売りたい!と熱意を持ってアプローチ。営業ハックの「成果が出た施策の裏側」

この記事ではBPO事業者を対象に、サービスの立ち上げから現在に至るまでで一番効果があった施策や取り組みについて紹介していきます。

今回取材したのは株式会社営業ハックの代表取締役 笹田 裕嗣(ささだ ひろし)さんに、これまでの苦悩から現在行っている顧客獲得手法などについて伺いました。

営業代行会社「営業ハック」とは

熊本

はじめに「営業ハック」の事業内容についてお伺いしてもよろしいでしょうか。

「営業ハック」という名前の通り、営業をハックする会社になります。

営業ハックのサービスサイトはこちら

弊社には「営業の悩みをゼロにする」というミッションがあり、これを実現するための支援をさせていただいております。

具体的に申しますと、営業支援には「人を紹介する」「コンサルティングをする」「教育をする」「代わりに代行する」の4つがあると思っていますが、基本的に全て行うことは可能です。

ただ、メインとして力を入れてるのが、代わりに代行する「営業代行」となります。

業務内容としましては、成果報酬型でアポイントを代わりに獲得するテレアポ代行をさせていただいております。

今までご支援させていただいた企業数は200社を超え、主に中小企業を中心に様々な業種で成果を出し続けています。

熊本

営業代行会社って世の中にたくさんあると思うのですが、その中で勝ち残るための優位性などはありますか。

正直、どの営業代行も業務内容に大差はないと思っています。

”アポを獲得→商談→提案書・見積書を提出→受注”と言うルーティーンを代行するだけなので、他のサービスと何が違うかと言われても「一生懸命やります!」しかないと思うんですよ。

ただ、他の会社よりも圧倒的にPDCAを早く回して、相手の商品を好きになって全力で営業するのが営業ハックです。

なので、「弊社でテレアポがうまくいかなかったら、そもそもテレアポという施策が向いていないですよ」と自信を持って言えるようにしています。

「当たり前を変える」ことが仕事

熊本

笹田さんのミッションや業務内容についてお伺いしてもよろしいでしょうか。

世の中には、外に出れなくて働けなかった子育て中や介護などをしてるママさんが多くいます。

私を含めた全メンバーはフルリモートで働いており、そのメンバーの多くは子育て中のママさんとなっています。

弊社のミッションは、「当たり前を変える」ことです。私自身、営業のトップセールスを経験してきましたが、その中でさまざまな苦労も経験しました。その経験から、「営業の悩みを0にする」というミッションは創業時からずっと取り組んできた想いであり、営業をするからこそ解決できる問題もあると思っています。

また、弊社の中期ビジョンは、「うちのママはすごい」と言われる会社になることです。主婦さんや女性が活躍できる環境を提供し、彼女達が持つタイムマネジメントやコミット力などのスキルを活かして、大きな成果を生み出しています。

これにより、「働けない」と思い込んでいる主婦やママたちにも新たな可能性を開くことができると信じています。

そのために、「営業×リモートワーク」にこだわり、社会や顧客、そして弊社のメンバーが三方よしになるよう努めています。

熊本

全員リモートだと、コミュニケーションとか大変じゃないんですか。

元々リモートじゃないと働けない方々が多いので、前提としてリモートが大変という概念がないと思うんです。

例えば、世の中に食べ物がりんごしかなかったら、しょっぱい物を食べたいってならないと思うのと一緒で、「リモートしかしない」という前提の人たちしかいないのでリモートの難しさなどはあまりないです。

熊本

リモートでのテキストコミュニケーションにおいて気をつけるべきポイントなどはありますか。

例えば、「なる早で」というメッセージが来たときに「あの人が言うなる早は年に1回しか言わないから相当大変なんだ」と察することができるのって文脈背景なので、それを伝える機会をどこかしらに糸仕掛けとして持っておくと言うことが重要となります。

弊社でその機能を持たせているのが、朝会だったりチーム毎でのラジオ体操です。そのような場でコミュニケーションをとり自己開示ができる機会を作ることが重要だと思います。

売りたい商品を自ら見つけてアプローチ

熊本

現在はどのように顧客を獲得していますか。

成果報酬型のテレアポ代行は比較的多くのお客様にご利用いただいているのですが、この成果報酬型に切り替えたのが今年に入ってからの話なんです。これまでは月額の固定費で営業代行を行なっていたのですが、弊社のメンバーがアポを取れることが証明されてきたので成果報酬で受けても良いという判断に至りました。

ただ、「自信を持って営業できないものは受けない」と言うところを弊社では大事にしており、この自信というのは私が決めてます。

顧客の獲得施策でいくと基本的に「この商品営業したい!」と思った会社さんに私が「Linkedin」や「X(旧Twitter)」などのSNSから直接DMを送って獲得しています。

