オウンドメディア運用のポイントを解説。運用の流れ7STEPと14のチェックリスト付

オウンドメディア運用は、ビジネス成長のための最も効果的な戦略の一つとなり得ます。しかし、その有効性を最大限に引き出すには、確かな戦略実行が必要です。

そこで今回は、ブランディングと顧客獲得につながるオウンドメディア運用の5つのポイントをご紹介します。

また、自社での運用が難しい場合には、オウンドメディア運用代行を検討することも一つの手段です。運用代行の費用はさまざまですが、その投資が新たな顧客を獲得し、自社のブランドを強化することにつながるかもしれません。

今回は自社で運営する方向けに、メリット・デメリット含めながらポイントごとに解説していきます

オウンドメディアを運用する目的

オウンドメディアの運用には多くの目的がありますが、その中心にはビジネスの成長ブランド価値の向上があります。

一般的な広告やプロモーションでは伝えきれない、企業のビジョンや価値観、製品やサービスの特長などを、自社のウェブサイトやブログ、SNSなどを通じて自由に伝えることができます。

価値ある情報や有益なコンテンツを提供することで、消費者/顧客からの信頼を勝ち取り、ブランドの価値を高めることができます。その結果として、顧客ロイヤルティの向上新規顧客の獲得につながるのです。

しかし、その運用には戦略計画、そして持続的な努力が必要となります。

次のセクションでは、オウンドメディアのメリットとデメリットを詳しく探り、その運用についての理解を深めていきましょう。

オウンドメディア運用のメリット/デメリット

オウンドメディアの運用には大きなメリットがありますが、同時に考慮すべきデメリットも存在します。

メリット1:見込み顧客の獲得
2:採用
3:ブランディング・好意度UP
4:広告費削減
デメリット1:効果実感まで時間がかかる
2:成果が可視化しづらい
3:運営にコスト/手間がかかる

メリット

1. 見込み顧客の獲得

オウンドメディアは、記事を通して潜在層にリーチすることができます。質の高いコンテンツを提供することで、見込み顧客の関心を引き、新たなビジネスチャンスを創出します。

特に、ニーズに合った情報を提供することで、顧客の信頼を獲得し、長期的な顧客関係を築くことが可能です。

”株式会社ベイジ”では、実際の成功事例を紹介していることで見込み顧客がベイジのサービスを利用した際の効果をイメージしやすくすることで関心を得ています

2. 採用に効果的

オウンドメディアは採用活動にも大きな効果を発揮します。自社のビジョンや価値観、職場の雰囲気を伝えることで、志向性の合う人材を引き寄せることができます。

また、社員の声を掲載することで、企業の人間性や働く環境を具体的に示すことができます。

”メルカリ”が運営するオウンドメディアでは、自社のロードマップを紹介することで「メルカリに興味を持っている求職者」の関心を得ています。

3. ブランディング/自社への好意度向上

オウンドメディアはブランディングに非常に有効です。

自社の価値観やビジョン、製品・サービスの魅力などを伝えることで、企業のイメージを形成し、自社への好意度を向上させることが可能です。

”北欧、暮らしの道具店”のサイトでは製品のイメージである「シンプルで落ち着いたもの」をオウンドメディアにも反映させ、ブランディングを強化しています。

4. 広告費用を抑えられる

SEO対策を施すことで自社のウェブサイトが検索結果の上位に表示され、広告を出さなくても自然と訪問者が増えることを指します。

これにより、検索エンジン広告(リスティング広告)などの広告費用を抑えることが可能になります。

SEO上位広告を出さなくても問い合わせがくる
SEO下位リスティング広告などの広告費がかかる
SEOによる顧客獲得
自社認知度:高広告費用をかけずとも
自社情報を知った上で、問い合わせ・応募がくる
自社認知度:低採用プラットフォーム等を使わないと応募がこない
かつ、自社をあまり知らない。
→常に費用がかかりつづける
自社認知度による採用効果

