10人参加すれば3件受注が取れるウェビナーを社長1人で設計。ENVY社の「成果が出た施策の裏側」
この記事ではBPO事業者を対象に、サービスの立ち上げから現在に至るまでで一番効果があった施策や取り組みについて紹介していきます。
今回取材したのは株式会社ENVYの宮津 駿(みやつ しゅん)さんにこれまでの苦悩から現在行っている顧客獲得手法などについて伺いました。
目次
ウェビナー運営の全てを代行する「セミナーBPO」
熊本
まず初めに、ENVYさんの事業内容についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
宮津
株式会社ENVYではオンラインセミナーのBPO事業を展開しており、具体的には「セミナーBPO」というサービスを提供しております。
この「セミナーBPO」では、ウェビナーの企画、資料作成、台本作成、集客、司会進行、運営といった登壇以外の全ての業務を代行しております。
まだ先の話にはなりますが、AIアバターを用いて登壇まで代行できるようになる未来を描いており、そのための試験運用も行ってる最中なんですよ。
熊本
登壇以外は全て任せられるのは非常に使い勝手が良さそうですね。
では、競合と比較したときのENVYさんの強みはどこになるんですか。
宮津
一言で示すとBPO(完全代行)であるという点があります。
ウェビナー支援を行っている他社のサービスもリサーチしましたが、完全代行形式で関わるのは、弊社の「セミナーBPO」だけです。
他社では「一気通貫」や「ワンストップ支援」と謳っていますが、実際には「資料の骨子は作りますが、デザインはご自身で作ってください」や「集客ページは作りますが、広告運用はご自身で行いアクセスを集めてください」といった形で、重要な部分を任せられないんですよ。
それに比べて、「セミナーBPO」では全て丸投げするだけで代行するので、そこが大きな違いですね。
また、セミナーBPOでは「ウェビナー収益モデル」を提供してるので、納品する成果物も異なります。ウェビナーを開催することで複数の見込客から同時に受注を獲得できる仕組みのことを「ウェビナー収益モデル」といいます。
上図のように、10人のウェビナー参加者を集め、そのうち20-30%がその場で受注する仕組みを提供します。単に見込み客を集めたり、ウェビナー資料を作成するだけではなく、ウェビナーを活用して売上が上がる仕組みを納品することがセミナーBPOのミッションなんですよ。
同業他社との違いをまとめると「集客」「受注が取れるセミナー制作」「開催、司会進行、運営」の全て代行するというところが一番の差別化ポイントですかね。
熊本
CPA1万円で成約率が20~30%ならすごい効果ですね。それを全てやってもらえるとなると使わない手がないように思えます。
「期待を超えた売上、売上、売上」を提供することが仕事
熊本
業務をする上で大切にしていることやミッションはありますか。
宮津
私たちのミッションは社名「ENVY」に込められています。お客様が競合他社から嫉妬されるほどの成果を上げる仕組みを提供することが私たちの使命です。
このミッションを実現するための行動指針が4つあります。
行動指針①:嫉妬されるくらいの成果とは、お客様の期待を超えた売上、売上、売上である
行動指針②:お客様のビジネスに合わせたウェビナー収益モデルを提供すること
行動指針③:単なる売上では足りない。雪だるま式に売上(利益)が膨らむ状態を実現する
行動指針④:結果として継続的な発注が増え、当社の利益に繋がる。①~④の順を誤るな
熊本
なるほど。カスタマーサクセスを重視されてるということですね。
宮津
弊社はお客様に成功を届けること(カスタマーサクセス)で利益が出るビジネスモデルなので行動指針は特に大切にしていますね。
あとは、弊社のサービスはモノやシステムではなく「人工(にんく)」なのでディスカウントしないようにもしています。ディスカウントしてしまうと従業員の給料に直接影響し、従業員のテンションダウンに繋がりかねないからです。
その結果、サービスの品質が低下しお客様に成功を届けられなくなるのを避けるために、その辺りも大切にしています。
