1つのコンテンツを複数チャネルで届ける。LANYの「成果が出た施策の裏側」
この記事ではBPO事業者を対象に、サービスの立ち上げから現在に至るまでで一番効果があった施策や取り組みについて紹介していきます。
今回取材したのは株式会社LANY(レイニー)の創業メンバーの一人である、浅井 優太(あさい ゆうた)さんにこれまでの苦悩から現在行っている顧客獲得手法などについて伺いました。
【浅井 優太さんのプロフィール】
・2018年に株式会社アイシン(旧アイシン精機)へ入社
・海外営業の部署にてコロナ前までは5ヵ国程度の海外出張を経験
・代表の竹内さんや取締役の市川さんと共にWebメディアを運営
・2020年10月に株式会社LANYを創業
・2021年9月に前職を退社
・2021年9月に株式会社LANYへ入社し、コンテンツSEO事業の責任者を務める
目次
正しいことを、速く、大量にやる
熊本
まず初めに、LANYの事業内容についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
浅井
我々の会社は株式会社LANYと申しまして、「デジタルマーケティング支援」を行なっております。
その中でもメインとしてるのは「SEOのコンサルティング」です。
あとは、記事制作やホワイトペーパー制作、メルマガ制作などの、デジタルマーケティング施策で使用するコンテンツの制作を支援させていただいております。
熊本
世の中にコンテンツマーケティングやSEOコンサルティングを提供している会社って多いと思うのですが、その中でLANY独自の強みなどはありますか。
浅井
SEOコンサルティングでいくと、LANYのスタンスとして「正しいことを、速く、大量にやる」ということを打ち出しています。
SEOは大掛かりな施策をやることもありますが、一定のやるべきことの正解が決まっているので、それを如何に早く沢山やってPDCAを回すことが求められていると思います。
ですので、綺麗に整えて順番にやっていくというよりかは、「まずやるべきことは沢山やりましょう」というスタンスで施策を動かすというところは特徴かなと思います。
あとは、「ゼロからSEOをやりたい!」という企業様ももちろんですが、「自分たちで色々やってみたけど、そこから先が難しい…」みたいな80点までできたものを120点まで持っていく為の提案をオーダーメイドで作ることが多いですかね。
SEOをやりたい理由って大体「売り上げをあげたい!」とかだと思うので、そこに対してどうしたら達成できるのかを全力で考えて提案しています。
もしくは、「売り上げを上げる」という目的なのであれば、SEOだけではなく「ホワイトペーパーも作った方がいい」「広告もやるべき」などの提案も可能なので、様々な観点からゴールを達成できるように支援しています。
熊本
確かに、SEOのコンサルティングだけをしてる会社と違って、ホワイトペーパーなどの施策も絡めながら提案していただけるのはありがたいですね。
元々はブログのメディア運営から始まった
熊本
では、LANYという会社はどのような経緯で設立したのでしょうか。
浅井
株式会社LANYの創業メンバーは僕を含めた3人なんですけど、元々大学の同級生で友達だったんです。
大学卒業後は3人とも別の会社に就職したんですけど、Webメディアを運営してみようというところからLANYの元となる活動が始まりました。
竹内が当時勤めていた会社でSEOの担当者だったので、その知見を活かしてSEOのコンサルティングを始め、分析を3人で行うようになりLANYとしての事業が確立しました。
熊本
なるほど。では創業した時には既に「SEOで行くぞ!」ってのは決まってたんですね。
オペレーションを組んでコンテンツ配信
熊本
御社のSNSアカウントである「SEOおたく」はよくおすすめに出てくるので拝見するのですが、どういった戦略で運営しているのですか。
浅井
「SEOおたく」はX(旧Twitter)とYouTubeでSEOに関する情報を配信しています。
まず初めに認知獲得を目的としてXをスタートさせ、その次に情報を発信する場として力を入れたのがYouTubeになります。
このYouTubeを始めたのが3年前ほどになるんですけど、当時、SEO界隈でYouTubeを活用して発信してる会社さんが少なかったんです。
開設したてのサイトで記事を更新してもなかなかSEOで上位表示されないということは分かっていたので、「どのように認知を獲得しよう」と考えた結果、同業種で参入の少なかったYouTubeを選択しました。僕らは小さい会社なので、真正面から戦っても勝つことは難しいと判断したんですよ。
熊本
なるほど。ちなみにYouTubeを始めてからどのくらいの期間で顧客を獲得できるようになったんですか。
