インサイドセールスとは?メリット・事例、導入に向いている企業まで解説!

「インサイドセールスってどんな営業方法を指すの?」
「自社に導入すべきかの判断できない」

といった悩みは、インサイドセールスの導入を検討する経営者・マーケティング部責任者の方に起きがちです。

インサイドセールスは「商談の獲得」を目的として営業活動をおこないます。
導入することで「リード客にアプローチできる数が増える」「セールスチームの効率性を高められる」といったメリットがあります。

本記事では、インサイドセールスの概要導入するメリット導入に向いている企業を中心に解説します。

インサイドセールスとは?

インサイドセールスとは、見込み顧客を商談に導くことを目的とした営業活動です。

従来のセールス担当者とは違い「購買」や「契約」をゴールとしておらず、「商談獲得」を目的に動きます。マーケティングで獲得した見込み顧客に対して電話やメール、Web会議ツールといったツールを駆使してコミュニケーションを取り、商談を獲得します。

成約につながる可能性が高い見込み顧客を見極め、アプローチして商談を獲得します。一方ですぐに商談につながらなそうな受注見込みが低い顧客に対しては継続的にアプローチし、購買意欲を高めていきます。

インサイドセールスが注目されている背景

インサイドセールスは「THE MODEL(ザ・モデル)」という営業活動におけるプロセスのなかの1つです。

THE MODELでは営業活動を以下の4つのプロセスに分業化します。

営業プロセス役割目的
マーケティング集客・見込み顧客の創出集客・見込み顧客化
インサイドセールス見込み顧客の育成商談化
フィールドセールス商談・課題解決受注
カスタマーサクセス顧客へのサポート契約継続・アップセル / クロスセル

これまでは1人の営業担当者が見込み客にアプローチし、実際に商談に向かい、購買してもらうまで営業するのが普通でした。このプロセスを分業化することで効率化させたのがTHE MODELとなります。それぞれのプロセスごとにKPIを管理することで課題を可視化し、改善しやすいのも特徴です。

また「サブスクリプション型のビジネスモデルの拡大」や「人手不足対策」「働き方改革との相性」といった面でもメリットがあり、現在でも広がっているモデルとなります。

テレアポとインサイドセールスはなにが違う?

インサイドセールスとテレアポとでは「手段」と「目的」が違います。

テレアポインサイドセールス
目的アポイントを獲得すること有効商談を獲得すること (受注しやすい状態のアポの獲得)
手段コールのみオンラインアプローチ全般 • メール • 電話 • DM • オンラインMTG

テレアポは、コールをしてアポイントを獲得する仕事です。一般的には「社名」や「電話番号」が書かれた顧客リストが用意され、上から順にかけていきます。顧客の質にかかわらず電話をしてくため優先度が決まっていません。

一方インサイドセールスは、メールや電話、DM、オンラインMTGといったオンラインアプローチ手段を用いて、有効商談を取り付けます。一般的に見込み客となった推移が可視化されており、顧客の導入意欲がスコアリングされています。

またゴールは「ただアポイントを獲得すること」ではなく「受注しやすい状態のアポイントメントを獲得すること」です。次の営業プロセスである「フィールドセールス」に質の高い商談を受け渡すことを考えて動きます。

フィールドセールスとの関係性

先述した「THE MODEL」において、営業活動は以下の流れで実施します。

  1. 市場
  2. リード
  3. 商談
  4. 受注
  5. 継続 / リピート

一連の流れのなかで、インサイドセールスの役割は「商談化すること」です。一方フィールドセールスの役割は「受注すること」です。

そのため「受注すること」を目指して商談化し、顧客をフィールドセールスに受け渡すことがインサイドセールスの役割となります。

フィールドセールスとの関係性

インサイドセールスの種類

インサイドセールスには「SDR」と「BDR」の2種類があります。

インサイドセールスの種類
SDR(インバウンド型)BDR(アウトバウンド型)
役割問い合わせがあった企業に対する反響型自社で営業先を選ぶ新規開拓型
ターゲット顕在層潜在層
営業手法担当者への電話 メール メルマガ配信代表への電話 決裁者へのレター

