社員ゼロ・広告なしでも毎月25件の問い合わせを獲得できるコンテンツの力。オンジンの「成果が出た施策の裏側」
この記事ではBPO事業者を対象に、サービスの立ち上げから現在に至るまでで一番効果があった施策や取り組みについて紹介していきます。
今回取材したのは株式会社オンジンの代表取締役である、今井 悠人(いまい ゆうと)さんにこれまでの苦悩から現在行っている顧客獲得手法などについて伺いました。
【今井 悠人さんのプロフィール】
2015年 株式会社スノーピークビジネスソリューションズ/営業
2015年 株式会社カルテットコミュニケーションズ/広告運用
2019年 株式会社ルーシー(バズ部)/コンテンツマーケティングサポート
2019年 株式会社カルテットコミュニケーションズ/経営企画・マネージャー
2022年 株式会社オンジン/起業
目次
何事も「消費者理解」から
熊本
まず初めに、オンジンの事業内容についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
今井
サービス内容としては、リスティング広告やSNS広告(Meta広告 / TikTok広告 / LINE広告 / X広告)などの運用型広告の代行を主にやっています。
あとは、コンテンツマーケティング支援という形でコンテンツSEOのコンサルティングも最近始めました。
熊本
世の中に広告運用代行を展開する会社って結構あると思うのですが、その中で御社独自の強みなどはありますか。
今井
一言で言うと「消費者理解」には力を入れています。
ユーザーがどういった事で悩んでいるのか、どういった経緯で商品やサービスを使ってみようと思ったのか等を徹底的に理解して運用することを心がけています。
なぜなら、ユーザーの価値観や悩みが理解できていないと、どれだけ広告運用のテクニックがあっても、狙いが外れて成果が出せないと思っているからです。
例えばリスティング広告であれば、キーワードや広告文、ランディングページがコンバージョンを獲得する上でとても重要になります。ただユーザーの悩み(不)や価値観、商品やサービスを使おうと思ったきっかけが理解できていないと、どんな訴求をすべきか判断できないんですよね。
だからユーザーの理解から全てが始まると思っており、消費者理解に力を入れて支援をしています。
その一環で、運用する前に見込み客にアンケートを取ったり、インタビューをしたりと、消費者のことを考えて広告運用している自信はあります。
他には商材を理解するために現場に足を運んで、仕事を体験させていただくこともありますね。机上だけで考えた仮説は外れる確率が高いと判断しているので、ネタではなく真面目に「仮説は社内で立てるんじゃない。現場で立てるんだ。」をポリシーにしています。このように五感で感じて立てた仮説は、外れることが少ない印象です。
実際の例を紹介すると、シロアリ駆除が事業のお客様を支援する際は、運用者である僕が施工に密着してサービス内容を理解。エンドユーザーさんに任せたきっかけをインタビューしました。
ホコリまみれの床下に潜るのはかなり大変でしたが、体験してみないとわからないことばかりで、大変参考になりました。
広告運用のノウハウがあっても商品や消費者が理解できていないと、爆発的な結果は出せないと思っています。そのためこのように丁寧に準備した上で、支援をしています。
地名キーワード記事でSEOの外部対策を強化
熊本
現在はどのように顧客を獲得しているのですか。
今井
広告は一切出しておらず、お問い合わせの8割位はSEOからいただいています。
最近ではX(旧Twitter)で毎月一定数ご相談をいただいていますね。フォロワーは多くないですが、この規模感でも結果が出ているので、Xはやっておいて良かったなってすごく思いますね。
少し前までは暇つぶし感覚で適当に投稿していましたが、ご相談が増え始めてからはちゃんと運用すべきだと感じ、今はノウハウを中心に発信しています。広告運用やSEOに関心のある方はぜひフォローしてください!