熊本

LinkedinやXなどで良いサービスや人をどのように見つけていますか。

まずは自分たちが営業をしたい商材のキーワードで、そういった取り組みをしている人がいないかをSNS上で探します。

また他Webサイト等で面白いサービスを見つけたら、そこの社長・社員の方がSNSをやっていないかを調べています。

その上で情報発信されているコンテンツを見て、共感できるポイントや商材の背景などを拝見し、お声がけするか否かを決めさせていただいています。

熊本

「この商品営業したい!」となる基準などはあるんですか。

直感です笑

商品やサービスが未成熟だったとしても、SNS等で発信されてる内容で「この人はこの業界の不を解消しようと本気で取り組んでいる」と感じられるかどうかや、そこで働いてる営業の方が熱量を持って働いているかを見ています。

結局、良いサービスよりも本気な人が集まっている商品やサービスの方がよっぽど世の中ではワークすると思っています。

自信を持って売れるかどうかという話をしましたが、営業代行って商談を取ってくるという形となるので、商品が未成熟でも営業の方が本気でなんとかしようとしてくれるんだったら、なんとかなるはずなので商材に対する熱意や気持ちなどに共感できたかどうかで判断しています。

これは自社の営業マンの採用と同じだと思っていて、能力がある人が売れるかよりもその商品を本気で惚れ込む人の方が売れるっていうのをたくさん見てきました。

逆に商品を好きになれなかったり納得感がない場合はお断りしているので、「提案させていただいてる時点で私は御社の商品が大好きなので営業させてください」ということをひたすら伝えてます。

コンテンツからの集客

熊本

創業当初はどのように顧客を獲得されてたのでしょうか。

今で言う「コンテンツ」に力を入れてました。

個人的にブログやYouTube、SNSなどをやってたのですが、そこから営業の問い合わせが入るような完全にプル型で獲得していました。

ただ、創業当初は個人事業主の延長だったのでブログからのコンバージョンだけで自分が飯を食えるくらいはありました。

YouTubeは2019年9月5日に開始し、2022年5月18日にはチャンネル登録者数1万人も突破しました。現時点(2024年4月)では1.39万人もの方にご登録いただいております。

過去の成功体験やノウハウではなく「今」営業活動をされているみなさまのお悩みの解決に直結するような鮮度の高い情報を提供しております。

営業ハックYouTubeチャンネルはこちら

熊本

なるほど。では創業前からチャネルは持ってたんですね。

そうですね。元々は個人の趣味で会社員時代から仕事をサボってブログを書きまくってたのが5年後にお問い合わせとなって返ってきた感じです笑

笹田さんのブログはこちら

ブログのネタは、日々弊社のメンバーから受けた相談やそこで気づいたことなどを配信するようにしています。

そのネタを元に、私を含めた社内のライターが記事を執筆し、SEO広告をメインにSNSやメルマガなどで拡散しております。

ただ、弊社の場合はこのブログから生まれたリードに対して積極的な営業等は行なっておらず、あくまで情報を拡散する場として活用しております。

熊本

ブログからお問い合わせが来るようにするために工夫してることや、ポイントなどはありますか。

ノウハウを隠さないということを意識しています。

ノウハウは陳腐化する早いので、直近でうまく行ったことはどんどん共有しています。

そんなノウハウを公開して良いのですか?と聞かれることがありますが、我々の支援先は「やりたいけどできない」という人たちなので、ヒントがあればできる会社などはぜひ自分で取り組んで欲しいと思っています。

また、ブログで成果を上げるためには時間がかかるため、成果が出ないとすぐに辞めてしまう人が多いですが、継続することで顧客を獲得できるようになります。

実際にこのブログを始めたての頃は毎日1~3記事ほど書いてましたが、仕事につながるようになったのは2年ほど経ってからになります。

熊本

ノウハウはネット上には落ちてない可能性が高いので、その情報を配信することは重要であり唯一無二のコンテンツを作る上で欠かせないですね。

顧客の獲得において近道はない

熊本

これまでで失敗した施策などはありますか。

色々ありますが、一番ワークしなかったのは紹介をお金で買おうとしたことです。

当時独立したての頃は、「紹介してくれたら5万円渡します」などのキャンペーンを実施したことがあるのですが、結論そこからの受注は起きなかったです。

マネジメントの仕方など色々あると思うのですが、営業代行という商材が差別化が難しいというところが失敗した要因だと思っています。

なので、事前の関係性をショートカットするということが本当に近道なのかを考えた時に、しっかりコンテンツに触れてくれたり自分で会話してやり取りして行った方が結局長いお付き合いにもなるし、受注にもつながりました。

ただ、紹介営業が悪いということは一切ありません。実際に取引のあった企業様からのご紹介などもあったので、進んで紹介したくなるという状態を作れていれば全然アリだと思います。

