顧客を獲得するにはブランド認知が重要?サクラサクマーケティングの「成果が出た施策の裏側」
この記事ではBPO事業者を対象に、サービスの立ち上げから現在に至るまでで一番効果があった施策や取り組みについて紹介していきます。
今回取材したのはサクラサクマーケティング株式会社の取締役社長COOである、根岸 雅之(ねぎし まさゆき)さんです。
これまでの苦悩から現在行っている顧客獲得手法などについて伺いました。
目次
20年間SEO一筋だからこそ提供できる高品質なコンテンツ
佐藤
まず初めに、サクラサクマーケティングの事業内容についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
根岸
サクラサクマーケティングはSEOのコンサルティング会社になります。
内容としては、お客様のSEOをコンサルティングしたりだとか、記事などのコンテンツ作成を支援させていただいております。
加えて自社メディアも持っており、この3つを中心に事業展開を行なっております。
2005年に創業したので今年で20期目になる会社なのですが、SEO一筋でここまで生き残ってきました。これだけ長いことSEOだけでやっていけてる企業ってそんなにないと思うので、特徴的な会社だと思います。
佐藤
約20年もSEOだけでやってるのは凄いですね。
ちなみに、SEOのコンサルティングを行なってる企業は数多くいると思うのですが、その中で御社独自の強みはどこになるんですか。
根岸
そうですね。2005年の創業当初は「ブログ」が流行り出した時期なんですよ。
今で言う「クラウドソーシング」みたいな物ってなかったんですけど、ブロガーを集めてネットワーク化するみたいなサービスを立ち上げたんですよ。なので、ブロガーやライターのコミュニティーを持ってたんです。
おそらく「クラウドソーシング」という言葉が生まれる前からライターのネットワークを持っている会社なんですよ。
現在、弊社ではプロのライターを約2,000人抱えているんですけど、全て自社完結で「企画」「ライティング」「校正」ができるので、高品質なコンテンツを提供できるというところが強みだと思います。
佐藤
なるほど。20年も前からブロガーやライターのネットワークを既に持っていたと言うことは、今思うと先見の明があったと言えますね!
SEOについて分かりやすく解説する「ねぎお社長」
佐藤
サクラサクマーケティングにおける根岸さんの役割や業務内容についてお伺いしてもいいですか。
根岸
そうですね。現在、アルバイトとかも含めて40~50人の会社なんですが、やっぱりSEOを取り扱ってる競合企業が多いので差別化が難しいんですよ。
どのHPを見ても似たような内容を書いているので、どこかに風穴を開けたいなと思っています。
僕自身、株式会社オプトっていう会社に入って、リスティングのコンサルティングからスタートしたんです。
そこで初めてWeb業界に入ったんですが、言葉を選ばずに言うと「調子乗ってるな。」って思ったんですよ笑
カタカナとか英語ばっかり使って小難しいことを知ってる者同士言ってるなって感覚でしたね。
その時に、「難しいことを如何に分かりやすく伝えていくか」ということがポジションとしても重要だなと感じたんです。
僕らの業界にもトップオブザトップの企業はあるのですが、そことは一線を画してやって行きたいなと思っているので、より分かりやすくSEOの世界とかを配信していきたいですね。
佐藤
確かにWeb業界って横文字多いですよね笑
根岸さんのSNSなどを見ててもSEOについて誰でも理解できるように分解して説明しているのがよく伝わってきます。
根岸
ありがとうございます。
分かりやすく伝えるために「ねぎお社長」と言うブランドを作って、YouTubeやブログ、SNSなどで配信することでSEOについてあまり知識がない人でも興味を持って頂けるようにしています。
佐藤
なるほど。「ねぎお社長」と言う名前とアイコンは良く目にするんですが、SEOのハードルを下げてとっつきやすくするために敢えてやってたんですね。
ちなみにYouTubeはいつから始めたんですか。
根岸
コロナ禍に入ってからなんで約4年前くらいですかね。
その当時からオフラインでのセミナーは行っていたので、「やってみよう!」となってアカウントを開設しました。
佐藤
動画の投稿はどのくらいの頻度で行っているんですか。
根岸
週に1本と決めて投稿しています。これを4年間続けているので、継続力だけは自信がありますね。
ただ、この4年で350本の動画を投稿してきたんですが、やっぱりネタは無くなって来てるので大変ですね。
佐藤
4年間ずっと週に1本動画を投稿してるのは凄いですね。
