システム開発の費用相場|コストを抑える5つのコツとおすすめの依頼先3選。

「業務効率化のためにシステムを開発したいが、費用相場がわからない」

「外注のために見積もりを出してもらっても、費用の妥当性が判断できるか不安」

システム開発を検討している方のなかには、上記のような悩みがある方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、システム開発費用の費用相場をシステムの種類・開発方法別に解説します。費用内訳や費用の妥当性を判断する方法も紹介しているため、システム開発にかかる費用を知りたい方はぜひご覧ください。

システム開発の費用相場は10万円~数千万円程度

システム開発の費用相場は10万円~数千万円と幅広く、開発するシステムの種類だけでなくツールの導入・ツールのカスタマイズ・フルスクラッチなどの開発方法によっても変動します。

ここでは、以下のシステムの種類別に開発方法ごとの費用相場を解説します。

  • 基幹システムの相場
  • 業務支援システムの相場
  • Webシステムの相場

基幹システムの相場

基幹システムは企業の根幹を担う情報を管理するシステムで、以下のようなものが該当します。

販売管理受注・在庫・出荷・売上などを管理して販売業務を一元管理
生産管理原価・生産工程・納期などを管理してQCD(品質・コスト・納期)を最適化
人事管理勤怠・給与・労務・人事情報などを管理して人事業務を効率化
財務会計伝票・決帳票などの情報を管理して財務会計業務を効率化

基幹システムの開発方法別の費用相場は以下のとおりです。

ツールの導入月額1万円~10万円程度
ツールのカスタマイズ60万円~100万円程度
フルスクラッチ500万円以上

たとえば販売管理システムであれば、開発済みのツールを導入する場合は月額料金を支払って利用するケースが多いです。システムを利用する人数によって費用も変動し、初期費用がかかるツールや初期設定が有料のツールもあります

既存ツールを自社向けにカスタマイズする場合はディレクターやエンジニアなどが関わるため、その分人件費がかかります。フルスクラッチも機能・デザインなどをゼロから開発するため、関わる人材が多くなるうえ開発期間も長くなるため、開発費用も高額になります

業務支援システムの相場

業務支援システムは顧客情報や営業活動、プロジェクトなどを管理するシステムで、以下のようなものが該当します。

MAメール配信・効果分析などでマーケティング活動を自動化
SFA顧客・案件・営業プロセスなどを管理して営業活動を効率化
CRM顧客情報を収集・管理・分析して顧客との関係性を構築・促進

業務支援システムの開発方法別の費用相場は以下のとおりです。

ツールの導入月額5万円前後
ツールのカスタマイズ50万円~200万円程度
フルスクラッチ400万円以上

MA・SFA・CRMなどの顧客管理システムの場合、ツールの導入ではほとんどがクラウド型で、月額料金を支払って利用するケースが多いです。CRM機能のみのツールがある一方で、CRM・SFA・MAの機能が一体化したツールもあり、機能数や利用人数によって費用は変動します。

既存ツールをカスタマイズする場合、ツールを買い取ってライセンス料を支払うオンプレミス(パッケージ型)が多いです。フルスクラッチはCRM機能のみであれば400万円程度で開発できる一方で、MA・SFA・CRMを統合したシステムを開発するような場合は数千万円以上かかるケースもあります。

Webシステムの相場

Webシステムはインターネットを介して利用できるシステムで、以下のようなものが該当します。

マッチングシステム個人・企業などを結ぶシステム
ECシステムEC(電子商取引)ができるサイトを構築・運営できるシステム
予約システム企業・店舗の商談などの予約受付や管理をするシステム
CMSホームページ・コンテンツなどを作成・更新できるシステム

Webシステムはそれぞれ搭載する機能が大きく変わるため、種類ごとに費用相場も異なります。

マッチングシステム50万円~1,000万円程度
ECシステム50万円〜1,000万円以上
予約システム数万円程度~2,000万円以上
CMS5万円~1,000万円以上

なかでも予約システムは費用相場に大きな差があります。パッケージ化されたツールを導入する場合は数万円程度で開発できる一方で、フルスクラッチで開発する場合は1,000万円以上かかるケースもあります。特に、旅行系の予約システムのように多様な機能を実装する場合は1,000万円以上かかることは珍しくありません。

