お笑いの舞台から経営の最前線へ。フラワーズロマンスの「成果が出た施策の裏側」
この記事ではBPO事業者を対象に、サービスの立ち上げから現在に至るまでで一番効果があった施策や取り組みについて紹介していきます。
今回取材したのは株式会社フラワーズロマンスの中道 正彦(なかみち まさひこ)さんにこれまでの苦悩から現在行っている顧客獲得手法などについて伺いました。
目次
元芸人だからこそできるビジネスモデル
熊本
まず初めに、フラワーズロマンスさんの事業内容についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
中道
会社としては映像制作会社なんですけれども、主に2つのサービスを展開しております。
一つが芸人インターンといいまして芸人さんが企業にロケに行ってそれをリクルートムービーとして使っていただくというサービス。
もう一つがムービスというサービスで、TikTokとかYouTubeとかの運用代行をするサービスです。
継続的にサービスやノウハウを発信する事によって顧客を集め、ファン化し、売上につなげる動画マーケティング事業です。
今はこの2軸で展開しております。
熊本
動画制作業界って競合が多いと思うのですが、その中でフラワーズロマンスさんの強豪優位性はどこになるんでしょうか。
中道
僕自身がもともと吉本の芸人を12年間やっていたというのがありまして、今は正社員とアルバイトを含めて10人くらいいるんですけど、その全員が芸人さんだったり芸能関係で勤めてた方だったりするんです。そういったエンタメで食べていきたいけど、まだまだ食べていけないと言う方に働いていただいてるので、映像制作としてはエンタメに特化しており、他社よりは強い自信はあります。
現役の芸人さんってシフト制のアルバイトをよくしてるんですけど、前日にオーディションとかが入ってしまうとアルバイトを休まないといけなくなっちゃうんですよ。なので、Uber eatsみたいな感じで時間の合間にできるアルバイトをしがちなんですけど、やっぱりスキルも要りますし体力も必要だし。
なので、動画編集に興味がある方に請求書の出し方だったりとか動画編集のマニュアルみたいなのを共有させていただいて、舞台の合間やネタ作りの合間に動画編集していただいてるという感じです。
今の時代、芸人が自分でYouTubeやTikTokをやってるケースが多いので、基本的に動画編集のスキルは高く、そういった方に編集はお願いしてます。
熊本
なるほど。確かに今YouTubeをやってる芸人さん多いですもんね。
少し話は戻りますが、今まで芸人インターンではどんな芸人さんが出演されたんですか。
中道
そうですね、過去には「ユンボダンプ」っていうお腹をポチャンって流して気持ちいいみたいなネタをやられてる方だったり、最近松竹芸能を辞められた「みなみかわ」さんや、「我が家の杉山」さんなどに出演いただいております。
熊本
テレビにも出演されている知名度のある芸人さんが会社のPRをしてくれるのはとても良いサービスですね。ちなみに、キャスティングやオファーも中道さんが行われてるんですか。
中道
今は僕からオファーをさせていただいております。芸人時代の繋がりで紹介していただいたりしているんですけど、サービスの知名度がまだまだ高くないので、今後は「出たい!」と志願されるくらいまで拡大できればと思っています。
今はその知名度を獲得する動きを色々してるんですけど、その中の1個に、今度NewsPicksの「メイクマネーサバイブ」と言う堀江貴文さんなどが出演されている番組に呼んでいただいて、今度プレゼンしてきます。公開は9月か10月になるとは思うんですけど、そういったメディアの露出を増やしながら認知を獲得していこうと思っています。
熊本
メイクマネーサバイブは何度か見たことがあるので、出演回も是非見させていただきます。
芸人のセカンドキャリアの受け皿を作る
熊本
ちなみに、社名の由来は何かあるんですか?
