ハラスメント相談窓口を外部委託する必要性。おすすめの委託先7選も紹介
2020年に施行された「パワハラ防止法」により大企業をはじめとしその後中小企業でも社内でのハラスメント防止に向けた対策を講じなければいけなくなりました。
内部でハラスメント相談窓口を設置することもできますが、専門的な知識が必要であったりと簡単には設置できないのが現実です。
そこで、ハラスメント相談窓口を外部に委託することが有効な手段となります。
この記事では、外部委託の必要性を詳しく解説し、信頼できるおすすめの委託先を7つ紹介します。
目次
ハラスメント相談窓口とは
ハラスメント相談窓口は、職場内のハラスメント問題に対応するために設置される専門の相談機関です。
2020年に大企業を対象に、2022年には中小企業も対象となり施行された「パワハラ防止法」のなかで「雇用管理上必要な措置を講じること」が盛り込まれ、それにより設置されるようになったのがハラスメント相談窓口です。
相談窓口の主な役割は、被害者や目撃者からの相談を受け付け適切なアドバイスを提供、問題の早期発見と解決に努めることで、職場環境の改善に貢献することです。
相談窓口があることで、従業員は自分たちの権利が守られていると感じ、労働の生産性も向上することが期待できます。
ハラスメント相談窓口の種類
職場でのハラスメント問題に対処するためには、様々なタイプの相談窓口があります。
これらの窓口は、従業員が適切なサポートを受けられるようにするためのものであり、それぞれ特徴があります。
ここでは、主に内部相談窓口、外部に委託した相談窓口、そして無料の外部相談窓口の三つのタイプを詳しく見ていきましょう。
- 内部相談窓口
- 外部相談窓口(外部委託)
- 外部相談窓口(無料)
内部相談窓口
内部相談窓口は、企業内の人間で相談対応を行う窓口です。
例えば、法務部、コンプライアンス部、人事部の人が自分の仕事と兼任して相談対応をするといった形が取られることが多いです。
また、中小企業などでは「育休相談窓口」「雇用管理相談窓口」といった他の窓口と一体化させて対応する場合もあります。
大企業などでは、相談窓口用の個室や会議室を借りるなど、相談しやすい環境を提供している企業も多く存在します。
外部相談窓口(外部委託)
外部に委託する相談窓口は、専門性と中立性を確保するために、第三者の機関に運営を委託する方法です。
例えば、相談窓口の専門業者や法律事務所、社会保険労務士事務所などが適切な機関にあたります。
外部委託の場合、会社を通さず相談できることも多く、労働者が相談しやすいだけでなく、ハラスメントの専門的知識を持ちえた人が客観的に判断を下すことが可能です。
また、サービスを提供する機関によって得意分野があり、自社にあったサービスを利用することで一定の効果を得ることが期待できます。
外部相談窓口(無料)
無料の外部相談窓口は、主に非営利団体や政府機関によって運用される窓口です。
これらの窓口は、特に小規模な企業やスタートアップにとって貴重なリソースとなります。無料サービスであるため、企業はコストをかけることなく従業員に相談機会を提供できます。
しかし、無料相談窓口だけでは、設置義務を果たしたとは言えないということに気をつけましょう。
無料の相談窓口には例えば、厚生労働省が提供する「ハラスメント悩み相談室」や法務省が提供する「みんなの人権110番」などがあります。
ハラスメント相談窓口を外部委託する必要性
内部に加え、ハラスメント相談窓口を外部に委託することがおすすめです。
外部委託の必要性は、主に専門性の確保、労働者の相談しやすい環境提供があります。
- 専門性の確保
- 労働者の相談しやすい環境提供
専門性の確保
外部の専門機関は、ハラスメント問題に関する深い知識と経験を持っています。
そのため「ハラスメントかどうか」の判断を適切に下すことが可能です。
厚生労働省の令和2年度の調査によれば、勤務先によるハラスメントの認定については、パワハラ、セクハラともに、「ハラスメントがあったともなかったとも判断せずあいまいなままだった」(パワハラ 59.3%、セクハラ 40.2%)※1との結果が出ており、社内で判断することの難しさが伺えます。
