人材紹介とは?サービス内容やメリット・手数料、人材派遣との違いまで解説!
「自社の人材リソースが足りない」
「人材紹介会社を利用したいけど、取り組み方・費用などがわからない」
といった悩みは、経営者や採用担当者の方に起きがちです。
人材紹介サービスとは、企業からの依頼に応じて適切な人材を紹介してくれるサービスです。「採用担当者の業務う工数を削減できる」「必要な人材を早期に発見できる」といったメリットがあります。
この記事では概要から、具体的な人材紹介サービスまで「人材紹介」全体に関して解説します。
目次
人材紹介サービスとは?
人材紹介会社とは「人材を採用したい企業」と「仕事を探している人」をマッチングさせる有料のサービスです。
人材紹介会社が企業に人材を紹介し、採用が決定した場合に「紹介料」として料金を支払います。
現在では「業界特化型」や「新卒・第二新卒限定」「ハイクラス層限定」など、さまざまな人材紹介サービスがあり、企業のニーズに合わせて柔軟に選べます。
人材紹介のタイプ
人材紹介には主に以下の2つの種類があります。
- 一般登録型・一般紹介型
- サーチ型(エグゼクティブサーチ・ヘッドハンティング)
一般登録型・一般紹介型は、人材紹介会社が保有するデータベースのなかから企業の採用要件に適した人材を紹介するサービスです。幅広い業種・職種を扱う「総合タイプ」と、特定の業界・職種に特化した「専門タイプ」の2タイプあります。
サーチ型は人材紹介会社が保有するデータベースだけでなく、さまざまな情報を活用して採用候補者を探すサービスです。必要に応じて、他社の人材データベースやSNSから採用要件に適した人材を探します。「データベースに登録していない人材」も対象となるため、紹介可能な人材の幅が広いのが特徴です。
人材紹介と転職サイトの違い
人材紹介と転職サイトは混同されがちですが、人材紹介は「担当者が、登録者の中から最適な人材を紹介してくれる」サービスであり、転職サイトは「登録者が自ら企業に応募する」サービスです。
また、課金体系も異なっており、人材紹介は基本的には入社が決定次第、「紹介手数料」を支払う必要があり、転職サイトは「掲載料」を月額や年額で支払う形となっています。
そのため、人材紹介は採用担当の工数を削減することはできますが、1人あたりの採用単価を下げることはできません。一方で転職サイトの場合、工数はかかりますが一回の掲載で採用する人数が多いほど採用単価を下げることができます。
人材紹介と人材派遣の違い
人材紹介と人材派遣には、次の違いがあります。
人材紹介 | 人材派遣 | |
---|---|---|
サービス内容 | 採用支援 | 人材の派遣 |
契約形態 | 人材紹介契約 | 労働者派遣契約 |
雇用元 | 自社 | 人材派遣会社 |
選考可否 | 選考できる | 選考できない |
契約期間 | 長期雇用が前提 | 原則3年 |
料金体系 | 紹介手数料 (採用した人材の初年度の想定年収×手数料率) | 時間単価×実働時間 |
料金相場 | 手数料率:35%程度 | 平均24,461円(8時間換算) |
人材紹介会社は「求人票の作成」や「求職者とのやり取り」などの採用支援をおこないます。
紹介された人材は自社で雇用するため、人材の選考が可能で、長期雇用を前提に契約を交わします。また、人材紹介サービスの利用にかかる料金は「紹介手数料」であり、手数料率の相場は30~35%程度です。
人材派遣会社は、企業に適した派遣スタッフの派遣を行います。
派遣スタッフの人選は人材派遣会社が行うため、自社で選定はできず、自社での雇用ではないため契約期間は原則3年となっています。料金は、派遣スタッフの「時間単価×実働時間」で算出され、料金平均は24,461円(8時間換算)※です。
※参考:厚生労働省|令和3年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)
人材紹介と人材派遣の違いについては以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はご覧ください。
人材紹介のメリット
転職サイト・リファラル採用など、人材紹介サービス以外にも採用する方法はあります。こうした手法と比較して人材紹介を活用するメリットは以下の3つです。
- 求めている人材を早く採用できる
- 採用担当の業務負担を減らせる
- 採用コストが目に見える
求めている人材を早く採用できる
人材紹介サービスは他サービスに比べ、求めている人材を早く採用できます。多くの求職者がサービスに登録しているため、紹介会社は企業の依頼要件に合わせて素早く、適した人材を見つけ出すことができます。
転職サイト等を活用すると、応募が来るまで時間がかかる上に、応募した人材が自社の求める人材ではない可能性もあります。そのため、早く人材を確保したい場合は人材紹介サービスを活用することをおすすめします。
