オンライン秘書とは?依頼できる業務一覧・費用相場・サービスの選び方を詳しく解説

オンライン秘書とは、従来のオフィスに所属する秘書の役割をオンラインでサポートしてくれるサービスです。対面式の秘書とは異なり、高いスキルと経験を持つ専門家がオンライン上で様々なバックオフィス業務を代行してくれるため、必要な時に必要な業務を任せることができ、空いた時間をコア業務へ費やすことが可能となります。
名称に「秘書」が含まれていますが、実際の業務範囲は秘書業務に限定されず、非常に幅広い分野をカバーしています。
オンライン秘書サービスへの外注を検討されている場合は、以下の記事にて「おすすめの秘書代行サービス」13選を、3つのタイプに分けてその選び方から費用相場まで解説しています。
目次
オンライン秘書サービスが注目されている理由
オンライン秘書サービスが注目されている主な理由は、以下の2つの大きな社会的変化によるもがあります。
- リモートワークの普及
- ITツールの多様化
- 人材不足
リモートワークの普及
2020年のパンデミックをきっかけに、リモートワークを導入する企業が急激に増加し、現在もなお、パンデミック以前と比較して、リモートワークの実施率は依然として高い水準を維持しています。

これにより、居住地や生活スタイルを問わない自由な働き方への需要が高まっているため、オンライン秘書サービスへの関心が急速に拡大しています。
ITツールの多様化
企業側にオンラインでの業務管理ノウハウが蓄積されたことで、場所を問わない業務遂行が現実的になりました。多様なコミュニケーションツールやプロジェクト管理ソフトウェアの登場により、オンライン上での円滑な業務遂行が可能になりました。これらのITツールの進化により、オンライン秘書サービスの活用が効率的かつ現実的な選択肢となり、業務効率化を行いたい企業を中心に注目が集まっています。
人材不足
最後に、深刻化する人材不足の問題に対する解決策としても、オンライン秘書サービスが注目されています。採用や教育にかかる時間と費用を削減でき、専門性の高い人材を即戦力として活用できるというメリットがあります。必要な業務のみを外部に委託することでコスト削減につながり、また退職リスクを回避することで業務運営の安定性も実現します。特に中小企業や一人社長の会社など人手不足に悩む企業にとって、オンライン秘書サービスは効率的な業務運営を実現するための有効な選択肢となっています。
オンライン秘書サービスに依頼できる業務
オンライン秘書サービスに依頼できる業務は多岐にわたり、カテゴリごとに分けてご紹介します。
秘書業務 | ・スケジュール管理 ・アポイントメント調整 ・メール管理と対応 ・出張手配(航空券、ホテルの予約) ・会食先のリサーチと予約 ・資料作成、議事録作成 |
事務業務 | ・データ入力と集計 ・文書作成 ・名刺管理 ・顧客リスト管理 ・契約事務 |
総務業務 | ・電話対応 ・セミナー会場手配 ・カスタマーサポート ・備品手配 / 管理 |
経理業務 | ・請求書作成 ・経費精算 ・入金管理 / 支払業務 |
人事業務 | ・勤怠管理 ・採用業務(求人媒体への掲載など) ・残業管理 |
マーケティング | ・SNS運用代行 ・メルマガ運用 ・ライティング ・コンテンツ作成 ・広告運用 |
翻訳・通訳 | ・書類翻訳 ・会議での通訳 |
制作業務 | ・Webデザイン ・ライティング |
人事・採用 | ・求人票の作成 ・スカウトメール送信 ・応募対応 ・面接日の調節 |
上記で紹介したものはオンライン秘書サービスが提供する一般的な業務内容の一部です。依頼先によっては、さらに多くの業務を対応可能な場合もあるので、依頼前には確認しましょう。
オンライン秘書サービスの料金体系と費用相場
オンライン秘書サービスを利用する際の料金は、サービスの範囲や内容に応じて料金は変動しますが、基本的には以下3つの料金体系で提供されます。
- 月額固定制
- 従量課金制
- チケット制
月額固定制
月額固定制は、毎月一定の稼働時間に対して固定料金を支払う料金体系です。この方式では、長期的な利用を前提とし、安定した業務サポートを継続的に受けたい際に有効です。予算管理がしやすく、定期的な業務に適していますが、稼働時間を超過した場合は追加料金が発生するため、業務量の計画的に管理することが重要となります。契約期間が長いほど時間単価が安くなる傾向があり、コスト効率を高めることができます。
