紹介を得るための信頼構築ポイントは期待値管理。RASHISAの「成果が出た施策の裏側」

この記事ではBPO事業者を対象に、サービスの立ち上げから現在に至るまでで一番効果があった施策や取り組みについて紹介していきます。

今回取材したのは株式会社RASHISAの代表取締役である岡本 翔(おかもと しょう)さんに、これまでの苦悩から現在行っている顧客獲得手法などについてお伺いました。

繊細な人だからこそ輝けるビジネス

熊本

まず初めに「RASHISA」についてお聞きしてもよろしいでしょうか。

弊社は営業領域のBPOサービスを提供している会社で、具体的にはインサイドセールス代行と直筆手紙の制作代行の2つのサービスを提供しております。

RASHISAのサービスページはこちら

直筆手紙の営業代行はまだテストマーケをしてる段階なので、現在はテレアポなどを行うインサイドセールス代行をメイン事業として運営しております。

熊本

インサイドセールス代行を行う競合って結構いると思うのですが、その中でどのように優位性を出しているんですか。

弊社では「ハウスリストを活用したアポ取り」×「成果報酬」というところが強みかなと思います。

加えて初期費用や月額費用もいただいておらず、アポ単価の成果報酬だけをいただいているので、価格面でも優位性を出しております。

熊本

少し話は変わりますが、RASHISAさんの他の記事などを拝見していると「虐待」×「ビジネス」という言葉を見つけたんですよ。その「虐待」からどのようにインサイドセールスや手紙営業というビジネスモデルに行き着いたのかが気になります。

幼少期に虐待を受けた人が大人になると「人間関係のコミュニケーションの難しさ」や「何かしらの働き辛さ」というものを抱えてしまうことが多々あります。そういった方々の働き辛さとは何なのかを実際の現場を通じて分析し、働きやすい社内を作るというのをコンセプトに事業を運営しています。

なぜ、架電代行や手紙営業代行をしてるのかでいくと、虐待を受けた人の中でも凄い共感力だったり感受性みたいな繊細さを兼ね備えた方がいるんですが、そういった方々は電話の声だけで相手の感情を読み解く力が優れてるんです。なので、適切な言葉を投げかけてアポイントに繋げれるという強みがあります。

また、同じような理由で繊細な方っていうのは手紙を書く時に誤字脱字に気づきやすいので、そういった方々の特性を活かしながら事業に昇華してるって感じです。

案件の期待調整と社員教育するための仕組みづくり

熊本

岡本さんの業務内容やミッションについてお伺いしてもよろしいでしょうか。

私は会社の代表として基本的にリード獲得のための戦略設計から実行(商談対応やクロージング)までを担当しております。案件の受注後は社内のディレクターに担当してもらっています。

私自身がマーケティングとかセールスと言われる領域をやっているので、案件を獲得する際の期待調整というところは大事にしていますね。

具体的には、稼働してくださる方と営業である私は違うので、いかに現場の方々が疲弊しないような案件を受注するかっていうのは大事だと思ってます。

熊本

確かに営業の方とディレクターが分かれている場合にはその辺の期待調整って大事になりますもんね。

ちなみに、現在の従業員数はどのくらいいるんですか。

正社員の方が3名いて、ディレクションや架電を行っております。加えて、アルバイトの方が6名いて、架電メインのインサイドセールスを担当していただいているので、計10名で事業を運営しております。

熊本

現在いらっしゃる従業員の方々も過去に虐待を受けた経験をお持ちなんですか。

そうですね。従業員の4割くらいは経験をしてきた方が在籍しています。もちろん、全員が全員インサイドセールス経験者ではないので、色々な施策で学習できる環境を作っています

弊社のバリューにもあるんですが、「まずは行動してそこから改善」というのが前提としてあります。

具体的に言うと、弊社はフルリモートなんですが、1日に大体4回ほどのショートミーティング(10~15分ほど)を毎日設けており、そこで質疑応答やマネージャーからのフィードバックを行っています。このような場を設けることによってまずは行動してそこから学びを得ることはもちろん、相互のレベルアップをする機会を作っています。

熊本

1日に4回も設けてるんですね。確かに、無理矢理にでもそのような場を設けることで、半強制的に学べる時間が担保されますもんね。

顧客を紹介してもらうには期待値の適切な調整が重要

熊本

現在の顧客獲得方法についてお伺いしてもいいですか。

弊社は、ハウスリストを持っている企業様との相性が良かったりします。広告代理店さんとかってお客様の広告のリードを獲得することが目的だと思うんですけど、このリードを獲得した後のアプローチが難しくなるので、マーケを支援されている会社様からご紹介いただくという座組は割と上手くハマりましたね。なので、直近で行くとこのような形で紹介をいただくことが多いです。