システム開発の費用内訳

システム開発費用の内訳は大きく分けて「人件費」と「諸経費」で構成されています。なかでも人件費は8割と多くの割合を占めています

システム開発の費用内訳

システム開発における人件費と諸経費の費用相場・計算方法を解説します。

人件費

システム開発にかかる人件費は、システム開発に必要な技術者の数×人月単価×開発期間で決まります。なお、人月単価は技術者1人が1か月作業した場合にかかる費用です。

以下の条件で、システム開発にかかる人件費を計算してみましょう。

  • プロジェクトマネージャー1名・エンジニア1名・プログラマー1名・デザイナー1名が必要
  • 全員の人月単価が50万円
  • システム開発に5か月かかる

この場合、計算式は4人×50万円×5か月=1,000万円のため、1つのアプリ開発にかかる人件費は1,000万円となります。この人件費に諸経費を足した金額がシステム開発費用の合計額です。

また、技術者の職種に応じて人月単価が変動します。システム開発に関わる職種ごとの人月単価の相場は、以下のとおりです。

職種費用相場
プロジェクトマネージャー100万円~200万円程度
システムエンジニア60万円~200万円程度
プログラマー60万円~100万円程度
デザイナー60万円~120万円程度

諸経費

システム開発では、人件費以外に以下のような諸経費も含まれます。

  • サーバー費用
  • ソフトウェア・ライセンス料
  • ドメイン取得費用
  • SSL証明書取得費用

なかでもサーバー費用は、AWSやAzureなどのクラウドサーバーであれば従量課金制のため費用が抑えられますが、物理サーバーを複数導入する場合は初期費用が高額になる傾向があります。また、Oracle製品をはじめとする高価な有償ソフトウェアを利用する場合は、ライセンス料も大きな費用となります。

システム開発後には運用・保守費用もかかる

システム開発後は、システムが安定的に稼働させるために管理・監視する「運用」と、障害発生時に原因を突き止めてシステムを復旧・修正する「保守」をしていく必要があります。外注する場合は、その費用が継続的にかかることも認識しておきましょう。

運用・保守費用の相場は、システム開発にかかった費用の5%程度が目安です。たとえば100万円で開発したシステムであれば、運用・保守費用は月々5万円、1年間で60万円となります。

システム開発費用の妥当性を判断する方法

システム開発における費用の見積もり方法はさまざまで、開発会社によっても異なります。しかし「複雑でよくわからないから」と開発会社に丸投げせずに、どのようにシステム開発の見積もりが出されているかを知っておくことで、開発会社の提示金額の妥当性を判断できます。

システム開発の見積もり方法は大きく分けて、以下の3種類あります。

  • トップダウン(類推法)
  • ボトムアップ(工数積上げ)
  • FP法(ファンクション・ポイント法)

各見積もり方法の概要とメリット、注意点を解説します。

トップダウン(類推法)

トップダウン(類推法)は、過去の類似したシステム開発のデータをもとに、コストや必要な工数を見積もる手法です。ほかの方法と比べて簡単に費用を見積もれる一方で、過去の事例・経験から工数を予測するため、感覚に依存する部分が大きく、経験の浅いエンジニアでは正確な見積もりが出しづらい点に注意が必要です。

ボトムアップ(工数積上げ)

ボトムアップ(工数積上げ)は、システムを作るための作業を仮定して工数を積み上げる手法です。各開発担当者に「その機能を何日で開発できるか」を決めてもらったうえで費用を見積もるため精度が高いのが特徴で、詳細まで要件が定まっている場合に適しています。

一方でボトムアップは時間がかかるため、見積書作成に時間を要します。そのため、プロジェクトの開始が遅れる可能性があるうえ、詳細な見積もりを行うため見積もり作成自体にコストがかかるケースもあります。

FP法(ファンクション・ポイント法)

FP法(ファンクション・ポイント法)は、システム開発で実装する機能ごとに点数をつけて、その合計で見積もりを出す手法です。たとえば「〇〇機能の実装は難易度が低いので5点」「〇〇機能は難易度が高いので20点」のように点数(ファンクションポイント)をつけ、その点数を合計して費用を算出します。

機能ごとにポイントつけられるため、どの機能にコストがかかるかを把握しやすい点がメリットです。一方で、過去に事例のない機能の評価は難しいうえ、単純な機能と複雑な機能が見極められないため、実際の難易度・工数が適切に反映されない可能性がある点に注意が必要です。

