BtoB向けのコンテンツマーケティングのやり方とは?成功事例と実施ステップを解説

「BtoBでコンテンツマーケティングを取り入れるメリットは?」
「BtoBでコンテンツマーケティングを実施する方法が知りたい」
といった悩みは、経営者・マーケティング担当者の方の方に起きがちです。
BtoBにおいてコンテンツマーケティングを取り入れることで「認知度・好意度の向上」「見込み顧客の獲得」「広告費の削減」といったメリットがあります。
「成果は中長期的に考える」「経営者層がコミットする」といったポイントを意識し、質の高いコンテンツを作りつづけることで、コンテンツマーケティングを成功させることができます。
本記事では、BtoBのコンテンツマーケティングの成功事例と実施ステップを中心に解説します。
目次
BtoBにおけるコンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは「ユーザーにとって関心がある・欲しい情報」をもとに、コンテンツを用いて企業が得たい成果を獲得する施策です。
加えてBtoB商材には「購買プロセスが複雑」「購買までのリードタイムが長い」「単価が高い」といった特徴があります。
そのため、BtoB商材の特徴に合わせたコンテンツマーケティングを実施する必要があります。
なぜコンテンツマーケティングが注目されているのか
アメリカの調査会社であるCEB社が実施した調査によると、BtoBの購買担当者のうち5割以上が、購買の段階ですでに比較検討を終えているという結果が出ています。

また営業のオンライン化によって「濃度」「回数」といった営業の接点が希薄化しています。
これらの理由から、比較検討段階においてWeb上でアプローチできる「コンテンツマーケティング」が注目を集めています。
コンテンツ=営業パーソンの代わり
「コンテンツ」は、企業が成果を出すうえで必要な「顧客獲得」の役割を担います。
これまでは営業パーソンが顧客との接点を作り、関係性を維持してきました。しかし現在では、コンテンツが営業パーソンの代わりとなり、その役割を担っています。
そのため企業の選択肢としては、次のようなものがあります。
- 営業パーソンに投資するか(セールス)
- コンテンツに投資するか(コンテンツマーケティング)
なお、蓄積されたコンテンツは資産になります。人と違って働き続けてくれるため、セールスに投資するよりもコンテンツに投資したほうが投資対効果が高いといえます。
BtoBにおけるコンテンツマーケティングのメリット/デメリット
BtoBのコンテンツマーケティングには、メリットとデメリットがあります。
メリット
BtoBにおけるコンテンツマーケティングには、次の3つのメリットがあります。
- 認知度・好意度の向上
- 見込み顧客の獲得
- 広告費の削減
それぞれ解説します。
認知度・好意度の向上
BtoBのコンテンツマーケティングは、企業の認知度・好意度の向上といったブランディングに効果的です。
専門性が高い有益な情報を発信することで、顧客の信頼・好感を得られる可能性があります。コンテンツに対する高評価が定着すれば「信頼できる情報を発信している企業」として認知されます。
そのためBtoBにおけるコンテンツマーケティングは、ブランディング戦略の一環として効果的です。
見込み顧客の獲得
特定のユーザーにとって有益な情報を発信できるため、見込み顧客を獲得する手段としても有効です。
コンテンツを通じてユーザーの信頼が獲得できれば「自社のニーズ・課題を解決してくれる可能性がある企業」として認識され、将来的に取引する可能性が高まります。
またコンテンツによって潜在ニーズを引き出すことができれば、購買意欲が生まれるきっかけになります。
コンテンツを通じて顔なじみになることで、購買意欲が高い見込み顧客の獲得につながります。
広告費の削減
効果的なコンテンツマーケティングを実施することで、広告費の削減につながります。
リスティング広告やSNS広告は即効性がありますが、広告を出稿している期間は費用がかかります。一方コンテンツマーケティングは「コンテンツの作成にかかる費用」や「定期的な見直し」といったコストがかかります。しかし良質なコンテンツを作成して公開できた場合、継続的に集客することができます。
長期的な視点でみると、コンテンツマーケティングのコストパフォーマンスは高いといえます。
デメリット
BtoBにおけるコンテンツマーケティングには、次の2つのデメリットがあります。
- 成果が見えづらい
- 成果が出るまでに時間がかかる
それぞれ解説します。
成果が見えづらい
BtoBのコンテンツマーケティングは「見込み顧客の獲得」や「ブランディング」を目的としているため、明確な成果が見えづらい傾向があります。
コンテンツでは「いつか買ってくれる」見込み顧客の獲得や、「問い合わせ」「資料ダウンロード」といったユーザーのアクションを目標とします。そのため「売り上げに直結している」といった実感が得づらいです。
コンテンツの効果を検証するには、アトリビューション分析などを活用して「購買前の顧客にコンテンツが与えた影響」を調査する必要があります。効果を正しく認識することで、コンテンツマーケティングに適切にリソースを割くことが可能となり、企業としての目標達成に近づきます。
成果が出るまでに時間がかかる
コンテンツマーケティングは、成果がでるまでに時間がかかります。
2023年、株式会社イノーバがBtoB企業のマーケティング担当者105名を対象にアンケートを実施しました。そのなかで「コンテンツマーケティングを始めてから、成果を実感し始めた時期」を調査したところ、41.2%が「3ヶ月以上~6ヶ月未満」と回答しました。