中道
僕は元々「フラワーズオブロマンス」っていう漫才師だったんですよ。この「フラワーズオブロマンス」響きが好きだったのでそのまま社名にさせてもらいました。
これがフラワーズオブロマンス時代ですね。
熊本
実は、「おもしろ荘」に出演されてるのをみたことがあるんですよ。面白かったのを覚えてます。
話は変わりますが、創業の経緯を教えていただけますか。
中道
僕が33歳の時に芸人を辞めたんですけど、当時は名刺の渡し方やエクセルの使い方、ビジネスメールの打ち方なども知らないような状態だったので、「サラリーマンとしての価値はないんだろうな」と思ったんですよ。33歳で社会経験が無いとなると雇ってくれる企業ってなかなか無いですよね。そうなったら自分が経営者になるしかないと思い、企業を決めましたね。
厳密に言うと、吉本をやめてすぐに起業したわけではなく、「経営者にとにかく会いたいな」って思ってとりあえず堀江貴文さんのオンラインサロンに入会したんです。
そこで堀江貴文さんがスレッドに「こういう事業やりませんか?」って色々投げてくれるんですけど、その中の一つに「BAN×KARA」と言う生バンドの前でカラオケができるというサービスを大阪でも展開するとなって、僕ともう一人が手を挙げて「BAN×KARA」の運営を任せてもらえたんです。
その時に、芸人さんが応援に来てくださって、SNSライブとかで拡散してくれたんです。立地があんまり良くない場所だったんですけど、1年ぐらいで黒字化することができました。
熊本
BAN×KARAって中道さんのお店だったんですね。社内でも「面白そうだよね」みたいな話にはなってたんでビックリです。
では、今は「芸人インターン」と「ムービス」の事業をやられてると思うのですが、そのほかに考えてる事業ってあったりしますか。
中道
最近多い相談が、「現役の芸人さんで保育士さんとして活躍してもらえませんか」とか「芸人やりながらエンジニアとして働いてくれませんか」みたいな依頼を受けることがあるんですよ。
芸人も高年齢化していて、40代でも若手芸人と呼ばれて子供も家族もいるみたいな状態のお芸人さんが結構いらっしゃるんです。
そういうふうに安定収入を得ないといけないでも芸人が続けたいという方のために、企業と芸人さん働きたい芸人さんをマッチングする、転職エージェント的な事業も新規事業として考えてます。
熊本
なるほど。全事業を通して「芸人さんが活躍できる場を提供する」と言うことにフォーカスしてるのがよく分かります。
中道
僕自身が33で芸人辞めた時に、セカンドキャリアですごく苦しんだので、そういう芸人さんの今まで培ってきたスキルと親和性の高い事業をたくさん作ったりして少しでも芸人さんのセカンドキャリアの受け皿をつくれたらいいなと思ってます。
ビジネス未経験から顧客を獲得していく
熊本
現在はどのように顧客を獲得してるのでしょうか。
中道
一つはリスティング広告などの広告で、もう一つはFacebookのMessenger営業です。あとは異業種交流会などの紹介ですね。今はこの3本の軸で獲得してます。
Messenger営業はリストを作成し、確度が高い方へDMを送らせていただいてる感じです。
このリストは、事業を取り入れてくれる親和性が高そうなことを項目化して、それをポイントで配分してリスト化してポイントが高いところAとかBとかCとかランク分けして送らせていただいてます。
今は基本的に芸人インターンは代理店さんに任して、ムービスの方のマーケテイングに力を入れています。
熊本
なるほど。では、創業当初はどのように顧客を開拓していったのでしょうか。
中道
3年前に業態展開した時は、会社に属した経験がなかったので稟議とか決裁権だとか部署が分かれてるるとか全く知らなかったんですよ。なので、法人営業に対する知識も当然なかったので、とりあえずテレアポをひたすらやってましたが、全く成果が出せませんでした。
芸人インターンのテレアポを行う中で一番言われたのが、「そんなふざけたサービスいらないです」ってガチャ切りされたりもよくありましたね。僕は断られるのが嫌いでメンタルが傷付くので、アルバイトを雇用して対応させていました。
熊本
テレアポ難しいですよね。創業当初は芸人インターンの営業をされてたと思うのですが、ムービスのリリース直後は何をしてましたか。
中道
ムービスをリリースしてからは先ほどお伝えした、リスティング広告とMessenger営業、異業種交流会などの紹介をやってみたので、そっからは安定的にリードが取れるようになりましたね。
熊本
全くの未経験の状態からリスティングやMessenger営業などのマーケティング手法を身につけていったと思うのですが、どこで学ばれたんですか。
中道
実は、コンサルの方に入っていただいて、マーケティングやファイナンスなどを全てご指示いただきました。この方はBAN×KARA時代にお客さんとして来てくださって、そこからずっとお付き合いのある方なんですよ。
コンサルの方に入って頂いて色々学ばさせていただいたおかげで、今では月に安定して10件ほどのリードを獲得できており、そのうちの3件は受注につながってるかなと思います。まだまだ企業の規模が小さく、対応リソースが限られてるので今後は人員だったりを増やしながらより多くの企業様とご契約できるように努めていきたいですね。
Messenger営業は計画的に行う
熊本
少し話は戻りますが、Messenger営業について少し話をお伺いしてもよろしいでしょうか。それこそ、フォーム営業やX(旧Twitter)のDMなども考えられると思うのですが、なぜMessengerがいいのですか。
中道
当時、一番社長さんが利用しているSNSがfacebookだったというのが大きな理由ですね。
最近はXでも社長さんがやっているケースが多くなっていますが、facebookの特徴として共通の友人が表示される点があります。例えば、共通の友人が2人いる社長さんに営業をかける場合、全くの他人というわけではなく、友達の友達という感じで信頼性が高く、無視されにくくなります。そのため、返信率も高くなるであろうMessengerを選択しました。
