商談創出のカギは申込数ではなく”コンタクト数”。ウェビナー成功のための15の施策

ウェビナーは単なる情報発信の場ではなく、営業に直結するリードを獲得するための強力な手段です。しかし、開催しただけでは成果にはつながりません。リードを獲得するには、設計段階から明確な戦略が必要です申込数を増やすだけでなく、接点を持てるリードをどれだけ残せるかが成否を分けます。
本記事では、ウェビナーで成果を上げるための15の施策を「申し込み → 参加 → 視聴 → アンケート回答 → コンタクト」の5つのフェーズに沿ってご紹介します。
筆者が運営する株式会社ENVYは累計3,500社以上のウェビナー開催を支援しています。ウェビナーに対するENVYの考え方、実際に実施している施策をもとに解説しているので、受注を見据えたウェビナー設計に取り組みたい方はぜひご覧ください。
目次
ウェビナーリードの定義は”コンタクト数”

ウェビナーをリード獲得手段として活用する企業が増えていますが、そもそも「ウェビナーで得られるリードとは何か?」という定義が曖昧なまま施策を進めてしまっているケースが多く見受けられます。
多くの企業では「ウェビナーの申込者=リード」と考えがちです。しかし、実際の営業現場において重要なのは、「申込」ではなく、「実際に接点を持てたかどうか」です。ENVYでは、ウェビナー経由でのリードの定義を「コンタクトが取れた人」としています。つまり、開催後にアンケート回答や電話、メールなどで接触できた相手のみを、営業的なリードとみなします。
なぜ「リード=申込者数」では不十分なのか?

申込者数は一見すると多く見える指標ですが、以下のような課題があります。
- 実際に参加しない人が一定数含まれている
- 参加しても無反応な人も多く、営業アプローチができない
- 数字としては増えていても、受注に繋がる「本物の見込み顧客」がわからない
このような課題が含まれているため、申込者数だけをリードとして評価してしまうと、施策の成果を過大評価してしまうリスクがあります。実際には営業アプローチできる見込み客が少ないというケースも少なくありません。
「リード=コンタクト数」という考え方のメリット

ENVYでは、ウェビナーの価値を「認知拡大」ではなく、営業接点の創出にあると考えています。そのため私たちは、「実際にコンタクトが取れた人」をリードと定義しています。
申込者数が多くても、参加しない・反応がない相手には営業アプローチができません。営業的に重要なのは、接点が生まれたかどうかです。実際、受注までのプロセスは以下のように整理できます。
- コンタクト数 × 商談化率 = 商談数
- 商談数 × 成約率 = 受注数
つまり、コンタクトできた数が少なければ、いくら申し込みが多くても受注にはつながらないということです。「コンタクト数」をリードとすることで、以下のようなメリットがあります。
- 営業が動ける見込み顧客が明確になる
- 受注につながる母数を正しく把握できる
- 商談数・受注数を逆算しやすく、設計・改善がしやすくなる
成果を出すには、見かけの数ではなく、営業的に意味のある数=コンタクト数を指標とすることが鍵になります。
コンタクト数を最大化させる15の施策

ここまで解説した「リード=コンタクト数」という考え方のもと、ウェビナー施策のコンタクト数を最大化するために実施するべき15の施策を、5つのフェーズに分けてご紹介します。
「申込者数」を増やす施策 | ① Meta広告の配信 ② SNSでゆるぼ投稿 ③ 資料請求リードに案内する ④ 共催ウェビナー / カンファレンスを開催 |
「参加者数」を増やす施策 | ⑤「申し込んだことを忘れている」ことへの対策 ⑥「申し込み時の意欲が薄れている」ことへの対策 |
「視聴者数」を増やす施策 | ⑦ 開始5分の掴みを意識する ⑧ 1スライド1メッセージを意識する ⑨ 視認性を重視したスライドデザイン |
「アンケート回答者数」を増やす施策 | ⑩ 段階的なアナウンス ⑪ 特典の活用 ⑫ 退出時にアンケートを表示する |
「コンタクト数」を増やす施策 | ⑬ アンケート回答後のページに電話番号を表示しておく ⑭ ウェビナー時間内に電話をかける ⑮ ショートメールを送る |
以降では、上記それぞれのフェーズにおいて、具体的にどのような施策が有効かについて詳しく解説していきます。自社のウェビナー開催で課題に感じているフェーズを選んで読んでみてください。
ウェビナーの「申込数」を増やす施策