たとえばSEOを手段とする場合、SEO施策をおこなってGoogleに評価される必要があります。SEO施策は、効果がでるまで半年以上かかるケースもあります。
コンテンツが上位表示されたとしても、読者と関係性を構築して信頼を得るには時間がかかります。そのためコンテンツマーケティングの成果は、長期的な視点で見て判断する必要があります。
出典:株式会社イノーバ
BtoBのコンテンツマーケティングの種類
BtoBのコンテンツマーケティングの種類は、次の4種類です。
- SEO記事
- ホワイトペーパー
- 動画
- メルマガ
それぞれの特徴について解説します。
SEO記事
SEO記事とは「検索ユーザーの目的に沿った良質なコンテンツ」のことです。検索結果画面で上位に表示させることで、自然検索からの集客を目指します。
コンテンツマーケティングにおいて、一般的に用いられるコンテンツです。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは「ユーザーが抱える課題を解決する」「ユーザーの情報を取得する」といった目的で活用します。
ホワイトペーパーに「独自のアンケート調査の結果」「導入事例」「ノウハウ」といった内容を取り入れることで、ユーザーにとって有益な情報を伝えます。
また、ダウンロードする際に「メールアドレスの入力フォーム」などを設けることで「メルマガの配信」といった、ほかの施策につなげることも可能です。
ホワイトペーパーは、おもに記事の最後でCVポイントとして活用されます。
動画
動画は、文字や画像では伝わりにくい情報を伝えることができます。視覚・聴覚に訴えられるため、商品理解を促す効果があります。
「事例や使い方を紹介する」「商品をレビューする」といった活用方法があります。記事とは異なる層にアプローチすることが可能です。
メルマガ
メルマガは既存リードに対し、作成したコンテンツを届ける手段です。以下のように、ほかのコンテンツと組み合わせて利用されるケースがあります。
- テキスト
- テキスト+記事
- テキスト+動画
- テキスト+ホワイトペーパー
「自社商材のアピール」や「顧客とのコミュニケーション」といった目的で活用されます。
BtoBコンテンツマーケティングの成功事例
BtoBコンテンツマーケティングの成功事例を4つご紹介します。
カオナビ人事用語集

「カオナビ人事用語集」を運営しているのは、株式会社カオナビです。社員情報を顔写真付きで登録することで、人材情報が可視化できるサービスを提供しています。
オウンドメディアを2016年に立ち上げ、月間アクセス数200万以上となるまでに成長させました。
CV獲得の手段は、2017年時点では「リスティング広告が約5割」「オウンドメディアが約2割」でした。しかしオウンドメディアを成長させることで、2019年には「リスティング広告が約3割」「オウンドメディアが約5割」に逆転しました。
コンテンツマーケティング成功を目指し、以下の戦略を意識してオウンドメディアを運営しました。
- 社内の協力体制の構築
- 制作時間とコンテンツの質の向上
- キーワードの優先順位付け
- LPなどへの導線設計
上記の戦略を実行することで、現在ではオウンドメディアがリード・CVを獲得する主力施策の1つとなっています。
目的 | リード獲得 |
ターゲット | 企業の経営層、人事担当者 |
業界 | IT |
コンテンツ種類 | 記事・動画 |
チャンネル | SEO・YouTube・SNS |
コンテンツ数 | 記事数:約2,000記事 動画数:約20本 |
開設日 | 2016年 |
月間アクセス数 | 2,600,000 |
IVRy