SEO対策に関してこちらのサイトにまとめられているので興味のある方はご覧ください(https://seolaboratory.jp/91744/

デメリット

1. 効果が出るまでに時間がかかる

オウンドメディアは短期間での成果が見込めるものではありません。信頼を勝ち取るためには、一貫したコンテンツ提供と時間が必要です。

KW難易度やコンテンツ頻度によって差はありますが、一般的に3ヶ月〜6ヶ月程度だと言われています

2. 成果が可視化しづらい

また、オウンドメディアの運用成果は他の広告手法と比べて可視化しづらいという特性があります。直接的な売上への貢献度など、具体的な数値化が困難な面があります。

3. 運用にコスト・手間がかかる

そして、オウンドメディアの運用は一定のコストと手間が必要です。定期的なコンテンツ作成更新分析などは、人的リソースや時間、費用を必要とします。

  • サイト構築:数十万円〜数百万円
  • 運営:月数万円〜数十万円

詳しいコストに関してはこちらのサイトにまとまれていますので興味のある方はご覧ください(→ https://imitsu.jp/cost/hp-design/article/owned-media#5Dmh2gsspR

オウンドメディア運用の5つのポイント

オウンドメディアの運用は、単にコンテンツを作成し、公開するだけではありません。以下に示す5つのポイントを押さえることで、効果的な運用と結果を生み出すことが可能です。

① 運用目的は明確か?

オウンドメディアの運用において、最初に明確にするべきはその目的です。

目的は、ブランド認知の向上製品やサービスへの関心喚起新規顧客獲得既存顧客との関係深化など、企業のビジネス目標と密接に結びついています。

オウンドメディアの運用は時間とリソースを必要とするため、それがどのようにビジネスに貢献するかを理解し、目標を設定することが重要です。

例) 高騰する広告費用を抑えるために、オウンドメディアを運営する

② KPIは適切か?

次に、オウンドメディア運用の成功を測定するためのKPI(Key Performance Indicator)を設定することです。

KPIは、設定した目標が達成されているかを定量的に判断するためのもので、ページビュー数訪問者数滞在時間直帰率コンバージョン数など、具体的な数値で表されます。

これらのKPIを定期的に確認し、改善のためのアクションを起こすことが求められます。

以下の例のように、初期は記事更新数などの行動目標を設定し、アクセスが集まり始めたら徐々にフェーズごとに適切なKPIを設定するようにしましょう。

期間KPI
~3ヶ月記事更新数:5本 / 月
3ヶ月~6ヶ月訪問者数:1000 / 月
6ヶ月~1年コンバージョン数:10 / 月

③ 運用体制は構築できているか?

オウンドメディアの運用は、記事の作成、SEO対策、数値分析など、多岐にわたる業務が必要です。そのため、適切な人材が配置され、役割分担が明確にされた運用体制を構築することが必要です。

また、体制を維持するためのコストや時間も考慮に入れることが重要です。

役割業務内容
メディア担当方向性/戦略の策定、データの確認・分析
ライター営業やマーケターなど現場に近い人が、顧客の質問等からコンテンツ企画・執筆
エディターSEO観点で編集・公開
運営更新体制整備

また、オウンドメディアが失敗する要因の一つとして「更新が止まる」というものがあります。そのため更新が止まらない工夫が必要になります。 定例企画MTGやSEOコンサルティング会社に依頼して「無理やり進めないといけない」状況をつくるなどの工夫を施しましょう。

④ 記事の管理・数値分析準備はできているか?

オウンドメディアの運用には、定期的なコンテンツの制作と公開が求められます。

記事のテーマ選定、キーワード選択、ライティング、校正、公開、更新など、一貫したプロセスを通じて質の高いコンテンツを提供し続けることが重要です。

また、各記事のパフォーマンスを数値で把握し、分析する体制を整えることで、より効果的なコンテンツ制作と運用が可能となります。

スプレッドシートやエクセルなどで以下のような項目を管理しましょう。

  • KW
  • その他記事に含めるKW
  • 検索ボリューム
  • 記事ステータス
    • 構成作成中
    • 原稿執筆可能
    • 原稿完了
    • 原稿チェック
    • 修正中
    • 公開準備
    • 公開完了
  • 構成担当
  • 原稿担当
  • 公開日
  • 検索順位
  • アクセス数

