新規開拓を成功させるための6ステップと12の営業手法を解説

「新規開拓営業のノルマが達成できない」
「新規開拓を効果的に進めるコツが知りたい」

といった悩みは、経営者・営業担当者の方の方に起きがちです。

新規開拓は、企業の成長に欠かせない営業活動です。成功させるには、ターゲットを選定したうえで「既存顧客インタビュー」「営業手法の決定」「リスト作成」といった準備をおこなう必要があります。

本記事では、新規開拓を成功させるための6ステップ、12の営業手法を解説します。

そもそも新規開拓の捉え方

そもそも新規開拓とは、新たな顧客に対して営業活動をおこなうことです。取引のない相手にアプローチするため、関係性を深めるのに時間を要する場合があります。

新規開拓と既存営業の違い

新規開拓営業と既存営業(ルート営業)には、以下のような違いがあります

特徴新規開拓既存営業
対象見込顧客既存顧客
アプローチ
方法
自社商材の魅力をアピールし
「認知度」「興味関心」をアップさせる
既存顧客との関係性を深めて
「リピート率」「アップセル」「クロスセル」を促す
目標新規顧客の獲得顧客単価を上げる
役割企業の成長・収益性向上に貢献長期的なビジネスの安定に貢献

新規開拓営業は、自社商材の知識がない相手に対して魅力をアピールします。そのため「プレゼンスキル」「コールドコールスキル」「交渉力」といったスキルが必要です。

一方既存営業は「契約を維持するためのコミュニケーション」や「アップセル・クロスセルの提案」を通じて、顧客単価やリピート率の向上を目指します。そのため「課題発見スキル」「問題解決スキル」「長期的な顧客管理能力」といったスキルが必要です。

それぞれ異なる対象にアプローチすることで、企業の成長・安定につながります。

新規開拓の意義

新規開拓営業には、次のメリットがあります。

  • 狙った顧客にアプローチできる
  • 営業を通して新たな販路拡大やサービス改善のヒントを得られる

狙った顧客にアプローチできる

インバウンド営業では、興味をもって問い合わせをしてくれた見込み顧客に対してしかアプローチができません。

それ対して、アウトバンドである新規開拓営業では、狙いたい顧客にアプローチできます。たとえば「知名度の高い企業との取引実績が欲しい」といった目的がある場合、大手企業に絞って営業することで目的に近づきます。

営業を通して新たな販路拡大やサービス改善のヒントを得られる

新規開拓の営業は「営業」だけにとどまらず、他のメリットもあります。

ヒアリング時に、普段どんなメディアで情報収集をしているのかやどんな展示会に参加しているのかなどを聞き出すことができれば、ターゲット企業に対して新たなマーケティング施策の立案までが可能になります。

また、競合サービスをどのように知ってどのように活用しているのかまで聞き出すことができれば自社サービスの改善につながります。

新規開拓を成功させるための6ステップ

新規開拓を成功させるには、次の6つのステップで営業活動を進めましょう。

  1. ターゲット選定
  2. 既存顧客インタビュー
  3. 営業手法の決定
  4. リスト作成
  5. 実施
  6. 分析・改善

1. ターゲット選定

まず、自社が狙いたい顧客層を決めます。自社が取り扱う商材によって、適した顧客層が異なります。自社の商材を分析したうえで、ターゲット選定に役立てましょう。

ターゲットは、次の項目をもとに情報を整理しましょう。

項目具体例
従業員数51〜100名
業界ITサービス
部署営業
所在地関東圏
想定ニーズ新人営業の教育に困っている

上記の項目をもとにターゲットを絞ることで、営業活動の効果が高まります。

2. 既存顧客インタビュー

続いて、既存顧客のなかからターゲットと同じような企業を探し出してインタビューします。

具体的には、次のような内容をインタビューします。

  • なぜ自社で買ってくれたのか
  • そのときどんな課題があったのか
  • なぜ継続してくれているのか
  • どうやって自社を知ったのか
  • 競合ではなく、自社を選んでくれた理由はなんなのか

上記を確認することで「自社の強み」や「ターゲット企業の分析」に役立ちます。

3. 営業手法の決定

既存顧客にインタビューした内容をもとに、営業手法を決定します。

たとえばインタビューを通じて「営業部長が問い合わせフォームの内容を確認している」「営業担当者が交流会に参加している」といった情報を得るとします。

この場合「問い合わせフォームからの営業」「交流会でのアプローチ」といった方法が、有効な営業手法として挙げられます。

4. リスト作成

「ターゲット選定」で明確にした顧客層をリスト化します。スプレッドシートなどを活用し、営業手法も記載します。

リスト作成例

たとえばフォーム営業をおこなう場合、ターゲットのコンタクトフォームのURLをリストに記載します。そうすることで、営業活動が効率化できます。

5. 実施

ターゲット選定をもとに作成したリストと営業手法をもとに、新規開拓営業を実施します。

6. 分析・改善

実際に営業活動を実施したら、営業プロセスを分析したうえで改善につなげましょう。

営業プロセスを分析する際は「顧客・商材ごとの売上」「成約率・契約数の伸び率」「営業活動の傾向」といった内容を可視化し、現状を把握します。加えて、同業他社の成功事例も参考にしましょう。