浅井
そうですね。明確に「YouTube見てます!」という声を頂いたのは半年から1年経ってからだったと思います。
開設当時は月に1~2本程度の投稿頻度でしたが、そこから段々と週に1本ペースに変更しました。週に1本の投稿頻度に変更してからは、多くのお客様から反響をいただいております。
最初は、自社の記事や自分たちが発信してる情報を動画にするといったように、一から作るよりかは、1つコンテンツを作成したらそれを色んな所に活用していくというパターンが多いですね。
熊本
仮に僕が「今からYouTube始めます!」となった場合に、何かアドバイスなどはありますか。
浅井
どのコンテンツにも言えることなんですが、やっぱり発信頻度が重要ですね。
どの領域も誰も発信してないジャンルって無いと思っているので、どうしてもネタが被ったりすることはしょうがないと感じています。
最初は如何にそのジャンルで発信し続けるかで、視聴者が定着するかどうかが決まると思うのでそこを愚直にやること。その後に自社なりの見解を入れていくという流れが一番良いと思います。
後は継続的に発信するためのオペレーションを組むことですかね。弊社の場合は、演者がネタを考えて、動画を撮って、それを管理表にタイトルだけを入れ込むだけで業務委託の方が動画編集を行い、YouTubeに投稿までしてくれるんですよ。
そのマニュアルさえ作ってしまえば難しいことじゃないので、マニュアルやフロー作りを頑張れば発信頻度は担保できるかなと思いますね。
熊本
なるほど。自分たちで撮影から投稿まで行うのではなく、しっかりとしたオペレーションを組んで外部に任せられるところは任せることで継続した発信ができるんですね。
コンテンツのネタは全て浅井さんが考えているのですか。
浅井
現在、僕と竹内以外にもコンサルタントが数名いて、それぞれが考えていますね。
もちろん会社全体で話し合うこともありますが、基本的に配信頻度だけは決まっているのでスケジュールを見た上で動画の撮影本数に合わせて各々がネタを考えます。
有益な情報を配信し続けることで顧客を獲得
熊本
創業当初はどのように顧客を獲得していたんですか。
浅井
当時は広告などを行っていなかったので、X(旧Twitter)が一番の流入源でしたね。
「SEOおたく」のアカウントは現在2万人ほどのフォロワーがいるのですが、開設してすぐに数千人ほどのフォロワーがつくなど影響力はありました。
そこで案件を募集してお声がけいただくパターンがかなり多かったですね。
YouTubeの動画やブログなどをこのアカウントで投稿することで結構お問い合わせをいただけました。
熊本
どうやってここまで影響力のあるアカウントにしていったんですか。
浅井
「案件が欲しい!」などのリターンを求めて投稿するのではなく、giveの精神でネタを配信し続けると結果的にフォロワーは増えるので、それをひたすら継続しました。
現状は主にyouTubeやウェビナーの案内として活用してますが、開設当時はSEOに関するノウハウや有益な情報をひたすら配信してました。
これもYouTube同様に継続することが一番重要です。
熊本
なるほど。では、創業したての頃は広告など使用せずにXだけで獲得してたんですね。
僕の知る限りSNSだけで集客を行っている企業はいないのですが、珍しいですよね。
コンテンツを再利用したメルマガ配信
熊本
ちなみに、現在は広告を回しているのですか。
浅井
そうですね。今年の3月あたりからリスティング広告やMeta広告を本格的に始めました。
これまでも時期を見て時折やってたんですけど、人的なリソースが確保できずにPDCAがあんまり回せなかったんです。
そもそも体制作りができてない状態でスタートしてしまったので、効果的な検証もできなかったですね。
現在は広告を回す人を社内に入れたことで、うまいこと広告を回せてますね。
熊本
広告って専属の方がいないと、どうしても難しいですよね。
広告以外にはどんな施策をしていますか。
浅井
メルマガもYouTubeを始めたのと同時期からやっています。
週に3回、SEOのお役立ち情報をお届けしており、現在の購読者数は3,000人を超えました。
このメルマガは、ブログやウェビナーで「メルマガ登録してね」と告知したりとか、それこそXでも登録を促したりもしてました。
Xに投稿した内容で「もっと知りたい!」と反響のあったものをメルマガに起こすこともありますし、逆にメルマガで出した内容を後からXに投稿するケースもありますね。
弊社は「コンテンツの再利用」をすごいしてる会社だと思うので、それぞれのチャネルで使用したネタを少し調節して別のチャネルへ流すということをしてます。