数値分析に関しては、以下のサイトで行えます

検索順位
・エイチレフス(https://ahrefs.jp/)
・GRC(https://seopro.jp/grc/)

アクセス数
・GA4(https://support.google.com/analytics/answer/10089681?hl=ja)

⑤ 絶対に取りたいKWを設定しているか

オウンドメディアにおいて、SEO対策は必須です。

そのためには、「絶対に取りたいKW(キーワード)」を設定し、そのキーワードに基づいたコンテンツ制作と、それを最大限引き立てるためのSEO対策が求められます。

キーワードは、自社の製品サービスブランド業界などと密接に関連するものを選び、それによって自社のオウンドメディアが目立つ存在になるよう努めるべきです。

例)営業代行会社の場合 → KW: 「営業代行」

オウンドメディア運用の7STEPと14のチェックリスト

①KW設計

オウンドメディア運用の始まりはキーワード設計です。

ここでは、検索エンジンからの流入を最大化し、ターゲットとする読者にとって価値のある内容を提供するために、効果的なキーワードの選定と配置が重要です。

キーワードは読者の興味問い、また、あなたのサービスや商品に対する解答を提供すべき鍵となるものです。

【ポイント】

Spreadsheet/エクセルにKWリストをまとめる

【チェックリスト】

  1. 絶対に取りたいKWを設定しているか
  2. 必要な項目をまとめているか(最低限、KW, 検索ボリューム)

例えば、絶対に取りたいKWが「オウンドメディア」の場合は、以下のようにまとめていきましょう。

メインKWサブKW検索ボリューム
オウンドメディアオウンドメディア 運用130
オウンドメディア 費用160
オウンドメディア 立ち上げ100
オウンドメディア とは380
オウンドメディア メリット100
オウンドメディア 成功事例470

②執筆記事選定

キーワード設計の次には、具体的な記事の選定が必要となります。

ここではキーワードに基づいたテーマや主題を考え、それらがあなたのビジネス目標にどれだけ貢献できるか評価します。選択された記事が読者にとって価値があり、あなたの商品やサービスを適切に強調することが重要です。

また、選定した記事の構成日、原稿執筆日、公開日などもまとめておくことで分析に際に役立ちます

ポイント

Spreadsheet/エクセルに記事管理シートをつくり、どのKWで書くかを決める

【チェックリスト】

  1. KW/構成作成日/原稿執筆日/公開日…などの項目で管理できているか
  2. その記事で狙うKWは明確か

③構成作成

記事の選定が終われば、その記事で狙うKWを中心に構成を立てます。

記事の見出し、サブタイトル、本文の流れ、そしてキーワードが自然に入る場所など、一貫性と読みやすさを確保しつつ情報を伝える構造を考えることが重要です。

【ポイント】

Googleドキュメント/Spreadsheetに構成を作成

【チェックリスト】

  1. 記事を書くために先に構成(見出しを羅列したもの)を作成できているか
  2. 見出しにKWは入っているか

④原稿執筆

記事の構成が定まったら、原稿の執筆に移ります。

ここでは記事の品質が最も直接的に問われる場所です。原稿は読者にとって有益かつ魅力的でなければならず、また適切なキーワードを含むことでSEO対策も行います。

【ポイント】

Googleドキュメントなどに原稿を執筆

  1. 構成(見出し)通りに原稿を執筆できているか
  2. 読み手が読みやすいように図や表、箇条書き等の工夫はできているか

工夫されている良い例

読者が読みづらい例

⑤公開

原稿が完成したら、それを公開します。

公開する際には、記事の公開日や時間、公開後拡散するチャネルなどを考慮する必要があります。これらは読者が新しい記事をいつどのように見つけるかを左右する重要な要素です。

また、適切なスラッグが設定されているかも確認する必要があります。こちらにスラッグについてまとめられたサイトを紹介しておきます(→ https://www.best-hp.jp/univ/koza-category/course/153/

