コールセンターの研修内容|6つの種類と5つの手順を解説!カリキュラム例 付
「コールセンターのオペレーターの離職率が高いので研修を実施したい」
「コールセンターの研修内容についての選び方・進める手順が分からない」
こうした悩みはコールセンターの運営者に起きがちです。
コールセンターの社員成長、離職の抑止をするうえで研修は有効です。本記事では、コールセンターの研修方法について目的、実施すべき研修内容、研修を進めるステップなどをわかりやすく説明します。
「実際にどうやってコールセンターの研修をすればいいのか」を理解できる内容ですので、ぜひ運営者の方は参考にしたうえで、実践してみてください。
目次
コールセンターにおける研修の目的と必要性
コールセンターにおける研修の目的は、主に以下の2点です。
- 顧客対応の品質向上
- 業務の効率化
それぞれ解説します。
顧客対応の品質向上
コールセンターの研修を行う大きな目的は「顧客満足度の向上によって会社の利益を高めること」です。
オペレーターの顧客対応品質が高まることで、ブランドイメージ・収益が向上します。すると「解約率が下がる」「顧客一人当たりの単価が高まる」「SNS・口コミで高評価を得て新規顧客を獲得できる」といった結果につながります。
また、応対品質だけでなく商品のアップデート・新商材開発につなげるためにクレームの内容を集約するスキルも必要です。具体的には「顧客の意図を理解する」「クレームに対応する」「顧客ファーストを意識する」といったスキルが顧客対応品質を高めるうえで必要になります。
業務の効率化
またコールセンターの研修の目的は「業務効率化」も含まれます。
コールセンターによっては、問い合わせが集中して顧客を待たせてしまうこともあります。電話がつながらないと、会社のイメージが悪化します。研修を実施して「オペレーターの1回の対応時間」を減らすことで、この課題を解消できます。
例えば、研修で商品知識を身につけることで、確認の時間を短縮できます。また、イレギュラーな問い合わせへのオペレーションを把握しておくと、業務を効率化できます。
コールセンターの研修の種類
コールセンターの研修の種類には、以下のようなものがあります。
研修の種類 | 内容 |
---|---|
電話対応研修 | コールセンターのオペレーターの電話対応の品質を高めるための研修 |
サービス・製品研修 | コールセンターで扱うサービスや製品についての知識を深めるための研修 |
業務オペレーション研修 | コールセンターで行う業務の全体の流れ・取るべき行動を学ぶための研修 |
クレーム対応研修 | 顧客からクレームを受けた際に「真摯にやり取りをする方法」と 「商品改良・新商材開発に生かすためクレームを報告する方法」を学ぶ研修項目 |
ロールプレイング | 電話対応を想定したトークスクリプトに沿って、 先輩・同僚を顧客に見立てて話す研修方法 |
OJT | 実際の業務を通して学ぶ研修方法 |
電話対応 研修
コールセンターのオペレーターの電話対応の品質を高めるための研修です。顧客満足度の向上を目指すうえで必要な内容となります。「顧客の問い合わせに適切に対応しつつ、システムへの入力ができるようになること」を目標に研修をおこないましょう。
実施項目は以下を参考にしてください。
電話機の操作方法 | 電話を操作する上での基本的な知識のインプット |
ビジネスマナー / 敬語表現 | 相手に失礼のないコミュニケーションを行うために、 ビジネスマナーや言い回し、敬語表現のインプット |
顧客情報の聞き出し方 | 失礼のないよう、顧客情報をヒアリングする方法のインプット |
トーン / 話し方 | 相手に好印象を与えるトーンや話し方のインプット |
サービス・製品研修
コールセンターで扱うサービスや製品についての知識を深めるための研修です。オペレーターは顧客からの問い合わせに対応するために、商材を詳しく知っておく必要があります。
実施項目は以下を参考にしてください。
取扱サービス / 製品の知識 | サービス、製品について質問をされた際に、 相手の求める情報を伝えるための知識のインプット |
サービスごとのヒアリング、 セールスポイント | サービスごとに何をヒアリングするべきか、強みや特徴を どう伝えるべきかの方法のインプット |
顧客情報の取り扱い方 | 情報漏えい等のリスクを回避するためのインプット |
業務オペレーション研修
コールセンターで行う業務の全体の流れ・取るべき行動を学ぶための研修です。社内の業務オペレーションに反するやり方で仕事をすると、イレギュラーな対応が必要となり、コールセンター業務全体に悪影響が出ます。そのため、研修で伝える必要があります。
実施項目は以下を参考にしてください。
1日の業務フロー | 1日の流れに合わせた、具体的な業務内容をインプット |
システム / アプリの操作方法 | 業務中に使用するシステムやアプリを効率的に活用するためのインプット |
業務における評価ポイント | 具体的にどこを見て評価をされるのかを把握するためのインプット |
クレーム対応研修
顧客からクレームを受けた際に「真摯にやり取りをする方法」と「商品改良・新商材開発に生かすためクレームを報告する方法」を学ぶ研修項目となります。企業のブランド力、顧客満足度に直結する内容です。
実施項目は以下を参考にしてください。
クレーム発生時の初期対応 | 相手に失礼のない対応のインプット |
一般的なクレーム対応 | クレームの種類ごとの総合的な対応のインプット |
クレーム対応からの報告方法 | 社内での連携をスムーズに行うためのインプット |
ロールプレイング
ロールプレイングとは、電話対応を想定したトークスクリプトに沿って、先輩・同僚を顧客に見立てて話す研修方法です。録音をしながら実施し、終了後に音声を聞きながら改善が必要な点・良かった点などについて意見交換します。
実際の対応に近い形式ですので「現場のイメージが湧きやすい」「顧客の気持ちを理解しやすい」といったメリットがあります。2週間~1カ月ほど行います。
OJT