熊本
Xからも顧客を獲得できているのはすごいですね。
ちなみに、今井さんのXを拝見させていただいたのですが、「リスティング広告 運用代行」というキーワードでSEO1位を取られてるじゃないですか。どうやって1位を獲得したのかが気になります。
今井
まず、「SEOで集客する覚悟」を決めました。
サラリーマン時代にコンテンツSEOに強い会社に所属していたこともあり、上位表示させるノウハウはありました。
ですので、SEOで集客していこうとは思っていましたが、この業界ってすごい競合が多く、SEOに強い会社さんも多いんですよ。
対して弊社は社員はゼロで人的リソースもなければ、資本金50万円で創業したくらいお金がなかったので、この状態で挑むのは相当キツイことは明らかでした。
ただ、コンテンツマーケティングのコンサルティングサービスの展開も予定していたので、自社で結果が出せていなかったら説得力ないよなと感じ、腹をくくってSEOに取り組むことを決意しました。
幸いなことに時間だけはたくさんありましたので、結果が出る1年半くらいはずっとコンテンツを作り続け、多い時で1日12時間以上費やしていたと思います。コンテンツ作成に疲れたらサウナに行ってリフレッシュし、またコンテンツを作るという生活でしたね。笑
ググって情報をまとめただけの素人でも作れるコンテンツを出してもユーザーに信用されないし、GoogleはE-E-A-Tを重視している状態なので、コンテンツは妥協なしで魂を込めて全て僕が作っています。一切外注していません。
次に意識したのは戦略の部分です。昨今のGoogleアルゴリズムを鑑みると、コンテンツの質だけ追求してもSEOで上位表示するのは難しいことは明らかだったので、E-E-A-Tを高める観点から法人として独立し、外部対策にも力を入れています。
外部対策の一例をお話します。
- リスティング広告 東京
- リスティング広告 大阪
- リスティング広告 福岡
- リスティング広告 名古屋
等の地名ワードがありますよね。
そのような地名で区切って記事を書いて、個人的に信頼している各地の代理店さんを紹介しつつ、被リンクを獲得しました。ちなみに上記キーワードは現在は全部SEO1位表示しています。
コンバージョンが見込めるため、このような記事で1位を取ることももちろん重要なんですけど、外部対策にも繋がります。
具体的に言うと、該当の代理店さんに「厚かましく大変恐縮ですが、お知らせページなどでご紹介した記事を掲載していただけませんか。」などと相談をしていました。
ご紹介した代理店さんはドメインパワーが高いことが多かったので、リンクを設置してもらい評価を獲得してきました。
勘違いされたくないのでここは強くお伝えしますが、被リンク目的だけで紹介している訳ではないですからね。僭越ですが、本当におすすめできる運用ノウハウがあると感じている代理店さんのみを厳選してご紹介しています。ユーザーのためにならないコンテンツは作っていません。
この話をすると「競合を紹介するなんて…」と感じる方が恐らくいらっしゃると思うので、補足します。弊社はとても素敵な取り組みだと感じているんですよね。
弊社は「関わる人全員を家族と同じように大切にする」というビジョンを掲げていることもあり、「どうしたら人を幸せにできるか」をいつも真剣に考えて仕事をしています。
ですので、強引に営業して無理やり受注するなんてことは一切していません。もちろん仕事はほしいですが、いろんな代理店さんを見ていただいた上で、弊社の価値観に共感して「オンジンにお願いしたい。」と思っていただける方に、仕事を任せてもらいたいと思っています。
こういった考えがある中で、お問い合わせに対応していると、会いやすい近くの代理店を希望されている方が一定数いたんですね、それなら各地の信頼できる代理店さんをご紹介したらユーザーのためになるし、代理店さんも喜んでくれるし、自社の外部対策や問い合わせにも繋がると思いました。
そうして「みんな幸せになる良い取り組みだ。」と感じて始めた施策でもあります。
話がそれますがこの取り組みがきっかけで仲良くなり、定期的に情報交換するような仲になった代理店さんもいるんですよ!聞いたこともない弊社の相談に丁寧に対応してくださる代理店さんも多く、非常にありがたく感じています。
熊本
なるほど。そういった方法でSEOを強化されていたんですね。
ちなみに、2022年設立だと思うのですが、「リスティング広告 運用代行」で1位を取ったのはいつ頃なんですか。
今井
今年2024年の2月終盤ですね。1位を取った20日後には「リスティング広告 代理店」でも1位を獲得しましたね。Webサイトを立ち上げてから1年7ヶ月でした。
この2つが1位になったタイミングはリードが爆発的に増えましたね。