採用担当の業務負担を減らせる
人材紹介を利用する際、「求人票の作成」や「人材へのアプローチ」などの採用に必要な業務は、人材紹介会社がすべて担当してくれます。そのため採用担当者は、業務工数を削減することができます。
採用担当者は「募集要件の作成」し、「人材紹介会社とのコミュニケーション」をすれば完了です。あとは人材会社からの紹介を待つのみです。
採用コストが目に見える
人材紹介は、採用が決まってから料金が発生するため、1人あたりの採用にかかるコストを簡単に把握することができます。
また、転職サイト等の場合は自社で面接等の選定・アプローチを行う必要があるため、採用担当の人件費に加えて、見えないコストも発生してしまいます。人材紹介の場合、選定・アプローチは人材紹介会社が行ってくれるため、見えないコストが発生しません。
そのため、紹介手数料が1人あたりの採用にかかるコストとなり、把握しやすくなります。
人材紹介の活用に向いている会社
人材紹介の活用にあたっては、企業の募集職種やニーズによって向き・不向きがあります。ここでは、人材紹介の活用に向いている職種・ニーズを紹介します。
特定の職種の採用をしたい企業
以下のような「専門的なスキルが必要な職種」は人材紹介会社の利用に向いています。
- 経理
- マーケター
- エンジニア
- デザイナー
これらの専門的スキルを持つ人材は転職市場でも数が少なく、採用難易度が高いのが特徴です。そのため、転職サイトに掲載してもなかなか応募が集まらず、採用成功まで多くの時間を要します。
一方で、人材紹介は、専門的スキルを持つ人材の紹介を行う「業界特化型」の人材紹介サービスもあるため、時間をかけずに採用することが可能です。
例えばエンジニアを採用したい場合は「IT人材特化型人材紹介サービス」に依頼しましょう。デザイナーを採用したい場合は「クリエイティブ人材特化型人材紹介サービス」を利用することをおすすめします。
長期で活躍してほしい人材を採用したい企業
「管理職採用」や「ポテンシャル採用」など、長期的に在籍してほしい人材を募集している場合、人材紹介会社を活用することで効率的に採用することができます。
長期で活躍してほしい人材は、業界での長年の経験や、ハイレイヤー層などが求められることが多く、採用難易度が高くなっています。
この場合、人材紹介会社に依頼することで、適した人材を紹介してもらうことができます。特に、「サーチ型」の人材紹介の場合、自社以外のデータベースからも紹介してくれるため、要件に合う人材を紹介してもらえる可能性が高まります。
人材紹介の費用・手数料
人材紹介を利用する際は、採用が決定した際に「紹介手数料」が発生します。転職サイトなどとは異なり、初期費用・月額費用はかからず、採用できなければコストは発生しないのが特徴です。
紹介手数料の相場は、理論年収の30~35%とされています。
たとえば、理論年収の30%を手数料率として設定している人材紹介会社から、年収600万円の人材の採用が決定した場合、以下の式で金額を算出できます。
この場合、支払う紹介手数料は180万円となります。
紹介手数料が「理論年収の30%」と設定されている場合、人材紹介会社に支払う金額は以下の表のとおりです。
理論年収 | 紹介手数料 |
---|---|
400万円 | 120万円 |
500万円 | 150万円 |
600万円 | 180万円 |
700万円 | 210万円 |
800万円 | 240万円 |
900万円 | 270万円 |
1,000万円 | 300万円 |
人材紹介の手数料については、以下の記事で詳しく解説しています。
人材紹介サービスの利用の流れ
人材紹介サービスを利用する際の流れは以下です。
それぞれについて解説します。
契約手続き
利用先の人材紹介サービスが確定したら、人材紹介会社と契約をします。
契約書のうち特に「料金面」はチェックしておきましょう。「紹介手数料の料率(年収の〇〇%)」や「支払い時期」「早期退職時の返還金」などの項目を確認しておくと安心です。
要件整理
契約後は職務内容や求める人物像、給与などを人材紹介会社に伝え、要件を整理しましょう。
要件にすり合わせが完了すれば、トレンドや登録者の状況などを踏まえて、担当者が求人票を作成してくれます。要件の認識に齟齬がある場合、自社の求める人材を紹介してもらなくなるため、求人票の完成後、認識の齟齬がないかをしっかりと確認しましょう。
求人票に問題がなければ、人材紹介会社からの紹介の連絡を待ちます。
選考・面接
人材採用会社からの紹介があれば、面接したい人材を選定を行います。面接日時の設定などは、人材紹介会社の担当者を通じて行います。
