BPMツール10選比較。特徴別3種類に分類して紹介【比較表付】
業務プロセスを整理して全員で同じ業務フローを実施することで業務効率化ができるBPMツール。企業の業務効率化の推進やDXをサポートするツールですが、どんなツールかわからなかったり、比較するのが難しいかもしれません。
本記事では、BPMツールにできることや選び方を解説したうえで、特徴別にツールを3つに分類して、各社のサービスを紹介します。本記事がBPMツール選びの一役になれば幸いです。
目次
BPMツールとは?
そもそもBPMとは、ビジネスプロセスマネジメントの略で「業務プロセス管理」の意味です。
BPMツールとは、業務プロセスを可視化・整理して、全員で同じ業務フローを実行することで、業務効率化を図るツールのことを指します。
社内のマニュアルをドキュメントに起こしていたものをツール内に入れ込み、そのマニュアルを動かすイメージです。ツールとしてマニュアルを動かすことで、通常業務で発生する「あの業務ってなにから始めればいいんだっけ?」や「だれに聞けばいいんだっけ?」を解消することができ、だれでも同じように業務を遂行することができるようになります。
BPMツールの機能・できること
ツールの定義が広く、各ツールによって機能は異なりますが、基本的な機能とそれによってできることは以下の通りです。
BPMツールの機能
BPMツールの機能は基本的には以下の3つです。
モデリング機能 | 業務プロセスをフローチャートなどを用いて可視化する機能 |
シミュレーション機能 | 設計したプロセスを実行した際にトラブルが起きないかを予測する機能 |
モニタリング機能 | 設計したプロセスの動作確認や稼働状況を確認する機能 |
要するに、1:ビジネスプロセスの可視化・設計をし、2:設計したものの動作を予測し、3:稼働状況を監視することで、業務プロセスの改善を図り、業務効率化や脱属人化を実現する機能が備わっています。
BPMツールにできること
上記のような機能を活用して、実現できることは主に2つです。
- 業務プロセスの可視化
- 業務の標準化
業務プロセスの可視化
これまでドキュメントや各人の頭の中に入っていた業務フローを、フローチャートなどを用いて可視化します。業務プロセスを可視化することで、次になにをすればいいのかが明確になったり、業務が今どの段階で止まっているのかの進捗確認が容易になります。
また、業務プロセスを可視化し、実行をしているうちに、非効率なプロセスを発見し、改善することができるようにもなります。
業務の標準化
業務プロセスを可視化し、実行手順を共通化することで、各人の業務のやり方を統一化することができます。業務が複雑な場合、部署間のコミュニケーションが発生したり、新入社員への説明工数が発生したりしますが、業務フローを整理しておくことでその説明の手間を省くことができます。
また、ワークフローにタスク・期日・担当者を設定することで、「だれが」「いつまでに」「なにを」するのかが明確になり、タスク漏れを防ぐだけではなくスケジュール管理までできるようになります。
BPMツールの分類
BPMツールにできることがわかったところで、次にBPMツールのタイプを見ていきましょう。特徴別に3つのタイプに分類しています。
- チーム単位の業務管理に強み
- チーム単位の業務実行・効率化に強み
- 大規模な業務プロセス改善に強み
1. チーム単位の業務管理に強み
中小企業やベンチャーなどの小規模な企業、大手企業でも部署内のみの「業務管理」に強みを持つタイプです。業務プロセスを分解し可視化することで、業務の進捗状況を確認することができます。
業務ごとに担当者を割り振ることができ、だれのどのタスクで止まっているのかなどの進捗管理から、各人のタスクの比重まで見えるため工数管理にも役立ちます。社内の業務量が多く、各人の負担を減らしたいという場合におすすめです。
2. チーム単位の業務実行・効率化に強み
先程の管理面ではなく、業務の「実行面」に強みを持つタイプ。業務を実行する担当は、BPMツールの画面を見ながら、表示される指示に従って作業を進めることができるため、マネージャーの業務説明工数の削減や業務の標準化が期待できます。
契約業務などの部署またぎでの繰り返し作業が発生する場合や、担当者が多く作業クオリティにバラつきが生じてしまっている場合などにおすすめです。