本当に受けきれないほどの問い合わせをいただいたので、問い合わせフォームを閉じようとも思ったくらいです。その時に初めて業務委託の方を入れてなんとか対応していました。
現在は少し落ち着きましたが、その時は1ヶ月で営業抜きで25件のメールお問い合わせを頂いており、毎日(営業日)平均1件以上仕事の相談がありました。電話も入れると2件近くあったかもしれません。
社員がたくさんいる会社だと多くない数だと思いますが、社員も業務委託メンバーもいない状態で急にこれだけ問い合わせが来たので、かなりバタバタしました。
仮に1年間この状態が続けば、広告費ゼロ円で300件問い合わせが獲得できる計算になりますので、ひとりでも覚悟を決めればSEOで結果が出せることをある程度証明できたかなと感じました。
また、コンテンツの質を担保していたこともあり、お問い合わせの質も良く約8割が商談化していました。
ありがたいことに弊社名指しで依頼されることも多かったです。「勉強になる記事でした。今井さんに広告運用をお願いしたいです。」とお礼を言われ、仕事にも繋がるコンテンツマーケティングは本当に素晴らしいと思っています。
「いつから広告出せますか?」みたいなところから話が始まったりすることも多く、会社説明はここ最近してませんね。
僕は常に「取り組んでいるのはSEOだけど、広義ではコンテンツマーケティングだ」と自分に言い聞かせています。
流入を増やす観点でSEOで上位表示を取るのは大事です。ただコンテンツが陳腐だと信用されないので、問い合わせになかなか繋がらないはずですし、相見積もりをされてしまうなど質が落ちるはずです。
ユーザーに有益な情報を提供して信頼を得て、売上に繋げることを忘れず、「この会社に頼めば間違いない」と感じていただけるコンテンツを今後も発信し続けていきます。
熊本
なるほど。コンテンツのパワーって問い合わせの質に現れますもんね。
今井
そうですね。ある程度の信頼を獲得した上でお問い合わせをいただけるのはコンテンツマーケティングの魅力ですよね。
これが例えば広告とかだったりすると、「とりあえず広告で出てきたので問い合わせしました」とか「安かったら任せたいんですけど、料金はいくらですか?」といった話をすることが多くなってしまうはずです。
あと少し話がそれますが、SEOのご相談に対応していて「アクセス数を増やさないといけない」「メディア制作にお金をかけないといけない」という方が多いように感じます。
アクセス数はもちろん重要ですが、注力しすぎるのは違うと思っていて、問い合わせが取れるキーワードで上位を取ることが大事だと思っています。
実際に弊社は今だと月6,000PVくらいしかないんですけど、そこそこお問い合わせをいただいていますので、アクセス数ばかり追うのは違うかなと感じています。
メディア制作については、弊社はWordPressのテーマを27,800円で買って僕が作りました。何百万円もかけてきれいなメディアを作っても、質の高いコンテンツを発信しないと結果が出せないことは強くお伝えしたいですね。
相性が悪かった「名刺交換会」と「テレアポ」
熊本
これまでに色々な施策をしてきたと想うのですが、その中で結果が出なかった施策などはありますか。
今井
一つは名刺交換会に参加した事ですかね。僕の性格的に合いませんでした。
会社を作ってからSEOに取り組むことは決まっていました。とはいえ色々やってみて一番費用対効果が高い施策に注力すべきだなってのは思ってたんですよね。なので「起業して自分の好きなことができるし、色々やってみよう」と思いチャレンジしました。
結果僕の感想ですが、名刺交換会ってみんな上辺では楽しそうに話してるけど、実際には仕事が欲しいだけなんだなって感じたんですよね。当たり前かもしれませんが。笑
僕は「関わる人を家族と同じように大切にしたい」という思いを持って会社を作ったので、常に人の幸せを真剣に考えながら仕事をしたい気持ちがありました。
なので「この仕事の取り方は違うな」ってすごく思ったんですよ。
もちろんハマる方もいらっしゃると思うんですけど、僕は性格上合わなかったですね。
もう一つがテレアポですね。
創業して間もない頃に僅か10件ほどですがかけました。当たり前ですけど嫌がられて切られちゃうんですよね。なので、同じ理由ですぐやめました。
テレアポはリードを効率良く取れる即効性のある手段だと思います。しかし、弊社は社員もおらず、オフィスも借りていません。僕自身も贅沢を好まないため、売上を急いで上げる必要を感じなかったので、ストレスを抱えてまでテレアポに取り組む必要はないと判断しました。
このような施策をやった上で、ユーザーに感謝されて、自分のノウハウが活かせるコンテンツマーケティングに取り組むのがベストだなと感じて、今に至ります。
今はビジョンの「関わる人全員を家族のように大切する」を体現しながら、仕事ができているので、コンテンツマーケティングに取り組む判断は間違っていなかったと確信しています。
