採用におけるペルソナの作り方3ステップ【具体例とテンプレート付】
「採用活動におけるペルソナの設定方法が知りたい」
「ペルソナを設定するメリットが知りたい」
といった悩みは、企業の経営者や人事担当者の方に起きがちです。
採用活動におけるペルソナとは「自社が採用したい人物像」を指します。「採用したい人材」に近い社員にペルソナの項目をヒアリングすることで、効果的なペルソナ設計に役立ちます。
本記事では「ペルソナの具体的な項目」と「ペルソナ設定の3ステップ」を中心に解説します。
採用活動におけるペルソナ
採用活動におけるペルソナについて解説します。
そもそもペルソナとは?
そもそもペルソナとは、おもにマーケティングにおいて使われる概念であり、商品やサービスを利用する顧客モデルです。
「30代前半の営業職の男性」といった幅がある「層」ではなく、情報が詳細まで設定された「架空の人物像」を指します。
採用活動におけるペルソナとは?
採用活用におけるペルソナとは「自社が採用したい人物像」を指します。
ペルソナを設定することで「どんなメッセージが効果的か」「どんな媒体で情報収集しているのか」といった理解が深まるため、効果的な施策が打てるようになります。
採用においてターゲットではなくペルソナが重要な理由
ペルソナと似た意味の言葉に「ターゲット」があります。ターゲットは、年齢、性別、学歴・職歴といった項目から、大まかな人物像を絞り込みます。
一方ペルソナは、架空の人物を想定してさらに細かい項目を設定し、具体的な人物像を作り上げます。
ターゲットとペルソナの違いは、以下の表のとおりです。
ターゲット | ペルソナ | |
---|---|---|
人物像 | 大まかな人物像 | 1人の人物を具体的に想定 |
パーソナリティ | なし | あり |
設定方法 | 層から絞り込む | 具体的な性質を作り込む |
項目例 | ・男性 ・30代前半 ・5年以上の営業経験あり | ・男性 ・34歳 ・独身 ・都内在住 ・IT業界で営業を12年経験 ・趣味はキャンプ |
先述したとおり、マーケティングでもペルソナはひとつの手段です。しかし、マーケティングには「Web上で完結する」「顧客が見えない」といった側面があります。
一方で採用活動では、必ず「対話」が起こります。そのため大多数を区分するターゲティングではなく、1人をイメージするペルソナが重要となります。
採用活動でペルソナを設定するメリット
採用活動でペルソナを設定するメリットは、次の3つあります。
- 採用候補者のイメージがしやすくなる
- 効果的な採用施策が打てるようになる
- 自社にマッチする人材の採用が可能に
それぞれ解説します。
採用候補者のイメージがしやすくなる
採用活動でペルソナを設定することで、採用候補者のイメージがしやすくなります。
ペルソナは、候補者の情報や意見を直接聞いたうえで設計します。そのプロセスで採用候補者が求める条件や会社、キャリアニーズをより鮮明にイメージできるようになります。
「採用候補者が思っていること」や「ニーズがわかる」ということは、採用活動においてメリットとなります。
効果的な採用施策が打てるようになる
ペルソナを設定することで、効果的な採用施策に役立ちます。
採用活動は「企業が伝えたいこと」が優先される傾向があります。しかし「企業が伝えたいこと」が転職者や学生に魅力的に感じてもらえているとは限りません。そもそも、採用候補者が求めている情報ではない可能性もあります。
このような問題が起きる原因として、企業が「採用候補者を理解していないから」といった点が考えられます。
ペルソナを設定することで「採用候補者が求めている情報」と「自社が提供する情報」のギャップを縮めて、効果的な施策が打てる可能性が高まります。
たとえば企業は「自社の働き方が魅力」と考え、広告で「働き方」を訴求したとします。しかし求職者は「働き方よりもキャリアアップを重視している」ため、その広告には興味がありません。
求職者が求めているのが「働き方」ではなく「キャリアアップ」だと認識できれば、自社の昇進モデルをアピールできます。すると求職者に刺さる情報を提供できるため、効果的な採用活動を実施することができます。
自社にマッチする人材の採用が可能に
採用時にペルソナを設定することで、自社にマッチする人材が採用できます。
応募が集まる求人の特徴の1つに「働く姿がイメージしやすい」といったものがあります。ペルソナを設定して求人を打つことで、求職者が「どういった会社なのかをイメージできる」「自分に合った会社がどうかを判断できる」といった点に役立つため、不安を取り除くことができます。
ペルソナに応じて「実力に応じてキャリアアップできる」「プライベートを充実させることができる」といった魅力を訴求すれば、応募者数の向上が期待できます。