3. 大規模な業務プロセス改善に強み
大手企業の大きな部署や、中小企業でも企業単位で、社内の業務を「すべて」ツール内にて整理し、業務効率化・生産性向上を図りたい場合におすすめのタイプ。
業務プロセスの構築から運用前のテスト、実際に運用が始まったあとのモニタリングまで対応できるため安心。また、コンサルティングも入ってくれる企業もあり、社内の業務を一から整理し、効率化のための再構築がしたい場合におすすめのタイプです。
BPMツールの選び方・比較ポイント
BPMツールはどんなツールなのか、と結局輪郭がつかみづらく比較するのに苦労すると思います。
そこで、BPMツールの選び方を3つ紹介します。
- 編集・管理画面の使いやすさ
- 業務フローテンプレートの充実さ
- 外部ツールとの連携数
編集・管理画面の使いやすさ
BPMツールはとかく「使いやすさ」が重要になります。業務を改善しようとするとき、その改善には非常に労力がかかります。そのため、業務フローを構築する編集画面は扱いやすいかが大事になります。また、業務の管理画面は自社メンバーにとって見やすいかどうかを確認しましょう。業務プロセスを改善したとして、メンバーが扱えないのであれば目的である業務効率化が達成できないため「使いやすさ」は最も重要な項目と言えます。
業務フローテンプレートの充実さ
業務フローを一からつくるのは骨が折れる作業です。ツールによっては、最初から業務フローのテンプレートが用意されているものがあります。そのテンプレートをそのまま使うのではなく、そのテンプレートから自社の業務に合わせて調整し、業務フローを構築していきます。業務フローは会社の数ほど、ですのでテンプレート数が多く充実していればいるほど自社フローに近しいものを探すことができるため、テンプレートが充実しているかどうかもひとつの比較項目となります。
外部ツールとの連携数
BPMツールは業務の可視化だけではなく「自動化」が可能なものもあります。そもそもBPMツール内でRPAやAIを活用して業務を自動化できるものや、「Google Spreadsheet」や「Money Forward」などの他のツールと連携して作業を自動化できるものもあります。自社が利用しているツールと連携できるものを選べば、作業工数が削減でき業務効率化を実現することができるため、どのツールと連携可能なのかを確認しておきましょう。
BPMツール10選比較表
以下は、これから紹介するBPMツールを各項目で比較できる表です。
ツール名 | 特徴 | 料金 |
---|---|---|
BP Director | 業務フローのガントチャート形式での表示 | お問い合わせ |
TimeCrowd | ワンクリックで稼働記録、 リアルタイムで稼働状況の管理が可能 | お問い合わせ ※ 無料トライアル有:2週間 |
MITERAS 仕事可視化 | 各人のPCから「勤怠時間」「仕事内容」を自動記録 | 月額210円 / ユーザー ※ 無料トライアル有:1ヶ月 |
pipefy | 外部ツールとの連携が豊富で、 さまざまな用途で自動化による業務効率化を実現 | 月額20ドル〜 / ユーザー ※ 無料プラン有 |
octpath | 作業に合わせて順番にマニュアルが表示されるため、 だれでも迷わず作業可能 | 30,000円〜 / 月 ※ 無料トライアル有:15日間 |
ジョブステ | 外部ツールとの連携が豊富で、 さまざまな用途で自動化による業務効率化を実現 | 月額300円〜 / ユーザー ※ 無料トライアル有:15日間 |
formwork | 業務フローを外部に共有することが可能かつ、 フォームに入力するだけで業務の進行が可能なわかりやすいUI | 2980円〜 / 月 ※ 無料トライアル有:7日間 |
intra-mart BPM | 企業のDXを総合的に支援してくれる ツール+サポート型のBPM | お問い合わせ(オンプレミス) ※ 無料トライアル有:5日間 |
iGrafx | 業務プロセスの可視化からAIがそのプロセスを評価、 業務自動化による効率化も実現 | お問い合わせ |
Ranabase | 業務フローの作成代行、コンサルティング、 研修代行などサポート体制が充実 | 月額72,000円〜 / 5ユーザー |
【1.業務管理】BPMツール比較