熊本

なるほど。紹介が今のメインとなる顧客獲得施策なんですね。他にはどんなことを行っていますか。

最近までフォーム営業をやっていたのと、交流会などのオフラインで人と接触するという事も最近始めました。オフラインの場ではまだドンピシャな案件はないんですが、営業代行として商談につながることはありましたね。

熊本

やっぱりオフラインで交流するということも大事なんですね。なんでオフラインという手段に行き着いたんですか。

この2年間、事業を行いながら社外向けの時間を作るようになった結果、売り上げの90%以上が紹介や繋がりからの案件であることが分かりました。

オフラインの場を活用し、多くの方々とのご縁をいただくことが、事業戦略上非常に重要であると感じています。

従業員数が20名程度のフェーズにおいて、トップ営業として私自身が積極的に動くことが最も効果的な戦略だと考えており、事業の成長を加速させることができると思っています。

これはなかなか再現性が低いのでオススメはできませんが、オフラインでの顧客獲得チャネルも重要だと思います。

熊本

なるほど。関係構築が結構重要ということですね。何か関係を築く上で重要視してるところはありますか。

やはり、約束を守ることや期待値の適切な調整が鍵となります。例えば、弊社では営業活動の指標として、アポイントメントの数や電話での接触回数、そしてそれらから得られる具体的な成果の見込みなどを明確に提示しているので、クライアントとの間で適切な期待値の共有が可能となります。

また、ミーティング後には必ず次のアクションプランとその期限を明確にし、それを確実に実行することで信頼を積み上げていきます。成果を上げることは大前提ですが、それは日々の小さな約束を守り続けることから始まると思っているんですよ。このような地道な努力の積み重ねが、長期的な信頼関係の構築につながると確信しています。

従業員に合わせた手紙営業業界への参入

熊本

2022年にサービスをリリースしたと思うのですが、その当時はどのように顧客を獲得して行ったのでしょうか。

会社自体は2017年からあり、新卒採用イベントの運営からスタートしました。そこから新卒採用のWEBメディアみたいなものを作っていたんですよ。なので、その当時から繋がりのあった会社(20社ほど)にお声がけをして案件を獲得していました。そこから3社ほど受注することができましたね。

今では「固定報酬」で費用をいただいているんですけど、当時は実績もないので「成果報酬」でいただいておりました。

熊本

なるほど。少し話は戻りますが、なぜ手紙営業のサービスをリリースすることになったんですか。

虐待を受けた方々を自社で雇用して架電を行っていたんですが、架電業務が全員に合っているわけではないというのが、なんとなくわかってきたんですよ。

そこで、営業の周辺領域をいろいろとリサーチしていく中で、手紙営業ですごい伸びている会社があることに気づいたんです。これはいけると思い、『よし、手紙営業をやってみよう』と決意しました。

そこで色々体制を組み直して、今年の5月頃からテストマーケティングとしてサービスを開始し、現在も継続して取り組んでいます。

熊本

元々働いてた方の属性に合わせて、且つ既存であるサービスに類似するようなものを見つけたということですね。では、手紙営業の方ではどのように差別化を行っているんですか。

弊社の手紙営業代行は単価が非常に安いのが特徴です。他社様の場合、用途にもよりますが、便箋や封筒を活用して送ると1通あたり数百円かかることが多いんです。

しかし、私たちの場合は便箋や封筒ではなく、お客様専用のポストカードを作成することで、1通あたりの原価を下げることができるんです。

なので、競合他社と比較した場合、私たちはコストを約3分の1に抑えることが可能なんですよ。例えば、他社が1通あたり900円かかるところ、私たちは300円程度で提供することができています。

SNSに力を入れたことで紹介営業を促進

熊本

では、これまでで一番効果が出た施策は「紹介営業」と言うところですね。

そうですね。会う人全員にRASHISAの話をしていき、そこから1年後とかに受注できたりしてます。この紹介してもらうための繋がりを広げる場として私はX(旧Twitter)を選択しました。