チャネルによって見る読者は違い、全員が同じネタを全部見てる訳ではないので同じネタだったとしても別チャネルへ使用することはアリだと思います。
熊本
「コンテンツの再利用」良いですね!確かに同じネタだったとしても多くのチャネルに投稿することでより多くの方に見てもらえますもんね。
新入社員の研修とスキルの標準化
熊本
少し話は変わりますが、最近社員の採用に力を入れられてるじゃないですか。
そこにはどういった背景があるんですか。
浅井
売上の目標値があって、もっと会社を大きくしていきたいと考えた時に、単純に「デジタルマーケティング」や「SEOコンサルティング」とかで案件を増やすとなるとどうしてもコンサルタントをはじめ、「人」が必要になります。
シンプルに売上の拡大=人員の増加という目的で採用を強化していますね。
熊本
業務委託での契約でも良いと思うのですが、なぜ社員に拘って採用しているのですか。
浅井
業務面を考えると、「柔軟さ」を求めるなら社員が適していると考えています。
業務委託の方は、良くも悪くも成果物での契約で、稼働している時間帯もバラバラです
緊急で何かすべき時、成果を上げるために稼働量を増やすべき時もあり、柔軟な対応を行うにはやっぱり社員の方がやりやすいですね。
例えば、成果が伸び悩んでいるときに業務委託の方だと、契約形態上できないという場合もありますが、社員として入って頂いてるメンバーの方ですと、頑張り時には頑張るということはできますよね。
熊本
なるほど。ちなみに社員の採用基準などはあるんですか。
浅井
そうですね。我々としては、LANYのスタンスや考え方に近いかどうかが決め手ですかね。
もちろん、凄くスキルのある方はいつでも採用したいんですけど、やっぱりカルチャー的にマッチするかどうかはやっぱり重要視しちゃいますね。
熊本
やっぱり会社のカルチャーに合うかどうかって結局一番大事ですよね。
では、採用した方をどのように教育してスキルの標準化を行なっているのですか。
浅井
この4月、5月に一気に10名くらい採用したんですけど、「研修プログラム」を見直して一から組み直しましたね。
研修担当を付けて、その方をメインにSEOを勉強するためのプログラムを組んでいます。
実際に弊社のマニュアルに沿ってサイトを分析したり、リライト案を作成したり、改めて見返すと結構大変な内容になっていますね。
熊本
なるほど。一気に10名も採用したということは、数で行くと倍になったということですね。
弊社でも研修プログラムは何度も見直したことがあるので、このプログラムの重要性はよくわかります。
デジタルマーケティング領域でできることを増やす
熊本
最後に、LANYの今後の展望についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
浅井
デジタルマーケティング領域で事業を拡大していくということは基本となってきます。
SEOに関してはYouTubeやSNSを通じて知って頂けてるので、それ以外の部分(広告運用代行)にはもっと力を入れていきたいと思ってます。
コンテンツ制作の部分では、記事だけではなくホワイトペーパーやメルマガなど、SEOやデジタルマーケティングを推進していく中でやるべきことを全部LANYでできるようになりたいと思っています。
そのために人員を増やし、SEOコンサルティングもよりスピーディーに体力を持ってできると思います。
それ以外の事業も色々やりたいという思いはあるのですが、まずは直近の「デジタルマーケティングでできる事」をもっと増やして、SEOというよりデジタルマーケティングとしてLANYをどんどん推進できればいいなと思っています。
まとめ
LANYはSNSやYouTubeでSEOに関する情報やコンテンツを発信し続けることで顧客を獲得していることが分かりました。
① 動画配信はとにかく継続が大事:ネタ出しから撮影、動画の投稿までを一人で行うのではなく、オペレーションを組んで演者と編集者に分けて配信することで、継続した動画投稿を行うことが可能です。
② コンテンツは再利用する:Xに投稿した内容の中で、反響の大きかったものは各チャネルに合わせて編集し、YouTubeやメルマガに流用することで1つのチャネルでは獲得できなかった層へのアプローチが可能となります。
③ スキルの標準化:大規模な採用を行う際には「研修プログラム」を充実させることで、新入社員でもいち早く現場で活躍できるようになります。
今回はデジタルマーケティング支援を行う株式会社LANYの浅井さんにお話をお伺いしました。
顧客の獲得に課題を持つ方は、ぜひ参考にしてみてください。
b-pos編集部
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