労働者の相談しやすい環境提供
折角、相談窓口を設置しても、相談したいと思う人が相談できる環境でなければ意味がありません。
先ほどと同様の厚生労働省の調査によれば、ハラスメントを受けて何もしなかった理由としては、パワハラ、セクハラ、顧客等からの著しい迷惑行為のいずれも「何をしても解決にならないと思ったから」の割合が最も高く、半数を超えていました。
また、2 番目に高い理由は、パワハラでは「職務上不利益が生じると思ったから」※1という結果が出ています。
このように内部設置だけでは、相談しやすい環境を提供できているとは言えないのが現実です。
一方、外部の機関の場合、秘匿性のもと労働者は安心して相談することができます。
これにより、労働者はよりオープンに問題を共有しやすくなり、問題解決にもつながります。
※1) 引用元:厚生労働省「令和2年度 職場のハラスメントに関する実態調査について」
ハラスメント相談窓口の外部委託先の選び方
ハラスメント相談窓口を外部に委託する際には、適切な委託先を選ぶことが重要です。
選定基準としては、対応の柔軟性、相談員の質、そして料金体系が主なポイントになります。
- 対応の柔軟性
- 相談員
- 料金
対応の柔軟性
対応の柔軟性は、労働者にとって利便性を感じてもらえるかどうかを左右します。
まず、対応時間を確認しましょう。就業時間外や休日にも対応しているかどうかは、労働者が気軽に相談できるかどうかの重要な要素です。
また、受付手段についても、電話だけでなくメールやSMSなど複数の方法に対応しているかを確認するしましょう。
さらに、匿名での相談が可能かどうかも非常に重要です。
相談員
勿論、相談員の質が高ければ高いほど労働者は適切なサポートを受けることができます。
ハラスメントといっても、セクハラやパワハラなど多岐にわたります。
それぞれに特化した相談員がいる方が労働者にあったサポートを提供することが可能になります。
特に、臨床心理士やカウンセラー、メンタルヘルスプロフェッショナルなどの専門職が相談員として在籍しているかどうかは、重要なポイントです。
これらの専門家は、労働者の心理的な問題や職場でのストレスに対して、適切なアドバイスやサポートを提供することができます。
料金
一般的に、基本料金は従業員数に応じて変動します。
例えば、従業員数10名まで5,000円/月、11名〜30名までは10,000円/月という料金設定があります。
また、従業員一人あたりの従量課金型、例えば、350円/人という設定もあります。
これらの料金体系を対応の柔軟性と照らし合わせて比較し、自社のニーズと予算に合った最適なサービスを選ぶことが重要です。
ハラスメント相談窓口の外部委託先おすすめ7選
ハラスメント相談窓口の外部委託を検討している企業向けに、おすすめのハラスメント相談窓口を7つ紹介します。
これらの企業はそれぞれ異なる特徴を持ち、企業のニーズに応じたサービスを提供しています。
企業名 | 詳細 | 料金 |
---|---|---|
アジャイル・キャリア合同会社 | キャリアコンサルタントを始めとした、有資格者が500名以上在籍 | 初期費用:50,000円〜 月額費用:30,000円〜 |
ダイヤル・サービス株式会社 | マモリナという24時間対応可能な相談窓口サービスを展開 | 初期費用:55,000円 月額:16,500円 |
アデコ株式会社 | 業界最安値クラスで相談窓口を提供。従量課金制で余分な費用もかからない | 月額2,000円 通報・相談利用時に1回につき5,000円の相談手数料 |
NTTビジネスソリューションズ | 高品質と低価格を実現。従量課金制で余分な費用もかからない | 月額2,200円 通報・相談利用時に1回につき5,500円の相談手数料 |
株式会社クオレ・シー・キューブ | 窓口の外注だけでなく、研修やコンサルタントも行っている | 要問い合わせ |
株式会社サポートメンタルヘルス | 医療法人がベースの企業のため医療機関との連携も行っている | 従業員数〜10名程度:¥5,000〜/月 従業員数〜30名:¥10,000/月 従業員数〜50名:¥15,000/月 |