【ポイント】

WordPressなどオウンドメディアに原稿を入れて公開する

【チェックリスト】

  1. 記事がわかりやすくなるようにキャプチャ(図解画像等)は入れているか
  2. スラッグは英語で設定できているか

⑥数値分析

公開後は、数値分析を通じて記事のパフォーマンスを評価します。

具体的には、記事の閲覧数、シェア数、コメント数などを集計し、どの記事が読者に受け入れられているか、どの記事がビジネス目標達成に貢献しているかを分析します。

【ポイント】

公開した記事の検索順位/アクセス数の推移を週一程度で見ていく

【チェックリスト】

  1. エイチレフス(検索順位)/アクセス数(GA4)は数字を追いかけているか
  2. 記事管理シートに週次で数値記録できているか

例えば、検索順位を追いかけるときは、以下のように管理/分析していきましょう。

検索順位7/1~7/8~7/15~
KW:A50位27位12位
KW:B60位55位

⑦KW見直し

最後に、定期的なキーワードの見直しが必要となります。

市場の動向、検索エンジンのアルゴリズムの変更、競合状況などにより、最初に設定したキーワードが最適でない可能性があります。

キーワードの見直しはオウンドメディアの成果を最大化するための重要なステップです。

【ポイント】

KWリストのシートのKWを削除/追加する

【チェックリスト】

  1. リスト化したKWで書いていない記事はないか
  2. 効果の高いKWの周辺のKWを追加できているか

以上がオウンドメディア運用の一連の流れとなります。それぞれのステップにおいて、一貫性と戦略性を保つことが重要です。

オウンドメディアの成功事例

オウンドメディアは、自社のブランド認知度を向上させ、リード獲得顧客エンゲージメントの増強を図るための非常に有効な手段です。

本記事の「オウンドメディア運用のメリット」で紹介したメディアとは別に、さまざまな業界で成功しているオウンドメディアの事例を以下にご紹介します。

1. レッドブルメディアハウス

レッドブルはエナジードリンクの製造販売企業ですが、そのオウンドメディア戦略により「エクストリームスポーツのブランド」というイメージを築き上げました。

彼らは自社ウェブサイトやソーシャルメディアを通じて、エクストリームスポーツに関するコンテンツを積極的に配信。

それらのコンテンツは、競技の様子を伝えるだけでなく、アスリートたちのライフスタイルやパーソナルストーリーを深堀りし、視聴者に感情的なつながりを感じさせるものとなっています。

これにより、レッドブルは単なる商品の製造販売企業から、エクストリームスポーツのコミュニティの一部と見なされるようになりました。

2. スターバックス

次に紹介するのは、スターバックスが提供する「スターバックスストーリーズ」です。

これは、スターバックスが直面する社会問題に対する取り組みや、社員や顧客の体験談など、ブランドに関連する様々な話題を扱った記事を配信するコーナーです。

これにより、スターバックスは自社のブランドイメージを強化し、消費者とのつながりを深めています。

3. LEGO

LEGOのウェブサイトでは、新製品の紹介、ビルドのアイデア、動画、ゲーム、アプリ、イベント情報といった、子供から大人まで楽しめる豊富なコンテンツが提供されています。

また、ユーザー自身がビルドした作品を投稿し、他のユーザーと共有する「LEGO Ideas」のようなプラットフォームを提供することで、コミュニティの形成と維持に努めています。

これらの取り組みにより、LEGOは一貫して自社ブランドの価値を高め続け、顧客との強い結びつきを保っています。

まとめ

オウンドメディアの運用は、ビジネスの成長とブランドの構築に直結します。

この記事では、KW設計から公開、そして数値分析とKWの見直しまで、オウンドメディア運用の全流れと具体的な手法を解説しました。

成功するためには、質の高いコンテンツを継続的に提供するだけでなく、戦略的な視点から計画と改善を行い、顧客のニーズとブランドメッセージを適切にマッチさせることが求められます。

オウンドメディアの運用は一朝一夕に結果が出るものではありません。

しかし、着実な戦略と取り組みを続けることで、ブランドの価値を高め、顧客のロイヤリティを確立することが可能です。

以上の手法と事例を参考に、ぜひあなたのオウンドメディア運用に活かしてみてください。

b-pos編集部

代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)