は基本的に急いでいる場合が多い中、ウェビナーで事細かに説明したとしてもニーズにあってないですよね。
逆に、記憶に残すためにウェビナーをやったとしたのであればコスパが悪いです。なので、Facebook広告を1年中流すという施策に切り替えたんですよ。
熊本
なるほど。確かに資料作成業界でウェビナーをやってる会社が少ないのも納得ができます。
佐藤
なので、リアルタイムのコンテンツではなく、オウンドメディアやFacebook広告などのいつでも見れるコンテンツを落としていこうと思ったんですよ。
自社のノウハウを詰め込んだオウンドメディアと垂れ流しFacebook広告
熊本
逆にこれまでで一番成果の出た施策について教えていただけますか。
佐藤
やっぱり、Facebook広告とオウンドメディアですかね。 c-slideをリリースしてから資料作成代行サービスが急増したんですよ。このままだと他サービスに埋もれて負けてしまうのではないかと感じ、「資料作成」で認知されにいくのではなく、「c-slide」で認知される方向へシフトしました。
なので、facebook広告では、2種類に分けて出稿しています。 一つ目は、LPのデザインを流用した「資料作成代行といえばc-slide」という広告です。これは広告を見た人に対し、潜在的にc-slideの名前とクリエイティブを記憶に残すために行なっています。
二つ目は、「資料作成を外注し、マーケに専念」などの一般的なFacebook広告にあるような課題を訴求する内容の広告となっています。
このブランド認知を目的とした広告を1年中流し続けると決めてからは、比較検討層がなくなっていったという成果がありました。
オウンドメディアは「営業資料」や「提案資料」といった、〇〇資料系のキーワードを全て攫いました。 その全ての記事で構成とテンプレートを置くことで、訪問した人が作り方を真似して作れるようになります。その中でも作れなかった人はc-slideに発注していただく。という流れを作りました。
すると、商談の中でも「作り方の記事を見て真似してみたが、難しかったので問い合わせしました。」という声をよくいただくようになったんですよ。
なので、オウンドメディアではお客さんを伸ばしていくという側面で検索面を捉えることができていると思います。
熊本
オウンドメディアは外注などをして構築していったんですか。
佐藤
いいえ。完全に内製だけでここまで伸ばしてきました。例えば、営業資料において受注率が上がる構成などは今まで支援してきた中でノウハウは蓄積されていたので、それを記事化していくイメージです。
初めは色々SEOについて勉強しましたが、結局自社の中で蓄積したノウハウから同じような悩みを持っている見込み顧客が知りたい情報へ消化した方が重要であり、いいコンテンツになると思います。すなわち、“ウェブ上に落ちていない情報”となるので、結果的にそれが価値となりSEOを意識せずとも人が集まる記事になります。
オリジナルの情報こそ価値がある
熊本
オウンドメディア施策を行う際に気を付けておくべきポイントなどはありますか。
佐藤
記事数に目標を置かないことですかね。 自社のノウハウを世の中に出していくということに注力することで、多くの人の目に留まり結果的に指名検索でお客さんを獲得することができます。
なので、先ほども言いましたが、SEOに重きをおかずにここでしか獲れない情報を配信することが重要だと思います。
熊本
なるほど。じゃあ初めからお客さんを獲得することを目的とせずに、副産物として獲得するイメージですね。
佐藤
その通りです。c-slideでも最初からお客さんを獲得することに注力してませんでした。 中長期的な視点を持って成果が出るであろうと思いながら続けた結果、たまたま獲得できたという感覚に近いです。 この感覚はとても大事だと思います。
ちなみに弊社では記事作成代行サービス「c-blog」も運営しているんですが、コンテンツを重視していない企業が多いように感じます。「とりあえずキーワードだけ抑えてます」や「今月の記事数目標は〇〇本」などを掲げてるケースも多いですが、弊社では「1週間かけて1本の良質なコンテンツを作成する」ということに重きをおいています。
お客さんはもちろん、デザイナーやセールスからも情報を集め、求められていることを記事化しているため、”本数”ではなく”時間”を重視していますね。
3つのサービスでマーケティング支援
熊本
最後に、今後の展望についてお伺いしてもよろしいでしょか。
佐藤
弊社では資料作成代行サービスのほかに、記事作成代行サービス「c-blog」やオウンドメディアのテーマ販売を行う「c-web」なども行なっています。
例えば、オウンドメディア自体は「c-web」にてテーマ販売を行っており、オウンドメディアに投稿するための記事は「c-blog」にて作成します。その記事の中でお役立ち資料が必要になった場合は「c-slide」で資料作成が可能となるので、マーケティングにおける必要なコンテンツを弊社サービスだけで支援することができます。
熊本
それはすごいですね。なんかサイクルを回せそうですね。
佐藤
その通りです。c-slideが獲得したお客さんの中でホワイトペーパーを依頼してきた場合でも、それって結局オウンドメディアを運用しないと成果には直結しないですよね。なので、弊社では資料作成から少し裾を広げて支援できればと思ってます。
まとめ
世の中には数多くの顧客を獲得するための施策はありますが、その中でも自社サービスにあった施策を選択することが重要であることがわかります。
① マーケティング戦略の変化:サービス開始直後はリスティング広告だけで月に10件ほどの顧客を獲得していましたが、マーケティング戦略を見つめ直し、現在ではオウンドメディアとFacebook広告を活用することで月に50〜100件ほどの顧客を獲得しています。
② どの施策もハマるわけではない:資料作成代行という業界において、顧客が求めることはスピード感であるためウェビナーなどのナーチャリング施策は効果的ではありません。自社の商材にあった適切な施策を選択することが重要となります。
③ Facebook広告は1年中垂れ流し:Facebook広告はあくまでブランド認知の拡大を目的としているため、クリエイティブの訴求軸は変えつつも1年中垂れ流すことが重要です。結果的に指名検索が増え、比較検討層の数も減って行きます。
④ オウンドメディアはSEOを意識しない:重要なのは記事の本数やキーワードボリュームではなく、自社にしかないノウハウを配信することです。これをしないと、結局同じような記事が溢れてしまうため差別化が重要と言えます。また、1つのコンテンツにかける時間を増やし、高品質なコンテンツを制作することも重要であり、それが結果的にたくさんの人の目に触れることで上位表示を狙えるようになります。
今回は資料作成代行サービス「c-slide」を運営する株式会社Coneの佐藤さんにお話をお伺いしました。
顧客の獲得に課題を持つ方は、ぜひ参考にしてみてください。
b-pos編集部
代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)