ハラスメント相談窓口外部委託センター | 2015年からハラスメント相談窓口を提供し、豊富なノウハウが魅力 | ~9人:4,980円 |
アジャイル・キャリア合同会社
アジャイル・キャリアの相談窓口「いつでも窓口 ライト」は、500名以上の有資格者が在籍しているため、様々な相談に対応可能なオンライン相談窓口です。
独自の採用条件をクリアしたカウンセラーのみが在籍している上に、毎月オリジナルの教育を行い、カウンセラーの質の担保を行っています。
また、トライアルキャンペーンを実施しており、2~3ヶ月無料で利用可能なため、相談窓口を外部委託したことのない企業におすすめです。
対応時間 | フォーム受付:24時間365日 |
受付手段 | 専用フォーム |
匿名性 | 相談者様や導入企業様のプライバシーを尊重し、第三者へ知らせることはありません |
相談員 | 国家資格キャリアコンサルタントなどの有資格者が500名以上在籍 |
料金 | 初期費用:50,000円〜 月額費用:30,000円〜 |
ダイヤル・サービス株式会社
ダイヤル・サービスは1997年に日本で初めてセクハラ相談窓口を開設した企業です。
対応ハラスメントの種類も多く、また相談手段も豊富に用意しているため相談者にとって非常に利用しやすいサービスとなっております。
また、企業向けにハラスメントに関する研修も行っています。
対応時間 | 電話:月~金 12:00~21:00 / 土・日・祝日 9:00~17:00 WEB:24時間365日 |
受付手段 | 電話(フリーダイヤル) WEB(PC/スマートフォン) |
匿名性 | 相談者様や導入企業様のプライバシーを尊重します |
相談員 | 臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー |
料金 | 初期費用:55,000円 月額:16,500円 |
アデコ株式会社
アデコ株式会社が提供するハラスメントダイヤルサービスは、業界最安値クラスで、また、初期費用不要で外部相談窓口(一次対応)を設置できます。
また、料金体系は従量課金制を採用しているため、余分な料金を支払う必要もありません。
対応時間 | 要問い合わせ |
受付手段 | 電話 |
匿名性 | 通報相談者の意向を第一とした守秘義務遵守を徹底 |
相談員 | EAP専門家が監修した教育プログラムを受けた心理職、HR、相談や苦情対応などの経験者 |
料金 | 月額2,000円 通報・相談利用時に1回につき5,000円の相談手数料 |
NTTビジネスソリューションズ
NTTビジネスソリューションズが提供するハラスメント相談窓口は”品質を担保し、価格を限りなく低く”を目指した「ハラスメント相談受付サービス」を提供しています。
Web予約制、電話発信型のため、常時人を配置する必要がないことから低価格のサービス提供を実現しています。
対応時間 | 要問い合わせ |
受付手段 | 電話 |
匿名性 | 通報相談者の同意がない限り個人が特定される情報として、ご契約企業さまや第三者へ知らせることはいたしません |
相談員 | EAP専門家が監修した教育プログラムを受けた心理職、HR、相談や苦情対応などの経験者 |
料金 | 月額2,200円 通報・相談利用時に1回につき5,500円の相談手数料 |
株式会社クオレ・シー・キューブ
株式会社クオレ・シー・キューブはハラスメント相談窓口の提供だけでなく、研修、コンサルティングなども提供しています。
そのため、自社の働きやすさを向上させたい企業などはコンサルティングや研修などを有効的に利用することで働きやすさの向上が期待できます。
対応時間 | 要問い合わせ |
受付手段 | 電話 メール |
匿名性 | 匿名相談可能 |
相談員 | 産業カウンセラー等資格取得者 |
料金 | 要問い合わせ |
株式会社サポートメンタルヘルス
株式会社サポートメンタルヘルスが提供するハラスメント窓口サービスは、アドバイスだけでなく被害社員のメンタルヘルスの観点も加味した対応を行ってくれます。