料金相場 | 50,000~150,000円 / 月 |
1時間あたりの料金 | 2,000~4,000円 |
稼働時間の平均 | 12~30時間 / 月 |
従量課金制
従量課金制は、実際に利用した業務内容や量に応じて料金が変動する柔軟な料金体系です。電話対応やメール対応など、個別の業務ごとに料金が設定されており、必要な分だけ支払うことができます。不定期な業務や小規模な作業に適しており、月額制よりも料金の見通しが立てやすい場合があります。ただし、業務の難易度によって料金が変動する可能性があるため、複雑な業務の場合は事前に料金の確認が必要です。
電話対応 | 200円 / 件 |
メール対応 | 150円 / 月 |
チケット制
チケット制は、あらかじめ一定量の作業時間や業務量を購入し、必要に応じて使用する料金体系です。この方式では、必要な分だけチケットを購入できるため、無駄がなく効率的です。長期的な契約を避けたい場合や、業務量の変動が大きい場合に適しています。ただし、チケットには使用期限がある場合が多いため、計画的に利用する事が求められます。また、チケットの購入単位や価格設定によっては、大量購入でコスト削減できる可能性もあります。
チケットの料金相場は、500~2,000円となっています。
オンライン秘書サービスを利用する際の3つの注意点
オンライン秘書サービスを利用する際の注意点は大きく3つあります。
- 依頼内容を明確にしておく
- コミュニケーション方法を工夫する
- セキュリティ対策を確認する
依頼内容を明確にしておく
オンライン秘書を利用する際には、依頼内容や範囲を具体的にすることが重要です。依頼内容や範囲が曖昧だと、オンライン秘書との連携がうまくいかず、期待した成果が得られない可能性があります。
例えば、「請求書作成にかかっている時間が多く、他の業務に影響が出ているので請求書発行業務を任せたい」や「手動でデータ入力を行っているため、ミスが多く、時間もかかっているためデータの入力を任せたい」といった具体的な業務を明示することで、秘書はその業務に必要な情報や手順を把握しやすくなります。また、業務の優先順位や納期についても事前に伝えることで、よりスムーズな業務遂行を行うことが可能となります。
コミュニケーション方法を工夫する
オンライン秘書とのコミュニケーションでは、適切なツールと方法を選ぶことが重要です。ビジネスチャットやメールなど、目的に応じて使い分けることで、情報の伝達が円滑になります。
例えば、緊急の連絡は電話やチャットツールで行い、詳細な情報が必要な場合はメールを使用すると良いでしょう。また、テキストでのやり取りでは、わかりやすく簡潔な文章を心掛けることが大切です。改行や箇条書きを活用し、確認事項には番号を振ることで返答がスムーズにななるため、コミュニケーションコストを減らしながら、業務効率を向上させることができます。
セキュリティ対策を確認する
オンライン秘書サービスでは、多くの場合機密情報や個人情報を扱う業務を代行するため、セキュリティ対策が適切に行われているかが非常に重要です。
具体的には、秘密保持契約(NDA)の締結やスタッフへの情報管理教育の実施状況をチェックすることをおすすめします。また、サイバー攻撃への対策として使用しているセキュリティソフトやシステムについても確認し、安全性を確保することが必要です。このような対策によって、大切な情報の漏洩リスクを低減させることができます。
オンライン秘書サービス利用イメージ
オンライン秘書サービスを実際に利用したユーザーの事例を3つ紹介します。
HELP YOU

依頼企業:株式会社日本農業
依頼前の課題 | 人事チームリーダーが「ひとり人事」として採用業務を担当していたが、応募者対応の増加により業務が過重になっていた。また、労務業務も兼任しており、ルーティン業務に多くの時間を割かれていた。 |
支援内容 | ・応募者対応 ・スカウトメール送信 ・新規の取引先情報の確認 ・システムへの登録作業 ・反社チェック ・名刺作成の管理 ・振込内容のチェック など |
得られた効果 | ・コア業務に集中できる環境が整い、効率的な運営が可能に ・業務の切り出し方次第で、オンラインでも問題なく仕事を進めることができると気付けた ・社員数が4倍に増加し、フルリモートでの採用も実現 |
オンラインアシスタント「フジ子さん」