僕らの会社もコンテンツは日々更新しているんですけど、ネタにはいつも困っているんですよ。
コンテンツのネタを探すポイントって何かあるんですか。
根岸
いわゆる記事作成みたいに検索キーワードから企画を作り出すと、すぐにネタが尽きてしまいますよね。
僕らがお客さんと話をする中で出てきた質問から「そこにニーズがあるんだ!」とか、社内メンバーと話している時にも「この施策がうまくいった!」などの情報から一つ切り出して動画で喋っていますね。
僕の場合は「書く」より「喋る」方が得意なので、使用するスライドは10分くらいで作ってあとはアドリブでずっと喋っているだけなので、自分に合ったスタイルを見つけれたと言うことが強いかもしれないですね。
佐藤
でも、お客さんとの会話からコンテンツ案を拾うのって結構難しいことですよね。
これは根岸さんだから出来ていることなんですかね。
根岸
YouTubeでいくと、編集は全て任せているんですけど企画と撮影は僕一人でやっています。
僕の場合は頭の中に何ヶ月後までの撮影は済んでいるとかが入っているため、それ以降はネタがないということも把握しているんですよ。
このスケジュールをしっかり把握しておくことで、「ネタが残り少ない!」となった場合にはアンテナを張る事ができ、打ち合わせ中や商談中に「これネタにできるな」というポイントを見つける事ができます。
佐藤
なるほど。確かにスケジュールで管理しておけば残りの本数が分かるのでアンテナを張れますね。
SEO会社の下請け企業からSEOコンサルティング企業への進化
佐藤
創業当時から今のサクラサクマーケティングに至るまでの経緯を教えていただけますか。
根岸
サクラサクマーケティングは元々、株式会社ブルトアと言う名前だったんですが、創業当初2005年〜2007年頃は主にSEO会社の下請けみたいな業務を細々とやってました。
SEO会社の要望に応える仕組みやシステムを作るような本当に下請け業務です。
そんな時に出会ったSEO会社(サクラサク株式会社)と一緒にタッグを組んで下請けではなく、直接、顧客のSEOコンサルを始めたんですが、それが非常に上手いこといったんですよ。
その時は既に後発だったのでどうやったかと言うと、僕は代理店出身なので直販ではなく、徹底的に代理店さんと手を組む方針を取りました。
規模の大きい会社の下に入って、裏側でSEOの施策を考えて、実行するということを繰り返すことでブルトアは大きくなれたんですよ。
その後、サクラサク株式会社がブルトアを買収し、「サクラサクホールディングス」と「サクラサクマーケティング株式会社」に分かれた結果、僕が「サクラサクマーケティング株式会社」の事業責任者から社長になって今に至ります。
その後、SEOのビジネスで事業を拡大していったんですが、2015年頃、SEOのトレンドも大きく変わり、そこから「コンサルティング」と「コンテンツ」で頑張ってここまでやっています。
自社のオウンドメディアから200件のリードを獲得
佐藤
現在はどのように顧客を獲得しているんですか。
根岸
先ほどの話と繋がるんですけど、元々は代理店経由でビジネスをやってやってたので9割5分は代理店からお仕事を貰えていれば売り上げが作れる状態だったんです。
当初はリードを必要としない会社だったんですけど、徐々にSEOの施策のトレンドが変化していったので、「自分たちでも直販のリードを取りに行かないといけない!」となったんです。
そこで、2016年に自社のオウンドメディア「サクラサクラボ」を立ち上げたんですが、ここでは「ブログ」や「無料の自社ツール」を使ってもらうみたいな形でリードを獲得しています。
このオウンドメディアから「ツールの無料会員の獲得」「メルマガ」「セミナー」などを含めて、月に約200件くらいのリードが獲得できていますね。
佐藤
200件も獲得できているのは素晴らしいですね。
では、オウンドメディアは開設当初から上手いこと行ってたんですね。
根岸
そうでもないんですよ。2016年からこのオウンドメディアを活用しながらやってきたんですけど、その中で失敗することも多々ありましたね。
僕らもBtoBの自社マーケをやったことがなかったので、「とりあえずオウンドメディアのセッションを増やそう!」となり、セッションが上がるような記事を量産しました。
その結果セッションは増えたんですが、ターゲットとしてるお客さんじゃないことが多発したんです。
なので、次に「リードをたくさん獲得しよう!」ということでホワイトペーパーを作ったり色々やってきたんですけど、ここで課題になったのが「リードは増えるが、与件化しない」というところです。
例えば、SEOの無料ツールを登録してくれる人って「アフィリエイター」や「個人のSEO好きの人」なので、お客さんではないんですよ。