SDR

SDRは「sales development representative」の略です。問い合わせフォームやLPから問い合わせを受けて対応する「インバウンド型」の営業です。

「マーケティングが創出した顕在層」にアプローチします。見込み顧客を育成し、商談化してフィールドセールスに受け渡します。

BDR

BDRは「business development representative」の略です。電話やレター、メールといった手法を用いて商談化を目指す「アウトバウンド型」の営業です。

BDRは「未接触の潜在層」にアプローチします。自ら未接点の顧客を開拓し、育成したのちに商談化します。その後、フィールドセールスに受け渡します。

インサイドセールスのメリット/デメリット

インサイドセールスの導入には、メリットとデメリットがあります。

メリット

インサイドセールスには次のメリットがあります。

  • アプローチ量が圧倒的に多い
  • 各人が成果を上げやすい
  • 組織が課題に気づきやすい

それぞれ解説します。

アプローチ量が圧倒的に多い

インサイドセールスを導入した場合、SDR・BDRともにアプローチできる数が圧倒的に増えるのがメリットです。

以下の画像で従来の営業方法と比較してみましょう。

上記の例では、従来のアプローチでは1日の訪問件数は2件でした。一方、インサイドセールスでコールを用いる場合、1日に60件以上ものアプローチが可能となります。

インサイドセールスのアプローチ数は、従来の営業のおよそ30倍であり、圧倒的な差があります。

従来の営業方法では、訪問営業から商談まで1人の営業パーソンが担当していました。そのため「移動時間」や「交通費」といったコストがかかり、それぞれの情報を整理する時間が必要となっていました。

一方インサイドセールスでは、獲得した商談は「フィールドセールス」へ受け渡します。「複数の情報の整理」「移動時間や移動費」といった手間やコストがかからないため、多くのアプローチが可能となります。

各人が成果を上げやすい

インサイドセールスを導入して営業プロセスを分業化することで、個人が目指すゴールが明確になります。そのため、各人が成果を上げやすくなります。

インサイドセールスの場合は「どれだけ商談化できるか」のみを考え、改善し続けられます。フィールドセールスであれば「どれだけ受注できるか」のみを考えられます。

従来と比べると「各人が目の前の目標に集中できる体制」のため、成果につながりやすくなります。

組織が課題に気づきやすい

インサイドセールスは営業プロセスが分解されているため、各部門の「KPI」や「行動量」が可視化しやすい傾向があります。そのため「組織が課題に気付きやすい」といったメリットがあります。

たとえば「平均的な成果」と「ある月の成果」が以下の数字だとします。

リード数商談数受注数
平均的な成果100件40件(40%)10件(25%)
ある月の成果100件20件(20%)10件(50%)

上記の表では「平均的な成果」では商談化率が「40%」なのに対し、「ある月の成果」では「20%」へ変化しています。

従来の営業では「受注数が10件」という結果そのものは変化していないため、課題に気付きませんでした。しかしインサイドセールスを導入し、KPI管理をすることで「商談化率が悪い」といった課題に気付きます。

その課題に対し「組織としてどう対応するか」を考えることができるのも、インサイドセールスのメリットの1つです。

デメリット

インサイドセールスには次のデメリットがあります。

  • 部署間の関係性が悪くなる可能性
  • 目標管理が形骸化する可能性

それぞれ解説します。

部署間の関係性が悪くなる可能性

THE MODELでは、従来は1人で担っていた営業プロセスを分業化します。そのためインサイドセールスを導入することで、部署間の関係性が悪くなる可能性があります。

企業として成果を上げるために、以下のような目標を部署ごとに設定しています。

  • マーケティング:リード数
  • インサイドセールス:商談化数
  • フィールドセールス:受注数
  • カスタマーサクセス:契約継続数

それぞれ違う目標を追いかけているため、適切にコミュニケーションが取れなくなる可能性があります。

たとえばインサイドセールスが「商談化数は足りているはずなのに、受注数が少ない」と考えている場合、フィールドセールスは「さらに質の高い商談をトスしてほしい」といった要望を持っている可能性があります。