メンバーとの出会いを期待した「飲み会」
熊本
ホームページの中で飲み会の開催案内を見つけたんですけど、これはなんですか。
今井
これは仕事半分・息抜き半分で、今年の4月に第一回を開催しました。案件が増えてきたので、仕事を手伝ってくれるメンバーとの出会いを一番期待していました。
また、ずっとひとりでコンテンツを作っていたため、人と話す機会がなく寂しかったので、みんなで楽しく飲みながら話したいという私欲も満たしたかったんです。笑
同業者がたくさん来てくださり、話も弾みとても楽しかったのですが、1年に一回程度の開催でいいかなと思いました。
おこがましい話ですが、SEOで結果が出ていたことをXで発信していたため、僕のことを褒めてくださる方が一定数いらっしゃったんですよね。
自分ではまだまだだと思っているのですが、褒められることで天狗になってしまう気がしたので、やるなら年一開催程度にすべきだと思いました。とても楽しかったので本当は毎月でもやりたいくらいですが、サラリーマン時代は叱られることばかりだったため、褒められるのに強烈な違和感を感じたんです。
熊本
なるほど。ストイックでびっくりしました。
ちなみに、今でも社員や業務委託の方は募集しているのですか。
今井
そうですね。案件は毎月増えているので、広告運用ができる業務委託メンバーは増やしていこうと思っています。もし興味がある方がいらっしゃれば、是非連絡していただけると嬉しいです。
また、こういったメディア出演や共催セミナーも今後はやっていきたいと思っているので、もし登壇者をお探しの方がいましたら、お声がけいただけるとありがたいです。
集客のお手伝いはできるかわかりませんが、コンテンツマーケティングやSEO、広告運用の話はたくさんできます。
いつかはお客様の広告費をゼロに
熊本
最後に今後の展望について教えていただけますか。
今井
弊社は今広告の運用代行をメインとしていますが、コンテンツマーケティング支援までさせていただき、最終的にはお客様の広告費を限りなくゼロにしたいと思っています。
運用代行をしている立場ですが率直に言わせていただくと、広告に依存してるビジネスは大変だと感じますし、あるべき姿ではないと思うんですよね。利益率も低下しやすく、クリック単価は年々上昇する見込みなので、将来的に苦しい状況になる可能性が高いと思います。
ただ目先のお金を作る意味合いでは広告はものすごく効果的な施策だと思います。なのでまず広告で結果を出してキャッシュを貯め、その後にコンテンツマーケティングに取り組むことで、広告費をかけずに集客できる仕組みを作る。そんなことができたら最高だなって思います。
お客様のことを考えると広告費は少ない方がいいに決まってるので、最終的には弊社が不要になることがゴールです。広告運用代行だけをやってる会社だったら絶対にできないはずなので、広告を押し売りしないことも弊社の強みかもしれませんね。これが実現できたら、お客様からの紹介だけで食っていけそうです。
この展望を話して「本当にできんの?」と思われたくなかったので、金なし・コネなし・人材なしの苦しい状態でも、真剣に取り組めばSEOで結果が出せることをまず自社で証明しました。
他の会社さんは創業当初の弊社よりも、人材もお金も余裕はあるはずなので、よっぽど難関ジャンルでなければ、本気で取り組めば結果が出せるはずです。
なので、まずは広告で結果を出して、その後SEOまで支援させていただき、お客様の広告費を減らしていくことを目指しています。
あと、今は僕の裁量で商談や広告運用、コンテンツ作成を行っているので、ガイドラインを整備して、他のメンバーでも対応できる環境に整えたい思っています。
熊本
広告費をかけずに顧客を獲得できる未来を構築していくんですね。それはとても魅力的でワクワクしますね。
本日は貴重なお話ありがとうございました!
まとめ
オンジンはXや緻密なSEO戦略で顧客を獲得していることが分かりました。
① 地名キーワードで記事を書く:「リスティング広告 東京」「リスティング広告 大阪」などの地名キーワードで記事を書き、おすすめの代理店を紹介します。
② 被リンクを獲得:記事で紹介した代理店にリンクを設置してもらう等をして、被リンク獲得することでドメインパワーを高めます。
③ コンテンツマーケティングに注力:有益なコンテンツを提供することで、ファンを獲得し名指しで依頼が来るようになります。問い合わせが取れるキーワードで上位表示を獲得することが大切です。
今回は広告運用代行やコンテンツマーケティング支援を行う株式会社オンジンの今井さんにお話をお伺いしました。
顧客の獲得に課題を持つ方は、ぜひ参考にしてみてください。
b-pos編集部
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