その紹介をお金で作ろうとした昔の自分をぶん殴りたい気持ちでいっぱいです笑

また、弊社の場合コンテンツから発注いただくことが多かったのですが、案件数の担保というところが組織の成長レベルと案件の獲得レベルがあってなかったんです。そこは経営者としての判断ミスだったと思います。

相手に共感したポイントを伝える

熊本

逆にこれまでで一番成果の出た施策はどのようなものがありますか。

先ほどの話と重複しますが、営業したい会社に営業させてくれとちゃんとお願いするということが結局一番成果が出ています。

「売りたい!」という前のめりな姿勢でDMしてしまうことって多いと思うんですけど、例えば「営業したいし、営業させてくれたら成果が出るからやらせてください」と求職者から熱意のある応募がきたら大体の社長は面接したいと思うはずなんですよ。

うちは代行というサービスで捉えるんじゃなくて、営業ハックという営業マンがチームを作って営業をしたいという前提で考えていくと、アプローチとして「プレスリリースまで全部見たので営業させてください」と心をこめてお願いするっていうのが一番重要で効果が出ました。

熊本

この熱意を持ってお願いする際のポイントなどはありますか。

これはテクニックっぽくなっちゃうのですが、相手に何に共感したのかを伝えるということが大事です。

ここで意識しているのが、”相手の言葉を使う”ということ。例えば会社のミッションやビジョンだったり、社長の声などはホームページに書かれてると思うのですが、「どの言葉に共感したのか」をしっかり示してあげるということですね。

うちの場合は営業代行なので、営業の方やマーケティングに長けている方へ問い合わせさせていただいています。

ここで重要なのは4つの”WHY”です。

  • WHY YOU
  • WHY THIS
  • WHY WE
  • WHY NOW

どのWHYに当てはめているかや、どのマーケティングのアクションしているなとかを感じさせないことが重要です。

これはちゃんとしたラブレターだなと実感してもらうためには、ちゃんと相手の言葉を踏まえた上で自分の感想を入れるというのは大事です。

逆に自己開示だけをするのはダメで、例えば「私は元野球部で御社と…」などを書かれても、これテンプレだなとなってしまいます。このテンプレ感をいかになくしていくのかを考えていくとやはり、「私はあなたのことを調べて連絡してます」というのがメッセージから伝わらないといけないので、「ホームページに書かれていたあのメッセージに共感しました」などをしっかり伝えた方がいいです。

今後の展望について

熊本

最後に今後の展望についてお伺いしてもよろしいでしょうか。

現在、営業ハックではママさんを中心にテレアポ代行を行なっているのですが、常日頃「うちのママさんはすごい!」と感じさせてくれているんですよ。

営業トークやコミュニケーションの取り方も含めて、すごい可能性がある方々が日本のマーケットには隠れているんだということを実感した去年だったので、「営業×リモートワーク」という枠組みをさらに拡大させて行くということが直近3年間の目標になります。

「営業ハックのママさんはすごい」と言わせる会社にすると今年の1月にキックオフにて公言しました。

熊本

ちなみに営業ハックで働くママさんはどのくらいを締めているのですか。

今だと7割くらいですかね。私のモデルケースが「ヤクルトレディー」なんですよ。

ヤクルトレディーの在宅版という形で、乳酸菌の普及ではなくBtoB向けの良いものをママさんが普及していくという形を作ろうとしています。

熊本

BtoB版ヤクルトレディーとても面白いですね。今後が楽しみですね!

まとめ

営業ハックは単なる営業代行会社ではなく、営業の新しい働き方やあり方を提案しています。

また、営業代行という戦場で生き残って行くために”商品”よりも”売り方”を工夫し、顧客を獲得しているということがわかりました。

① 熱意を持ったアプローチ:自ら興味を持った企業に対して熱意を持ってアプローチすることが重要であり、商品やサービスが未成熟であっても、相手企業の真剣な取り組みや熱意を重視して「営業したい」と伝えることで受注率や継続率が向上します。

② 紹介営業には向いてる商材がある:営業代行の業務内容上、どの企業もそこまで大きな差がないため、進んで紹介したくなる状態を作れてない段階での紹介営業は受注につながることは少ないでしょう。

③ 相手企業に共感する:営業をしたいと思った企業へアプローチするときは、ホームページなどから共感できるポイントを見つけて、自分の意見も含めた状態でアポを取ることで返答率の向上や受注率の向上が見込めます。

今回は営業代行を行う株式会社営業ハックの笹田さんにお話をお伺いしました。

顧客の獲得に課題を持つ方は、ぜひ参考にしてみてください。

b-pos編集部

代行・外注サービスの比較サイトb-pos(ビーポス)の編集部。b-posは、BPOサービスの比較検討時に知っておきたい情報やサービスの選び方について解説するメディアです。サービスの掲載企業の方はこちらから(https://b-pos.jp/)