情報を集めたら、営業活動の改善点を洗い出します。たとえば移動時間が多くて1日の商談数が少ない場合「オンライン商談」を取り入れることで、時間・経費のコスト削減につながります。

データに基づいて改善することで、新規開拓営業の成果が高まります。

新規開拓の12の営業手法

新規開拓の営業手法は「直接的なアプローチ」と「間接的なアプローチ」に分けられます。

直接的なアプローチの新規開拓方法

直接的なアプローチで新規開拓する場合、ゴールは「商談獲得」です。

営業チームの行動量がコントロールしやすく、手法によっては商談化しやすいのが特徴です。しかし工数がかかるといったデメリットもあります。

直接的なアプローチの新規開拓方法には、次のようなものがあります。

  • テレアポ
  • メール
  • フォーム
  • DM
  • 手紙
  • 飛び込み(訪問)

テレアポ

テレアポは、ターゲットに電話をかけてアプローチする新規開拓方法です。

メリット・直接話せるため、自社商材の魅力を伝えやすい
・場所の制限がない
デメリット・営業できる時間が限られる
・担当者につないでもらうハードルが高い
費用低(★★☆☆☆)
工数中(★★★☆☆)
向いている
商材の特徴
・継続取引が見込める
・単価が高い
・他社との差別化が難しい
・ターゲットが明確
成功させる
ためのコツ
・ターゲットの空き時間を狙う
・わかりやすく簡潔に提案する
・明るく落ち着いて話しをする

メール

メールは、ターゲットに電子メールを送付してアプローチする新規開拓方法です。

メリット・大量の顧客にアプローチできる
・時間/場所の制約がない
デメリット・必ず読んでもらえるとは限らない
・開封率/返信率が低い
費用低(★☆☆☆☆)
工数小(★★☆☆☆)
向いている
商材の特徴
・認知度が低い
・新製品や新サービス
成功させる
ためのコツ
・件名/本文を工夫しわかりやすい内容にする
・返信が来たら速やかに対応する
・営業メールによる効果を分析/改善する

フォーム

フォームは、企業のホームページの「問い合わせフォーム」からアプローチする新規開拓方法です。

メリット・面識のない企業にアプローチできる
・確度の高いアポイントにつながる
デメリット・反応率が低い
・企業ごとに入力項目が異なるため手間がかかる
費用低(★★☆☆☆)
工数中(★★★☆☆)
向いている
商材の特徴
・決裁者に情報が届けば案件化率が高い
・認知度を広げたい
成功させる
ためのコツ
・反応が得やすい曜日/時間帯に送る
・テンプレートとわかる文章は送らない
・ABテストを実施してブラッシュアップする

DM(SNS)

DMは「Twitter」や「Instagram」といったSNS、メールなどで個別にアプローチする新規開拓方法です。

メリット・連絡先がわからない相手にも送付できる
・アカウントに直接アプローチできる
デメリット・1日に送付できる数に上限がある
・信頼性を構築しにくい
費用低(★★☆☆☆)
工数大(★★★★☆)
向いている
商材の特徴
・ターゲットが明確
・無形商材
成功させる
ためのコツ
・ターゲット像に近いアカウントを選定する
・ターゲットに刺さる投稿内容にする

手紙

ターゲットに直接手紙を送ってアプローチする新規開拓方法です。

メリット・決裁者に直接アプローチできる
・誠意が伝わりやすい
・開封率が高い
デメリット・相手の反応が見えない
・届くまで時間がかかる
費用中(★★★☆☆)
工数大(★★★★☆)
向いている
商材の特徴
・決裁者に情報が届けば案件化率が高い
・無形商材
成功させる
ためのコツ
・関係作りを意識する
・手紙を送付した理由を明記する
・フォローの電話をする

飛び込み(訪問)

飛び込みは、アポイントがない状態で企業や個人宅に訪問する新規開拓方法です。

メリット・直接対面するため関係を築きやすい
・資料や実物を活用して説明できる
デメリット・移動時間や交通費といったコストがかかる
・アポイントがないため担当者が不在のケースがある
費用中(★★★☆☆)
工数大(★★★★☆)
向いている
商材の特徴
・需要がある
・単価が高すぎない
・ターゲットの幅が狭くない
成功させる
ためのコツ
・売り込みに必死になりすぎない
・相手の話を聞くことを心掛ける
・成功/失敗体験から分析し、改善につなげる