ウェビナー会社だからウェビナーでの営業を徹底する
熊本
現在の顧客獲得方法について教えていただけますか。
宮津
弊社はウェビナー会社なのでウェビナー経由での受注が8割くらいあり、アライアンス企業からの紹介が2割くらいとなっております。
ただ最近はX経由でのお問い合わせや、b-posさんやホームページからの問い合わせ経由、CxOレター経由などの受注も取れ始めている状況ですね。
熊本
さすがウェビナーやセミナーを支援してる会社なだけあって、ウェビナーからの集客が上手ということですね。では、具体的にどのようにしてウェビナーから受注に繋げているのかを教えていただけますか。
宮津
セミナーBPO会社と謳っているので、私たち自身が一番の成功モデルにならないとお客様に成功を再現できないじゃないですか。だからこそ、弊社ではウェビナーを使った営業を徹底しており、お客様の信頼を得ています。
ウェビナーで受注を取るために重要なことは2つあります。
①見込客に現状の問題を自覚してもらうこと
②視覚的に理解できる形でサービスを伝えること
ほとんどの見込み客は問題を認識していないケースが多いです。
つまり、問題を認識しなければ解決しようとしないため、商品は売れませんよね。なので、問題に気づいてもらえるメッセージを伝えることが重要ということです。
わかりやすい例として「カビキラー」のCMがあります。
・普段気にも留めていないお風呂場の汚れ。(無自覚)
・しかし、それが実はカビの生え始めかもしれません。(自覚)
このようにして問題を認識させています。
そして、この問題を解決したいと感じたときに、カビキラーではカビを根本から撃退しているイメージを視覚的に理解できる形でサービスを伝えています。
しかし、ウェビナーで販売する商材は基本的に無形商材が多いです。無形商材は「何をしてもらえて何が得られるのか」が見えにくく、売り辛いという課題があるので、視覚的に見込み客が受けるサービスや導入フロー、納品物を細かく示すことで、成約率を飛躍的に向上させることができるんですよ。
なので、ウェビナーから受注を取るためには「見込客に現状の問題を自覚してもらうこと」と「視覚的に理解できる形でサービスを伝えること」の2点が重要です。
お客様に対してもこの2点を徹底しているので20-30%の成約率を確保できており、お客様からも反響の声をたくさんいただいております。
熊本
ウェビナーでもナーチャリングが重要ということですね。
少し話は戻りますが、どのように紹介してくれる(アライアンス)企業を見つけてるのでしょうか。一般的に紹介ってそんなに出ないと思いますが、どのようにして紹介が生まれるような仕組みを作っているのかを教えていただけますか。
宮津
アライアンス企業を見つける方法は2つあります。
1つ目は、人脈が広い経営者のお客様と紹介契約を結ぶことです。最近では、弊社の支援実績が増えてきたおかげで、さまざまな業界のお客様から紹介をいただいていますね。
2つ目はX(旧Twitter)ですね。
毎日ウェビナー関連の情報を投稿したり、紹介パートナーを募集するための投稿をしているため、内容に共感してくださった方から連絡が来ます。現在では、週に2~3件の商談をX経由で設定できているんですよ。
アライアンス企業から継続的に紹介をいただくために行っていることは「弊社の見込客を抱えていそうな企業とアライアンスを結ぶこと」と「紹介料として売上の25%を支払うこと」の2つがあります。
紹介料の相場はおおよそ10%ですが、弊社ではトスアップのみで契約が決まった場合には売上の25%を支払うようにしています。そのため、最低でも20万円は紹介料としてお支払いできるので、アライアンス企業にとって紹介するメリットがあるかと思っています。
お客様にウェビナー収益モデルをご提供することはもちろんですが、ご紹介いただいたアライアンス企業にも十分な還元をすることに重点を当てています。
熊本
なるほど。確かに売上の25%をもらえるなら紹介したくもなりますね。
ちなみに、それらの業務全てを管理するのは大変だと思うのですが、宮津さんのみで対応してるんですか。
宮津
いいえ、一部の業務は外部のプロに委託しています。