「IVRy」を運営しているのは、株式会社IVRy(アイブリー)です。電話応対業務をサポートするサービスを提供しています。
IVRyは戦略的な施策の実施にあたり、マーケティング専門のチームを発足させました。リスティング広告やSNS広告と併せて、自然検索の流入UPを目指して「SEO対策」を実施しています。
コンテンツマーケティングで活用しているチャンネルの効果をスピーディーに検証することで、質の高いリード獲得に成功しました。
SEO施策においては、「06 電話番号」といったキーワードで上位表示されます。ニッチなキーワードを狙っており、SEO施策に工夫があります。
目的 | リード獲得 |
ターゲット | 企業の経営層、営業担当者 |
業界 | IT |
コンテンツ種類 | 記事・動画 |
チャンネル | SEO・YouTube・SNS |
コンテンツ数 | 記事数:約250記事 動画数:約50本 |
開設日 | 2020年 |
月間アクセス数 | 277,200 |
ネオキャリア『HR NOTE』

「HR NOTE」を運営しているのは、株式会社ネオキャリアです。人材紹介・採用支援をおもな事業としています。
オウンドメディアの開設時は**「人事担当者にとって役立つメディアであるべき」といった考えのもと、運営をスタートさせました。その結果メディアは成長し、2020年には月間100万PVを突破**しました。
オウンドメディアの8割以上が自然検索流入です。閲覧行動に合わせてポップアップを設計し、多くのリード獲得に成功しています。
目的 | リード獲得 |
ターゲット | 企業の経営者層・人事担当者 |
業界 | 人材派遣 |
コンテンツ種類 | 記事・動画 |
チャンネル | SEO・YouTube・SNS・メルマガ |
コンテンツ数 | 記事数:約2350記事 動画数:約20本 |
開設日 | 2016年 |
月間アクセス数 | 575,900 |
バーコード講座

「バーコード講座」を運営しているのは、株式会社キーエンスです。バーコード機器をはじめとする電子機器を自社で開発・販売しています。
オウンドメディアを通じて「バーコードの仕組み」や「バーコードの申請方法と導入手順」といった専門性が高い情報を発信しています。その結果、効果的なブランディングにつながっています。
また、コンテンツのなかに「バーコードの基礎知識」や「自社サービスの導入事例」といった資料をダウンロードできるポップアップを組み込んでいます。
これらの資料のダウンロードには「個人情報」や「検討状況」の入力が必要となります。検討状況では「価格を知りたい」から「商品を試したい」までの段階があり、キーエンス側は「優先してフォローすべきリード」が判断できます。コンテンツを通じて、効果的なマーケティングにつなげています。
目的 | ブランディング・リード獲得 |
ターゲット | バーコードを利用する企業 |
業界 | 電気機器 |
コンテンツ種類 | 記事・動画 |
チャンネル | SEO・YouTube・SNS・メルマガ |
コンテンツ数 | 記事数:約40記事 動画数:約660本 |
開設日 | 2019年4月 |
月間アクセス数 | 1,400,000 |
BtoBコンテンツマーケティングの実施ステップ
BtoBコンテンツマーケティングは次の5ステップで実施します。

それぞれステップごとに解説します。
1. コンテンツマーケティングを導入する目的を整理する
まずは、コンテンツマーケティングを導入する目的を整理しましょう。
目的の具体例は以下のとおりです。
- 認知度・好意度を向上させる
- 未接点の見込み顧客を獲得する
- 接点有の見込み顧客を獲得する

導入目的を整理することで、コンテンツマーケティング戦略を設計する基盤となります。
2. 目的に最適な「届ける手段」を明確にする
コンテンツマーケティングの導入目的を整理したら、その目的に適した「届ける手段」を明確にしましょう。
目的ごとの「届ける手段」の具体例は次のとおりです。

上記のように、導入する目的に応じて最適な「届ける手段」を選択することで、狙ったターゲット層にアプローチできます。
3. 作成するコンテンツとテーマを決める
届ける手段が明確になったら、作成するコンテンツとテーマを決めましょう。
コンテンツとテーマの具体例は次のとおりです。

コンテンツ | SEO記事 |
テーマ | 資料作成に困っている人の役に立つコンテンツを発信する 中長期的に未接点潜在層の見込み顧客から発注が来るようにする |
4. 目標を決める
作成するコンテンツとテーマが決まったら「結果目標」と「行動目標」に分けて目標を決めましょう。
結果目標と行動目標の具体例は以下のとおりです。

