【完全ガイド】展示会から商談を創る「勝ちパターン」を実例を交えて徹底解説!

展示会は特定テーマに関心がある質の高い見込み客が数万人も集まるため、接点を持てないような意中の企業の決裁者と対面で直接やりとりをすることができるにも関わらず、『毎年、展示会に出展しているけれど、まったく売上につながっていない』と感じている方は多いのではないでしょうか。

実は、展示会を活用して売上を上げるためには、勝ちパターンが存在します。しかし、多くの企業がこの勝ちパターンを知らずに展示会に出展し、費用と労力を無駄にしてしまっています。逆に、この勝ちパターンを知り実践している企業は、以下のように確実に成果を上げ続けています。

  • 出展コストの33倍の売上を展示会終了後6か月で実現したITシステムベンダー
  • 約200万円の自社ブランド製品の受注件数が3.7倍にアップした工作機械卸
  • 出展後わずか3週間で600万円受注した製麺機製造業
  • 出展から約3年かかったものの4,800万円の売上を獲得した脱臭機商社

わたし清永健一は、日本唯一の展示会営業(R)コンサルタントとして、数多くの企業をサポートしてきました。そして、さまざまな業種業態の企業が、展示会を活用して大きな成果を上げていくのをこの目で見てきました。

この記事では、展示会に出展し確実に成果を上げ続ける勝ちパターンについて、具体的な方法を、実例を交えながら、わかりやすく解説していきます。

90%以上の企業が知らない展示会で成果を上げる方法とは?

展示会の勝ちパターンとは何か、いきなり結論をお伝えします。展示会の勝ちパターンとは、展示会営業Ⓡプロセスに基づいて展示会出展を進めていくことです。

展示会営業Ⓡプロセスは大きく、「準備」「当日」「フォロー」の3つのフェーズに分かれます。この3つのフェーズでは以下の4つがポイントとなります。この4つのポイントはすべて展示会出展前に設計完了しておくことが重要です。

  • 1:展示会の選定(準備)
  • 2:出展コンセプトの策定(準備)
  • 3:運営オペレーション(当日)
  • 4:商談獲得アクション(フォロー)

ここからは各フェーズに分けて、どういった手順で進めるべきかを解説していきます。

1. 間違うと成果が遠のく!出展する展示会の選び方

最初に決めるべきなのは、”どの展示会に出るか”です。ここを間違えるといくら労力を使っても成果が出ない、という悲しい結果になってしまいます。年間800件以上も開催されている展示会の中から最適な展示会を選定するためには、2つの考え方があります。

  1. 商品・サービスから出展する展示会を選ぶ「コバンザメ作戦」
  2. あえて自社の業界からズラした展示会に出展する「ズラし戦法」

商品・サービスから出展する展示会を選ぶ「コバンザメ作戦」

たとえば、化粧品ならビューティーワールド、食品ならフーデックス、IT関連ならJAPAN IT WEEKのように、「この分野ならこの展示会」というような定番の展示会があります。こういった定番展示会のうち、自社が所属する業界のものを選んで出展するというやり方です。

展示会はある意味、ライバルの集客力を活用して、未接点の見込み客に出会う場です。定番展示会には、あなたの会社が所属する業界の盟主ともいうべき大企業も出展しているはずです。

定番展示会は、このような大企業目当てに展示会に来た来場者と出会う絶好のチャンスになります。このような定番展示会への出展を、わたしはコバンザメ作戦と名付けています。コバンザメ作戦は、ある意味無難な方法で一定の成果を出しやすく、大きく失敗すること少ないかしこいやり方と言えるでしょう。

あえて自社の業界からズラした展示会に出展する「ズラし戦法」

「コバンザメ作戦」は、無難なだけにパンチ力に欠ける面があります。そこで効果的なのは、あえて自社の業界からズラした展示会に出展するという方法です。

わたしが先日足を運んだ「SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション」という展示会では100を超えるコーヒー関連の企業が出展していました。

わたしも驚きましたが、この中でもっとも来場者を集めていたのは「紅茶」のブースだったのです。ほとんどの出展企業がコーヒーに関連したアイテムを扱う中、ひとつだけ”紅茶”のブースが存在していいたため、ほかとの違いが際立ち、自然と人が集まってきていました。

この会社はおそらく「自社が出会いたい人はだれなのか?」を基準に展示会選定を行ったのです。

この会社が出会いたい人は、「紅茶を買い付けるバイヤー」です。そして、多くの場合、紅茶のバイヤーは、コーヒーのバイヤーを兼ねています。だからこの会社は、SCAJを選んで出展し大成功したのです。わたしはこの方法をズラし戦法と呼んでいます。