ウェビナーの成果を出すうえで、最初のハードルとなるのが「申込数をいかに増やすか」です。いくら中身が優れていても、集客に失敗すれば機会損失は避けられません。
ここでは、過去の事例で効果が実証された4つの具体的な施策を紹介します。「予算をかけずに申し込みを増やしたい」「コンバージョンが頭打ちで悩んでいる」そんな方にこそ参考になる内容です。
① Meta広告の配信
Meta広告をウェビナー集客に活用する際は、明確な成果目標と運用ルールを設定し、感情的な判断を排除して数値に基づいた管理体制を構築することをお勧めします。成果目標は「◯月◯日から◯月◯日までの期間に、広告予算◯万円を投じて、◯件のリードを獲得する。」というようなフォーマットを用います。
例:「1月1日から1月31日までの期間に、広告予算50万円を使用し、50件のリードを獲得する。」
また、運用ルールは以下の3つです。
- クリエイティブを大量作成する(10枚以上を常時掲載)
- CPA1万円以上の広告はすぐに停止する
- 1週間に3枚は新規クリエイティブを追加する
このような運用ルールは一般的な代理店の推奨とは異なりますが、当社ではCPA1万円以下を維持できています。明確な判断基準を設定し、感情に左右されない運用体制を構築することが重要です。
ただし、運用開始から1ヶ月半~2ヶ月程度は成果が上がりにくい期間があります。このルールを守りながら、PDCAを継続的に回して成果が出るまで粘り強く運用することが大切です。以下に、私が経験した苦悩の2ヶ月間の日誌の一部を共有させていただきます。
1
運用開始2日目
Meta広告を出稿したものの、土日を含めて現時点でリード獲得数は0件です。広告費が日々かさむのは辛いですが、ここは踏ん張って改善を続けていきます!
2
運用開始5日目
今朝、Meta広告経由で1件の申込みを獲得できました!まだ質について議論できる段階ではありませんが、目標CPAに沿って件数を積み上げていきたいと思います。
3
運用開始1週間目
1週間目の平均CPAは約6,000円と、想定よりも大幅に低く抑えることができました。しかし、次の課題としてMeta広告経由の申込者の参加率が低いことが判明しました。来週は参加率向上のための施策を実施していきます。
4
運用開始1ヶ月目
Meta広告による土日のCVが全く取れていません。運用開始から1ヶ月程度のため、正確な傾向とは言えませんが、0件の状態が続いています。法人向けリード獲得は土日が特に難しい傾向にあるのかもしれません。
5
運用開始2ヶ月目
Meta広告経由で集客したリードが商談化に成功しました。以前は代理店経由での広告出稿で80万円を費やしましたが成果が出ませんでした。今回は自社運用に切り替えたことで、ようやく商談につなげることができました。
② SNSでゆるぼ投稿
ゆるぼとは、SNSで「ゆるく募集」をかける手法です。XやFacebook、LinkedInなどでウェビナーに興味がありそうな見込み客を募る際、「○○に興味ある人いませんか?」といったカジュアルな問いかけで関心を引き出します。
この形式を広告に活用することで、自然な印象を与えながら低コストで集客できるという特徴があります。

さらに、可能であれば知り合いの経営者にSNSでの投稿や拡散を依頼することで、その方のフォロワーにもリーチできます。効果的な投稿のコツは、一部を隠した「虫食い画像」を使用すること。内容への好奇心を刺激し、自然と注目を集めることができます。
③ 資料請求リードに案内する
ホワイトペーパーなどの資料請求をしたリードに対して、ウェビナーを案内する導線設計を行う方法です。
直接ウェビナーの集客を行うのではなく、ウェビナーで解決できるノウハウ・ソリューションを求めている見込み顧客に対して案内を行うことで効率的にウェビナーの参加者を集めることができます。導線設計のポイントは以下の3つです。
サンクスページにウェビナー案内を設置する

ホワイトペーパーなどの資料請求をした後に表示されるサンクスページで、ウェビナー案内(LP)を表示します。お役立ち資料で提供しているノウハウとウェビナーで提供しているノウハウが近い場合は、より効率的に集客を行うことができます。
ホワイトペーパー内でウェビナー案内を挿入する

ダウンロードしたホワイトペーパーの序盤、中盤、終盤にウェビナー案内を挿入します。資料内に「この内容の詳細はウェビナーで解説します」など、具体的な誘導を入れることで自然に興味を引き出し、効率的に集客を行うことができます。
架電で直接ウェビナー案内をする
資料請求後にリードへ架電し、直接ウェビナーを案内する手法です。資料請求の理由や現状の課題感をヒアリングしたうえで、ウェビナーへの参加メリットなどを説明することで、効率的に集客を行うことができます。
④ 共催ウェビナー / カンファレンスを開催
「共催ウェビナー」や「業界カンファレンス」への参画は、申込数を爆発的に増やすことができる施策です。他社のリストを活用できるため、自社単独開催よりも集客効果が高く、同時に認知度向上も期待できます。
実施する場合は、まず自社と親和性の高い企業をリストアップし、定期的なウェビナー開催の有無を確認します。アプローチ方法としては、問い合わせフォームよりもSNS(XやFacebook)でのダイレクトメッセージの方が高い反応が期待できます。
共催依頼をする際は、相手企業にとっての共催メリットを明確に示す必要があります。例えば、運営全般の担当、売上の◯%のレベニューシェア、資料作成の無償提供などが挙げられます。
「申込者」を増やす施策の詳細については以下記事でも解説しています。
→【成功事例付】ウェビナーでリード獲得を最大化する6つの方法。獲得リードを商談化するコツまで解説
ウェビナーの「参加者数」を増やす施策

いくら広告費や工数をかけて集客しても、当日の参加がなければ意味がありません。特にBtoBウェビナーでは、主に2つの理由で参加率が低下する傾向にあります。
- 申し込んだことを忘れているケース
- 申し込み時の意欲が薄れているケース
ここでは、これらの課題を解決するための具体的な施策をご紹介します。

宮津 駿 | 株式会社ENVY 代表取締役
関西大学理工学部在学中にWeb制作やECサイト運営を手掛ける。卒業後も事業を拡大し、ウェビナー施策に本格的に着手。初期には成果が出ず苦労するも、他社ウェビナーの徹底分析や海外でのプレゼンテーション研修を経て独自のメソッドを確立。現在は株式会社ENVYの代表取締役としてBtoB向けウェビナー代行サービス「セミナーBPO」を展開中。200社を超える企業支援と3,500回以上の開催代行を通じ、成約率20-30%を実現し、クライアントの成長と収益拡大に貢献している。