チーム単位の業務管理に強みを持つBPMツールを紹介します。このタイプは業務プロセスを可視化し、チーム全体のタスクや業務スケジュールの管理に役立ちます。
BP Director|アシストマイクロ株式会社
複雑な業務プロセスを可視化・管理できるBPMツールです。時間軸を持つガントチャート形式でタスクを表示でき、進捗管理がしやすいのが特徴のツール。また、業務プロセス構築後は、いる・だれが・どのような処理をしたかをリアルタイムで確認することができ、作業者は自分に割り当てられたタスクを通知メールや管理画面から確認することができるため、タスク漏れも防ぐことができます。
特徴 | 業務フローのガントチャート形式での表示 |
連携ツール | お問い合わせ |
料金 | お問い合わせ |
TimeCrowd|タイムクラウド株式会社
「誰が」「何に」「どれくらい」時間をかけているのかを確認できるBPMツール。カレンダーアプリなどと連携することで、タスク開始時にワンクリックで稼働状況を自動で記録することができるため、作業者に負担がかからずにビジネスプロセスの管理が可能。また、メンバーごとに時間単価を設定することで人件費を算出できるため、プロジェクトごとに収支計算ができ、経営にデータを活用することができるのも特徴。
特徴 | ワンクリックで稼働記録、リアルタイムで稼働状況の管理が可能 |
連携ツール | Trello, slack, Asana, Salesforce, Googleカレンダー, Money Forward, Chatwork…etc |
料金 | お問い合わせ ※ 無料トライアル有:2週間 |
MITERAS 仕事可視化|パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
個人単位でのPCのログから「勤怠時間」と「仕事内容」を可視化するBPMツール。労働時間をPCから把握することで、サービス残業や休日に隠れて仕事をしていることがわかり、アラート通知メールを送信することも可能。組織全体での意識改革からはじめ、生産性向上・業務効率化を図ることができます。
特徴 | 各人のPCから「勤怠時間」「仕事内容」を自動記録 |
連携ツール | お問い合わせ |
料金 | 月額210円 / ユーザー ※ 無料トライアル有:1ヶ月 |
pipefy
海外の世界中で利用されているBPMツール。さまざまな用途で利用できるシンプルなUIが特徴。各業務ステップをカンバンビューで閲覧することができ、進捗管理もかんたん。業務が進行した際はSlackに通知など、外部ツールとの連携・各業務の自動化も可能で、連携パターンも幅広く揃っています。
特徴 | 外部ツールとの連携が豊富で、さまざまな用途で自動化による業務効率化を実現 |
連携ツール | Google Workspace, Slack, Dropbox, Salesforce, Asana, Box, HubSpot…etc |
料金 | 月額20ドル〜 / ユーザー ※ 無料プラン有 |
【2.業務実行】BPMツール比較
チーム単位の業務実行・効率化に強みを持つBPMツールを紹介します。このタイプは定型業務をだれで同じように業務を遂行できるようにし、脱属人化を実現するものとなっています。
octpath|株式会社テクノデジタル
あらゆる業務のマニュアル作成・実行管理ができるBPMツール。構築した業務フローに沿って作業を進めるだけで、ミスが減り、作業状況の可視化まで実現。作業に合わせて順番にマニュアルが表示されるため、だれでも迷わずに作業を進めることができます。また、作業手順の分岐を設定することも可能なので、複雑な業務であっても一つの画面に業務プロセスを整理することができます。
特徴 | 作業に合わせて順番にマニュアルが表示されるため、だれでも迷わず作業可能 |
連携ツール | Slack |
料金 | 30,000円〜 / 月 ※ 無料トライアル有:15日間 |
ジョブステ|インフォテック株式会社
社内の定型業務をマニュアル文書化・実行できるBPMツール。さまざまな定型業務のワークフローを構築し、その中から選択して実行することで、いつでもだれでも同じように業務を進めることができます。また、業務ごとに一覧で進捗管理も可能で、担当者や期日の把握もかんたん。契約業務や入社手続きなどの業務におすすめのツールです。