間接的なアプローチの新規開拓方法

間接的なアプローチで新規開拓する場合、ゴールは「関係構築」です。

「多くの企業・個人にアプローチできる」「直接的な新規開拓と比べると、よい形で商談化できる」といったメリットがあります

一方で「不定期」「コストがかかる」といった理由で、時期や回数がコントロールしづらいというデメリットがあります。また関係構築をゴールとしているため、リードタイムが長いのが特徴です。

間接的なアプローチの新規開拓方法には、次のようなものがあります。

  • 展示会
  • 交流会
  • 紹介
  • 代理店
  • ビジネスマッチング
  • セミナー/ウェビナー

展示会

展示会を通じて新規開拓する場合「〇〇EXPOなどの展示会に出展する」「参加者として参加する」といった方法があります。

メリット・優良な見込顧客に多く出会える
・経営者と直接コミュニケーションが取れる
デメリット・時間やコストがかかる
・効果測定が難しい
費用高(★★★★★)
工数大(★★★★★)
成功させる
ためのコツ
・開催前に案内状を送付して集客する
・集客率が高い場所に出店する
・展示会後に電話やメール、手紙といったフォローをする

交流会

交流会には、さまざまな業種や職種の人が集まります。「ビジネス交流会」や「名刺交換会」といった名称で呼ばれることもあります。

メリット・人脈の幅を広げられる
・情報収集に役立つ
デメリット・求めている人脈/情報が得られるとは限らない
・時間/会費がかかる
費用中(★★★☆☆)
工数小(★★☆☆☆)
成功させる
ためのコツ
・キーマンを特定してつながる
・相手の話を聞く

紹介

知人や顧客を通じて紹介してもらう新規開拓方法です。

メリット・知人/顧客を介するため信頼性が高い
・決定率が高い
デメリット・対応を間違えると紹介者に迷惑がかかる
・紹介数に限界がある
費用低(★☆☆☆☆)
工数小(★★☆☆☆)
成功させる
ためのコツ
・知人/顧客との関係が築けているかを見直す
・相手にとって有益な情報を仕入れておく

代理店

「代理店」や「代行業者」を活用して新規開拓する方法です。

メリット・代理店の販路が活用できる
・地域にとらわれずに事業展開できる
デメリット・営業活動をコントロールできない
・自社にノウハウが蓄積されない
費用高(★★★★★)
工数小(★★☆☆☆)
成功させる
ためのコツ
・インセンティブなどの販売促進の仕組みを作る
・複数の代理店を比較して選ぶ

ビジネスマッチング

「Eight」や「Yenta」といったビジネスマッチングアプリを新規開拓に活用する方法です。

メリット・効率的に情報収集できる
・想定外の企業から商談を申し込まれることもある
デメリット・相手企業の実態がわかりにくい
・きっかけづくりのため、商談が成立する保証はない
費用中(★★★☆☆)
工数中(★★★☆☆)
成功させる
ためのコツ
・信頼できる運営元のマッチングアプリを利用する
・相手の情報の信頼度を見極める
・自社の実績/特徴をわかりやすくアピールする

セミナー/ウェビナー

セミナーやウェビナーを開催し、参加者に対してアプローチして新規開拓する方法です。

メリット・自社に興味がある顧客に直接アプローチできる
・ウェビナーであれば開催場所に縛りがない
デメリット・認知度が低い企業の場合、集客に苦戦する
・準備にリソースが必要
費用高(★★★★★)
工数大(★★★★★)
成功させる
ためのコツ
セミナーのテーマを工夫し、潜在顧客を集める

すべての手法において新規開拓で重要なこと

すべての手法をおこなううえで、アプローチをかける営業相手のことをしっかり調べましょう。

基本的に新規営業とは「道すがらの人にいきなり声をかけるようなもの」です。「礼儀」や「御社のため」といった姿勢が伝わらなければ、時間や費用といったコストがかかるだけで新規開拓の成果が出ません。

情報収集する時間がない場合、1分でもかまいませんので相手のWebサイトを見てみましょう。

まとめ

新規開拓はターゲットを選定したうえで「既存顧客インタビュー」「営業手法の決定」「リスト作成」といったステップを踏みます。営業結果を踏まえて改善することで、さらに成果を高められます。

また新規開拓の手法には「直接的なアプローチ」と「間接的なアプローチ」があります。自社に適した手法を選び、新規開拓営業に役立てましょう。

b-pos編集部

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