依頼企業:セルフホワイトニングカフェのフランチャイズ企業
依頼前の課題 | 専任のバックオフィス業務担当者が不在であった |
支援内容 | データ入力や請求書作成などのバックオフィス業務全般 |
得られた効果 | ・社内スタッフの工数が大幅に削減され、より重要な業務に集中できるように ・10時間単位で依頼できる柔軟性と、チーム制による安定した業務で仕事が効率化 |
SUPPORT+iA

依頼企業:株式会社Minato
依頼前の課題 | ・代表が全ての請求やバックオフィス業務を担っており、業務が回らなくなる懸念があった ・自身が集中すべき業務とそうでない業務を選択する必要性を感じていた |
支援内容 | ・請求書の作成 / 管理 ・入金管理 ・登記変更 ・書類の郵送 など |
得られた効果 | ・業務の70%が解決され、時間的生産性が約20%向上 ・導入後に売上が約2倍に成長 |
オンライン秘書サービス / 会社の選び方
オンライン秘書サービスを導入する際、多数のサービスや会社が存在する中で、どれを選べばよいのか悩むと思います。なので、オンライン秘書サービスを3つのタイプに分けてみました。
スタッフの質に強み | 業務を実施するスタッフが豊富な実務経験があり、スキルを備えているタイプ |
対応できる業務範囲に強み | 基本業務に加え、Webサイト運営やECサイト、デザイン業務など、さまざまな業務に対応できるタイプ |
特定業務に特化 | 業務を幅広くカバーする、のではなく、経理特化・採用特化というように特定の業務カテゴリに特化しているタイプ |
上記3タイプのオンライン秘書サービスの中からさらに比較するためのポイントは以下の3つです。
業務量の変化への柔軟性 | 業務量の少ない時期は、代行サービスを利用すると無駄なコストが発生してしまう可能性があるため、使わなかった時間を翌月に利用できる「繰り越し精度」の有無を確認しましょう。 |
自社ツールへの対応 | 検討しているオンライン秘書サービスが自社が利用しているチャットツールやCRMなどに対応できる人材が在籍しているかどうかを確認しましょう。 |
オフラインの対応 | 現地での電話取り次ぎ、書類のファイリング、顧客対応、書類郵送などのオフラインでしか対応できない業務を依頼したい場合は、このポイントを確認しておきましょう。 |
下記記事で、オンライン秘書サービス13社を比較しています。オンライン秘書サービスへの依頼をご検討されてる際には参考にしてみてください。
オンライン秘書サービスのよくある質問
Q1. 契約後、どのくらいでサービスを開始できますか?
多くのオンライン秘書サービスは、最短で2日から3日で利用開始が可能です。しかし、サービスや業務内容によって異なってくるため確認しましょう。
Q2. コミュニケーションはどのように行いますか?
普段使用しているツール(メール、Slack、LINEなど)で依頼や指示を行うことができます。メールよりもビジネスチャットツールに対応しているサービスを選択することで、迅速に業務を依頼することが可能となります。
Q3. 料金相場はどのくらいですか?
オンライン秘書サービスの料金はサービスによって異なりますが、一般的には月額50,000~150,000円(15~30時間)が相場となります。
Q4. オンライン秘書とクラウドソーシングの違いは何ですか?
オンライン秘書は専任のアシスタントがチームで担当し、継続的なサポートを提供するのに対して、クラウドソーシングはプロジェクト単位でフリーランスが個別で担当する形になるため、一度に対応できる業務量に差があります。
Q5. オフライン業務には対応していますか?
基本的にはオンライン業務のみの対応ですが、一部のサービスではオフライン業務にも対応可能な場合があります。書類のファイリング、顧客対応、書類郵送などオフラインでしか対応できない業務を依頼したい場合には、対応できるサービスを選択してください。
まとめ
オンライン秘書サービスを利用する一番の目的は「業務の効率化を行いたい」だと思います。現在行なっている業務の中に、請求書の発行や書類整理などのコア業務以外の仕事に多くの時間を取られているかと思います。
オンライン秘書サービスでは、日々のルーティン業務や事務作業を代行して行なってくれるため、コア業務に集中できる環境が整い、業務の生産性が向上します。
最終的には、オンライン秘書サービスの導入によって得られる時間的余裕が、戦略的な業務や新たなビジネスチャンスへの取り組みにつながり、企業全体の成長を促進することが期待されます。

b-pos編集部
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