その後は面接です。選考結果の連絡も人材紹介会社の担当者を通じて行います。もし不採用となった場合は、別の候補者を紹介してもらいます。なかなか採用につながらない場合は、定期的なフィードバックを設け、「求める人材」に対する理解度を深めてもらうようにしましょう。
内定承諾・採用
選考が終わり、求職者側の入社への合意が取れれば採用です。
採用通知書の作成から、人材の入社意志の確認、入社日調整、労働条件のすり合わせまで人材紹介会社が実施してくれます。退職交渉のアドバイスなど、入社に向けた調整もすべて人材紹介会社が行ってくれるため、入社に向けての社内調整を行いましょう。
入社
入社日になり、候補者が無事入社すれば、紹介手数料が発生します。
また、人材紹介会社が入社後に採用した人材と定期的なヒアリングを実施してくれます。入社後のモチベーション、人材が企業に求めることなどを確認し、人材の定着を後押ししてくれるため、人材紹介会社への要望などがある場合は、伝えるようにしましょう。
人材紹介サービスを利用する上での注意点
人材紹介を活用するうえでは、次の2点に注意しましょう。
- コストと手間がかかる
- 大量採用には向いていない
コストと手間がかかる
人材紹介は、成果報酬なので無駄なコストは発生しません。しかし人材派遣や転職サイトに比べると、費用は高めに設定されています。特に年収が高い人材の採用には、多くのコストが必要なので注意しましょう。
また、採用担当者の人件費についてもゼロではありません。人材紹介サービスの担当者と人材要件のすり合わせをしたり定期的に進捗を確認したりするため、一定の手間はかかります。
そのため「自社での採用活動」と「人材紹介サービスの活用」のどちらが費用対効果に優れているか、を事前に確認するようにしましょう。
大量採用には向いていない
多くの人材を採用したい場合、人材紹介サービスの利用は不向きです。
人材紹介サービスでは「自社が求める人材」に合わせて、丁寧に募集要件をすり合わせながら紹介を進めていきます。そのため、一人の採用に多くの時間をかけるのが基本です。多くの人材を採用したい場合、膨大な時間がかかってしまうため人材紹介のメリットを活かすことが難しくなります。
大量採用をしたい場合は、母集団形成に強みを持つ転職サイトなどを活用するようにしましょう。
おすすめの人材紹介サービス
ここでは、人材紹介サービスを3つ紹介します。登録者や運営会社を確認しつつ、検討の参考にしてみてください。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、年間決定約5万6000名の実績を活かして採用活動をサポートします。専門のアドバイザーによる「求人票作成」や「候補者紹介」といった採用支援が受けられます。
日本最大級のデータベースにアプローチできるオプションがあり、求職者に直接リーチすることも可能です。
登録者数 | 年間登録約135万4000名(2021年度実績) |
運営会社 | 株式会社リクルートキャリア |
URL | https://www.r-agent.com/business/ |
マイナビエージェント
マイナビエージェントは、株式会社マイナビが運営している人材紹介サービスです。就職情報サイト「マイナビ」や、転職情報サイト「マイナビ転職」といった人材サービスを長く運営しています。
登録している人材には「全体の80%以上が34歳以下」「幅広い職種の経験がある若手」といった特徴があります。
登録者数 | 要問い合わせ |
運営会社 | 株式会社マイナビ |
URL | https://mynavi-agent.jp/employer/ |
doda
dodaは人材紹介だけでなく、求人情報サービスやダイレクト・ソーシング、転職フェアオンラインといった幅広いサービスを提供しています。
人材紹介サービスの登録者は「IT」や「小売り」といった業種が多く、25~29歳の登録者が39.0%と最多です。高品質なマッチングにより、採用工数を大幅に削減できます。
登録者数 | 要問い合わせ |
運営会社 | パーソルキャリア株式会社 |
URL | https://www.saiyo-doda.jp/service/recruitment |
その他人材紹介サービスについては以下の記事で紹介しています。タイプ別に紹介していますので、より細かく選定したい方は参考にしてください。
まとめ
今回は「人材紹介」について網羅的に紹介しました。
まずは自社で採用したい人材の定義、サービス活用に求めるものの整理を行いましょう。その上で、転職サイト・人材派遣などの他の採用手法と比較しながら、コストの試算をすることも重要です。
その上で、自社の適したサービスを活用し、効率の良い採用活動を実現しましょう。
b-pos編集部
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