岡本さんのXアカウントはこちら

熊本

Xを運用することで意識してることはありますか。

とにかく継続することですね。2024年6月末頃から本格的に始めてから、投稿を途絶えさせないように意識しました。

その結果、現在は1,000人以上の方にフォロワーしてもらい、協業や受注に繋がっていたりもします。

また、フォロワーとのコミュニケーションも大切にしています。コメントやメッセージに対してできる限り迅速に返信し、フォロワーの意見や要望を積極的に取り入れることで、信頼関係を築いています。これが、サービスの成功に大きく寄与しています。

熊本

何事も継続が大事ということですね。ちなみにオウンドメディアなどは持ってないんですか。

今は持っていませんが、9月にホームページをリニューアルする予定です。BPOとは関係ありませんが、虐待に関する一次情報を配信するコンテンツを出していく予定です。この新しいコンテンツは、社会的な問題に対する意識を高めるためのもので、私たちの企業理念にも合致しています。 さらに、ホームページのリニューアルに伴い、オウンドメディアも立ち上げる計画です。これにより、私たちの専門知識や最新情報をより多くの人々に届けることができると考えています。

経営者に対するインタビューで「経営者図鑑」を作成

熊本

最後に、今後の展望についてお伺いしてもよろしいでしょうか。

今の事業についてですが、架電代行はシーズA以降の企業、特に成長期にある会社のお客様が多いんですけど、これから新たに、小規模事業者様向けのアポ取り代行サービスも立ち上げる予定です。このサービスは、従業員数が10名未満で成長意欲のある社長様を対象としており、当サービスを活用して、事業拡大の伴走ができると嬉しいです。

なので、そういった社長様の入り口から出口までを伴走できるような事業を作っていきたいなと思っております。

他にも、経営者向けのメディアを運営していこうと思っていて、簡単に言うと経営者図鑑なんですが、そこで経営者さんに対してインタビューを行います。

経営者図鑑の詳細はこちら

毎月30件ぐらい行っていく予定で、そこで顕在化されたニーズに対して営業の提案をしていこうと思っています。

熊本

なるほど。僕自身もこのようなインタビューコンテンツを配信しているんですが、インタビュー先を見つけるのに苦戦してるんですよ。その辺はどのように対策していくんですか。

方法は3つあると思っています。

一つは先ほどと同様の「紹介」ですね。二つ目は「SNS」です。三つ目が交流会などのオフラインの場で打診します。

このオフラインの交流会に行き始めたのも今年の6月ごろからなので、まだまだこれからというところですね。

BPO事業において、最も重要なのは人材だと思っています。なので、優秀な人材を確保し維持するための施策に力を入れていく予定です。具体的には、交流会の開催やSNSを活用した取り組みを今後も積極的に展開していきたいと考えています。

また、事業の初期段階においては経営者自身がトップ営業として前線に立つことの重要性をお伝えしたいと思います。私自身、この2年間の経験を通じて、会社の規模にもよりますが経営者が直接営業活動を行うことの効果を実感しました。

これは単なる売上げの向上だけでなく市場のニーズを直接把握し、自社のサービスを適切に位置づけるための貴重な機会にもなります。

経営者が率先して営業活動を行うことで、会社全体の方向性を明確に示し、成長戦略を効果的に実行できると思っています。

熊本

本日は貴重なお話しありがとうございました。

まとめ

RASHISAは以下の施策にて顧客を獲得していることが分かりました。

① 顧客獲得方法:ハウスリストを持つ企業やマーケティング支援企業からの紹介が多く、フォーム営業なども実施しています。

② オフラインの重要性:売り上げの90%以上が紹介や繋がりからの案件であり、オフラインの場での交流が事業戦略上重要です。経営者自身が積極的に動くことが効果的です。

③ 関係構築のポイント:約束を守ることや期待値の適切な調整が鍵であり、アポイントメントの数や電話での接触回数などを明確に提示し、ミーティング後の次のアクションプランとその期限を明確にし、確実に実行しています。

④ 手紙営業の導入:架電業務が全員に合っているわけではないことに気づき、手紙営業の会社が伸びていることに注目し、サービスを開始しました。コストを約3分の1に抑えるポストカードを活用しています。

⑤ SNSの活用:X(旧Twitter)を活用し、紹介営業を促進しています。継続的な投稿とフォロワーとのコミュニケーションを重視しています。

今回は虐待問題に取り込み、インサイドセールス代行と直筆手紙の制作代行を提供する株式会社RASHISAの岡本様にお話をお伺いしました。

顧客獲得に課題を持つ方は、ぜひ参考にしてみてください。

b-pos編集部

代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)