結果目標の具体例 | 1年後に、記事から5件 / 月、問い合わせを獲得する |
行動目標の具体例 | まず3ヶ月間、月4本(週1本)記事を更新する |
コンテンツを「SEO記事」とする場合、最初は記事を更新する本数を多くしましょう。
SEO記事は、検索結果に反映されるのが遅い傾向があります。そのため最初にできるだけ多くの記事を公開し、反映されるのを待ちましょう。
5. 体制/ルールを決める
目標が決まったら、目標を達成するための体制とルールを決めましょう。
SEO記事を作成する体制では、以下の担当者が必要です。
- マネージャー
- 構成作成担当
- 記事執筆担当
担当者が決まったら、目標を達成するために以下のようなルールを定めましょう。

ルールを決めることで、それぞれの役割が明確になります。各担当者が行動しやすくなるため、目標の達成に近づきます。
コンテンツマーケティングを成功させるためのポイント
コンテンツマーケティングを成功させるためのポイントは次の3つです。
- 成果は中長期的に考える
- 経営者層がコミットする
- 「作成」が滞らない工夫を
それぞれ解説します。
成果は中長期で考える
即効性があるWeb広告などと異なり、コンテンツマーケティングはすぐに成果を上げることは難しいです。そのためコンテンツマーケティングの成果は、中長期的に考えましょう。
成功事例でご紹介したメディアでも、中長期で記事を更新し続けています。有益な情報を発信し続けることで、少しずつ顧客との関係が構築できます。
コンテンツマーケティングは中長期的な施策と考え、継続的に取り組みましょう。
経営者層がコミットする
コンテンツマーケティングを実施する際、経営者層がコミットすることで成功率が高まります。
コンテンツマーケティングは、目に見える効果が出るまで時間がかかります。経営層の理解がない場合、現場は「成果が上がらない理由の報告」といった工数にリソースを割く必要があります。そして最悪の場合「成果が出始めているにもかかわらず中断する」といった事態になる可能性もあります。
経営者層がコンテンツマーケティングにコミットして理解を示すことで「担当者の業務の効率化」や「モチベーション維持」につながります。また経営者層がコンテンツ制作にかかわることで、質やオリジナリティが高まることも期待できます。
これらの理由から、経営者層のコミットはコンテンツマーケティングを成功に導くうえで重要です。
「作成」が滞らない工夫を
コンテンツマーケティングが失敗する事例の原因で多いのは「更新が止まること」です。コンテンツマーケティングを成功させるためには、コンテンツの「作成」が滞らないように工夫しましょう。
具体的には「外注する」「定例MTGで進捗確認をする」といった対策方法があります。コンテンツ制作にかかわる体制・ルールを見直しながら、更新が止まらないように工夫しましょう。
コンテンツマーケティングは外注か?内製か?
ンツマーケティングを実施する手段は「外注」と「内製」の2つの選択肢がありますが、結局ノウハウ・理解がないと厳しいのがコンテンツマーケティングです。
全内製は難しい
コンテンツマーケティングの全内製化には、多くの課題があります。
コンテンツマーケティングを実施するには「コンテンツ制作」「SEO」「デザイン」といった幅広い知識・ノウハウが必要です。
なかでもSEOにかかわるGoogleのアルゴリズムは、頻繁に変化します。この変化に対応して効果的なSEO施策を実施するには、情報収集・分析・迅速な対応が必要です。
また人員や時間といったリソースが不足している場合、専門チームの構築が難しく、コンテンツの質が低くなる恐れがあります。
このような背景から、コンテンツマーケティングを実施する際にすべてを内製化するのは困難です。
外注のコツ
コンテンツマーケティングを外注する場合「戦略設計系」と「リソース補填系」の2つの外注方法がありますが、以下の順序で活用するのがおすすめです。
- 戦略設計系の会社を活用して体制構築
- リソース補填系を活用して継続的に高品質なコンテンツ配信
最初のみ「戦略設計系」を利用して体制を構築することで、自社でコンテンツマーケティングが実施できるようになります。
その後「リソース補填系」を利用することで「ライターが足りない」といった課題が解決できます。リソースが確保できるため「社内リソースの圧迫が軽減できる」「コンテンツの質の向上が期待できる」といったメリットがあります。
まとめ
BtoBのコンテンツマーケティングを実施する際は「ブランディング」「見込み顧客獲得」といった目的を整理してから、届ける手段、作成するコンテンツ・テーマを決めます。そのうえで目標や運用ルールを決めることで、目的の達成に近づきます。
BtoBにおいてコンテンツマーケティングを実施するメリット・デメリットを理解し、自社のマーケティングに取り入れるかを検討しましょう。

b-pos編集部
代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)