システム開発費用を安く抑える5つのコツ

システム開発の費用相場・見積もり方法などは把握できたものの、さらに費用を抑えて開発したいと考えている方もいるのではないでしょうか。

ここからは、システム開発の外注費用を抑える以下5つのポイントを解説していきます。

  • 要件定義を明確にしておく
  • 補助金を活用する
  • 開発過程の一部を内製化する
  • 利用年数を考慮して設計する
  • オフショア開発・ノーコード開発を検討する

要件定義を明確にしておく

開発するシステムで解決したい課題や目的、求める機能などを開発前に明確にしておくことで、イメージ通りのシステムを開発できるうえ開発途中での仕様変更も防げるため「大幅なコスト増加」や「開発期間の延長」などのリスクを低減可能です。

具体的には「マーケティング施策にかかっている工数を現在の1/4に削減したい」「人事管理の人員を1人分減らしたい」といったように、システム開発の目的を明確化しておきましょう。

また、本当に必要な機能を特定して予算を考慮しながら搭載する機能の優先順位をつけることで、不要な機能の開発を避けてコストを削減できます。開発会社側と要件定義を進めることはできますが、相談前に社内でもある程度決めておくことで、スケジュール通りに希望通りのシステムを構築できる可能性が高まります。

補助金を活用する

システム開発では以下のような補助金も活用可能です。

  • ものづくり補助金
  • 事業再構築補助金
  • IT導入補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

採択率は約50%と低めであるうえに申請書類の作成は煩雑ですが、システム開発にかかった費用の一部を給付してもらえるため、システム開発費用を抑えたい場合は補助金の活用も検討することがおすすめです。

以下の記事では、補助金申請の関連業務を代行する「補助金申請代行会社」を紹介しています。対応補助金の種類・採択率・不採択時の対応などの比較ポイントから、自社にマッチした会社を選べる内容のため、補助金を利用したアプリ開発を検討されている方はあわせてご覧ください。

開発過程の一部を内製化する

システム開発の工程の一部分だけでも内製で対応できれば、その分外注費用を抑えられます。たとえば、自社にデザイナーがいればデザイン工程を内製化することもできるでしょう。

ただし、自社にシステム開発の工程に対応できる人材が不在な場合やシステム開発に回すリソースがない場合に無理に内製化すると、失敗する恐れもあります。コストを削減できてもシステム開発自体が失敗してしまうと意味をなさないため、自社の人員で確実に対応できると判断した部分のみ内製化を検討しましょう

利用年数を考慮して設計する

システム開発の費用を抑えるには、利用年数に応じた設計が重要です。短期の利用であれば、変更の可能性がある部分のみ柔軟に設計することで開発コストを最小限に抑えられます。一方、数年~10年を超えるような長期利用の場合は、大規模な変更にも対応できるように拡張性を考慮した設計が必要になります。

したがって、システムの利用期間を見極めその期間内に必要な機能に絞って設計することが大切です。利用年数を考慮した適切な設計により、無駄なコストをかけずにニーズに沿ったシステムを開発できるでしょう。

オフショア開発・ノーコード開発を検討する

システム開発費用の削減を目指すなら、オフショア開発やノーコード開発の活用も含めて検討しましょう

システム開発費用の多くは人件費が占めているため、人件費の安い国に開発を外注するオフショア開発を利用することで大幅なコスト削減が可能です。日本国内のエンジニアの平均単価が60万円~200万円であるのに対し、オフショア開発の人件費は約40万~60万円程度のため、人件費を1/2程度削減できる可能性があります。

またノーコード開発に対応している会社であれば、コーディングが不要になる分エンジニアの人件費を削減したコストで依頼できます。オフショア開発やノーコード開発を採用しているシステム開発会社に相談することで、コストを抑えたシステム開発も可能なため、選択肢の1つに含めて検討しましょう。

低コストで依頼できるシステム開発会社

ここからは、オフショア開発やノーコード開発などを採用していて、低コストでのシステム開発を請け負っている会社を3社紹介します。

株式会社システムエグゼ

引用:株式会社システムエグゼ

株式会社システムエグゼは、ベトナムでのオフショア開発により、大規模開発案件で最大40%のコスト削減を実現しているシステム開発会社です。日系システムインテグレーターを親会社に持ち、ISMS認証を取得したベトナム子会社で、日本の品質基準に準拠した開発体制を確立しています。