また医療法人がベースとなった企業なので心療内科・精神クリニックと連携したサポートも可能です。
対応時間 | 要問い合わせ |
受付手段 | 専用フォーム 電話 メール |
匿名性 | 相談者が報告を希望しない限り匿名 |
相談員 | 産業医、精神科専門医、精神保健福祉士、公認心理師 |
料金 | 従業員数〜10名程度:¥5,000〜/月 従業員数〜30名:¥10,000/月 従業員数〜50名:¥15,000/月 |
ハラスメント相談窓口外部委託センター
ハラスメント相談窓口外部委託センターは2015年から本サービスを開始し、ハラスメント相談対応の豊富な実績とノウハウを有しています。
また、従業員9名までだと4,980円という低価格でサービスを利用することができます。
対応時間 | メールなら24時間受付対応可能 |
受付手段 | メール お電話 ZOOM |
匿名性 | 高い |
相談員 | 社会保険労務士、弁護士 |
料金 | ~9人:4,980円 10~19人:5,980円 20~29人:6,980円 30~49人:7,980円 50~69人:8,980円 70~99人:9,980円 メール個別相談料金:5,500円 電話・ZOOM個別相談料金:11,000円 |
外部委託以外のハラスメント対策方法
ハラスメント対策は、外部委託に限らず、多様な方法で実施することが可能です。
ここでは、ハラスメント研修、eラーニング、動画教材という三つの効果的な対策方法を紹介します。
- ハラスメント研修
- eラーニング
- 動画教材
ハラスメント研修
ハラスメント研修は、労働者、管理職、加害者などターゲットや悩みに応じて行います。
外部から講師を招く、セミナーに参加するなどいくつか参加方法はあります。
実際の事例を用いたグループディスカッションやロールプレイを通じて、ハラスメントに対する理解を深めることができます。
以下は実際に一般社員と管理職向けに行われたセミナーのタイムスケジュールの一例です
- ハラスメントとは
- パワーハラスメントの現状
- パワーハラスメントの背景
- セクシャルハラスメントの現状
- ハラスメントの影響
- 企業が配慮すべき3つの対策と実務
- 相談対応ふりかえり
eラーニング
eラーニングを利用することで、労働者は好きな時、場所でハラスメントに関する知識を身につけることができます。
そのためオンラインプラットフォームを通じて提供される教材は、忙しい労働者でも研修を受けやすいです。eラーニングでは、講座を受講した後にテストを受講し理解度を確認する流れが一般的です。
無料で受講できるものもあれば、有料で受講できるものもあります。相場は一人当たり5,000円〜20,000円程度であることが多いです。自社の課題にあった研修内容のものを選択し、受講してもらうようにしましょう。
動画教材
ハラスメント対策の一環として、動画教材の利用は非常に有効です。動画教材には、DVD、動画データ、動画ストリーミングサービスなどが該当します。
実際にどのようなケースがハラスメントに該当するのかといったことを事例を用いながら視覚的に学ぶことができます。
これにより、日常の行動を振り返り、避けるべき言動や予防策についての理解を深めることが可能になります。
また、自社内容にカスタムしたものをオーダーすることができるサービスなどもありますので、自社課題に特化した教材を使用することもできるのは魅力です。
まとめ
この記事では、ハラスメント相談窓口を外部委託する必要性と、その選び方、さらにおすすめの委託先を7つ紹介しました。
ハラスメントは職場環境において重要な問題であり、適切な対応が求められています。外部委託の利点は多岐にわたり、専門性、中立性、信頼性の向上などが挙げられます。
外部委託先を選ぶ際には、対応時間、受付手段、匿名性、相談員の質、料金体系など、複数の要因を考慮しましょう。
そして、各企業の独自のニーズに合ったサービスを選択することが肝心です。
この記事が、ハラスメント相談窓口の外部委託を検討する際の参考になれば幸いです。
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