ウェビナーからの受注や紹介からの受注、b-posさんやホームページからの問い合わせも増えてきているんですが、受け身の営業だけでは今後立ち行かなくなる可能性もあるため、CxOレターなどのプッシュ型の施策も実施してるんですよ。
その中で、弊社は確度の高い見込客に注力するために、株式会社RASHISA様にインサイドセールスを代行してもらっていますね。
BDRはRASHISA様に代行してもらい、SDRは弊社の従業員が担当し、オンライン商談は私が行っています。この仕組みにより、少ない従業員数や予算でも継続的に受注を獲得することができているんですよ。
営業代行とセミナー集客代行に依頼して失敗
熊本
では、これまでに色んな施策を行ってきたと思うのですが、その中で効果があまり出なかったものなどはありますか。
宮津
そうですね、営業代行とウェビナーの集客代行に依頼したことが失敗でしたね。ただし、セミナーBPOについてはリリース時から施策が固まっていたため、開発背景とその前に失敗した施策についてお話しさせていただきます。
私は大学生の頃にHP制作やECサイトの設計を行う仕事をフリーランスで始めました。しかし、クラウドソーシングで仕事を請けていたため手数料が高く、あまり利益が出なかったんですよ。
なので、自分で営業を始めようと試行錯誤しましたが、大学生で人脈やコネもなかったので、新規のクライアントを獲得するのは本当に大変でした。
そこで最初に営業代行会社に依頼することにしたんですよ。その会社は会員をマッチングするサービスを提供していましたが、担当者が弊社のサービスを十分に理解しておらず、マッチングの精度も低かったためHPやEC作成の差別化ができず、結局1件も売れなかったんです。
熊本
依頼者のことを理解してない状態で見込み顧客を獲得するのって難しいですよね。確かに宮津さんと同じような悩みを抱えた企業様の話はちょこちょこ耳にします。
宮津
その後、1件1件商談して毎回同じ説明をするのは時間効率が悪いと感じたので、複数人に一気に説明できるウェビナーを開催することにしました。
しかし、最初は自分で集客することが難しかったためウェビナーの集客代行会社に依頼し、1回の開催で20名を集客するために30万円(1人あたり1.5万円)をかけたんですよ。
そこから2件のアポイントメントを獲得できたんですけど、結局受注にはつながりませんでした。5回ほど開催し、累計で100名以上を集客することができたんですけど、受注は0件。まるで穴の空いたバケツに水を注いでいるような状態で苦しかったですね。
熊本
30万円かけて1件も受注できないのは費用対効果あまり良くないですね。
宮津
ただ、アポまで繋がる割合が約10%はあったため、構成さえ改善すれば成果が出るのではないかと感じたんですよ。そんな時に海外でプレゼンテーションを使って販売する講座を発見したので、実際にその講座を受講し、日本語に翻訳して試したところ、1件ですがウェビナーで受注を獲得することができたんですよ。
そこから講座の内容に沿ってウェビナーを何度も開催し、精度を高めることができました。その過程で、大量の顧客リストを持つ会社と業務提携することもできたので、あの講座には救われましたね。
そんな経験を踏まえて、過去に私自身が案件を取れずに悩んだ問題を解決するサービスとして走り出したのが「セミナーBPO」です。約1年間の試験運用を経て、個人事業主や一人法人、中小企業でも成果が出る状態を作り上げた後にサービスとして正式リリースをしたんです。
ウェビナー支援会社の支援範囲を比較して選ぶ
熊本
現在でも多くの企業がウェビナーを通じて集客を行っていると思うのですが、その中でウェビナー開催を行う際のポイントとかってあるんですか。
宮津
そうですね、一つ挙げるとしたら目的を決めることですかね。
認知拡大なのか、リード獲得なのか、受注を取るためなのか、具体的に目的を決めることが重要なんです。
また、セミナーには「ノウハウ型」「商談獲得型」「顧客獲得型」の3種類があります。
弊社のようにウェビナーを用いて受注を取るためには「顧客獲得」型を使います。