ペルソナの項目(具体例とシート付)
「新卒」か「中途採用」かによって、書き出すべきペルソナの項目は異なります。
新卒の場合、最低限押さえておきたいのは次の項目です。
- 応募企業に求めるもの
- 学校
- 性格
- キャリア志向
中途の場合、最低限抑えておきたいのは次の項目です。
- 応募企業に求めるもの
- 現職での不満・課題
- 企業規模
- 役職
- キャリア志向
ペルソナ作成項目のテンプレートは以下からダウンロードが可能です。
※個人情報の入力なしにダウンロード可能です。
採用におけるペルソナ設定の3ステップ
採用におけるペルソナは、次の3ステップで設定します。
- 採用したい人材を明確にする
- 自社の人事データを収集・分析する
- ヒアリング結果からペルソナをつくる
それぞれのステップごとに解説します。
①採用したい人材を明確にする
まずは経営層や部長などからヒアリングし、採用したい人材を明確にしましょう。
自社の経営戦略を実現するためには「どの部署にどんな人材が何人必要か」といった人員計画が重要です。また入社後の配置先によって、採用すべき「性格属性」や「能力」「スキル」が異なります。
そのためペルソナを設計する際にヒアリングし、そのうえで「求める人材の要件」を明確にしましょう。
②自社の人事データを収集・分析する
採用したい人材を明確にしたら、ステップ1で決めた「採用したい人材」に合致する人材を、自社から見つけ出しましょう。
たとえばペルソナで「忍耐力がある性格」を設定した場合、社内で同様の性格の社員を探します。そして、その社員に対しペルソナの項目についてヒアリングしましょう。
③ヒアリング結果からペルソナをつくる
複数のヒアリング結果をもとに、ペルソナを設計します。
ペルソナの項目を複数人にヒアリングすると、いくつか具体例が出てきます。そのヒアリング結果をもとに、代表的な1つのペルソナを作りましょう。
採用におけるペルソナ設計の注意点
採用におけるペルソナ設計の注意点は次の4つです。
- ペルソナは部署ごと/職種ごとに設定する
- ペルソナは「複数」設定する
- 完璧を求めない
- 必ずコンテンツに反映する
それぞれ解説します。
ペルソナは部署ごと/職種ごとに設定する
採用においてペルソナを設計する際は、部署・職種ごとに設定しましょう。
同じ社内であっても、部署・職種ごとに求められる要件は異なります。たとえば「営業の人材」が欲しい場合、エンジニアからヒアリングしても効果的なペルソナが設計できません。
そのため部署・職種に応じて適した人材にヒアリングし、リアリティで実用性のあるペルソナを設計しましょう。
ペルソナは「複数」設定する
ペルソナを設計する際は「複数」設定しましょう。
ペルソナ設計は「部署ごと」「職種ごと」だけでは不十分です。1人に限定してしまうと、そのペルソナに合致する人だけしか採用できなくなるリスクがあります。
「欲しい人材」を定義したら、ペルソナは3パターン程度の複数設定しましょう。複数設定することで、効果的かつ効率的な採用活動につながります。
完璧を求めない
採用活動においてペルソナ設計する際は、完璧を求めすぎないようにしましょう。完璧を追い求めると「このペルソナに該当する人材のみ採用する」といった、選択肢をみずから狭める原因になってしまいます。
ペルソナ設計は、少ない項目であっても「採用候補者のイメージが湧く」ことで、採用活動において効果的な施策を打ち出すことができます。また設定したペルソナとの「ズレ」を感じた場合は修正し、ペルソナを再設定できます。
最初から完璧を求めずに、必要に応じて修正しながら「ズレ」をなくしていきましょう。
必ずコンテンツに反映する
ペルソナを設定したら、採用活動で活用するコンテンツに必ず反映させましょう。
採用活動で活用するコンテンツには、次のようなものがあります。
- 求人票
- 合同説明会資料
- 採用サイト/コーポレートサイト
- 採用ピッチ資料
- 広告
たとえば求人票であれば、ペルソナに近い人が応募してくれるように、求人票の内容に沿って募集要項を作成しましょう。
ペルソナを設定しただけで終わらず、必ずコンテンツに反映させて求職者に届けましょう。
まとめ
ペルソナを設定することで求職者に対して理解が深まるため、効果的な施策を打ち出すことができます。
設定する際は「採用したい人材」を明確にしたうえで、自社に合致する社員がいるかを探しましょう。その社員にペルソナの項目をヒアリングすることで、リアリティのあるペルソナを設計することができます。
ペルソナの項目とExcelテンプレート、設定の3ステップを参考にしながら、求める人材採用の実現のために、実際にペルソナを設計してみましょう。
b-pos編集部
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