部署間で適切に情報共有できていない場合、企業としての目標が達成できなくなる可能性があります。そのため、適切にコミュニケーションを取って「ヒアリングすべき内容」や「商談化する段階」といった条件を、部署間ですり合わせることが大切です。

目標管理が形骸化する可能性

営業活動におけるKPIは、部署ごとに設定されます。そのため「不要な数字を必死に追いかける」「数字を追うこと自体が目標になる」といった課題に気付かない状態の場合、いつまでも売り上げが上がらない事態に陥ります。

たとえばインサイドセールスは、商談数(KPI)を上げるためにアプローチ数(変数)を増やすとします。しかしターゲット自体に問題があった場合、ターゲットを見直さなければ総合的な数値改善になりません。

この場合、インサイドセールスのKPI達成のためには、マーケティングと連携・連動する必要があります。

営業プロセス全体の課題発見・解決につなげるには、定量だけでなく定性部分の議論も必要です。部署間のコミュニケーションを重視することで、営業全体の目標達成に近づきます。

インサイドセールス導入の成功事例

実際にインサイドセールスを導入し、成功した事例をご紹介します。

株式会社メドレー

株式会社メドレーは2009年に設立され、人材採用・医療分野においてプラットフォーム事業を運営しています。インサイドセールス部門は、精鋭メンバーであるミドルからシニアの社員3名でスタートし、1.5年で有償導入社数1,200社と業界トップシェアに引き上げました。

立ち上げ時は、KPIを「商談獲得数」のみを設定し、営業効率に関するデータ・ナレッジを蓄積することで、今後の営業戦略策定に役立てました。

また「フィールドセールスとのコミュニケーションを円滑にする」「インサイドセールス部門のポジションの確立」といった目的で、社内で一目置かれている人材を配置しています。

その後も段階に応じて「アウトバウンドコールのストレスを緩和し、メンバーのモチベーションを維持する」「商談をスコア化し、確度が高い商談は確実に契約につなげる」といった施策を実行しました。

その結果、有償導入企業がない状態から有償導入先1,200社へと引き上げることに成功しました。

出典:ProSharing Consulting|【イベントレポート】成功するインサイドセールスーISのプロが語る、事業成長に繋がるインサイドセールス部隊の創り方とは?ー

株式会社Faber Company

株式会社Faber Companyは2005年に設立され、Webマーケティングを支援するサービスを提供しています。

「展示会や外部イベントなどで獲得したリードのフォロー」「見込み顧客の課題のヒアリング」といった目的で、インサイドセールス部門をスタートさせました。マネージャー以外の10名程度のメンバー全員がインターン生という体制で始まり、立ち上げに成功しています。

マネージャーがKPI設計、トークスクリプトの準備・更新を担い、インターン生が架電を担当しました。高いモチベーションによってうまく回っていましたが、学業や就職活動の都合で出勤が不安定になることを想定し、徐々にアルバイトを主体とした体制に変化させました。

展示会経由のリストは「リードタイムが長い」といった特徴があります。そのため「アプローチする見込み顧客の課題感」をはじめとしたさまざまな情報を取得し、CRMやSFAツールに記録することを重要視しました。

そうすることで見込み顧客の心情変化に寄り添い、タイミングよくコミュニケーションを取ることができます。

インサイドセールス部門の目標は「有効商談の創出数・受注金額」を設定しています。そうすることで「売りやすい安価商材にアポイントが偏る」といったリスクを防ぐことができます。

出典:才流|インサイドセールスの立ち上げ方と2社の成功事例【SDR・BDR】

どんな企業がインサイドセールス導入に向いているのか?