特徴 | 外部ツールとの連携が豊富で、さまざまな用途で自動化による業務効率化を実現 |
連携ツール | お問い合わせ |
料金 | 月額300円〜 / ユーザー ※ 無料トライアル有:15日間 |
formwork|株式会社Cone
これまでの2つとは異なり、社内業務だけではなく、クライアントワークの定型業務の可視化・実行が可能なBPMツール。業務フローを構築後、ステップごとに担当者と期日を設定し、担当者は業務を進行。担当者はフォームに必要項目を入力するだけというわかりやすいUIが特徴。このステップを外部メールアドレスに割り当てることで外部メンバーも業務フローに参加して業務の実行が可能。受注後の案件の進行管理やクライアントオンボーディングにおすすめのツール。
特徴 | 業務フローを外部に共有することが可能 かつ、フォームに入力するだけで業務の進行が可能なわかりやすいUI |
連携ツール | Slack |
料金 | 2980円〜 / 月 ※ 無料トライアル有:7日間 |
【3.大規模向け】BPMツール比較
大規模な業務プロセス改善に強みを持つBPMツールを紹介します。このタイプは社内すべての業務プロセスを見直し、DXを実現したい企業におすすめです。
intra-mart BPM|株式会社NTTデータ・イントラマート
先述のBPMの3つの基本機能を備えているだけではなく、企業のDXを総合的に支援してくれるツール+サポート型のBPM。国内企業を中心に9,500社以上が導入しており、業務プロセスの可視化、デジタル化、効率化を実現。ワークフローの編集はドラッグ・ドロップ操作で簡単に業務フローの構築が可能で、プロセスの可視化、モニタリング、改善まで可能なツール。また、業務プロセスを見直すための「BPM実践ワークショップ研修」などのサポート体制も充実。
特徴 | 企業のDXを総合的に支援してくれるツール+サポート型のBPM |
連携ツール | お問い合わせ |
料金 | お問い合わせ(オンプレミス) ※ 無料トライアル有:5日間 |
iGrafx|株式会社サン・プラニング・システムズ
企業の業務プロセスを一元管理し、継続的な業務プロセスの最適化を支援するBPM。業務プロセスの可視化から、AIがそのプロセスを評価します。また、業務プロセスの自動化も可能で、企業の業務プロセスを総合的に改善してくれるツールとなっています。機能は非常に多く搭載されていますが、作業者が関わる画面は直感的で使いやすく、またコンサルティングサービスもあるため、業務改善時も安心のサポート体制となっています。
特徴 | 業務プロセスの可視化からAIがそのプロセスを評価、業務自動化による効率化も実現 コンサルティングサービスもついているため安心 |
連携ツール | お問い合わせ |
料金 | お問い合わせ |
Ranabase|株式会社ユニリタ
業務改善コンサルティングから生まれたBPMツール。ドラッグして規定のシンボルを並べ、つなげる簡単な操作性で業務プロセスの可視化が可能。ツール内で業務を実行することはできませんが、作成した業務フローを組織全体に共有でき、チャット機能や付箋機能などを活用して組織全体で業務改善を進めていくことができます。また、業務フローの作成代行や業務改善コンサルティング、研修代行まで機能に加えてサポート体制まで充実。
特徴 | 業務フローの作成代行、コンサルティング、研修代行などサポート体制が充実 |
連携ツール | お問い合わせ |
料金 | 月額72,000円〜 / 5ユーザー |
まとめ
今回はBPMツールを紹介しましたが、業務プロセスの改善は手段であっても目的ではありません。自社の課題や状況とマッチしないツールを選んでしまうと、逆に導入定着コストがかかってしまい生産性は向上するどころか低下していまいます。
本記事で紹介したBPMツールの分類や比較ポイントを参考に自社に最適なツールを選びましょう。また、業務効率化に取り組みたい企業はツールだけではなく、自社の非効率な業務をアウトソーシングで対応するという手段もあります。
例えば、オンラインアシスタントを活用して、ノンコア業務を切り出すなどの方法があります。
自社に最適な「手段」にて業務効率化を実現しましょう。
b-pos編集部
代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)