OJT(On The Job Training)研修とは、実際の業務を通して学ぶ研修方法です。指導係が常に隣についたうえで行います。困ったことはすぐに相談できるため、安心して対応できます。顧客対応については、その都度アドバイスを受けながら成長できます。
業務を実践することで、ひとり立ちした後に自信をもって対応できるようになるのがメリットです。また実際に顧客の声を聞くので、早く緊張感に慣れるという面でも有効な手法です。
実際にコールセンター研修を進める手順
上記の研修方法がわかったうえで、実際にコールセンター研修を進める手順について紹介します。
- 自社に必要な研修を選ぶ
- カリキュラムを組む
- 研修内容と資料を作成する
- 日程調整して研修を実施する
- 研修後フォローアップをする
自社に必要な研修を選ぶ
コールセンター研修は、すべての内容を実施する必要はありません。自社の課題・目標に合わせて、最適な研修を選択することが大切です。
オペレーター経験者を採用しているA社の場合、最適な研修は「サービス・製品研修」「業務オペレーション研修」「OJT」となります。
この場合の研修目的は「いち早く戦力として活躍してもらうこと」となるので、できるだけ早い段階でOJTを実践しつつ、先輩からフィードバックを返していくことが重要です。
このように自社のオペレーターの状況に合わせて、必要な研修内容を取捨選択することで、無駄なくスタッフを育成できます。
カリキュラムを組む
続いて、選んだ研修のカリキュラムを組みます。研修の目的は「戦力になること」です。この目的を達成するために、具体的に研修内容ごとに「順番」「目的」「ゴール」を設定しましょう。カリキュラムを組むことで、コールセンター研修の効果を明確にできます。
カリキュラムを組むにあたって「1・2をあわせて1週間程度、3を1か月」といった具合に期限を設定しましょう。
研修内容と資料を作成する
研修の目的・ゴールに沿った内容・資料を作成することが重要です。
例えば、業務オペレーション研修の研修内容は以下になります。
研修内容が固まったら、研修資料を作成しましょう。受講者が理解しやすく興味を持てるように工夫することが大切です。
日程調整して研修を実施する
研修の実施内容とカリキュラムが定まったら、日程調整をして研修を実施します。研修方法は、オフライン、オンライン、録画の3つがあり、それぞれのメリット・デメリットは以下です。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
オフライン | ・参加型のため定着率が比較的高い ・参加者同士のコミュニケーションを促せる | ・日取りが調整しにくい |
オンライン | ・参加しやすい | ・定着率が低い ・ネットワーク、機材のトラブルが起こる可能性がある |
録画 | ・いつでも見られる ・次回以降も使える | ・定着率が低い |
研修後フォローアップをする
研修終了後にはフォローが必要です。フォローが足りていない場合、オペレーターの早期離職につながることもあります。
「研修内容が成果につながっているか」「オペレーターの応対品質が下がっていないか」を、定期的に確認・評価しましょう。またメンタル面にも気を配る必要があります。モチベーション管理としても、フォローしましょう。
コールセンターにおける研修実施のポイント
研修を実施するにあたって意識すべきポイントについて、説明します。
個別 or 全体?研修スタイルは柔軟に
コールセンターの研修は、全体研修と個別研修(1on1)のどちらも可能です。ただし、離職を防ぐ観点でいうと、個別研修をすべきです。
コールセンターでの「入社1年以内のオペレータの離職率」は70%以上というデータがあります。その原因の一つは「十分なサポートが受けられていないこと」です。人材を手放さないためにも、重要な研修は、できる限り個別で行いましょう。
ただし入社時期・転職採用時期が決まっており、大勢の人を同時に採用する場合は、全体研修にせざるを得ないケースがあります。その場合は研修後のフォローを手厚くしましょう。
出典:コールセンタージャパン|早期離職を防ぐ 「最初の90日」の乗り越え方
自己分析をしてもらう
研修後は上司・同僚からのフィードバックだけではなく、オペレーター自身に自己分析をしてもらうことも大切です。
「自己分析シート」に記入してもらい、本人の感覚をもとにトークスクリプト・対応マニュアルを随時改善しましょう。こうしたドキュメント類は業務を推進するなかで磨いていく必要があります。
コールセンター研修が難しい場合におすすめの研修代行会社
コールセンター研修が難しい場合におすすめの研修代行会社を、2社紹介します。
NTTネクシア
株式会社NTTネクシアは、NTTグループのコールセンター事業を担う会社です。コールセンターの運営やコンサルティングだけでなく、研修サービスも提供しています。
電話応対のスキルを資格化した「もしもし検定」の取得を促すための研修があり、4級~指導者級までチャレンジしつつスキルアップできます。また、オンライン・オフライン問わず研修を受けられるほか、研修内容は柔軟にカスタマイズできるのが魅力です。
インソース
株式会社インソースは、社会人向けの研修やコンサルティングを幅広く行っている会社です。コールセンターの現場で使える研修を提供しており、オペレーターの電話応対スキルやスーパーバイザーのマネジメントスキルなどを向上させられます。
インソースのコールセンター向け研修は「基礎編」「上級オペレーター向け」など複数のメニューがあり、ニーズに合わせた研修ができます。
まとめ
コールセンターのオペレーターが仕事に必要なスキルや知識を身につけるためには、研修が役立ちます。
コールセンターの研修は自社に合ったものを選び、きちんと手順を踏んで実施することが大切です。コールセンターの研修を考えている方は、この記事を参考に手順・ポイントをしっかり押さえたうえで実施してみてください。
b-pos編集部
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