BtoBではよくある話ですが、部分最適化をしてしまったという感じですね。
「まずブログのセッションを増やそう」「次にリードを増やそう」「リードが増えたらセミナーに来てもらう人数を増やそう」となると思うんですが、結局与件化してないという事が大きな失敗でした。
そこから180°方針を転換し、セッションやリードの数ではなく「とにかく問い合わせの数」を増やそうとなりました。
コンバージョンに直結するような内容で記事を作ったりとか、比較サイトにもひたすら出稿してみたりなどの問い合わせが増えるような施策に振り切ったんですが、これも失敗しました。
逆に与件はすごく増えたんですけど、「予算が合わない」など僕らのお客さんとしてる層以外からの問い合わせが増えたんです。
お客さんとの深い関係構築へ転換
佐藤
その失敗はどのように解決されたんですか。
根岸
失敗を経て次に何をしなければいけないのかを考えた時に、「SEOとかコンテンツを作ることって目新しいサービスじゃない」と思ったんです。
一般的なSaaSモデルのように、「リードジェネレーション→リードナーチャリング→MAツールを使ってホットなタイミングでアプローチ」というような公式が通用しないことが分かりました。
なのでWeb上で接触するアプローチだけではなく、「サクラサクマーケティング」という会社のファンになってもらわないとダメだなと思ったんです。
今まではブログや記事を作って頑張ってたんですけど、そこで獲得したリードに対しては「セミナーのお知らせ」や「キャンペーンのお知らせ」などを送りまくったりとか、自分たちにメリットのある接触しかしてこなかったんですね。
そこから気づきを経て「ちゃんと役立つ情報を発信しよう!」ということで、僕自身が執筆したメルマガを週に1回必ず送るようにしてます。
YouTubeの方もそれと連動させてやってるんですけど、SEOやコンテンツマーケで役立つ情報をこちらも週に1回配信してます。
手前味噌なんですけど、メルマガとYouTubeを見てもらえればある程度の情報を渡せている状況はできたので、ここに対してリードを増やしていけば上手いこと行くんじゃないかなと思ったんです。
そのリードに対しては共催セミナーとかをやることで、Webマーケには興味があるけど僕らを知らなかった人達に接触し、そのリストに対してメルマガとYouTubeを配信し続けるということをやり始めてからは、有効与件目標が月に10件なんですが今年の1月から毎月達成できています。
色々失敗してきましたが、ようやく方向性が見えてきたという感じですね。
佐藤
めちゃくちゃ面白い話ですね。
今までは「チャネルをどうやって作るのか」や「どうやってオペレーションを設計するのか」などに注力して来たというベースがあって、最後の1ピースが「ブランド醸成」だったということであり、それを「ねぎお社長」というブランドを中心に作って行ってるんですね。
根岸
そうですね。
例えば大手企業の人が「SEO対策比較」で調べて、「この業者にしよう!」なんて絶対にないと思うんですよ。
「あそこどうなの?」「あそこはいいと思うよ!」など社内の口コミで決まると思っているので、「あそこは有益な情報を出してるよ!」とか「Xでいつも情報を発信してるよ!」など、そこのエンゲージメントを上げる必要があります。これは手間がかかるし難しいですが、参入障壁になるのでコツコツ頑張っています。
佐藤
キャラ付けだったりブランド醸成など、どのタイミングで着想を得たんですか。
根岸
自分のターゲットに合わない問い合わせをいっぱい受けた時に、言い方ひどいですけど「なんか違う…」ってなったんですよ笑
じゃあ誰が欲しいのかを考えた時に改めてターゲットが明確になります。そのターゲットがどうやって情報収集しているのかを考えると、今更「SEO対策比較」では検索しないしないですよね。
月に2~300万円の予算をSEOに使うのに、どこの会社かも分からない所に依頼しないと思うので、如何に担当者が純粋想起した時に会社名やサービス名が出てくるかが重要になりますよね。
佐藤
なるほど。顧客の購買行動を促進させるためには何が必要なのか、良い受注を目指すためには何が必要なのかと言うことですね。
少し話は逸れますが、事例で「ネオキャリア」や「アットコスメ」など大きい企業さんを見かけたのですが、どうやって獲得したんですか。
根岸
僕らは20年近く会社をやっていて強いなと思うのが、一個成功した事例があるとそこで担当していた人が転職したとしても紹介してくれるんです。結局これもブランディングなんですよ。
もちろん、既存の施策をしっかりやって結果を出すことは重要なんですが、やっぱり「繋がり」みたいなところがこの業界は大きいなと思います。
そうするとバイネームで依頼が来るので、コンペにならなかったりとか値下げしなくて済むなどの効果はありますね。