ベトナム人エンジニアは年間5000時間の日本語研修を受講しており、要件定義から開発まで日本語でのコミュニケーションが可能。これにより、オフショア開発でありがちな認識違いや情報伝達ミスを最小限に抑えています。医療・製造・金融など多岐にわたる業界での開発実績があり、Webサイトやスマートフォンアプリの開発にも対応しています。

ノーコード開発ラボ(株式会社プラムザ)

引用:株式会社プラムザ

株式会社プラムザが提供する「ノーコード開発ラボ」は、ノーコード・ローコード開発を活用し、従来のシステム開発と比べて最大3分の1までのコスト削減を実現しています。25年にわたり官公庁・自治体から企業・店舗まで、幅広い分野でのシステム開発実績を持っています。

同社の特徴は、ノーコード開発とラボ型開発を組み合わせた柔軟な開発体制です。プロジェクトの進行に応じて開発メンバーを柔軟に変更できるため、各工程で最適な体制を構築できます。開発手法の選定では、ヒアリングを通じてノーコードの採用是非を含めた最適な開発形態を提案。詳細な要件定義書がなくても、密なコミュニケーションを通じて顧客の理想とするシステムを実現する開発アプローチを取っています。

株式会社リック

引用:株式会社リック

株式会社リックは、システム開発のプランを低価格パターン・短納期パターン・高品質パターンからニーズに応じて選べるシステム開発会社です。パッケージソフトでは対応できない業務課題に対して、顧客の業務フローを詳細に分析してオーダーメイドのシステムを開発しています。

同社の特徴は、経験豊富な専任チームによる少数精鋭の開発体制です。案件の規模に関わらずベテラン開発者が担当するため、要件定義から運用保守まで一貫した品質基準での開発が可能です。小規模な組織体制を活かし、顧客の要望に応じて迅速な意思決定と柔軟な対応を実現している開発会社です。

なお以下の記事では、さらに多くのシステム開発会社をタイプ別に紹介しています。「大規模システムに強みのある会社に依頼したい」「基幹システムを開発したい」といったニーズに応じて自社にマッチした依頼先を選びたい方は、ぜひあわせてご覧ください。

システム開発における費用対効果の計算方法

システム開発における費用対効果は、定性的な部分は測定が難しいものの、新規顧客獲得数の増加や作業時間の削減、売上増加などの定量的な効果は算出可能です。

作業時間の削減を例に、以下の前提条件でシステム開発の費用対効果を計算してみましょう。

システム関連費社内状況効果
・初期費用:50万円
・運用・保守費:2万円 / 月
・利用者数:10人
・営業日数:月20日
・従業員の月給:25万円
・月間労働時間:160時間
・1人あたり毎日30分削減

上記の場合、以下の計算式で費用対効果を計算できます。

  • 1人あたりの月間作業時間削減:30分×20=600分(10時間)
  • 全員分の月間削減時間:10時間×10=100時間
  • 1時間あたりの人件費:160時間÷250,000円=1,562.5円 / 時間
  • 月間人件費削減額:100時間×1,562.5円 / 時間=156,250円
  • 月額コスト削減額:156,250円−20,000円=136,250円
  • 初期費用回収に必要な期間:500,000円÷136,250円=3.67か月

よって、システム導入後は3.67か月でシステム開発にかかった初期費用を回収できます。また初期費用回収後は、毎月136,250円のコスト削減効果が得られます

なお、この計算例では人件費削減のみにフォーカスしていますが、実際の評価では顧客満足度アップ・品質向上などの多角的な評価も必要です。システムによってどの程度費用対効果が得られるのかを確認したうえで、自社がシステム開発をすべきか検討しましょう。

まとめ

システム開発の費用は、システムの種類や開発方法によって変動するうえ、機能の充実度によっても変動します。加えて、自由度の高いフルスクラッチで開発すると場合によっては数千万円もの費用がかかることから、費用を抑えて外注したい場合は「補助金を活用する」「開発過程の一部を内製化する」「オフショア開発・ノーコード開発を検討する」といった方法も取り入れることが大切です。

本記事で紹介したい費用相場やおすすめのシステム開発会社などを参考に、自社が開発したいシステムの見積もりを取ることも検討してみましょう。

本記事が、納得いく費用でシステムを開発できる外注先選びに役立てれば幸いです。

b-pos編集部

代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)