インサイドセールス導入が向いている企業の特徴は、以下の2つに該当する企業です。

  1. 対象顧客数が多く
  2. 意思決定までに時間がかかる商材を扱っている企業

これらの企業は対象顧客数が多いため、アプローチ数が多くなります。そのため、1人の営業パーソンで各企業を追いかけるのは困難です。

具体的には「SaaS提供企業」「コンサルティング企業」が該当します。

またインサイドセールスは、顧客と時間をかけて関係構築できる点が強みです。そのため、購買に至るまで時間がかかる商材は相性がよいです。

分業化し、アプローチ、ナーチャリング、商談、受注することで、受注確度を高めながら営業活動を効率化できます。

導入前にクリアしておくべきポイント

インサイドセールスの導入前にクリアしておくべきポイントは、次の3つです。

  • インサイドセールスを導入する目的を明確にする
  • アプローチ先の数は担保できそうか
  • インサイドセールスのノウハウはあるか

それぞれ解説します。

インサイドセールスを導入する目的を明確にする

インサイドセールスの導入前に「導入する目的」を明確にしておきましょう。

具体的には、以下のような目的があります。

  • 蓄積されたリードからの商談化
  • マーケティングで創出するリードに対しての追いかけのスピードUP
  • 未接点の大手企業へのアプローチからの商談化

従来の営業手法では、1人の営業パーソンがアプローチできる数は少ない傾向がありました。しかしインサイドセールスを導入することで、アプローチできるリード数が増加します。

「蓄積されたリードからの商談化」を目的とすることで、これまで蓄積されたデータを活用しながら、商談を獲得できます。

またマーケティングが創出するリードに対応しきれていない場合、商談化の機会を逃している可能性があります。「マーケティングで創出するリードに対しての追いかけのスピードUP」を目的とすることで、確度の高い商談を獲得するチャンスが増加します。

ほかにも大手企業にアプローチできていない場合、大きな売り上げにつながる機会を逃している可能性があります。大企業はリードタイムが長い傾向があるため、時間をかけた育成が必要です。

「未接点の大手企業へのアプローチからの商談化」を目的とすることで、大きな売り上げにつながる可能性があります。

このように、目的ごとに得られる効果は異なります。「効率化されるから」といった漠然としたイメージで導入すると、工数のみかかってしまい効果が出ません。

インサイドセールスの導入前に目的を明確にし、具体的な効果をイメージしたうえで始めましょう。

アプローチ先の数は担保できそうか

インサイドセールスは、アプローチを多くできるのが強みです。

アプローチ先が確保できていなければ、インサイドセールス担当者の時間を持て余してしまい、結果的に「営業活動の効率化/成果向上」にならない可能性があります。

そのため、インサイドセールスの導入前に「アプローチ先の数は担保できそうか」を確認しておきましょう。

具体的には、目的に応じて以下のような内容を確認しましょう。

目的確認すべき内容
蓄積されたリードからの商談化ハウスリード数は1000以上あるか?
マーケティングで創出するリードに対しての追いかけのスピードUP週次で30~50程度はリードが生めるか?
未接点の大手企業へのアプローチからの商談化そもそもターゲットリストは豊富か?

上記のような内容を確認することで、担当者の時間を有効活用できます。アプローチ先が確保できそうにない場合、その課題の解決方法を検討しましょう。

インサイドセールスのノウハウはあるか

導入前に、インサイドセールスのノウハウが自社にあるかを確認しましょう。

インサイドセールスは「KPIを管理しながら有効商談化する専門職」です。テレアポとは性質が異なるため「専門職がいるか」は非常に重要なポイントとなります。

インサイドセールスに精通した人材がいない場合「採用」や「外注で体制を整える」といった選択肢があります。

「テレアポをやっていたから」といった安易な理由で人材を選ばずに、専門職を配置することでインサイドセールス導入の成功につながります。

まとめ

インサイドセールスは、SaaS提供企業やコンサルティング企業といった「対象顧客数が多く」「意思決定までに時間がかかる商材を扱っている」といった企業が導入に向いています。導入前にクリアしておくべきポイントを解決することで、インサイドセールス導入の成功に近づきます。

インサイドセールスについて理解し「自社に導入する意義があるのか」の判断に役立てましょう。

インサイドセールスの立ち上げに関する記事はこちら

b-pos編集部

代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)