動画コンテンツは自分のコピーロボット
佐藤
少し話は戻りますが、現在YouTubeで動画コンテンツを配信してる企業って少ないと思うんですよ。
そんな企業に対して「やるべき!」と言えるポイントなどってありますか。
根岸
YouTubeを始める事って本当に勇気がいると思います。
現在、ねぎお社長のチャンネル登録者数は5,700人なんですけど、始めたての頃って当たり前ですけど10人とかからスタートするじゃないですか。
社員が50人いるはずなのに再生回数は20回とかで、社員ですら再生してなくてキレたこともありました笑
そんな状況ですら自分の貴重な時間を使って動画を撮ってると「やってて意味あんのかな。」って最初の1~2年はずっと思ってましたね。
でも、現状の数値を見てみると全ての動画を合わせて1日に5~60時間くらいは再生されているんですよ。
これって、僕の時間は24時間という限られた時間しかないのに動画の中の僕は毎日60時間喋ってくれているという事になるんですよ。
「そりゃ費用対効果いいよね」って話になりますよね。
僕のコピーロボットが働いてくれていると考えれば、投資する価値は十分にあるとは思いますね。
佐藤
なるほど。お客さんと週に15商談するとなると、そこに時間をほとんどの使うことになるけど、サービス紹介などの動画1つで済んじゃいますね。
根岸
そうなんですよ。
メリットなんて自分でこじ付けてるだけですけど、続けた者勝ちかなって思いますね。
新しい訴求内容を落とし込んだサービスページ
佐藤
最後に、今後の展望について教えていただけますか。
根岸
実はサービスサイトと自社メディアのフルリニューアルをしようと思ってるんですよ。
今もしょぼいLPがあるんですが、さっきの話でブランディングの方が大事だと思ったんでサービスサイトを変えただけじゃ問い合わせは増えないなとなったんです。
この6ヶ月間でブランディングは上手いこと出来たので、改めて必要な情報を整理してサービスサイトに載せようなりました。
僕らは20年もやってるんで、本当にSEOを検討している人だったら「サクラサクマーケティング」という特徴的な名前を1回は聞いたことがあるはずなんですよ。
なので、僕らの説明をするというよりかは「そういえばサクラサクマーケティングってどうなんだ?」のように知ってるけどよく分からない存在をちゃんと理解してもらうというコンセプトで作成しています。
SEO会社のLPによくあるような「SEOに詳しいです!」や「売上にコミットします!」とかではなく、「名前は聞いたことがあるけど話したことはない」や「規模が小さそうだけど大丈夫?」などを赤裸々に記載してます。
あと、僕らは小さい会社なのでそれを差別化にしようと思って、例えば「営業がいません」「専任担当が一気通貫で担当します」「社長自ら情報発信してます」などを記載していますね。
「ねぎお社長」というキャラクターのブランディングと、小さい会社であるからこそ出来ることを訴求していこうかなと思っています。
改めてブランディングが出来てきたので、コンバージョンレートをあげるための受け皿をここからがっつり作って行って問い合わせを増やしたいなと考えています。
佐藤
僕らの会社も同じような想いを持って運営しているので、めっちゃ共感できます。
ブランドの構築ができた今だからこそ訴求できる内容ばかりで、新しいサイトが更新されるのが待ち遠しいです。
本日はありがとうございました。
まとめ
サクラサクマーケティングはSEO業界で20年間生き残るために社長自らがコンテンツの顔として前に出ることでブランドを構築してる事が分かります。
① キャラクターを作ってコンテンツ配信:SEOという難しく感じる業界をキャラクターを作って分かりやすく伝えることで、苦手意識がある方やそもそも知らないという方でもとっつきやすくなり、ブランド認知の向上につながります。
② 動画コンテンツは自分の分身:24時間という限られた中では提案できる回数が限られてしまいますが、提案内容を動画コンテンツとして落とし込む事で動画が代わりに提案してくれてる状況を作り出す事ができます。
③ 発生したリードには有益な情報を提供する:記事やブログから発生したリードに対しては「セミナーやキャンペーンのお知らせ」を送るのではなく、週に1回でも有益な高品質な情報を提供することで与件を悪徳する事ができます。
今回はSEOコンサルティングサービスを展開するサクラサクマーケティングの根岸さんにお話をお伺いしました。
顧客の獲得に課題を持つ方は、ぜひ参考にしてみてください。
b-pos編集部
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