2. 展示会成功のカギ!出展コンセプトの作り方

「どの展示会に出展するか?」が決まったら、展示会出展コンセプトを考えていきます。実は、ここが展示会営業Ⓡプロセスの中でもっとも重要な部分です。

1ブース=1アイテム=1ターゲットという発想

出展コンセプトを考える際の重要なポイントは欲ばり過ぎないことです。

  • 「せっかく出展するのだから、うちの商品を全部見てほしい」
  • 「うちの客層は多種多様だ。できるだけたくさんの業種に来てほしい」
  • 「たくさんの商品を展示する方が、来場者の興味を引きやすいはずだ」

と考える方は多くいらっしゃいますが、中小企業がこういう考えで展示会に出展しても絶対に成果は出ません。知名度のある大企業ならまだしも、中小企業では絶対にNGです。これだけは断言できます。

展示会にはたくさんの企業が出展している上に、来場者は、何も考えずに歩いているにすぎません。そんな中に、あれもこれもと欲ばったよくわからないブースがあったとしても誰も足を止めてはくれません。

だからこそ、、『1ブース=1アイテム=1ターゲット』という発想で、パっと見て、わかりやすくすることが重要になってきます。

  • 出展する展示会は、どのような客層が多く来場するのか?
  • どの商材を前面に押し出すとウケがよいのか?
  • その商材は、どういった客層にもっとも喜ばれるのか?

この3つの項目を熟考し、出展コンセプトを決定することこそが、中小企業が低予算で展示会で成果を出すためのすべての始まりです。出展コンセプトは、展示会来場者がなぜ他のブースでなく、あなたの会社のブースに来るべきなのか?という理由になるのです。

この手順ならだれでもできる!出展コンセプトフレームワーク

展示会営業Ⓡプロセスでは、難易度の高い出展コンセプトの策定も簡単にできるよう、以下のようにフレームワーク化しています。

  1. 展示会で出会いたい人は?
  2. その人が日ごろ心の中でつぶやいている悩みは?
  3. だったら、うちが(こんな風に)役に立てますよ
  4. ホント?って思うでしょ。裏付けはね…

ここで最も重要なのは『来場者側から考える』ことです。各ステップでの決め方にについて解説していきます。

① 展示会で出会いたい人は?

まずは、展示会に出展してどんな人と出会いたいか、以下の3つのポイントを抑えて決めていきましょう。

  • 会社ではなく人単位まで落とし込んで考える
  • 受注するためにもっとも面談したい人を設定する
  • 展示会の来場者として一定数以上いるかどうかを検証する

ここで重要なのは、「人単位」まで落とし込んで考えることです。「建設会社」と考えるのではなく「建設会社の設計責任者」と落とし込んで設定するイメージです。

また、受注するためにもっとも面談したい人を設定することも忘れずに考えましょう。出展する商材が、最終決定権を持つ人に会わないと受注できないものであれば、”経営者”や”担当役員”に設定。ブースに人を集めるだけのためなら、経営者よりも、担当者に設定する方がよいでしょう。

一方で、出会いたい人を考えてもそういう人が、展示会に来ないのであれば、展示会で成果を出すことはできません。そのため、設定した属性の人が、出展予定の展示会の来場者として一定数以上いるかどうかは必ず検証するようにしましょう。

② その人が日ごろ心の中でつぶやいている悩みは?

この項目が最も重要です。日ごろ心の中でつぶやいているということは、展示会場でも歩きながら考えているはずです。来場者にとって、自分が日ごろつぶやいている悩みをズバリ言い当てたブースが目の前に出現したら、必ず興味を持つはずです。

たとえば、設計責任者を会いたい場合、以下のように「つぶやき」をそのまま記載するようにしましょう。

  • 「最近、設計がマンネリになってるなぁ」
  • 「やりたい設計をしようとすると予算オーバーになるんだよなぁ」

この時、自社が解決することを前提にして書いてしまうと来場者に響きにくいコンセプトになってしまうため、「ん?このブースの人たちは、自分のことをよくわかってくれている気がするぞ」と思ってもらえるコンセプトにするために、自社がその悩みを解決できるかどうかは無視して書くようにしましょう。

③ だったら、うちがこんな風に、役に立てますよ

ここでは、以下のように悩みが解消された状態をその理由とともに挙げていきます。

  • 「〇〇なので、マンネリを打破して、▢▢になります」
  • 「△△という機能を活用することで、コストを◇%削減します」

この時に重要なポイントは、出会いたい人がつぶやいている悩みの中で、できるだけ優先順位の高い悩みにリーチすることです。まずは②で記載した「つぶやき」の優先順位付けをした後に自社で提供できる解決を考えてみましょう。

また、複数の悩みを同時に解決できる方がより来場者をより惹き付けることができるので、1つだけで満足せず、2つ、3つと考えてみてください。

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清永(きよなが)健一|(株)展示会営業マーケティング代表取締役