この型を無視して我流で作ってしまうと、私のように20名集客したのに受注0件という悲惨な結果になってしまいます。なのでそうならないための具体的な「顧客獲得」型のシナリオを解説した資料をお渡しします。
熊本
確かにこれを読めばシナリオを理解できるので、今すぐにでも真似できそうですね。
では、ウェビナーの集客や開催を支援してくれる会社を選ぶ際のポイントってあるんですか。
宮津
発注前に、支援範囲と支援の意味をしっかりと確認することが重要ですね。ウェビナーの開催には多くの工数がかかるため、プロの支援会社を活用することで成功に近づけることができます。
実際、弊社の調査によると日本には60社以上のウェビナー支援会社が存在し、それぞれの会社で「支援範囲」と「支援の意味」が異なります。
この図は弊社が作成した「支援範囲」で分類したポジショニングマップです。この中で最も活用しやすいのが「総合支援」であり、「BPO」と「一部代行」の2つに区分されます。
「支援の意味」には、コンサルティングのようにアドバイスを行う形式の支援と、代行形式の支援の違いがあるのですが、「BPO」はすべて代行形式で支援を提供します。
一方、「一部代行」は集客を代行するが資料作成はアドバイスのみ、などのように一部を代行し、一部をアドバイスする形式となっています。
なので、「一気通貫支援」や「ワンストップ支援」と記載されていても、支援の意味がアドバイス形式なのか、代行形式なのかをしっかりと確認する必要があります。「全部やってくれると思って発注したのに、資料は自分で作らないといけないとか話が違う!」というトラブルにならないように注意してください。
また、ウェビナー支援会社の支援範囲と支援の意味を完全比較した資料も作成したので、これからウェビナーを任せたいとお考えの方がいましたら、ぜひ参考にしてみてください。
熊本
60社以上もあるウェビナー支援会社から自分に合ったサービスを見つけるのは大変なので、この比較表はとても便利で分かりやすいですね。
お客様の工数はゼロで受注だけを届けるサービス
熊本
最後に今後の展望についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
宮津
現在、試験運用段階ですが、AIアバターを用いて登壇すら不要にできる状態を作っていきたいと考えております。
現状はセミナーBPOと呼んでいながら登壇はお客様にしていただく必要があるので、それすら不要にできる世界を作り、お客様へ届けるのは売上だけという完璧なサービスを目指しています。
また、同業他社(ウェビナー支援会社)とも協力し、ウェビナーを開催している企業や開催を検討している企業の成功を支援したいと考えています。
各支援会社には得意分野と不得意分野がありますが、それらを補完し合うことで、お客様の成功率をより高められるようにしていきたいですね。
熊本
AIアバターを活用することで、遂には本当に何もしなくても顧客をウェビナーから獲得できる仕組みが完成するということですね。
そんな世界が来るのが待ち遠しいので、ぜひ頑張って実現してください!
本日は貴重なお話ありがとうございました。
まとめ
ENVYはウェビナーでのナーチャリングと紹介(アライアンス)したくなる仕組み作りで顧客を獲得していることが分かりました。
① ウェビナーでの受注獲得のポイント:ウェビナーから受注するためには、見込客に現状の問題を自覚してもらい、視覚的に理解できる形でサービスを伝えることが重要です。
② アライアンス企業からの紹介:アライアンス企業から確度の高い見込客を紹介してもらうためには、しっかりとした見返りを提示し、積極的に紹介したくなる仕組みをつくることが重要です。
③ AIアバターによる完璧なサービスの実現:AIアバターを用いることで登壇すら不要にし、お客様へ届けるのは売上だけという完璧なサービスを目指している。
今回はウェビナーやセミナー業務の代行を行う株式会社ENVYの宮津さんにお話をお伺いしました。
ウェビナーやセミナーでの顧客獲得に課題を持つ方は、ぜひ参考にしてみてください。
b-pos編集部
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