テレアポでリードを獲得しても、やはり温度感が低いので営業が難しかったのですが、Messenger営業ではリストの精度を上げることでアポが取れ始めましたね。アポが取れた時点で温度感の高い方と商談ができるので、成約率が高くなり、精神的にも良かったんですよ。
Messengerでは企業が抱える課題を3つほど挙げて、「弊社のサービスならこの課題を解決できます」という具体例や価格を提示することにこだわっています。それに加え、成功事例も交えることで、相手も「自分の会社もこうなれるかもしれない」と想像しやすくなるんですよね。
加えて送信するタイミングも非常に重要です。例えば、朝の通勤時間や昼休みの時間帯を狙って送るようにしてますね。なぜなら、通勤時間や昼休みの時間って比較的メッセージをチェックする人が多いからです。
頻度については、最初のメッセージに反応がなかった場合、1週間後にフォローアップのメッセージを送るようにしていますが、しつこくならないように注意しています。最初のメッセージには硬すぎるとビジネスライクになりすぎるので、親しみやすい言葉遣いを心がけています。フレンドリーさを忘れずに接することが重要ですね。
熊本
なるほど。それは確かに効果的ですね。具体的な課題を挙げることで、相手にとっても自分ごととして捉えやすくなるわけですね。それに価格も明示することで、最初の段階から予算感も共有できると。
中道
その通りです。Messenger営業を始める際の注意点としては、ターゲットリストの精度を上げることが挙げられます。無作為にメッセージを送るのではなく、しっかりとリサーチしてから送ることが大切ですね。
また、送るメッセージに対して自信を持つことも重要です。自分が提供する価値をしっかりと理解し、それを相手に伝えることが大事です。
そして、相手の反応に対して柔軟に対応することも忘れてはいけません。相手が興味を示した場合は、迅速かつ丁寧にフォローアップすることで、信頼関係を築いていくことが重要ですね。
SNSに力を入れることでメディアからのオファーを獲得
熊本
他に現在行ってる施策はありますか。
中道
僕はSNSで配信することが好きなんですけど、全てのSNSのトップに「街録ch〜あなたの人生、教えて下さい〜」というYouTubeチャンネルの動画を設置してるんですよ。
現在は150万人くらいの登録者がいるYouTubeチャンネルで、人生の話にフォーカスしてインタビューを行うと言う企画を出しています。実際に僕も出演させていただいたんですけど、その動画をきっかけに1,000万円くらいは売り上げが経ってるので、出演して良かったなと思ってます。
何らかのきっかけで僕のことを知ってくださった方が、「街録ch出てるんだ!」みたいな感じで40分ぐらい動画を見ていただけるんですね。そしたら僕の人生についてや理念、何をしたいかみたいなことが全て理解していただけるので、それで集客だったり提携する代理店さんの開拓に大きく貢献してますね。
この「街録ch」も向こうからDMでオファーをいただいて出演してるんですけど、先ほどお話しした堀江貴文さんの「メイクマネーサバイブ」もDMでオファーをもらえたりしてるので、やっぱりSNSで配信することは重要だと本当に思います。
自分の理想や自分が何が出来ること、自分のビジネスについてなどをWEB上に置いておくことによって、どっかで知ってくださった方がそういう連絡をいただけるってことは結構多くなって来ました。
熊本
今の時代、SNSって本当に大事ですし、マーケティングの一環として多くの企業が取り入れてますもんね。
ちなみに、中道さんの街録ch見させていただきましたが、この記事では書ききれないほどのストーリーを語っていて本当に面白かったです。
芸人のスキルをビジネスに活かす
熊本
最後に、今後の展望についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
中道
先ほどの話と通ずるところもありますが、芸人のスキルを活かせる事業を展開し、芸人のセカンドキャリアとして活躍できる場を提供したいと思っています。そのために、現在の事業を拡大させながら新事業もどんどん生み出していきながら会社を大きくできればと思っています。
ここまでなぜ芸人にこだわるのかというと、かまいたちの濱家さんが僕の1個先輩になるんですね。芸人時代から今でもお付き合いさせていただいてるんですけど、濱家さんと一緒にお酒を飲むとよく「お前が事故とかで働けなくなったら一生食わして行くから」って言ってくれてたんですよ。
その言葉がとても刺さって、その考え方が僕にも入ってるので芸人を断念された方や食って行くのが難しい現役の芸人さんを支えて行きたいなと強く思っています。
なので、今後も芸人の方々が自分のスキルを活かして、より良い生活を送れるように尽力し、彼らの活躍を通じて社会にポジティブな影響を与えることができればと思っています。
熊本
中道さんがどれだけ芸人に対して熱意を持って事業を展開してるかがよく分かりますね。
今後のご活躍を楽しみにしています。本日は貴重なお話ありがとうございました。
まとめ
フラワーズロマンスはリスティング広告やMessenger営業、SNSなどに力を入れることで顧客を獲得してることが分かりました。
① 経営者に直接メッセージを送る:企業が抱えているであろう課題を提示し、それに対する解決策や成功事例を合わせて送ることで、自分ごと化させ商談へ繋げてます。
② 自らが広告塔になる:SNSで自分の思いや事業に関することを配信し続けることで、メディアの出演依頼を獲得し出演することで、莫大な広告費をかけずとも多くの人にリーチすることが可能です。
今回は動画制作代行を行う株式会社フラワーズロマンスの中道さんにお話をお伺いしました。
顧客の獲得に課題を持つ方は、ぜひ参考にしてみてください。
b-pos編集部
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